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【ネタバレ】チョッちゃん(112)―連続テレビ小説―

NHK 1987年8月13日(木)

 

あらすじ

泉最後の日、閉店記念のパーティーは、加津子(椎野愛)の快気祝いも兼ねて、黒木医師(大門正明)やたま(もたいまさこ)も招いて、連平(春風亭小朝)や夢助(金原亭小駒)など馴染の客が集まった。泰輔(前田吟)の挨拶のあと、蝶子(古村比呂)は邦子(宮崎萬純)の結婚の発表もしようと提案し、泰輔が発表すると、落ち込む連平に近づくたま。嬉しそうに拍手を送る神谷(役所広司)を複雑な思いで見つめる安乃(貝ますみ)。

2025.8.21 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色

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岩崎要:世良公則

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野々村富子:佐藤オリエ

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国松連平:春風亭小朝

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中山音吉:片岡鶴太郎

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彦坂頼介:杉本哲太

田所邦子:宮崎萬純

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黒木医師:大門正明

岩崎加津子:椎野愛

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増田たま:もたいまさこ

中山はる:曽川留三子

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梅花亭夢助:金原亭小駒

吉崎雅代:松岡由利子

彦坂安乃:貝ますみ

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老人:和沢昌治

女:中沢敦子

岩崎雅紀(まさのり):河野純平

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鳳プロ

早川プロ

劇団いろは

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神谷容(いるる):役所広司

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野々村泰輔:前田吟

 

カフェ泉

店のドアに張り紙が貼ってある。

 

 御顧客様各位へ

時局に鑑み閉店させて

戴きます。

        泉

 昭和十六年九月二十九日

 

泰輔「皆さんもご存じのように品不足の今日、この泉を閉店することを私は決意したのであります。え~、本日は、この7年間、この泉をば、ご愛顧願ったお礼にと、お集まり願ったわけでございますが、その閉店記念と同時に岩崎家の夫妻の長女・加津子ちゃんの快気祝でもあります」

音吉「加津ちゃん!」

拍手

加津子がみんなの前に来て一礼する。

泰輔「皆さん、泉は今日が最後です。倉庫のものは全部出しました! パッと盛り上がってください」

拍手

 

<…とまあ、残念ながら泉は、こういうことになったわけです>

 

歓談中

蝶子「先生、今日はよくおいでくださいました」

黒木「加津子ちゃん、もう大丈夫でしょう」

蝶子「ええ。学校でもうちでも大して支障はないみたいです」

黒木「でも、もうしばらくは時々、病院に来てくださいね。ひとつきに1回ぐらい」

蝶子「はい」加津子は蝶子の手から離れて移動。

 

黒木「ご主人は?」

蝶子「あ、あの演奏会は中止になったんですけど、『練習したい』と今日も」

黒木「稽古場へ?」

蝶子「はい。『後で駆けつける』と言ってました。あ、どうぞ」

 

加津子は頼介のベルトの下を触っている。

頼介「…」

 

たま「また会いましたね」

背中を向けたままの連平。

肩をたたいて振り向かせるたま。

連平「あ、びっくりした!」

たま「どうして?」

連平「布袋様がいらしたのかと思ったね!」

たま「七福神鍾馗(しょうき)様って言われなかっただけでうれしい」

たまさん、ポジティブ!

 

連平「あんたが来るって分かってたら来なかったよ」

たま「思ってもないことを!」

連平「え?」

夢助「よっ、ご両人!」

たま「あ、いや!」照れてる。

 

雅代「国松さん」

連平「あ」

雅代「長い間、本当にありがとうございました」

連平「頑張ってください」

雅代「ありがとうございます。ごゆっくり」

 

挨拶回りで音吉たちのテーブルへ行った雅代。「あの~」

音吉「あ、中山音吉です」今日は国民服。

はる「はる」

雅代「あ、お世話になりました」

音吉「いや~、私ら、あの、加津ちゃんの方の関係で」

雅代「ああ、そうですか! まあ、ごゆっくり。どうぞ召し上がってください」

 

邦子「嫌よ、チョッちゃん

蝶子「いいじゃない、邦ちゃん」

邦子「嫌!」

蝶子「おめでたいことなんだから」

邦子「なにも、こんな大勢の中で言わなくたって」

蝶子「ちょうどいいじゃない」

 

富子「何、もめてるの?」

蝶子「あのね」

邦子「チョッちゃん!」

蝶子「邦ちゃんが結婚することになったって、今、発表したらどうかなって言ってたの」

富子「するの?」

はる「本当!?」

はにかみながらうなずく邦子。

 

富子「あ~、じゃ、発表しよう」

邦子「嫌よ、おばさん」

富子「する! うん、え~と…ちょっと、あんた!」

 

黒木と談笑していた泰輔が「あ?」と振り向く。

 

はる「相手は?」

蝶子「私の兄の会社の人」

はる「ふ~ん」

 

富子が泰輔に耳打ち。

泰輔「うんうん、よし! うん!」

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店内でかかってるのは、この曲?

