TBS 1968年11月2日
あらすじ
若く美しい成り金社長の娘。求めるごとく、求めざるごとく、生(せい)の空間をさまようフーテン族の1人。偶然、彼女と出会って意気投合したキイハンター。だが、その目の前で何者かに誘拐された。その父親は旧悪をネタに身代金2億円を要求される。キイハンターの面目に懸けても娘を奪い返さねばならぬ。
2025.11.12 J:COM BS録画
ナレーター<この部屋のグループは5人>
元 諜報部員・黒木鉄也:丹波哲郎
元 諜報部員・津川啓子:野際陽子
カー狂・島竜彦:谷隼人
記憶の天才・谷口ユミ:大川栄子
元 新聞記者・風間洋介:千葉真一
<彼らの愛するものは自由。求めるものは平和>
国際警察特別室
UNIPOL JAPAN
国際警察・村岡特別室長:仲谷昇
<彼らの活躍がここに始まる。彼らの行くところ不可能の文字なく、彼らを遮る国境もない。彼らは、こう呼ばれる…>
KEY HUNTER
制作:東映株式会社
TBS
唇を鳴らしながら裸足で線路の上を歩くミニスカワンピースの若い女性。空には軍用機が飛ぶ。陰で見ている2人の若い男。
スロットをしていた島は「あっ、かっこいい」と街を歩いている女性に目を奪われた。さっきの線路の上を歩いてた女性ね。スロットのコインが出始めたが、「こんなとき出たって遅すぎますよ」と店を出て女性に声をかけた…んじゃなく、いきなり歩いている女性の肩を組む。
SHINJUKU
MUGEN
ディスコで踊る島たち。
千加「あんた、誰なの?」
島「えっ、俺?」
千加「えっ、なあに?」
島「ハンター」
千加「悪そうな人じゃないわね」
島「そう。悪いのをハントするのが商売でね」
千加「えっ、何?」
♪~するのは分からない~って曲、前もディスコのシーンで流れてた。前も割と長くバンドの人が歌ってたんだけど、曲名など分からず。
さっき、線路で千加を見ていた男2人がここでも見ている。
ノブ「チャオ、ルイ」
女「チャ~オ、四郎」
四郎「ハ~イ」
ルイ「あそこだ、ノブ」
男2人に男女2人が加わる。1人は当時でいうシスターボーイってやつ!? 黒人ハーフみたいな青年が四郎か。
ノブ「胸が躍るわ」
女「あの男は?」
四郎「あれは横から出てきたフーテン野郎だ」
女「ふ~ん、グッタリは?」
ルイ「そこで寝てるよ」
女「ダメな人だな、起きなさいよ!」
男「えっ? あ…ああ。殺していいやつは…ここで踊ってるやつは皆殺しにしちゃうぞ」
四郎「おい、何言ってんだよ、こいつ」袋?を確認し、「シンナーやってやがらあ」
女「ゴーゴーへ来て寝てることないじゃない」
男「あれ? 尻の軽い女王様か」
女「何が言いたいのさ。皮肉言う人、大っ嫌いよ~だ!」
男「皮肉言われて悔しい? ねえ、ねえ。だったら、ほっといてくれよ。それより、ノブのインポをそのお尻で治してやれよ」
女「ふんっ」
四郎「なあ、いいかげんに目を覚ませよ。でっけえ獲物だぜ、おい」
男「俺には興味ないって言ったろう」
ルイ「イカすなあ、あのお尻」
ノブ「抱きたくないのかしらね」
男「お前と違うけどよ、なんだか疲れちゃった」
ノブ「それに2億の現ナマよ」
男「2億?」
