TBS 1970年3月28日
あらすじ
新兵器レーザー光線を放射する人工ルビー。発明者の物理学者が殺された。貴重な人工ルビーを狙って接近する各国のプロスパイたち。美しい博士の未亡人を囲んで互いに強烈な暗躍が続く。キイハンターも未亡人に近づいたが、たちまち逃走の泥沼に巻き込まれた。博士は本当に死んでいるのか、生きているのか。人工ルビーは混乱の謎を秘めて、不気味な輝きを放っている。
2026.2.20 J:COM BS録画
ナレーター<彼らこそ現代の猛烈な仲間>
元 諜報部員・黒木鉄也:丹波哲郎
元 諜報部員・津川啓子:野際陽子
カー狂・島竜彦:谷隼人
記憶の天才・谷口ユミ:大川栄子
元 新聞記者・風間洋介:千葉真一
<彼らの愛するものは自由。求めるものは平和>
国際警察特別室
UNIPOL JAPAN
国際警察・村岡特別室長:仲谷昇
<彼らの活躍がここに始まる。彼らの行くところ不可能の文字なく>
空から来た諜報部員・吹雪一郎:川口浩
<彼らを遮る国境もない。彼らは、こう呼ばれた…>
KEY HUNTER
キイハンター
制作:東映
TBS
東京タワーの真下からのアングル
新進物理学者田沼博士
行方いまだわからず
輪転機と新聞の見出し
スパイに誘拐!?
狙われた新発明!!
全女性の声援を受け懸命な…
雑木林で止まった車から女性が降り、青柳が女性の肩に手を置いて、村岡と檀に紹介。
真山知子さんは17、61話にも出演してたけど、今回初めて蜷川幸雄さんの妻と知った。
青柳役はおなじみの川辺久造さん。今回はスーツに黒縁メガネ。
村岡「国際警察特別室の村岡です。あなたが田沼悦子さんですね?」
村岡室長は69話に出演以来、半年ぶり以上か~。白髪が増えた。
悦子はうなずき、一緒にいる青柳政治(あおやぎまさはる)を紹介した。「ずっと主人の研究の助手をしておりましたので一緒に来ていただきましたの」
村岡「では確認してください」
地面には白骨死体。立ちくらみを起こした悦子を支える青柳。「あっ、奥さん」
村岡「どうですか? ご主人の田沼吾郎さんですか?」
悦子「靴と洋服は主人のものですが…」
青柳「先生です。この頭の格好は間違いなく先生です」
村岡「確かですか?」
悦子「あたくしには、はっきりとは…」
青柳「いや、間違いありません。僕は科学者です。この頭蓋を見れば生前の顔は分かります」
壇が遺書を悦子に渡す。文章を読んでまた立ちくらみを起こし、青柳にもたれかかる。悦子は「主人の字だわ」と繰り返す。
村岡「どうやらこの死骸は田沼吾郎さんに間違いないようですね」
壇は村岡室長の部下って感じ?
黒木の部屋
大きなルビーを取り合いするユミと啓子。
ドン引きの風間。「ねえ、ボス。ちょっと見て。あの2人の目。あのルビーのためなら人殺しもしそうな感じですよ」
黒木「あのルビーはね、人殺しに使われてるんだよ」
フィルムを見せながら説明する。この新兵器は爆撃機にレーザー発光機を積んで、爆撃する目標にレーザー光線を当てる。そして爆弾を投下する。爆弾の頭に付いているレーダーはレーザーが当たっている目標に自動的に飛んでいく。今までの爆弾の命中率の誤差が50メートルから120メートルだが、このレーザーに導かれる新型爆弾は3メートルから5メートルしか狂わない、すごい爆弾。このレーザーに使われるルビーは人工ルビー。値打ちは本物と変わらない。今までの人工ルビーは、せいぜい半カラットぐらいの大きさのものしかできなかったが、ある日本人がどんな大きさのルビーでも製造する方法を発明した。
黒木さん、レーザーをレザーと言っていた。
その人を紹介してというユミだが、黒木が新聞を出した。
田沼吾郎博士
自殺体で発見!
