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【ネタバレ】憲兵と幽霊

1958年 日本

 

あらすじ

1941年、波島中尉(天知)は恋心を抱く明子(久保)を部下の田沢伍長(中山)に奪われ、彼に機密書類盗難のスパイ容疑を着せ、自白を強要し射殺する。手に入れた明子を捨て大陸に渡った波島は、過去に陥れた者たちの幻影にさいなまれていく。

2021.4.27 日本映画専門チャンネル

 

オープニングは女性が歌う「暁に祈る」。昭和16年秋。田沢憲兵伍長と明子の結婚式。波島憲兵中尉は明子を好きだった。波島は同じ旅館?で宴会をしていたダンサーのルリを助けた。ダンスだけの約束で来たのに売春を強要されたという。

 

昭和17年 高橋憲兵軍曹は軍の機密書類をなくした。その事を波島に相談すると、誰かに罪をなすりつけろ…例えば田沢とか…などど言うので高橋は田沢を逆さ吊りにして拷問にかけた。当然何も喋るはずもない。田沢の母や妻も逮捕しろと言った。

 

機密書類を盗んだのは波島! 中国人の張に渡して、お金を得ようとしていた。

 

ルリの働く店に行く波島。波島は秀才だが、父親が自殺して陸軍学校には入れなかったという身の上をルリが知っていた。

 

田沢の前で母・しずと妻・明子を拷問にかけた。ついに田沢は自白した。波島はしずや明子に恩を売るような言い方をしながら、田沢は高橋ら仲間の手によって銃殺されることになった。「俺は無実だ! この恨み忘れないぞ。恨み殺してやる!」と叫び、田沢は処刑された。

 

田沢の家の塀には子供達が国賊、非国民などと落書きし、石を投げ込まれ、窓ガラスが割れた。寝込んでいるしずを見舞う波島。明子は波島を頼りにしていた。

 

明子には田沢の弟から手紙が来ていた。兄の処刑に立ち合い、無実を信じているという内容で、憲兵になって無実をはらすと書かれていた。

 

波島は明子に東洋商事に就職を世話し、体調が悪いしずを病院に入れる相談をした。波島はしずの入院する病院に行き、明子がしずを追い出したくて入院させたと吹き込み、しずを飛び込み自殺に追い込んだ。

 

新聞にニュースが載り、明子の素性がバレ、会社を辞めさせられた。波島は家に上がり、励ますふりをして酒を勧め、酔って寝ていたところを暴行した。

 

後日、波島は明子に手切れ金を渡した。子供ができたと言われても、酔って体を任すような女じゃ誰の子か分からないとしらばっくれた。

 

波島は大陸に行くことになり、張に挨拶しに行った。これからは無線連絡をする。張の妻の紅蘭はダンサーのルリだった。

 

波島の部屋のベッドに酔っ払った高橋が寝ていた。高橋は波島が明子に近付いたことを知っていて、もみ合いから高橋を殺した。廊下には誰かの足音が響く。波島は自分の荷物を入れていた行李に遺体を入れ、船から海に投げ落とした。あんなに軽くないだろ!

 

漢口に到着した波島は張と情婦の紅蘭がキャバレー牡丹に来るから逮捕するように命じられた。波島の部下には南京憲兵学校を卒業したばかりの田沢と赤堀がついた。田沢は拷問の末、処刑した田沢に瓜二つの弟だった。

 

すぐ張に波島から連絡が入り、身代わりの男を逮捕し殺すと言ってきた。嫉妬深い張は紅蘭と波島の仲を疑っていた。

 

キャバレー牡丹。波島はスーツ。田沢と赤堀は中国人の格好をして潜入した。紅蘭が波島に声をかけて来て一緒に踊った。スパイを辞めて一緒に逃げようという紅蘭。

 

計画通り、オー・ユウミンという男を張として逮捕した。オーは陸軍病院の看護婦のヨシカワアキコという人を証人にしたいと言った。田沢が訪ねると兄嫁の明子だった。3年ぶりの再会で、明子は看護婦となり、波島を追って中国に来ていた。子供は…?

 

証人として再会した明子はオーが急患として病院に来たこと、それだけでなく波島が悪い人で生活をめちゃくちゃにされたと上官の小森の前で話した。波島は気分が悪いと休んだ。

 

田沢は小森憲兵中佐に波島が田沢を見て怯えていること、田沢兄に罪を被せたのではないかと疑っている事を話した。小森は田沢兄が教え子で真面目な人間と知っていたため、田沢弟の言う事を信じた。波島が海に投げ落とした行李が見つかり、高橋行方不明の件も波島の仕業だということになった。

 

オーに逃げろと命じ、銃で撃った波島。憲兵たちが駆けつけると逃げようとしたので撃ったと言った。しかし、まだ息のあったオーが「波島に騙された。張の隠れ家はタマロ スウハウ…」と言い残し死んだ。

 

波島は張の隠れ家で紅蘭とキスしているところを張に見られ、殺されそうになるが、紅蘭が張を銃で撃った。張の手下に撃たれる紅蘭。波島は墓場で田沢兄の亡霊に追われて逮捕された。

 

田沢弟は波島の自白で兄の潔白が証明されたことを報告し、明子にお互い生き残ったら話があると言うが、心の償いができるまで待って欲しいと言い、二人は歩き出した。(終)

 

映画後に解説あり。最後の3分が別の映画みたいだったと言うのは分かる〜(田沢弟と明子のシーン)。全体に酷い話だ! 波島は意外と小物だった。戦後10数年でよくこんな話作るよな。しかし、波島みたいな奴、本当にいたのかも…とも思えてしまう。