公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
健次郎(國村隼)の告別式。町子(藤山直美)の先輩作家であり、町子と健次郎の最初の出会いのきっかけを作った池内幸三(板尾創路)が、“カモカのおっちゃん”との思い出の弔辞を読む。最後に喪主の町子(藤山直美)が会葬の人たちにあいさつをする。健次郎からプロポーズをされたころの口説き文句を披露して会場をわかし、明るいお葬式で終わる。そして徳永家に戻った町子は、健次郎の笑顔の遺影の写真と2人きりになると…。
故徳永健次郎儀葬儀式
立派な会場だね~。会場内では一真の読経している。町子の隣には池内が立ち、一緒に参列者に頭を下げる。
町子「どうもお世話になりました。ありがとうございました」
席には子供たちがずらっと並ぶ。由利子の夫、晴子の夫はいなかった。昭一、晴子、ご近所の面々、純子。
町子「あ…小川さん」
小川「元気出してな」
町子「ありがとう」
小川「結婚式の時の賭けは僕らの完敗やったな」
町子「あ…。あっ」
みすず「町子…」
町子「みすず。嫌やわ。何かあんたが未亡人みたいなやないの」
みすず「池内先生にも言われたわ」
加代子「おっちゃん、ええ写真やね」
町子「ありがとう。みすずもありがとう」
池内「カモカのおっちゃん。親しみを込めて、こう呼ぶことをご寛恕ください。まさかカモカのおっちゃんの弔辞を読むとは思いませんでした。南国の南風から生まれた剛毅なおっちゃんの気風は常にその言葉の端々にありました。僕が並木賞を受賞して以来、初めて大きな賞をとった時、すぐに花岡さんとお祝いに駆けつけてくださり、『どんな気分ですか? 長年の便秘が解消されたような感じですか?』と豪快に笑い、コップ酒を飲み干されたものです。あなたは私に『もの書いて生きていくっちゅうのは、しかしまあ、つらいことですやろ? 違いますか?』という言葉を口にされました。『ま、そら、いろいろと難儀なこともあります。誰も助けてくれるわけでもない仕事やし』と申しますと、おっちゃんは『そうやと思う』とおっしゃいました。いかつい顔にてれを満載したカモカのおっちゃん。誰もが思い出を抱いて見送るのが今日なのです」
そして…
町子「祭壇の彼もうれしそうにほほえんでおりますので、こんな席ではございますけれども、もしおかしかったら笑てください。私が昭和3年、彼が大正13年生まれ。同時代の嵐をかいくぐってきた戦友として会うた時から話は尽きず、会えば時間を忘れて話をしてしまうという日々が続きました。彼が言うたんです。『いっそ結婚しようやないか。その方が話、しやすいから』て。けど、彼は5人の子持ち。私は小説家。小説と家事。『両方とも中途半端になってしまいそうやわ』て言うたら、彼いわく『何を言うてはりますねんな。中途半端と中途半端2つ寄ったら満タンになるやないの』て」
少し笑いが起こる。
町子「もちろん結婚してからも嵐の日々が続きました。けど、子供たちも本当に立派に成長してくれて、今、こうやって並んで座ってくれてる姿を見て、彼も心から喜んでくれていることと思います。私、あの時ね、運命をよく見てくれはる八卦見さんに見てもろたことがあるんです。そしたらその八卦見さんが『あなたたち、生まれ変わっても夫婦ですね』て。何よりもうれしい言葉でございました。今度生まれ変わって、またどこかの街角で『中途半端と中途半端2つ寄ったら満タンになるやないか』てプロポーズされんのかなと思たら今から楽しみでなりません。皆さん、徳永健次郎を愛してくださってありがとうございました。そして、徳永医院をかわいがってくださいましてありがとうございました。カモカのおっちゃんのこと絶対に忘れんといてください。本当に皆様、ありがとうございました」