研究の行き詰まりを苦に?!
田沼吾郎と悦子の写真入り。田沼吾郎は加地健太郎さんかな?
黒木「このルビーはね、田沼博士が作ったんだ」
風間「ええっ?」
ユミ・啓子「じゃあ、なぜ?」
黒木「…と、僕に聞くかね? その答えを出してもらいたいんだよ、君たちに」
啓子「うん。任しといて。ハァ、こんなルビーが自由に作れるなんてね」
田沼邸に突然、夫のふりをした男が入ってきた。
室田日出男さん、あまり頻繁に出てるから14話ぶりでも久々に思える。1970年に入ってからは初だもんね。
男1「冗談は、よせよ。俺だよ。お前の夫の田沼吾郎じゃないか」
ビンタする悦子。「冗談は、やめて。出てって、今すぐ出てって!」
男1「悦子、どうしたというんだ」
あったよな~、前もこういうのあったよな~。
↑ これだ、これ。玉川伊佐男さんが役者役で…脚本が今回と同じ佐藤純弥さんだ!
悦子が嫌がるのに田沼吾郎のふりを続ける男1。
また別の男が「ただいま」と家に入ってきた。「悦子、その人は、どなただい?」
悦子「あなたこそ、誰?」
男2「ええっ? 悦子、俺を忘れたのか?」
真山知子さんのリアル夫・蜷川幸雄さん! 蜷川実花さんは1972年生まれだそうで、この当時結婚してたかどうかは不明。
悦子「寄らないで。あんたなんか知らないわ!」
男1「悦子がああ言っているけど、君は、いったい誰です?」
男2「俺か? 俺は、このうちの主人だよ。田沼吾郎だよ」
男1「いたずらは、やめたまえ。田沼吾郎は、この僕だよ」
悦子「キチガイ! あんたたちキチガイなのね!」
男2「そうだ。この男こそキチガイだ」
男1「貴様こそ大ボラ吹きだ」
また新たに入ってきた男3。「悦子、この人たちは誰だい? 私は田沼吾郎だが、あなたたちは、どなたです?」
中丸忠雄さん…何に出てた人だっけ?と思ったら、椎崎中佐だったか。
3人の男に見つめられて悦子は倒れてしまった。
ベッドでうなされる悦子。起き上がると、リビングのソファにそれぞれ男たちが座っていた。狙いが分からない悦子だったが、夫の作ったルビーかと感づく。部屋のドアノブのボタンを押して施錠し、ベッドシーツを裂いて、ロープ代わりにして外に出ようとした。察した男たちがドアを開けろと騒ぎだす。
男1と2がドアを押し開け、ベランダから外に出ようとした悦子を発見。
男3がすでに外に出ていた。「今頃、どこへ行くんだ? 悦子」
いつの間にか男1、2も外に出ていた。
男2「寒いから、かぜひくよ。悦子」
男1「さあ、うちへお入り。悦子」
家に戻った悦子が電話をかけようとしたが、コードが切れてつながらない。
男1「のどが渇いたな。お茶をくれ、悦子」
悦子は近くにあったグラスを男たちに投げつけた。
男3「落ち着くんだ、悦子!」
男1が近づいて悦子を押さえる。
悦子「キチガイ! 何が悦子よ。気安く悦子なんて呼ばないでよ。出てって! いったい何たくらんでるの?」
男1「悦子! お前、夫に何をするんだ」
悦子「離して。あんたなんか知らないわ。離してよ!」
男1「悦子、どうしたというんだ。悦子」
男1を振り切った悦子だが男2に捕まる。「触らないで!」
男2「そうだ、悦子。あいつは怪しい男だ。君の夫は、この僕だぞ!」
悦子「あんただって知らないわ。何すんのよ、離して!」男2を往復ビンタ。
男3「落ち着くんだ、悦子。僕がついてる。僕こそ君の夫だ。君たちは何者なんだ?」
悦子「いやよ。いや! 離して、触らないで。ウソつき、ろくでなし! ああっ、あたしの夫は死んだのよ!」ソファに突っ伏して泣きだす。「夫は死んだわ。青梅の山の中で自殺したのよ。あんたたちは夫なんかじゃないわ。死んだのよ。あたしの夫の田沼吾郎は自殺したのよ。あんたたち、いったい何をたくらんでるの? 狙いは何? いったいあたしにどうしろっていうの?」