ノブ「そうさ、2億よ。2億円ありゃ、どこへでも行けるわ。世界が変わるわ。2億円こそ変革のイメージ、ずばりじゃない」
ルイ「こんなところで踊ってなんかいなくてもいいんだぜ」
席に着いた島と千加が乾杯する。
千加「あたしのこと、ハントできると思ってんの?」
島「まあね。今までだって逃したことないんだからね」
また曲が変わり、踊り出す島たち。
立ち上がる四郎。
ノブ「ナンセンス。一発かけて行動せよ!」
ルイ「行け!」
女「イエイ! ゲバルトよ」
男「ま…あら」
千加「フー、アー、ユー?」
島「俺? 俺はさ、白くて生で血の滴るビーフステーキ」
千加「おお、おいたわしや」
島「踊りながら名前を聞くもんじゃないよ」
ルイがグラスに薬?を入れる。
千加「あんたの目が好き」
島「また会えるかい?」
千加「そんなこと聞くもんじゃないわよ。初めて会ったばっかでさ」
島「う~ん、そりゃそうです」
早朝、まだ車があまり走ってない道路を手をつないで走る島と千加。
世界の知恵で未来を築くエキスポ70
万国博まで
あと517日
17時間39分
時計は6時20分。日本勧業銀行の壁面に看板+時計が設置されてたのね。ここ、池袋駅らしい。へ~。
千加は靴を脱いで歩き出す。「朝の街って好きだな。そこら中の紙くずまでが。ほら、新しく生まれてきましたって言ってるみたい」
島「ねえ、うちまで送ろうか?」
千加「いや」
島「えっ?」
千加「このまま歩きたいの。行ってしまいたいのよ。うちから遠く離れて、どっか知らないとこに」
頭にヘルメット、口に手拭い姿の四郎たちが近付く。
島「ねえ、いいこと教えてあげるよ。そういうときはさ、かっこいい車で思いっきりぶっ飛ばすんだ。例えば、僕の車、どう?」
千加「うん」
島「決まった。僕、島竜彦。よろしく」
千加「沖野千加」
島「あっ…」後頭部を押さえる。
千加「どうしたの?」
島の心の声<クスリでもやられたかな?>
千加「どうしたのよ?」
頭を抱えてしゃがみ込む島。
千加「大丈夫? ねえ、どうしたの。しっかりしてよ」
そこにルイたちがきて、千加を抱えて「わっしょい、わっしょい」と連れ去った。
頭を抱えた島のそばに最後まで残っていたノブ。「悪く思わないでね」と島の前に戦車のラジコンを置いていった。
島は戦車のラジコンを片手にお屋敷に入ると、すぐ男たちに取り押さえられた。「な…何すんだよ。お嬢さんのことで来たんだよ」
千加の両親の前に連れてこられた島。「あなたがお父さんですね。ひどいじゃないですか!」
沖野「おい、千加はどこにいる? 娘をどこに隠した? 言え!」
島「冗談じゃないよ。僕は被害者ですよ」
上空を軍用機が飛んでいる。
横たわっている千加。
四郎「よう、動かねえけど、こいつ死んじゃったんじゃないのか?」
ルイ「まさか」
千加「う~ん」
四郎「よう、俺、我慢できねえよ」上着を脱ぎかける。
ルイ「やっちまおう、どうせ殺されるんだ」
ノブ「ちょっと待って!」
ダンスミュージックがかかり、外で見張りをしている女が踊り出す。「チェッ、切ないなあ」
沖野家
千加の母「これよ、この戦車だわ」
沖野「うん?」
千加の母「これと同じものがうちの郵便受けに入ってたの。7日も前から毎晩続いて」
沖野「なぜ、わしに言わん?」