参列客から拍手がおこる。
池内幸三の弔辞は藤本義一さんの弔辞の一部。そして、町子のは田辺聖子さんの喪主挨拶から。「中途半端と中途半端が~」は本当にカモカのおっちゃんが言ってたんだなとこの本で初めて分かりました。
八卦見さんの部分は実際は尼さんに来世でも一緒だと言われたこと、今が二世で三世も夫婦だと言われたとあります。
拍手を受ける町子と背後に映る笑顔の健次郎の遺影。
夜、仏間
健次郎の遺影に話しかける昭一。「お疲れさん。あのな、天国行って、お父ちゃんとお母ちゃんに会うて。俺はもうちょっと新婚生活を楽しんで後から行くから」
玄関
町子「お兄さん、ほんまにいろいろとありがとうございました」
昭一「町子さんも…おおきに」
晴子「お疲れ出ませんように」
町子「はい」
昭一「行くわ。あっ、ちょいちょい奄美来てや」
町子「はい」
玄関を出ていく昭一。
晴子「ほんまにありがとうございました」
町子「あ…もう嫌やわ。もうやめてください、そんな晴子さん、改まって…」
晴子「お兄ちゃんね、ほんまに幸せやったと思う。ううん。『思う』やないわ。絶対幸せやった。町子さんと一緒になって、お兄ちゃん幸せやった」
町子、涙ぐみながら頭を下げる。
そして、純子も帰り、町子は一人になりました。
茶の間
テーブルの上に健次郎の遺影を置く。
町子「健次郎さん、お疲れさまでございました。安心してくれはりましたか? たくさん、たくさんの人が集まってくれはった。あったかいええお葬式でしたね。乾杯しま…。あっ、怒られるわ。すぐ杯持ってきますから」
台所へ行って杯を持って戻ってくる。
町子「はい、お待ち遠さまでした。病院にね、子供たち集まってきてくれたでしょ。みんな頼もしかったわ。あんなちっちゃかったのにね。健次郎さんの枕を整えたり、汗拭いてくれたり…。で、病室にね、私の寝床、作ってくれたんですよ。あの引っ込み思案だった清志君が『おばちゃん体、気ぃ付けなあかんで』言うてくれたしね、ヤンチャだった登君『おばちゃんちょっと休まなあかんよ。体、大事にせなあかんよ』言うてくれたしね。で、一番泣きみそやった隆君がね『おばちゃん、泣いたらあかんで』て言うてくれたんですよ。ほんまにいろんなことありましたけどね…なんとか二人で…一生懸命頑張って生きてきてよかった…。こんな私と一緒に生きてくれて…ありがとう。ねえ、そやから健次郎さんね、今度生まれ変わって…で、また、生まれ変わってよ、で、また生まれ変わって、また生まれ変わって、また生まれ変わっても…私のこと見つけてくださいね。で、私の大好きやった言葉言うてね。『中途半端と中途半端、2つ寄ったら満タンになるやないか』て。で、私にちゃんとプロポーズしてくださいよ。私もね、生まれ変わっても生まれ変わっても生まれ変わっても…。どんなことがあっても健次郎さんのこと見つけるから…。はい、約束!」
遺影に小指を差し出す。
町子「そやから私ね、『さよなら』なんて絶対に言いませんよ。健次郎さん。またね!」
笑顔の健次郎の遺影。
町子「乾杯!」一杯飲んで泣き笑い。
そして、月日は流れ
2007年春
徳永家前を歩く子供がDSやってるー。うわー。
相変わらず勢いが衰えることのない町子です。
仕事部屋
原稿を書いている町子。
純子「先生」
町子「は~い!」
純子「そろそろお時間でございます」
町子「え? もう、そんな時間?」
純子「はい」
