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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(139)「出会い」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

手術後、健次郎(國村隼)がようやく目を覚ます。合併症もなく回復の早い健次郎であったが、右手足のしびれが少し残った。病院でリハビリを行う健次郎だが、主治医の毛利医師(嶋田久作)は、町子(藤山直美)に健次郎が診療所の仕事を続けるのは難しいと告げる。町子がそのことを健次郎に言いよどんでいると、自分のことをよく知っている健次郎が先に町子に診療所を閉めることを打ち明ける。そして退院のお祝いが盛大に行われる。

病室

毛利「握ってください」健次郎と手を握っている。

 

心配していた合併症もなく、回復の早い健次郎でしたが…

 

健次郎「これが精いっぱいですね」

毛利「はい、結構ですよ」

 

右手と右足に麻痺が残りました。

 

毛利「リハビリすれば手も足ももっと動くようになりますよ」

健次郎「リハビリですか?」

毛利「とにかく手術をなさったあとですから体力を元に戻しましょう」

健次郎「体力を元に戻すか…」

 

町子「それが一番先ですね」

晴子「これだけの麻痺、小さい方。お兄ちゃん、運、強いわ」

peachredrum.hateblo.jp

嶋田久作さん、最近何かで見たよな…と思ったら、2か月ほど前に見た「ハゲタカ」の再放送だった。2007年冬ドラマなので時期もほぼ一緒くらい。

 

理学療法士「はい、ゆっくり上げてみてください」

健次郎がベッドに座り、理学療法士が右足を支えて持ち上げる。

健次郎「はい。あ…これ、結構大変やな」

町子「上手、上手。ねえ、上手、上手、上手、上手!」

健次郎「アホ!」

純子「大先生、頑張って!」

町子「頑張って」

 

面談室、相談室?

毛利「術後2週間ですので、もう心配ありません」

町子「ありがとうございます」

毛利「あとは、毎日のリハビリ次第で手足の機能がどこまで回復できるかですね」

町子「そのことなんですけども…」

毛利「はい」

 

町子「診療所は続けられるんでしょうか?」

毛利「脳出血による圧迫で運動神経をつかさどる細胞のいくつかが死んでます。…が、幸い言語障害は残りませんでした。リハビリである程度の運動機能は回復しますが…手先の細かい作業は難しくなることは間違いありません」

町子「そしたら…」

毛利「同じ医師としては残念ですが…」

 

病室

ノート

徳永医院

徳永健次郎

などとペンで書いている健次郎。

 

ノック

健次郎「はい」

町子「もうすぐ晩ごはんですよ

健次郎「あ~、大丈夫やで。1人で食べられるから。あんた、仕事あるやろ? 入院騒ぎで原稿遅れてるん違うか?」

町子「ううん、大丈夫よ。ありがとう。ねえ、何してんの?」

健次郎「うん?」

ノートをめくって見せる。

健次郎「これ、昨日の」

町子「あ~」

 

徳永健次郎

大阪市北区

天満北

徳永健次郎

などと大きな文字でノート一杯にかかれている。よくいうミミズのはったような字ってやつ!? 昨日と今日でも大きな変化。

 

町子「これ、今日?」

健次郎「うん」

町子「わ~、すごい! はい、徳永健次郎君、よくできました!」

 

町子は赤ペンでノートに花丸を書いた。

 

健次郎「僕は小学生か!」

町子「ハハハ!」

 

またノートに向かう健次郎に複雑な表情の町子。

 

仕事部屋

原稿を書いている町子。ふと手が止まる。

 

回想

毛利「リハビリである程度の運動機能は回復しますが…手先の細かい作業は難しくなることは間違いありません」

 

毛利の言葉を思い出す町子。

 

病室

ミカンをむいている町子。

健次郎「兄貴、どないしてる?」

町子「あっ、お兄さんね、家の建設予定地へ行ったり、設計士の人と打ち合わせやとか言うて出かけたりしてはりますわ」

健次郎「ふ~ん…。今度こそほんまに進んどんねんな」

町子「そうみたいですね」

 

健次郎「何か退屈してきた。もうはよ帰りたいわ」

町子「もうちょっとの辛抱ですから。ねっ。はい、どうぞ」ミカンを渡す。

健次郎「ありがとう」

 

茶の間

昭一「ほんまですか? それ! いや、冗談で…。いや…。あの…ほんま、もういっぺんちょっとよう調べてみてください! いや、ほんと頼みますて! はい、お願いし…」受話器を置き、電話に向かってどなる。「そんなアホなことがありますか!?」

純子「どうかなさったんですか?」

昭一「いえ、何も」

 

病室

ノート

徳永医院

徳永健次郎

と、繰り返し書いている健次郎。手を止め、考え込む。

 

夕方、縁側に座っている町子。

純子「先生…」

町子「純子さん…」

純子「どうなさいました?」

町子「『もう診療所は無理やろう』って、病院の先生がそう言わはったんですよ。けど、私、それ健次郎さんによう言わんでね…。何て言うたらいいのかなと思て…」

 

純子「先生…。きっと大先生はもう主治医の先生とお話なさってるはずです」

町子「え…?」

純子「大先生のことですもの、真っ先にそのこと気になさってるはずです」

町子「けど、健次郎さんは私には何にも…」

純子「町子先生の悲しむ顔、見たくないんです、きっと」

 