千加の母「ただのいたずらかと思ったのよ」
沖野「7日前からだと? まさか…」
島「はあ?」
沖野「うん? あっ、いや、ああ、あなたには、とんだ災難でした。どうぞお引き取りください。それから警察には知らせないでください」
島「はあ…」
沖野「あとのことは、すべて私どものほうで取り計らいますから」
島「僕もお手伝いしますよ」
沖野「いや、実は、きょうは、あれにとって大事な日なのです。東亜銀行の山根常務のご子息とあれとの縁組みが決まって、昼すぎからは結納のはずだったのです。失礼ですが…」封筒を差し出す。
島「バカにしないでくださいよ! これでも少しは役に立つ男ですから。あっ、さっきは少しヘマやっちゃったけど」
沖野「とにかくお断りします。これは内輪の問題ですから、局外者のあなたには立ち入ってほしくないのです!」
四郎たちのアジト。上空を軍用機が飛ぶ。
ノブ「では、始めるわよ。まず、あの音を消すためにミュージック!」
四郎「オーケー!」スイッチを入れると大音量の音楽が流れる。
ノブ「さあ、ルイ、始めて」
屋敷から追い出されそうになる島。
沖野家の電話が鳴り、秘書の田村が出た。大音量の音楽が流れ、色男のおっちょこちょいはいるかといるかと聞いている。
島「おっちょこちょい?」
沖野「ああ、なんだか知らんが若い男の方は見えておるが。な…何?」
☎ルイ「その男からお聞きになったでしょう? お嬢さんは、お預かりしました。聞いてるんですか? 千加さんをお預かりしたんですよ」
沖野「ど…どういうつもりなんだ」
ルイ「さあ、まあ、ウソでない証拠にお声を聞いていただきましょう。おい、音楽を止め…止めろ!」
男「うん?」
ナイフを顔に近づけられ、声を上げる千加。
沖野「やめろ、おい」
☎ルイ「ハハハハッ…」
沖野「千加をすぐ返せ。できるだけのことはする」
☎ルイ「できるだけのこととは?」
沖野「金だ」
四郎「オー、マネー」←何、この声!? 超低音ボイスっていうのか何なのか。
ノブ「お金よ」
男「お金だってさ」
ルイ「お金、結構ですね」
再びレコードをかけさせるルイ。「どうもお待たせしました。もちろん頂きますよ。あっても少しも邪魔になりませんからね、あれは。ハハッ。そうですね、さしあたり2億。はい、たったの2億」
四郎「ビッグマネー」←またあの声!
ルイ「おっと、沖野不動産の財産内容は、ちゃんと調べてありますよ。2億、あしたの正午までに現金にしてください。それからですね…もしもし? お金の運び屋として、そちらの島くんとかいうおっちょこちょいを使っていただきましょうか」
沖野「彼を? どうしてだ?」
☎ルイ「腕っぷしの強い方に来られますと、いろいろ面倒が起こります」
沖野「わしが行く。それならよかろう」
☎ルイ「それがいちばん怖いんですよ。沖野さん。あなたの腕前は、よ~く分かってます。その点、島くんなら安心だ」
沖野「うん、分かった。いや、しかし2億というのは…」
ルイ「ハハハハッ…どうせ元はといえば、ほら、例の荒稼ぎでつかんだ金だ。悪銭身につかずって誰かがうまいこと言ってますよ。ハハハハッ…」
沖野「やっぱりそうか…お前、あの男とどういうつながりがあるんだ?」