男1「君の夫は死んじゃいない。ここにいるじゃないか」
男2「田沼吾郎は生きてるよ。ほら、君の目の前に」
男3「ごまかされるんじゃない、悦子。君の夫は僕だ。君には分かるはずだ」
悦子「やめて。なんの冗談なの。そうよ、冗談よね? あなたたち、みんなであたしをからかってるのね。相談したんでしょ。あの女をからかってやれって。ねえ、そうでしょ? でも悪い冗談だわ。夫を亡くして悲しんでる女をからかうなんて、ひどいいたずらだわ。さあ、もう十分楽しんだでしょ。あたしも頭がどうかしてたのね。あなたたちのいたずらを見抜けなかったなんて。さあ、お帰りになって。夜ももう遅いですわ。さあ、どうぞ」ドアを開ける。
男3「そうだ。帰ってもらおう。君たちは、なんのつもりか知らんが、このへんでいいだろう。さあ、お引き取り願おうか」
男1「帰るのは君だよ」
男2「そう、君と君だ。帰りたまえ、悦子の夫は、この僕だ」
悲鳴を上げる悦子。「帰ってったら! もう気が狂いそうだわ。あたしの夫は死んだって言ったでしょ。あたし見たのよ、この目で。夫は死んでたわ。青梅の山の中で。遺書もあったわ。見たけりゃ見せてあげるわ」
ほんと、この会話、しつこすぎる。飽きたよ。
死体のそばにあった遺書を引き出しから出して男1に渡した。
研究が行き詰った。
生きていても、意味はない。
君一人置いて行く勝手は許してくれ。
幸せを改めて探してくれ。
田沼吾郎
悦子「これで分かったでしょ。あたしの夫は死んだのよ。田沼吾郎は生きてないわ。あなたたちがどこの誰か知らないけど、これ以上、あたしに付きまとうのは、やめてちょうだい」
男1「田沼吾郎は生きている」
悦子「また始めるの?」
男2「悦子、君が見た死体の顔は確かに田沼吾郎の顔だと言えるかね?」
男3「顔は、すでに白骨になっていて見分けがつかなかったはずだ。君は洋服と靴だけで夫だと確信したんだろう」
悦子「でも…でも、この遺書があるわ」
男1「そんなもの誰でも書ける」
悦子「夫の字よ。間違いなく夫の字だわ」
男2「君がそう言ってるだけだ」
悦子「夫の字よ! 夫から来た手紙があるわ。比べてみりゃいいでしょ」タンスの引き出しから封筒を取り出すが、なぜか夫からの手紙が1つもなくなっていた。「ひきょうよ。あんたたち隠したのね。さあ、出して、隠した手紙、出してよ!」
男1「何を言うんだ。僕は君に手紙出したことはないぜ」
悦子「当たり前よ。あんたから手紙なんてもらうもんですか。夫の手紙を、さあ、返して!」男1の胸ぐらをつかむ。
男2「悦子、落ち着くんだ。そんな手紙、ありゃしなかったんだ。君はどうかしてるぞ」
悦子「何がどうかしたのよ。あんたたち、キチガイかと思ったら泥棒なのね。ほんとは、あんな手紙が欲しいんじゃないでしょ。うちのものが欲しいんだったら、なんでも持ってってよ。手当たりしだい持って、さっさと出てって!」
自室に戻ろうとした悦子を止めた男3。「悦子! もういいかげんに芝居は、やめるんだ。なんでそんなに夫を死なせたいんだ」
悦子「だって死んだんですもの」
男3「君は骸骨で人が見分けられるか?」
男1「その遺書は、お前がでっち上げたんだろう」
男2「死体の洋服も知らない洋服だったろ」
男3「青梅の山の死体は田沼吾郎じゃなかったね?」
男1「君の夫は生きている!」
男2「田沼吾郎は死んじゃいない!」
悦子「死んだわ。田沼吾郎は死んだわ」
男3「証拠がない。田沼吾郎が死んだという確かな証拠は、どこにもない!」