純子さんの存在、ありがたい。

 

病院の廊下

病室に入る前、一呼吸する町子。

ノック

健次郎「はい。おう。今日は洋風やで」

町子「え? あっ、ほんまやね」

健次郎「うん。今日な、午前中、中庭散歩したんや」

町子「え!?」

 

健次郎「もうすっかり春やな。知らん間に春になっとった」

町子「今年の春は遠慮がちに来てましたからね。はい」手拭きを渡す。

健次郎「なあ、退院したら旅行、行こか?」

町子「え?」

健次郎「考えたら結婚してから2人でゆっくり旅行もしてへんがな。あんたも僕も仕事、仕事で」

町子「そうでしたね」

健次郎「まっ、そっちは相変わらず忙しいやろうけども」

 

町子「ねえ」

健次郎「うん?」

町子「毛利先生に何か聞かはったんですか?」

健次郎「そんなもん僕が一番よう分かっとるがな。聴診器も当てられへんし、注射も正確な触診もでけへん。診療所閉めてこれからのんびりいこ。ちょうど春や。卒業には、ええ季節やで。退院と卒業のお祝いは派手にやろな」

町子、うなずく。

 

夜、茶の間

純子「お閉めになるんですか…」

昭一「そうか…。閉めるか」

町子「はい、閉めます。健次郎さんが決めはったことですから」

 

徳永医院

入り口に貼り紙が貼られていた。

 

    閉院のお知らせ

平素より当院をご利用いただき、心より御礼申し上げます。

この度、一身上の都合により閉院することにいたしました。

長らく皆様方のご健康に尽力させていただけたこと

感謝いたします。

        徳永医院 徳永健次郎

 

近所の女性たちが貼り紙を見ている。

 

そして、2週間後…

 

誰もいない廊下、待合室、診察室。聴診器を手に取る健次郎。左手で杖をつきながら、窓の方へ歩き、振り向いて診察室内を見ている。そこに晴子がやってきた。聴診器を置いて診察室を出ていく健次郎に何の言葉もかけられなかった晴子。

 

台所

ぼんやりしている町子。

由利子「おばちゃん」

町子「あ…はい」

由利子「おすし、持っていこか?」

町子「あっ、大丈夫よ。ありがとう」チラシずしをもって茶の間へ。

 

いつも横になってるテーブルを応接間とぶち抜きで縦にしてるんだね。

 

町子「よいしょ。はい。はいはい、お待ち遠さまでした!」

昭一「それではそれでは、え~、皆さん、お手元にビールは、お届きでしょうか?」

町子「はい」

昭一「では、始めたいと思います。え~、健次郎君、ひと言」

健次郎「え?」

昭一「短めに」

 

健次郎「あ…。え~、皆に心配かけましたが、こうやって無事生還できました。ほんま、ありがとう。それと、みんなに長い間、助けてもろてきた徳永医院も、え~、この度、閉鎖することになりました」

由利子「お父ちゃん…長い間、お疲れさまでした」

晴子「お疲れさま」

町子「お疲れさまでした」

昭一「では、乾杯とまいります。健次郎さん、退院おめでとうございます。それから、ほんとに長い間、病院、ご苦労さまでした。乾杯!」

一同「乾杯!」

ビールを飲む町子を見つめる健次郎。拍手が起こる。

健次郎「あ~、久しぶりや! これ」

 

晴子「あっ、昭一兄ちゃん、家の方、進んでる?」

昭一「あれ、予定地から遺跡が出てきてな…」

一同「え!?」

昭一「持ってるよ、これ、これ。これ、見てちょうだい」

 

昭一が広げて見せた新聞

 

幻の寺院か?

富田林に古代寺院の

遺構見つかる!

 

昭一「発掘調査のために市があの辺の土地を全部買い上げんねんと」

町子「そしたら、また…?」

昭一「さいな! なかなか落ち着くことはできません」

一同の笑い声www.city.tondabayashi.lg.jp

町子「健次郎さん、そしたらね、お祝いですから…」

 

健次郎と町子の新しい生活が始まろうとしていました。

 

誰かにビールを注いでもらっている健次郎。

町子「あかん。ちょっと何をしてんの? あかんて、飲ませたらもう!」

健次郎「大丈夫やて!」

 

来週は「お兄ちゃん」

・昭一「これ、嫁はん」

貞男「え…お兄さんの?」

            

・真佐美「初めまして。平真佐美です」

 

・昭一「そろそろ奄美に帰ろうかと思てんねん」

 

・健次郎「兄貴な『奄美帰る』言うてんね」

町子「え?」

 

・健次郎「『お前も隠居しとんのやったら一緒に帰らへんか?』」

 

・真佐美「兄です」

コニタン!

 

・町子「ほんまのお兄さんなのかな? あの人」

 

・町子「ちょっと待ってって。お願いやから」

昭一「真佐美!」

 

ミニ予告

町子と純子で踊る。

町子「♪チャンカ チャンカ チャンカ チャンカ チャンカ チャンカ チャンカ チャンカ」

 

閉院は寂しいし、若子さんやヤブちゃんは突然のことでびっくりだろうけど仕方ない。健次郎さんは、まだ60代後半だから若いもんねえ。あと2週、何が起こるのか!?