☎ルイ「やっと分かりましたか。私ですよ。分け前をまだ頂いてない男。あなたが裏切ったあの男ですよ。では、あしたの正午。下手に動くと、お嬢さんの命が危ないということをお忘れなく」
ルイたちのアジト
ルイたちが大笑いしている。
ノブ「ねえ、ルイ。名演技だったわ。あいつにそっくりよ、フフッ!」
四郎「演技となるとスイスイやっちゃうもんな、ルイは」
男「そうだよ」
扉が開き、両手に紙袋を抱えた女が入ってきた。「フフッ、腹が減っては戦はできねえ」
男「待ってたんだよ」
四郎「あっ、これうまそう、リンゴ」振り返り千加の様子を見る。
ドラム缶の上に立つノブ。「2億よ、2億。それだけの札束をジュクの地下広場にまき散らしてごらんなさい。ああ、壮大なハプニングよ。ねえ、聞いただけでも充実してこない?」
男「聞いただけじゃな。リアリティーがないよな」
女「そんなことないわよ。あたし、しびれちゃう!」
ノブ「それはパワーよ」
男「そう。金がなくなりゃ、それがパワーだ」
四郎「ウ~ア、パワー、ウ~ア、パワー」
ノブ「もう2億は、われらのもの。どんな相手にも渡すもんですか」
ルイ「そうだ、そのとおり!」
ノブ「すべてのわれらの行動はハプニングのためにあるのよ」
男「ハプニング?」
四郎はバナナの皮をむいて千加の顔に近づける。「バナナ」
女「そう、ハプニング!」千加のそばに行き、四郎を避けさせ、ナイフを振り上げる。「えいっ!」千加の寝ていたソファ?を切り裂き、羽毛を取り出す。「ひとつかみ1000万!」
男「お金!」
ルイ「金だ!」
女「ふたつかみ2000万!」
四郎「マネー!」
ルイ「金だ~!」
「金だ~!」と騒ぐルイたち。
よく分からん若者がたくさん出ていた19話にも斉藤晴彦さんの名前があったけど、どこにいるか分からなかった。今回は電話で交渉していたルイが斉藤晴彦さん。
ルイたちの騒ぎをボーっと見ている千加。
外で見張りをしている四郎が歌う。
♪ ある日 あるとき
畑の中で
1人の兵士が死んでいた
黒い瞳を空のかなたに
向けたまま
ある日 あるとき
畑の中で
空には軍用機。「まぶしいなあ」と外に出てきた女。
黒木の部屋
向き合ってトランプしている風間と啓子。
風間「すると、その沖野社長ってのは、犯人の正体知ってるわけ?」
啓子「知っていながら打ち明けようともせず、警察に行くのも大反対。となれば…」
風間「答えは、ただ1つ。沖野氏自身、過去に何か弱みがあるんだ」
啓子「『あなたが裏切ったあの男』。まあ、そのへんだな」
島「ねえ、ユミちゃん、どう?」
ユミ「うん? まあ、待ってよ。え~っと沖野吾一郎、51歳。沖野不動産、社長。この会社を始めたのが今から6年前。それ以前は占領軍関係のブローカーをやってたらしいわ」
島「なるほどな」
風間は啓子に判断を仰ぐ。風間の啓子ちゃん呼び出た。
島「ねえ、犯人からのご指名もあることだしさ、ここは、このまま僕にやらしてくださいよ」
啓子「大丈夫?」
島「ええ、頑張りますよ。このへんで僕も一人前になんないとね」
風間「そうだな。坊やもそろそろ嫁さんもらわなきゃいけないことだし」
笑い出す啓子。
ユミ「彼女のためだもんね」
啓子「ああ、そんなら、まあ、やらせてみっか」
風間「すっかだなかんべはあ」←どういうこと!?