悦子「あるわ。あたしよ…あたしが殺したのよ。田沼吾郎は、あたしが殺したのよ。この手であたしがあたしの夫を殺したのよ!」
男たちが悦子を見つめる。
悦子「さあ、これで分かったでしょ。田沼吾郎が確かに死んだってことが。分かったら出てってよ。警察に知らせるとか新聞社に行くとか好きなようにすればいいでしょ。でも、あたしを1人にしといて。ほっといてよ!」電話の置いてあるカウンター席に座る。
黒木の部屋もだけど、リビングに酒の飲めるカウンターみたいなのがあるのが当時のトレンドだったのかね。
男3「どうやって田沼吾郎を殺したんだね?」
悦子「そこまであたしに言わせたいの?」
男3「ああ、聞きたいね。どうやって夫を青梅の山の中に誘い出し、遺書を書かせ、殺したのか、その方法をぜひ教えてもらいたいね」
悦子「このうちで殺したのよ。この部屋で毒を飲ませて車で青梅の山の中に運んだの」
男1「ウソだ。青梅の山の中は途中までしか車が行かない。林の中まで君1人で死体を担いで運び出せるはずがない」
男2「共犯者がいるのか?」
悦子「共犯者なんていないわ。あたし1人で運んだのよ」
男3「じゃあ、君に実験してもらおう。僕が田沼吾郎の死体になる。ここから僕を担いで車に乗せ、青梅の山の中まで運んでみたまえ。できるか? どうして、そう見え透いたウソを言うんだ。それに遺書は? 君が殺したのなら、どうやって田沼吾郎に書かせたんだ?」
タバコを吸い始める悦子。「吾郎は3年前に自殺未遂をしたわ。遺書は、そのときのものよ。あたしが隠しておいたの」
男2「見ろ! やっぱり遺書は偽物なんだ」
男1「君は田沼吾郎を殺して、あそこまで運べない」
男2「田沼吾郎は死んじゃいない!」
男1「君の夫は生きているんだ!」
悦子「分かったわ。じゃあ、ほんとのことを言うわ。あたしが田沼吾郎を殺したのよ。でも、ここじゃないわ」
森に響く銃声。去年の冬、悦子と夫は猟をしに青梅の山の中へ行った。キジ?をそのまま手に持って車に乗り込み、悦子が水筒の飲み物を夫に渡した。夫は飲み物を飲んで、うめき声をあげて運転席に突っ伏し、悦子は外に出して、その上に遺書を置いた。
男1「少しは本当らしい話になってきた。確かに俺たちは田沼吾郎じゃない。彼は死んだ」ソファで話を聞いていたが、悦子に近づく。
男2「だが、もう1つだけ分からないことがある。君はなぜ夫を殺したのかね?」
男1「君も知ってのとおり田沼吾郎は世界的な大発明を完成したところだった」
男2「世界中の軍隊が欲しがっていたレーザー銃を安価に大量に作る発明だった。アメリカで、やっと一部、実用になったが、直接、兵器として使用するには至っていない」
男1「平和的に利用すればダイヤモンドより高価といわれるルビーを自由自在に生み出せる発明だ」
男2「アメリカの石油成り金よりも、もっと簡単に大金持ちになれる発明だった」
男1「君はそれを知っていて田沼吾郎を殺したんだね?」
男2「夫の発明をどこかの国のスパイがうんと高く買うと言って、君を唆したんだな?」
男1「夫の発明を盗むために君は夫を殺した」
男2「つまり、君は夫の発明を握っている」
男1「さあ、その発明を僕に渡したまえ。もちろんタダとは言わん。君がアラビアの王様より金持ちになれるだけのものは払う」
男2「この男の倍の金額を僕は払う。発明を僕に渡してくれたまえ」
悦子「知らないわ。そんな発明」
男1「じゃあ、なぜ夫を殺したんだ?」
悦子「邪魔になったからよ」
男2「邪魔? 何の邪魔だ?」
悦子「あたしがある人と愛し合うために邪魔になったからよ。あの人は、あたしの命だわ。誰にも渡さない。あたしは何度も夫に離婚を頼んだわ。でも、夫は、どうしても離婚してくれなかった。だから、あたし…」