町子「はい。ほな、今日は店じまい。(写真に向かって)お疲れさまでございました。参りましょうか」
純子「はい」
町子「よいしょ!」
子供たちとの家族写真のほかに、健次郎の1ショット、和代の写真が並ぶ。
2005年秋、満100歳を迎えた直後に和代は永眠しました。
2005年に100才だから1905年生まれ、あぐりが1907年、エイスケが1906年生まれなんだよね~。「あぐり」は1997年に朝ドラになったけど、それより古い朝ドラより結構年上のヒロインなんだな~と改めて思う。朝ドラヒロインは戦時中に10代から20代くらいになる大正から昭和初期にかけての人が多い気がする。おしんは昭和天皇と同じ1901年生まれらしいです。
応接間
純子「これこれ、マルちゃん。お食事中でしょ。はい、ちゃんと食べましょうね。マルちゃん」
パグ犬を抱っこする。そういや、「芋たこなんきん」が2006年10月スタートだったけど、2006年夏クールのドラマが「結婚できない男」でもパグが出てきたね~。
町子「ねえ、ミス・マルグリット。ディナーの最中に席を立つというのはレディーのたしなみとしては、もうこれいただけないことなんですよ。分かりましたか?」
犬の鳴き声
町子「ほな、参りましょうか?」
純子「はい」
町子「はい。落ち着きがないでしょう。では、あとお願いいたします」
キミコ「はい。行ってらっしゃいませ。はい、行ってらっしゃいませ」
家政婦さんがいるならミス・マルグリットも安心。
玄関
町子「ねえ、純子さん、今日は、すしこうさん何食べさせてくれはるんでしょうね」
純子「この間の蛤、おいしゅうございましたね」
町子「おいしかった~! だんだん寒なってきましたからね。あの、熱かんにしましょね」
純子「あ~! ストールお持ちになりました?」
町子「これ、持ってます。これね」
純子「ハンカチは?」
町子「中に入ってるんです、ちゃんとね」
純子「はい。あ…足元。右から」
町子「大丈夫です。私は大丈夫です。危ない、危ない! 私は…何を…。ここ持って、ここ持って」
純子「失礼…」
町子「足元、気ぃ付けてね」
純子「アハハハハ!」
手を取り合って外へ。
町子「今日もたっぷりお仕事しました」
純子「はい!」
町子「明日のために充電しましょ!」
純子「はい!」
歩き出した二人の前に女性2人連れ。
町子「あ…こんにちは!」
2人「こんにちは」
田辺聖子さんとアシスタントのミド嬢!
町子「ああ! きっと明日も晴れやね」
純子「はい!」
2人が腕を組んで歩きだした後ろに映り続けるモデルになった本物の人たち。
ああ~、終わったか~。また一つ面白い朝ドラを完走することができました。今んとこ、私は「おしん」以降外れはないです。外れと思ったら見るのやめてます。その中でも「澪つくし」は完走したけどちょっと文句は多かったかも(^-^; あの頃の沢口靖子さんはどうせなら関西弁をしゃべるヒロインをやってほしかったなと思う。
ただ、私はどれも面白い作品と思って見ているので、ツイッターだと作品毎に雰囲気が大きく変わってしまうのに驚く。あんなに素敵な感想を書いてた人が別の作品だと罵詈雑言ばかりつぶやき始めたり…「マー姉ちゃん」のときに感想を読まなくていいようにブロックした人たちは、この半年、外さないでそのまま来たけど、それでも十分ステキな感想を読むことができました。同じ意見の人で盛り上がりたいからなんだろうけど、わざわざタグ付けて悪口言うなよ。
半面、「芋たこなんきん」は絶賛ばかりで批判的なことを言いにくいというつぶやきにももやっとしたけどな。へ~、他の作品で平気で悪口言えたのに?