検索したら「お花ちゃん」という歌に「すっかたなかんべ」という歌詞があり、東北弁で「仕方がない」という意味。言われれば、ああ…って納得した東北人。「すかたねえべ」だったら、まだ分かった。方言を文字にするのは難しい。
風間「われわれも側面でカバーするから連絡だけは必ずするんだぞ」
島「はい、頑張ります! みんな、あしたからは島の命令どおりに行動せよ」
トランクに現金を詰める島と沖野。
島「偽札という手もあるわけですよ」
沖野「偽札?」
島「ええ、つまりですね。金は渡した。お嬢さんは戻らないなんてことになったら、それこそ大変ですからね。それに向こうが約束を守るかどうか、それが分かるまでのおとりとして偽札の用意も…」
田代「私は反対ですね。そんなことをして、ちょっとでも相手を怒らせたら、それこそお嬢さんの命が危ない。社長、2億円ぐらいの金を惜しんでどうなります? お嬢さんさえ無事に助け出せれば山根常務からの援助も期待できるでしょう」
沖野「うむ、分かった。島くん、ここはともかく相手の言うとおりにしよう。われわれとしては、それしかない」
島「はあ」
沖野「万一の用意には田代たちをつけておく。ただし、ギリギリまで手を出すな。感づかれないように十分、距離を取って行動をするんだ」
田代「はい」
電話が鳴り、沖野が出ると、またしても大音量の音楽が聴こえ、島に電話を代わる。
ルイ「中目黒へ来たら地下鉄に乗ってもらいましょう。0時35分発の北千住行きです。銀座に着いたら荻窪行きに乗り換えること。その間に私どもは、ゆっくりあなたの周りを調べるわけです。いよいよ安全と分かったところで受取人があなたに近づきます」
千加の顔の前でナイフをちらつかせる四郎。
島「よし、分かった。千加さんはどうする? 引き換えでなきゃ金は渡せねえぜ」
☎ルイ「その点はご心配なく。私どもとしてもできるだけフェアにまいりたいですから」
島「フェアときたか。なら、その証拠にちょっと千加さん出してくれよ」
☎ルイ「そいつはどうも。ほんのひと言が命取りになりますからね」
島「あんたも気取ってるわりに学がないね。誘拐犯人としては人質の声を聞かせるぐらい当然のエチケットだろう」
☎ルイ「恐れ入りました。少々お待ちを」
沖野が受話器を自分の耳に当てる。
ルイ「もしもし、ちょっとだけですよ」音楽を止める。
☎沖野「おい、千加。そこ…そこにいるのか? もしもし、もしもし!」
千加「パパ」
☎沖野「ああ、しっかりしろ。うん? すぐ助けてやるからな」
千加「大事なお金でしょう。あたしのためなら、もういいの」
沖野「何を言う。諦めるやつがあるか。わしはな、わしは…」
千加の母「千加ちゃん!」
千加「ママ!」
☎千加の母「千加ちゃん!」
千加の母・有沢正子さんは26話では塙の妻・昌代。
ルイ「そこまで」といい、また大音量の音楽をかけた。
沖野「ああ、聞け。これは私と君ではない。君の陰にいる男との取り引きだ。私なら逃げ隠れはせん。どこへでも行く。しかし、千加だけは無事に返してくれ」
☎ルイ「返してほしかったら指定どおりにやるんですな。島くんは必ず1人でよこしてください。余分なお付きが見えたときはすぐ取り引きを停止します。はい」
沖野「島くん」
島「はい」トランクを持って立ち上がる。
なかめぐろ
中目黒
NAKA-MEGURO
トランクを持ってホームを歩いている島。指定の電車に乗り周囲を見回す。
電車を降りると、ルイたちの仲間の男が後を追う。
乗り換えて別の電車に乗った島。男は乗らずに電話をかける。
島の隣に立ったノブが「あの、新宿駅でお降りになりません? それから地下広場に向かって、まっすぐお歩きになるといいわよ」と話しかけ、別の車両へ歩いていった。
電車を降りた島が歩いていると、「明治百年」というタスキをかけたルイたちの仲間の女とすれ違いそうなとき、女が島に言う。「あそこから電話しなさいよ。右から3番目。ナンバー922-0601」
昭和43年は1968年で明治100年。
令和7年は2025年で昭和100年。
ルイ「約束どおり来たな」
島が電話している間にユミがトランクを入れ替える。
☎ルイ「広場のほうを見ろ。ジープが止まってるだろう。トランクをその中に入れろ」
島「よし、分かった」
止まったジープにトランクを投げ込む島。
ジープに乗っていたノブ。「先ほどは失礼。あちらご覧になって」
島が遠くを見ると、ジープが走り去った。
ノブのさす方向に千加がいた。島は千加を追いかけたが、千加の後ろをルイがぴったりつけていた。銃で脅されながら、車の後部座席に乗せられた千加。車を追いかける島。
啓子が車で駆けつけた。「さあ、これからが坊やの腕の見せどころよ。はい、頑張ってね!」
島「オッケー」
啓子は車を降り、島を見送った。野際陽子さん、忙しかったのか?