男1「夢物語は、そのぐらいでやめとけ。俺は君を夫が死んでから3か月間、じっと見張ってきた。君が夫以外の男と会っている事実は、まったくない!」
男2「さあ、発明の資料を出してもらおうか」
男1「これ以上、拒むなら力ずくでも手に入れる」
男2「君は夫を毒殺した。人間的同情をする理由は、これっぽっちもない。俺は、どんなことをしてでも君から発明の資料を手に入れる!」
男1「君は僕に渡すんだ。この男に渡しちゃいけない。僕は、この男以上に残酷になれる男だ」
男2「どっちに渡すか、君が選べ。ただし、資料の在り場所を言うまでは俺たち2人は共同で君を痛めつける!」
逃げようとした悦子を男1が悦子の腕をつかんだ。男1、2にかわるがわるビンタを受け、服を脱がされそうになる悦子。
やめてー! ここまで女性に暴力的な回もないな。
タバコを吸って悠然と座ったままの男3の背中に隠れる悦子。「助けて! あなたは、あの連中とは違うでしょ。あんたは、いちばん紳士的だし、優しいし、頭が切れるわ。ねえ、助けて。あんたになら、あたし、なんでもほんとのことを言うわ。ねえ? でも、あの連中は、いやよ。けだものよ! 助けてくれるわね? あんた、やっつけてよ。あの、けだものたちを」
男3は微動だにせず、また男1、2に髪をつかまれて悦子は倒れた。
男3「田沼吾郎は生きてるよ。その女は、まだウソを言ってる」←また!?
倒れた悦子を起こす男3。「田沼吾郎は学生時代スキーで足の骨を折ったことがあるのを知ってるだろう。骨折した痕は一生消えない。君が田沼吾郎の死体だと言い張る青梅の山の白骨の右足に骨折の痕があったか? 何もなかった。つまり、あの白骨は田沼吾郎のじゃない!」
男1「じゃあ、あの白骨は誰なんだ?」
男3「知らんよ。しかし、左腕に古い弾傷の痕があった。そして、左の肋骨に新しい弾傷」
男1が悦子の胸ぐらをつかんで立たせた。「貴様が…貴様が殺したんだな、キムを!」
男3「ほう、あの白骨は貴様の仲間なのか」
男1「言わねえか!」悦子をビンタして倒す。「キムは田沼吾郎と接触して発明を買う約束ができていたんだ。だが、突然、行方不明になった。俺たちはキムが裏切って発明を独り占めにしたのかとうたぐった。だが、彼は死んでいたんだ!」悦子をビンタ。「貴様が殺したんだろう!」
悦子「違うわ。あたしじゃないわ」
男1「じゃあ、誰なんだ? どうして田沼吾郎の身代わりになったんだ」またビンタ。
悦子「知らないわ。あの人は、この家で殺されたの」
男1「でたらめ言うな!」
悦子「本当よ。本当なのよ。あれは確か去年の9月だったわ。あの人、ここで夫と話をしてたの。夜だったわ…」
田沼吾郎と悦子とサングラスの男が乾杯し、酒を飲むと、突然、キムが消音銃で撃たれて倒れた。
その後、2人で車に乗せて、田沼吾郎が青梅の山の中に運び、その後、田沼吾郎は帰ってこなかった。危険だからどこかに身を隠すという電話があったが、居所は言わず、それから1週間に1度は悦子に「無事だから安心しろ」と電話がかかってくるようになった。今夜もその電話がかかってくるはずの日だった。
今さら電話線を切ったことに慌てる男2。
男1「じゃあ、田沼が自分の洋服をキムに着せ、遺書を置いて身を隠したってわけだな」
悦子「そうよ。それから、その引き出しにおもしろいものが入ってるわ。発明の資料じゃないわよ。キムを殺した弾丸よ」
男1がすぐタンスの引き出しを漁る。
悦子「夫が何かの証拠になるかもしれないから取っておけって。キムの体を貫通してカウンターの陰に転がってたのよ」
男1が男2を見ると、気まずそうに目をそらした!? 男1は男2を殴りつけ、男2のポケットに入っていた銃を奪う。そして、男2に電話のコードを直すように指示。
