公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
あぐり(田中美里)と民子(笹峰愛)がセ・ラ・ヴィにいると、警察官が押しかけ、その一人に「五十嵐少佐の奥様では」と民子は声をかけられる。原稿や雑誌を押収していく警察官を前に、世津子(草笛光子)は「真実や自由は卑劣な暴力で葬ることはできない」と言う。数日後、夫(矢田政伸)に外出が禁止されていた民子は、燐太郎(野村宏伸)の下宿を一人で訪ね気持を伝える。そんな民子を燐太郎はあぐりの家に送ってきて…。
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1997年にリアルタイムで、2010年にCSの再放送で2度も通して見たはずなのに、すっぽり抜けてるところと覚えているところがあるのはなぜなんだろう? 民子が燐太郎を好きになる展開は何となく覚えてるんだけど、世津ちゃんがプロレタリア文学にハマっていくところ、川原甚八の存在は覚えてなかった。光代がバイオリン教室に通った事やバイオリンの先生のことは覚えてる。
警察が踏み込んできたのでマスターの高山は店を閉めた。あぐりは民子になぜ燐太郎に会いに来たのか聞くと、電話で断るつもりが声を聞いたら会いたくなったと…もう、民子! あぐりは民子の夫に「本当はここで民ちゃんと待ち合わせしてた」とうその言い訳をすると言って、民子を帰らせた。
官憲達は2階の編集室を乱暴に漁る。官憲の一人が奥から持って来た原稿を見た途端、それまで黙って見ていた世津子の態度が変わる。
「いいかげんにおしよ!」とねさんみたい。「ここにある原稿はね、みんな血のにじむ思いで書かれたものばかりなんだ。その原稿に書かれた一字一字に書いた人間の汗と涙が染み込んでいるんだ! その原稿をあんたたちの汚らしい手でめくってほしかないね!」
「『婦人現代』をつぶしたけりゃ発禁処分でも何でもするがいい。文士たちの言葉を抹殺したけりゃ検挙でも逮捕でもおしよ! でもね、これだけは言っておきますよ。真実と自由はあんたたちのような卑劣な暴力で葬る事はできないんだ!」。2階に上がってきたあぐりも大きくうなずく。
「そこまで言うなら署の方で続きを伺おうか!」という刑事と「ああ! どこでも行きますよ。ええ?」と威勢のいい世津子にエイスケが割って入る。
「や~…。レディーに暴力はいけませんよ。それに警察はレディーを誘う場所じゃありません。あっ、それともしどうしても彼女を誘いたいなら僕がとっておきのレストランを教えましょう。あっ、それともシャレた酒場でワインでも飲みながら一緒にシャンソンでも歌いましょうかね?」
「何だ貴様は?」
「怪しい者です~」
スルスルと赤いスカーフを首に巻いたエイスケが歌う。美声。しかし今日の回は記憶ないんだよねえ、なぜか。
♪パリ 世界の女王
派手な娘よ 生意気な
人を引き寄せ 心惑わす
1階からレコードをかける高山。あぐりも燐太郎も歌う。
世津子は警察へ。燐太郎は世津子がキレたのはエイスケの原稿を官憲が手にした時だと言った。燐太郎や森の原稿もあり、「婦人現代」が始まったころの原稿で食い物の事や恋愛の事を書いたたわいのない原稿ばかりなのに、どうしても守りたかったんだろうと言う燐太郎。
世津子は以前、燐太郎に「自分の文学にはプロレタリア派も新興芸術派もない。ただ作家が自分の言葉で何も語れない世の中にはしたくない。だから川原甚八たちを育てたい」と言っていたと話した。
「本当に嫌な世の中になってきたよな。古き良き時代は終わったのかもしれないな、エイスケ」燐太郎が言うと、エイスケは「おやすみ」とだけ言って出ていった。
あぐりはその横顔に時代の流れを決して受け入れる事ができないエイスケの怒りともどかしさを感じたのでした。
今、「あぐり」の世界は昭和5年だけど、まさしく昭和5年に26歳で自殺した金子みすゞさんを思い出しました。金子みすゞさんの童謡も雑誌によく掲載されたのは大正末期で、だんだん童謡を掲載する雑誌も少なくなり、童謡の選者をしていた西條八十は童謡から流行歌、戦時歌謡など時代の移り変わりにうまく順応できた人だと本を読んで知りました。
翌日、覚悟していた客があぐりを訪ねてきました。
あぐりは嘘をついたことを民子の夫・五十嵐に頭を下げた。民子は貞淑な妻だったのにあぐりと再会してから突然夜出かけるようになった、きっとあぐりにそそのかされているに違いないと決めつけ、民子も軍人の妻として節度と冷静さを失わない事が大切だとしばらく外出禁止を言い渡したと言った。
カフェ・セ・ラ・ヴィのことは世の役に立たないような文士がたくさん出入りしてる、あぐりのことも仕事柄世間の常識が理解できない、良識的な生活とは言えないと散々言う。民子とのおつきあいをご遠慮くださいと言い渡されるが、あぐりは返事をしない。
だけど、民子が…(^-^; 燐太郎の下宿先?を訪ね「来ちゃった」。玄関先で抱きついて「あなたが好き」。おーい!! 燐太郎は民子をあぐりの家まで送ってきた。あぐりは燐太郎に民子をどう思っているか尋ねた。
燐太郎「正直驚いているんだ。彼女が僕をそんなふうに考えていたなんて気が付かなかった。民子さんはいい人だと思うよ。明るくて素直だし。でも男としてそれ以上の感情を彼女に持った事は一度もない。まして彼女は人妻なわけだから。どうしたもんかなあ…」
あぐりはこのままだと家庭を壊しかねないので、直接気持ちを伝えるように言うが、「悪いけど少し考えさせてくれ」と言い、燐太郎は帰っていった。野村宏伸さんカッコいいよなあ…。
あぐりは民子にエイスケを毎日待ってるだけでいいのかなと思い、自分の夢を持とうと思ったが、今の民子は変だと指摘した。ずっと変だよ! 「自分を見つける事と人を好きになる事は別だと思うの。このままだとただ家庭を壊すだけじゃない!? 自分を見つけるどころか、ただ自分を傷つけてるだけよ! お願い! もっとよく考えて!」
しかし、民子は燐太郎が好き。自分の気持ちが抑えきれない。分かって、あぐりってもう! 燐太郎が電話をかけてきて今日は終わり。
んもー! 民子問題はさっさと片付いてほしい。