ジープと千加を乗せた車がアジトに着き、島も車を止めた。アジトを確認した島は公衆電話に向かう。
黒木の部屋
啓子「う~ん、だって人がいるんですもの。フフフッ、やあね、違うってば。ハハッ、バカね」
島「ちきしょう、話し中だよ。また啓子さんの野郎、長電話だな。こういうときはね、すぐにかけ直すに限るんだ」
啓子「うん、じゃあね、さよなら」
受話器を置いた途端、着信音が鳴る。啓子が取ると、島が「バカ野郎!」と怒鳴った。「何、モタモタしてんだよ! こっちは…」
島の電話ボックスをルイの仲間の男女が囲んでいた。
四郎「マイ、ベイビー」←またあの低音ボイスで銃を突きつける。
啓子「切れちゃった。島ちゃんらしいけど」
風間「どうした? 坊や。坊や、風間だよ! ちょっと待てよ、まだ切れてねえな」
啓子「えっ?」
風間「なんかあったら啓子ちゃんのせいなんだから」
啓子「ほんとだ。つながってるわ」
電話局へ行こうとする風間を止める啓子。軍用機の飛行音を聞いた風間はすぐ気づき、たぶんKL-135Eだと言う。「待てよ、この辺の飛行場ではハンソン、生田、山川、それに少し離れて臼杵(うすき)だ」
啓子「大型ジェット機だったら生田が多いんじゃない?」
風間と啓子は急いで現場に向かうことにした。それにしてもこの緊迫した状況で長電話って…
アジト
戦車のラジコンを拾い上げた帽子、サングラス、スーツの殺し屋スタイルの男が縄で縛られている島を往復ビンタ。「てめえ、自分のやってることが分かってるのか、ええっ? 若いの。俺はな、そこいらにいるフーテンとはワケが違うんだ」なおも島をビンタする。
千加「やめて。その人は関係ないでしょう。打つんなら、あたしを打ってよ」
関「ほう、なかなか度胸があるんだな、ええっ?」
千加は近づく席に唾を吐きかけた。「さあ、言ってよ。どうしてあたしをこんな目に遭わさなきゃならないのよ」
関「そうか、そんなに聞きたいか。お前らの世代に理解をしろったって無理だろうけどな。まあ、いいや。話してやろう。あんたのお父さんとは占領軍物資の横流しでしこたま儲けたもんだ。しかし、当局に目をつけられてヤバくなった。やつは、こう言ったもんだ。『頼む、俺に代わって罪をかぶってくれ。服役後の面倒は見る』。涙を流しながら言ったよ。そして6年間、ありがたい別荘暮らしだった。さて、あとは貸しを取り立てる番だと思ったのが大違い。沖野のやつ、あんたの親父が私に何をしたと思う? ええっ?」左目の上に傷痕。「分かるかい? 私の気持ちが分かるかい? お嬢さん。俺にとっちゃ戦後は、まだ終わっちゃいねえ。俺と沖野の間は昔のまんまだ。裏切ったらどうなるか思い知らしてやる。その一念だけで私は計画を立てた。味方も集めた」
ノブ「つまりあたしたちよ。ねえ? 四郎」
四郎「オ…オー、イエス」
女「みんな、このおじさんの話聞いて、グッと感じちゃってね」
ルイ「たまには僕たちも正義のために戦ったってわけですよ」
関「ところがどうだ」ノブたちを殴る。「せっかく手に入れたと思った金がこれだ。これだ、このざまだ!」トランクの中身をぶちまける。「お嬢さん、おかげでただじゃ帰れなくなったな」
島「待ってくれよ。そのお嬢さんには、なんにも関係ねえじゃねえか。それは俺が仕組んだんだ」
関「同じことだ! さあ、そろそろやるか」千加に銃を向ける。
永山一夫さんは特徴的な顔立ちだし、前回も同じような殺し屋スタイルだったのですぐ分かった。
アジトから電話する関。「関だ。最後の通告だ、いいな? 午後3時、第3ゲート近くのトンネルだ。今度は沖野さんご自身に来てもらおう。分かったな?」