男1はソファに銃を放ち、タンスの引き出しから見つけた弾丸と見比べた。「貴様がキムを殺したんだな? 貴様の国も俺の国も田沼吾郎の発明を欲しがっていた。だが、俺の国の諜報部員が田沼吾郎の信用を勝ち得た。そして、いよいよ取り引きの日。貴様は、それを邪魔するためにキムを撃った。田沼吾郎は、あちこちの国から発明を狙われて身の危険を感じて姿を隠した。貴様は俺の国が田沼吾郎の発明を手に入れるのを妨げたばかりでなく、同志キムを撃った。許すわけにはいかん。今、死んでもらう」男2を銃を撃ち、倒れた男2の体を蹴って仰向けにし、男3を向く。「今度は貴様の番だ。動いたら撃つ」男3のポケットの銃を奪う。「この男が西側のスパイなことは分かっていた。ところで貴様は、どこのスパイなのか教えてもらおうか」黙っている男3を2発殴った。「言いたくないなら言わなくてもいい。どっちにしろ死ぬんだからな」
口から出血している男3。「悦子、逃げろ!」と叫び、男1と殴り合い。
逃げもせず2人の殴り合いを見ている悦子。
殴り合いは続き、男1がうめき声をあげて倒れた。
男3「最後に笑う者は、いつも俺さ。じゃあ、教えてもらおうか。田沼吾郎の生きてる場所を」
悦子「知らないって言ったでしょ」
男3「いや、知ってる。君は間違いなく知ってるはずだ。俺だっていつまでもこんなに優しくはない。君がさっき褒めてくれたほど紳士でもない。さあ、教えてもらおうか。田沼吾郎は、どこにいる? このルビーに見覚えがあるだろう。そうだ。君が銀座の天宝堂(てんほうどう)に1500万ドルで売ったルビーだ」悦子をビンタ。「このルビーをどこで手に入れた?」
男3の顔に唾を吐く悦子。
男3「君もレディーじゃないな。これだけのルビーとなれば原産地から最初の持ち主、そして、今の持ち主までず~っと系図ができてるはずだ。だが、このルビーにはない。当たり前だ。このルビーは生まれたばかりの人工ルビー。つまり、君の夫が作り出したものだからだ。君の夫は生きて、どこかで人工ルビーの工場をやってるはずだ。その工場は、どこにある?」
悦子「知らないわ、そんな工場」
男3「君の夫は自分の発明が人殺しの道具に使われるのに嫌気が差し、すべてのスパイたちから身を隠した。そして、ご婦人方を喜ばすためだけに自分の発明を役立たせようとした。フッ、とんだ平和主義者だよ。俺は、その発明を手に入れるんだ。どんなことがあっても手に入れる。悦子、覚悟はできてるな?」
悦子「なんの覚悟よ?」
男3「今までの男たちの拷問は、これから俺がやる拷問に比べれば遊びみたいなもんさ」火力の強いライターの火を悦子の顔の前に出すと、玄関のブザーが鳴った。「8時か。こんなに朝早く…」
玄関に出るよう命じる男3。「俺は後ろからピストルでお前を狙ってる。よけいなことを言ったら、今来たやつもお前も撃ち殺す。さあ、さっさと追い返すんだ!」
悦子を訪ねたのは啓子とユミ。「ご主人は生きてらっしゃいます」
悦子は啓子とユミを中に招き入れた。田沼吾郎を見かけたというユミに、悦子は主人は確かに自殺しましたと答えた。あの死体は東側のスパイの死体だという啓子。ルビーを持っていて、1か月ほど前、田沼吾郎が売ったということが分かったと話した。青梅鉱山のそばで御主人らしい男の人を見かけたというウワサが耳に入った。啓子たちが青梅鉱山近くの町に行ったところ、1度だけ御主人らしい男の人を見かけた。なぜ、調べているのか悦子に尋ねられると、もっとルビーが買いたいからだと答える啓子。できれば一緒に行って捜していただけないかと頼んだ。
