徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(148)「ほな、また!」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)は、健次郎(國村隼)に病気についてほんとうのことと治療のことを話す。事態を冷静に受け止めようとする2人だが…。その夜、町子は子どもたちを集め、健次郎の病気のことを話す。また、同居していた町子の母・和代(香川京子)が足をねんざし、町子の妹・孝子(メイサツキ)と弟・信夫(西興一朗)が徳永家に見舞いにやってくる。信夫は和代をしばらく信夫の家で預かることを町子と和代に提案するのだが…。

病室

お茶を注ぐ町子をじっと見ている健次郎。何か言いたそうな町子。

健次郎「で、話は何や?」

町子「え?」

健次郎「何か話、したいねやろ?」

町子「…」

健次郎「肺の腫瘍のことか?」

 

町子「昨日の主治医の加藤先生のお話なんですけども、まだ続きがあるんです。お薬で治療するという話と…『肺の腫瘍にコバルトあてましょう』って」

健次郎「コバルト…。悪性の腫瘍やいうことやな。そうか…。で、手術もせえへんのやな?」

町子、うなずく。

ganjoho.jp

今の世の中、調べようと思うと調べられるものなんだね~。

 

健次郎「ありがとう。ちゃんと話、してくれて。分かった」

町子「純子さんが言うてくれはったんです。『何でも二人で話し合うてきたんやから隠し事をしたら絶対にあきませんよ』って。私もそやなあと思て。仲間に敵の本当の姿を教えへんかったら一緒に立ち向こうていけませんでしょ」

健次郎「うん。今までもそうしてきたんやからな」

町子「今までで一番大きな敵。二人やないとね…私一人やったら勝たれへんの」

健次郎「二人でな」

町子「二人でね」

 

待合室

公衆電話から電話をかけている町子。「うん。そやの。ねえ、隆君、今日、時間ある?」

隆「うん、大丈夫。お兄ちゃんたちにはもう?」

町子「電話しました。忙しいと思うけど、お願いしますね」

隆「なあ、町子おばちゃん。泣いたらあかんで」

町子「え?」

隆「お父ちゃん、きっとようなるから」

町子「私もそう思てる。ありがとう、隆君」

 

徳永家応接間

和代「あっ、痛…」

純子「お母様、大丈夫ですか?」

 

町子「ただいま!」

 

純子「あ…先生!」

町子「はい。お母ちゃんどないしたん? 足」

和代「お帰り」

純子「捻挫です」

町子「え? 大丈夫やの?」

和代「段差でグニャッてな」

町子「うわ…」

純子「すいません。私がおりながら」

和代「純子さんのせいやあらしません。けど、折れてのうて、ほんまよかったわ。『骨、丈夫なんやなあ』て、お医者さんに褒められてしもた」

町子「ねえ、痛ないの?」

和代「痛み止め、もろてるから」

純子「でもしばらくは安静にって」

町子、大きなため息。

 

仕事部屋

町子「はあ…。よう、こんだけいろいろと問題起こるもんやなあ。原稿仕上げて…」

純子「失礼します」

町子「はい。あ…純子さん」

純子「はい」

町子「確か私あさって講演会でしたよね?」

純子「ええ。大阪のニュー・ロイヤルホテルです。で、翌日は東京でテレビ出演がありますから、その日は東京泊まりです」

町子「東京泊まり…。ほっとかれへんしな~。私、お母ちゃんのこと考えてみますわ。孝子や信夫にも相談して」

純子、うなずく。

町子「あ、それからね、今日、子供たちみんな夜、呼んでるんです。健次郎さんのことちゃんと話、しよと思いまして」

 

夜、茶の間

話を聞いた子供たち+晴子。

晴子「半年から1年…」

登「手術もでけへんの…」

町子、うなずく。

由利子「そんな…」

亜紀、すすり泣き。

登「コラ、泣くなて」

亜紀「そうかて…」

 

晴子「お兄ちゃんには話、したの?」

町子「全部話しました。お父ちゃんね、きちんと受け止めてくれはりましたよ」

由利子「けど、何か治療法があるのと違うの? ワクチンとかええお薬出来てるいうやん。治りはる人もいてる。なあ、晴子叔母ちゃん」

 