きっと、あの一連の方々は「芋たこなんきん」は大絶賛してたとは思いますが、あんなに罵詈雑言はいてた人の絶賛感想はしらけるから見たくありません。あと何かというと自分がつまらなかった作品を持ち出してディスったりしてるだろうし。きっと次の「本日は晴天なり」に何言うか目に見えるよう。
「本日は晴天なり」の番組ナビを見たら、ヒロインの原日出子さんの声がいいのがまず気に入りました。津川雅彦さんと宮本信子さんはその後、伊丹十三作品で共演してたね~、そういえば。
私が朝ドラを見始めたのが90年代からだけど、子役から始まるのが当たり前のように思っていたけど、80年代はそうでもないんだね。むしろ、80年代の方が露骨にヒロインを売り出すために1話からずっと出演させてた感じ。「おしん」が例外だった。ま、昔の子役って今みたいに平均的にみんなうまいって感じじゃなかったもんね。
田辺聖子さんの本を読みたいと思わせる作品だったし、実際何冊か買いました。あと、高校生くらいのころにも読んでいたことを思い出しました。↓これ。
ホントにパワフルで多作な人だったんだな。「ゲゲゲの女房」だと昭和の終わりに仕事が一時的に減った時期があったりというのも描かれていたけど、それもなかったし。
最初のころは結構回想シーンが多かったように思う。番組冒頭の前回のふりかえり、年末年始の総集編…藤山直美さんのスケジュール的なものがあったのかもしれないけど、今日なんて回想シーンは全然なかったし、後半になるにつれ、ずいぶん減ったな。それが視聴者を信頼しているようでよかった。
健次郎さんの最期を丹念にやるというのは、正直言うと、介護してる側じゃなく、されてる側で病院なんかで見たらつらかったかも。最終回でお葬式は「ゲゲゲの女房」でもやってるけどね。別居しているヒロインの父でそのきっかけで地元に帰れたという話だから、闘病が長々描かれたわけではない。
当時も夜11時ごろのドラマだったらもっと大人の視聴者が楽しんだんじゃないのかな。DVD化が難しくても、NHK+やオンデマンドで配信があればいいのにね~。2006年はさすがにリアルに知ってる時代だから同時代にやってたドラマも思い出し、楽しい半年でした。
ドラマの字幕って、主人公が黄色、準主人公みたいな人が水色、もう一人重要人物が緑、他は白色になってるみたいで、例えば「純ちゃんの応援歌」だとヒロイン・純子(山口智子さん)が黄色、後に夫となる秀平(高嶋政宏さん)が水色、ナレーションの杉浦直樹さんが緑だった。だから秀平が登場した瞬間にこの人が相手役だと分かってしまう。「はね駒」もこのパターンでりん(斉藤由貴さん)が黄、源造(渡辺謙さん)が水色だったように思う。
「マー姉ちゃん」の場合は、ちょっと特殊でヒロイン・マリ子(熊谷真実さん)が黄色、マチ子が水色(田中裕子さん)、緑はなし。あんなに目立ってたはるさんが白。
それが「芋たこなんきん」だと町子が黄色で、あと色付きの人はいなかった。ホントなら健次郎が水色、純子が緑だと分かりやすいんだけどねえ。劇中で亡くなる人は色付きにならないとどこかで見ました。だから「あぐり」もあぐりが黄色でエイスケさんは白だった。
だから、健次郎が白ということは劇中に亡くなるというのは察せられてしまうのが悲しいところ。
その法則を知ると、ドラマを見るのが面白くなります。今再放送を見ている「岸辺のアルバム」は則子(八千草薫さん)が黄色、謙作(杉浦直樹さん)が水色、北川(竹脇無我さん)が緑。セリフの多さで言ったら繁(国広富之さん)なのにね~。
来週初回から字幕の色で登場人物の人間関係が見えてくると思います。楽しみ。
長々グダグダ書いてるうちに興味深い記事が出た。
#芋たこなんきん をプロデューサーさん、脚本家さんに様々な観点から振り返っていただきました。
— 田幸和歌子 (@takowakatendon) September 16, 2022
『芋たこなんきん』が描いた「笑い」「友情」「老い」(田幸和歌子) https://t.co/oPyb9ZsPfp
#芋たこなんきん 最終回放送を終え、もう1本。話題になった最終週の演出について、真鍋斎さんに語っていただきました。
— 田幸和歌子 (@takowakatendon) September 17, 2022
『芋たこなんきん』最終週に見た、挑戦的な演出方法(田幸和歌子) - 個人 - Yahoo!ニュース https://t.co/vAljOA4Jxo
総じてすばらしいドラマと裏話、ありがとうございました。