奥のドアが開き、男3が入ってきた。「こんにちは。どうもわざわざ。私は悦子の兄です。隣の部屋で聞くともなしにお話を伺ったんですが、本当ですか?」
ユミが本当だと答えると、悦子に妻として義兄(あに)として一度は確かめてみる問題だと、悦子に支度するように言う。ここは私の友達に頼んで行けば大丈夫。啓子、ユミも同行する。
男3が運転し、青梅鉱山に向かう。途中、LCというホテル?へ。部屋に入るとふらつく悦子。一緒の部屋に入った男3は出発まで休むように言う。「しかし、俺には仮病は通じないぞ」とくぎを刺す。しかし、ポケットを漁り、拳銃を盗まれたことに気付く。
別の部屋にいる啓子とユミ。啓子は男3から銃を奪っていた。ノックもせず、部屋に入ってきた男3。「失礼。早速だが、あなたたちが田沼吾郎を見たというところに案内してもらいましょうか、さあ」
啓子「ええ、行きましょう」
啓子たちが歩いて行く先々にサングラスの男たちが潜んでいる。鉱山の中を歩いて行くとユミが水が落ちてきて悲鳴を上げる。男3が先に進むと、奥の部屋ににルビーの山があった。
悦子が銃を向けた。「残念だったわね。宝の山に入(い)りながら。さあ、手を上げて。そっちの男もよ」
悦子の後ろにはサングラスの男たちがついた。1人が久保一さんなのは分かった。
手を上げる啓子たち。
悦子「キイハンターの皆さんたちもルビーの魅力にはバカになるようね。この拳銃、あなたのポケットから頂いたのよ。さあ、3人とも左のドアを開けて次の部屋に入るのよ。あたしを甘く見ると後悔するわよ」
啓子「とうとう尻尾を出したわね」
悦子「何よ?」
啓子「あたしたち、この秘密工場は、ずっと前に捜し出したけど、あなたがグルかどうかどうしても証拠がつかめなかったの。で、罠にかけたの。フフッ。あっさり自分から白状してくれたわ」
悦子「フフッ、いまさら探偵ごっこの自慢話をしてもどうにもなりゃしないわ。さあ、あたしの命令に従うのよ。それとも、ここで今すぐ死にたいの?」
啓子「その拳銃であたしたちが殺せるかしら?」
悦子「なんですって?」拳銃に弾が入っていなかった。
悦子を押さえ、拳銃を捨てるように言う男3。サングラスの男たちが銃を捨てた。
啓子「残念だったわね。あたしのほうが読みが深かったようね」
奥から顔の見えない男が現れ、男3の銃をはじいた。字幕は”田沼”!?「貴様のほうが手を上げるんだ」
悦子「フフフフッ、また逆転ね。紹介するわ。皆さん、あの男が皆さんが会いたがってた男、田沼吾郎、あたしの夫よ。もう1つ、胸の中に入ってるわ」
サングラスの男が男3から銃を奪う。
田沼「そちらの2人の女性はキイハンターと調べはついてる。君はどこの国のスパイかね?」
サングラスの男に何発も殴られても何も言わない男3。
田沼は男3、啓子、ユミを次の部屋に閉じ込めるよう命じた。水も食料も一切やらず、餓死したくなかったら、私の質問に答えるようになるだろうと笑う。
閉じ込められた3人。男3は啓子にピストルから抜き取った弾を持ってるか話しかけた。「弾は食べられない」という啓子に「いや、おいしいんだよ」とニヤリとする男3。弾をかじって中身を出していると、啓子が口紅を出し、ケースを渡した。
男3「わかったらしいな。さすがはキイハンターの姉御」口紅ケースの中に火薬を詰め、ドアに引っかけて火をつけた。爆発し、ドアが開き、男3がサングラスの男たちを殴って、またルビーの部屋に入る。サングラスの男3人を殴っていると、田沼が男3の肩を撃った。男3も田沼を撃つ。
悦子が拳銃を捨てるよう指示。男3も啓子も銃を捨てた。「夫の敵(かたき)よ。なぶり殺しにしてやるわ」
男3「僕は田沼吾郎を殺してない。殺したのは君だ!」
え? 撃ったのは男3じゃないの?