廊下を歩いていた和代と純子も話が耳に入った。

 

晴子「私も加藤先生とこ行って話聞いてええかな?」

町子「そうですか。そしたらまた一緒にお願いいたします」

亜紀「治れへんて?」

町子「お医者さんはね、これ以上ひどくならないように一生懸命やってくれはるんです」

登「けど、完治はせえへんいうことやんな…」

由利子「ほかの病院にも聞いてみような。間違いかも分からへんやん。なあ、晴子叔母ちゃんとこの病院は?」

晴子「とにかく私も先生に会うから」

 

仕事部屋の電話が鳴る。

町子「あらちょっと、おばちゃん電話出てきますわね」部屋から出ていく。

 

隆が泣きだす。

登「アホ。お前はほんまに…」

隆「そうかてやで…」

登「男やろ、お前。お姉ちゃん、ティッシュ取ったって」

由利子「あ…空っぽ」

清志「町子おばちゃん見てみ。シャキッとしてるやんか」

亜紀「おばちゃん強いから…」

登「ほんまやな」

晴子「そやね」

 

仕事部屋

電話をしている町子。「ええ、そうです、そうです。今言ったみたいに『私はタクシーを飛ばして』のとこで行変えてもらいたいんですよ」

晴子「町子さん、私らそろそろ…」

町子、電話を続けながら晴子に謝るジェスチャー

晴子「また電話します」

町子「ええ。そうそうそう」

 

晴子が部屋に目をやると、空のティッシュケース2箱とゴミ箱一杯のティッシュ

 

町子「いや、それまでにね、行を変えてもらいたいんです。ええ。はいはい。それから『バタンと車を閉める音』っていうのありますでしょ。はい。そうです。はいはい。あっ、そしたら、それね、え~っと『ミナコが立ってきて』っていうところと同じ行に並べてもらえますか」

 

仕事の話をしている町子の背で、晴子は町子の本心を知る。ティッシュ箱だけで町子がどんだけ泣いてたか表現するってすごいね。

 

そして翌朝、孝子と信夫がやって来ました。

 

応接間

信夫「えらいこっちゃな、健次郎さん」

孝子「お姉ちゃん、仕事もあんのに大丈夫?」

町子「お姉ちゃんは大丈夫」

信夫「孝子姉ちゃんとも話、したんやけど、お母ちゃんはしばらくうち来てもらうから」

町子「ありがとう」

 

純子「おはようございます!」

 

町子「あっ、おはようさんです!」

信夫・孝子「おはようございます」

純子「あっ、おはようございます」

町子「ほな、お姉ちゃん病院行ってきますわ」

信夫「うん。帰ってくるまでは、いてるから。で、夕方、お母ちゃんと一緒に帰る」

町子「ほんと。ありがとうね」

孝子「うん」

町子「ほな、お母ちゃん行ってくるね。うん。あとお願いします」

純子「はい。行ってらっしゃいませ」町子とともに部屋を出る。

 

信夫「ほんまに大変やな…」

孝子「けどお姉ちゃんいつもどおりやな。強いわあ」

信夫「うん。ほんまに強いわ」

和代「アホなこと言いなさんな! 平気なはずあらへんがな!」

信夫「まあ、そらそやけど…」

和代「信夫、お母ちゃんな、やっぱりここにいてます」

 

戻ってきた純子が立ち聞きする。あ、町子の見送りに行ってただけか。

信夫「え? 何言うてんの? なあ。お姉ちゃんな、今、病院との往復だけでも大変なんやで。動かれへん、お母ちゃんがいてたら…」

孝子「そうやで。せめてけがが治るまで…」

和代「いてたいんです、ここに。私がいてへんようになったら町子は一人なんやで。病院でつらい思いして、夜、帰ってきても家は真っ暗で…朝まで独りぼっちなんやで。そんなこと…そんなかわいそうなこと、お母ちゃんはたまらん。せめて、お母ちゃんはそばにいててやりたい」