受話器を置く沖野。「よけいなことをしてくれたもんだ。あんたがこんなことをしてくれたから、やつを怒らしてしまった。もし娘が殺されたらどうするんだ」とユミを責める。
アジトから出たルイと四郎がこの野郎と縄で縛った島を小突き回していたが、急に手を緩めた。
ルイ「痛かったでしょう。よくもんでおいてください」
島「急に親切になったな」
四郎「喜ぶのは、まだ早い」
ルイ「そういうことですね」
島「で、僕は、どうなるわけ?」
ルイ「さあね」
軍用機が空を飛んでいる。
四郎「あいつが3つ通るまで待ってやる」
ルイ「向こうのトンネルまで走るんだ」
四郎「無事にたどり着いたら助けてやるぜ、なあ? ルイ」
島「お前ら、あんなやつのためにお嬢さん殺しちまったんじゃねえだろうな」
四郎「ああ、気になるかい? スイートハート」
島「気になるね!」
ルイ「心配しなくていい。今に分かる!」
四郎「さあ、走れ。走るんだ。かわいいトンネルがお前を待ってるぜ。バーイ、ベイビー」銃を撃つ。
風間と啓子が受話器が落ちたままの電話ボックスを発見した。
四郎がカウントダウンし、銃声が響いた。
車に乗っていた風間と啓子も銃声に気付いた。偶然、アジトにたどりついた風間と啓子は島を発見した。
風間「坊や!」
啓子「どうしたの? 島ちゃん」
島「風間さん、どうしてここへ?」
島はどうして僕を撃たなかったのか分からないと言い、アジトへ向かう。
ルイと四郎は線路の上を走っていた。
アジトの中には誰もいなかった。
風間「あなたのせいよ」
啓子「だって…」
島「分かった。やつらの言ってる意味が分かりましたよ。トンネル…トンネルですよ。急ごう!」
トンネルから出てきた蒸気機関車。
街はあんなに都会的になったのにまだ蒸気機関車が走ってるのかと不思議な感じ。
線路脇に立つ関の前に沖野が現れた。
関「沖野! この日の来るのを待ってた」
沖野「娘はどうした?」
関「まず金だ」
沖野「娘の生死を確認しなければ、この金は渡さん」
関「よ~し、分かった。おい!」
ノブが目隠しした千加を連れてきた。息をのむ沖野。
関「よ~く見たか。娘は、このとおり無事だ。金を渡せ」
近づく沖野。
関「止まれ! トランクを置いて下がれ」
沖野「娘はどうする?」
関「うるさい! 言うとおりにしろ。さもないと娘の命はないぞ」
沖野が線路上にトランクを置いた。
ノブがトランクを開けて中身を確認し、その場を去り、草むらに隠れていた仲間に2億円あったと報告した。
ノブ「これでもう高みの見物ね」
沖野「約束どおり2億円の金は、そこにある。さあ、娘を返せ。関!」
関「これですべてハッピーエンドというわけか。ええっ? フフッ。そうはいかねえ。なぜだか、あんたの胸に聞いてみろ」千加の顔に銃をあてる。
道路脇に車を止めた島。
風間「さ~て、これから男の仕事だ。啓子ちゃん、ここでお留守番」
啓子「オッケー、気をつけてね」
島「頑張ります」
今回、啓子はちょいちょい出番があるのに、こういう非力な描写が多いな…「男の仕事」なんて言わないところがキイハンターのいいとこだと思ってたのに。
関が千加に銃を向けながらトランクに近づく。
島と風間は別々の場所に隠れた。
関「沖野、覚えてるか? 俺たちが昔、よく見た銃殺の場面を」
千加に銃を向けた関だったが、誰かに手を撃たれた。トンネルから出てきたのは田代や沖野の部下2人。
関「てめえ、裏切りやがったな」
田代は容赦なく関を撃ち殺した。
ノブ「ものすごい戦後の終わり方ね」←ほんとに!!