うめき声をあげて立ち上がった田沼がサングラスを取って、そのまま倒れた。田沼だと悦子が紹介した男は元・田沼吾郎の研究助手で悦子の情夫の青柳政治。本物の田沼吾郎は親不知から投身自殺し、身元不明人として埋葬されている。といっても自殺ではなく、青柳と悦子が突き落としたのだと男3が言う。発明を横取りし、工場を作った。
男3に恋人の敵として死んでもらうと銃を向ける悦子。ユミが天井からぶら下がっていた鎖?を押して、悦子は頭を押さえ、やがて泣き崩れた。
啓子が男3に銃を向ける。「ところであなたはどなた?」
男3「さすがは姉御だ。油断も隙もない」
啓子「こう見えてもプロですからね。拳銃の腕前だってプロ並みよ。あたしに撃たれて死にたい?」
男3「いや、まだ死ぬつもりはない」
啓子「じゃあ、質問に答えて。あなたは誰?」
男3はカフスボタンを啓子に渡した。長方形の中心に”U”。
啓子「ユニポール…国際警察!」
小田切「特別室員、小田切慎二」
ユミも啓子も驚いて、会釈する。
工場から出てきた3人。
黒木「どうした?」
村岡「大丈夫か?」
啓子・ユミ「ボス!」
ユミ「今頃なんの用?」
啓子「小田切さん、助けを呼んだの?」
村岡「小田切くんを諸君に紹介しようと思ってね」
黒木「どうやら姉御といいコンビになりそうだ。頑張ってくれ」
小田切「キイハンターの諸君、どうぞよろしく」
啓子「こちらこそ」
ユミ「あたしもよろしくね」
ほほ笑ましく見ている黒木と村岡。
プロデューサー:近藤照男
*
脚本:佐藤純弥
*
擬斗:日尾孝司
*
音楽 :菊池俊輔
主題歌:キイハンター
非情のライセンス
作詩 :佐藤純弥
作曲 :菊池俊輔
唄 :野際陽子
テイチクレコード
*
黒木鉄也:丹波哲郎…字幕黄色
*
津川啓子:野際陽子…字幕緑
*
谷口ユミ:大川栄子
*
風間洋介:千葉真一…字幕水色
*
小田切慎二:中丸忠雄
*
田沼悦子:真山知子
青柳政治(あおやぎまさはる):川辺久造
*
男1:室田日出男
男2:蜷川幸雄
田沼吾郎:加地健太郎
*
久保一
高須準之助
五野上力
清川正宏
菊地敏明
*
村岡室長:仲谷昇
壇俊介:宮内洋
ナレーター:芥川隆行
*
監督:小西通雄
<プロフェッショナル・キイハンター。次の赤いシグナルは…お待ちかね。カラー第1回作品。南国の日差しが明るいフェニックスの町、宮崎を舞台に展開する壮烈なアクションドラマ。外交官の随員になりすまして国際的罪人の逃走を謀る一味。そこには秘密結社、マフィアと根強く生き残るナチの残党。さらにシカゴから殺し屋も乗り込んでくる。キイハンターとの間に激しい撃ち合い。空と陸の対決が巻き起こる。美しく強烈な色彩の中に描く世界殺人集団。南国の決闘。いよいよ次回よりカラー作品登場。>
キイハンター
世界殺人集団
南国の決斗
に御期待下さい
モノクロ最終回に新たな仲間・小田切慎二登場。でも、吹雪さんも島ちゃんもいないし、紹介の場には風間も壇もいない。ま、壇と小田切はキイハンターの仲間というより、今までの壇みたいに時々しか出てこないのか、カラー化されたら、また変わるのか…いや~、しかし、今回の夫のふりのくだり、しつこかった。