 

純子「あの~…もしよろしければ、私、お世話させていただきたいんですけれど…」

和代「純子さん…」

孝子、信夫、顔を見合わせる。

 

病室

リンゴをすり下ろしている町子。

健次郎「そうや。コバルト始めたら食欲がなくなるていうなあ」

町子「けど、好きなもんやったら食べられんのと違いますか? あ、それから、ほれ、あの、え~、ゼリーとか、あのプリンとか、ほれ、プルンちゅうかチュルンと入っていくやつ。チュルンて」

健次郎「黒糖焼酎ゼリーとかな」

町子「あっ、それ、開発したらもうかるかも分からへんね」

うわっ、あるよ! 奄美大島の「れんと」を使ったゼリーだそうです。

 

健次郎「ワインのゼリーがあんねやから」

町子「あっ、そういうたらそうや!」

健次郎「徳島のスダチか何かをキュ~ッと搾ってな」

町子「フフフ!」

 

健次郎「あ…今度の阿波踊り行かれへんねなあ」

町子「何を言うてますの? 行きますよ。カモカ連でカモカのおっちゃんいてなかってどないしますの?」

健次郎「そらそや!」

 

町子「フフフ!」

健次郎「何?」

町子「フフッ! 隆君がね『おばちゃん泣いたらあかん』て言うてくれたんです」

健次郎「隆が…」

町子「一番泣きみそやった隆君がね、そない言うてくれたんですよ」

 

茶の間

町子「ただいま!」

 

和代「お帰り」応接間の椅子に座り、足袋を縫っている。

町子「え!?」

純子「お帰りなさいませ」

町子「あっ、ただいま。いやちょっとあの信夫たちは?」

純子「お帰りになりました」

町子「帰った!?」

和代「嫌やの、よそ行くのは」

町子「嫌て…」

純子「先生、しばらく、私、あの、こちらに泊まり込みにさせてください」

町子「純子さんが?」

純子「その方が何かと便利だと思いますので」

町子「お母ちゃん、わがまま言うたらあきません!」

和代「年寄りはわがままなもんです」

純子「そうさせてください!」

町子「純子さん、本当によろしいんですか?」

純子「はい」和代と顔を見合わせて笑顔。

町子「もう…」

 

病室

車いすに乗せられる健次郎。

 

そして、健次郎のコバルト治療が始まりました。

 

健次郎「ほな、行ってきます」

町子「頑張ってね!」

健次郎「頑張んのは機械動かす人や。僕は寝てるだけ」

町子「ハハッ。行ってらっしゃい」

健次郎「うん」看護師が車いすを押して病室を出ていく。

 

健次郎と町子の闘病生活が始まりました。

 

ミニ予告

町子と純子が赤い扇子を持って踊っている。

♪惜しむか 柳が

蘇州夜曲

蘇州夜曲

  • provided courtesy of iTunes

元歌は李香蘭が歌ってたらしいです。

 

毎日毎日泣かせてくれますね。

読み終えました。詳しい内容には触れませんが、ドラマとはいろいろ違うんだな~と思った家族構成。カモカのおっちゃんには元軍人の兄(その後、実業家)、医師の弟(17歳くらい年が離れている)がいて、おっちゃんの子供たちは男、男、女、女の4人きょうだい。

 

学生運動にハマっていたのは男の子たち2人。田辺さんが一番頼りにしていたのは長女。だから、ドラマでは一番上の子という設定にしたのかな。カモカのおっちゃん(本の中では”パパ”)との会話も面白かった。やっぱり藤山直美さんと國村隼さんの顔が浮かんでしまう。

 

田辺さんはドラマ同様パワフルに働く人だな~と思った。70代になっても原稿を書くほかに顔も広くいろんな場所に出かけたり、講演会、対談など仕事もぎゅうぎゅう。

田辺聖子さんの本はたくさん電子書籍化もされてるんだけど、読みたいなと思う本が意外と電子化されてないものも多い。本の中で書かれていたこれらが読んでみたい。

 

こうやって当時の話が聞けるのっていいな~。