田代は今度は沖野に銃を向ける。「社長、長い間、お世話になりました。この2億円は私が頂きます」
草むらの中で四郎が指笛を吹き、気付いた島とウインク。
沖野「田代、お前は…」
田代「ハハハッ、まあ、ご覧のとおりですね」
沖野「お前には長い間、わが子同様に目をかけてきた」
田代「だから、ご恩返しは、したじゃありませんか。動くな!」
四郎「はあっ! 3発しかないけど外すなよ!」銃を投げた。
島「オッケー、任しとけ!」銃を受け取り、田村の手を撃つ。風間に銃を投げ、風間が2発撃った。
歓声を上げるノブたち。
あとは殴り合い。トランクを持って逃げた田代を追いかけた島と風間が田代をボコボコに殴った。
風間「坊や、なかなかやるじゃない」
沖野と千加の前に風間と島がやってきて、風間が沖野にトランクを返した。
千加は島にに目で合図。「あたしのこと誘拐しちゃって」
島「オッケー」
千加「さあ、行こう。ねっ?」
風間「おい!」
島「お先に!」
風間「好きなようにしなはったらよろしいがな! ハハッ」←なぜか今日は方言。
線路の上を歩くルイたち。
女「ああ、あたい、腹減っちゃったな」
男「あ~あ、あ~あ」
ノブ「われわれのハプニングは終わったのよ。もはやすべてナンセンスね」
ルイ「あの音、やけにすきっ腹にこたえるな」
軍用機にバカ野郎と叫ぶルイたち。
女「でもさ、どこへ飛んでっちゃうんだろう?」
男「どこだっていいだろう」
ふざけて線路を走る男女。
車に乗っている島と千加。「フー、アー、ユー?」
島「俺かい? 俺は白くて生で血の滴るビーフステーキ。ハハッ」
千加「おいたわしや」
島「誘拐されながら名前を聞くもんじゃないぜ」
千加「あんたの目が好きよ」
島「また会えるかい?」
千加「そんなこと聞くもんじゃないわ。初めて会ったわけじゃないしさ」
島「そりゃそうでしたね、ハハハッ」
出会った時の会話が繰り返されたのね。
プロデューサー:近藤照男
坪井久智
*
脚本:多地映一
*
擬斗:日尾孝司
*
音楽 :菊池俊輔
主題歌:キイハンター
作詩 :佐藤純弥
作曲 :菊池俊輔
唄 :野際陽子
テイチクレコード
*
津川啓子:野際陽子…字幕緑
*
島竜彦:谷隼人
谷口ユミ:大川栄子
*
風間洋介:千葉真一…字幕水色
*
沖野千加:夏珠美
ノブ:石山律
四郎:ケン・サンダース
*
千加の母:有沢正子
田代:六本木真
関:永山一夫
沖野吾一郎:永井秀明
*
男:植田峻
ルイ:斉藤晴彦
女:佐々木梨里
高月忠
清水照夫
*
監督:小林義明
<プロフェッショナル・キイハンター。次の赤いシグナルは…モナコから来た女殺し屋。その証拠は太ももにあるバラの入れ墨。キイハンターが甘いムードで接触している。ほかにアメリカからイタリーから腕っこきのプロが日本に集まってきた。彼らの使命は世界的平和主義者を倒すのみ。激しい殺しの訓練が続く。ひとつ間違えば一巻の終わり>
鶴見丈二
に御期待下さい
登場人物が多く、消去法で当てはめてみたけど、田代役の人とノブ役の人は自信がない。違う人かもしれない。
「おやじ太鼓」と同時代、鶴家の子供たちはいい子に育ったな~。三郎の芝居仲間と近いものを感じるな。
もっと簡潔にまとめたいけど、登場人物が多いとどうしてもね。