 

泰輔「皆さん、皆さん! ここでもう一つ、大変おめでたいお知らせがございます。邦子ちゃん、ちょっと。この田所邦子さんの結婚が正式に決まりました!」

歓声と拍手

 

安乃は嬉しそうに拍手を送る神谷先生を見ていた。連平はがっくり肩を落とす。

 

泰輔「相手は、ええ…」蝶子が耳打ち。「ええ、大川信吾さんといって、チョッちゃんのお兄さんの道郎君の会社の人です。え~、挙式は…いつだ?」

蝶子「あ」また耳打ち。

泰輔「11月の初旬だそうでございます」

一同「おめでとう!」

拍手

 

頼介「先生は、ご存じで?」

神谷「おお!」

2人のやりとりを見ている安乃。

 

夢助が音吉に事情を説明。落ち込む連平。

 

椅子に座る連平の隣に座るたま。「あんたって人は口の悪さほど人は悪くないと思うわ。いい人よ」

連平「こら、こらこら!」

たま「いいの、分かってる」

連平「何が?」

たま「私だって何もあんたのこと憎くて憎まれ口たたいてたわけじゃないのよ」

連平「え?」

たま「あんたって、てれ屋さんなのよ」

連平「…さん?」

たま「うん、私たち気が合うと思う」

連平「合わないよ!」

 

たま「これね、私の病院の電話番号と住所、書いてあるから」メモを渡す。

連平「いらないよ、こんなもん」

たま「あんたの住所も書いて」

連平「やだよ」

たま「書いて」

連平「やだよ」

たま「書いて!」

連平「やだよ!」

たま「…書いて」右手を連平の頬に押し付ける。

 

連平がしかたなく手帳に住所を書く。

たま「お金に困ってない?」

連平「困ってない!」

たま「困ってたら、いつだって言って。私、用立てるから。私…お金だけはあるの」

 

たまさん、積極的! ただ、連平もお金はあるからな~。

 

蝶子「増田さん! 先生、お帰りだそうです」

たま「あ、はい!」メモを連平の手に握らせて去った。

そっと受け取ったメモをジャケットの胸ポケットに入れる連平。

 

蝶子「そうねえ、あとは神谷先生ね」

神谷「何?」

蝶子「…結婚」

神谷「いやいや、私のとこなんかに来る相手は誰もおらんわ」

頼介「そんなことはないでしょう」

神谷「いや~」

頼介「いないんですか? 先生には、そういう相手」

神谷「なかなかねえ」

 

頼介「妹もなかなか縁遠くて困っています」

神谷「へえ」

神谷先生を見る蝶子と邦子。

神谷「それより、頼介君はどうなのさ?」

頼介「自分は今、結婚どころではありません」

神谷「いやいや!」

頼介「自分のことより国の行く末の方が気がかりです」

 

頼介の隣に安乃がいて、何だかスリリングな会話だな。

 

夢助、連平、音吉が2階席の手すりにもたれかかった歌う。

♬浮世の この裏町を

裏町人生

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富子「連平、どうしたんだい?」

泰輔「やけだよ、やけ」

富子「うん?」

泰輔「邦子ちゃんの結婚」

富子「ああ…」

 

♬こぼれ灯よ

なまじかけるな 薄情け

裏町人生

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いろんな人がカバーしてるね~。

 

⚟︎♬~(歌声)

 

男女4人が店に乱入してきた。

男「何やってんだ!」

女「私たちは、今、戦地へ赴く兵士を送ってるんです! 昼日中、前戦で戦う将兵のことも考えもせず」

老人「放歌高吟(ほうかこうぎん)、遊興にふけるとは日本人なら恥を知りなさ~い!」

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泰輔「ご苦労さまでございます。実は、この店を閉めることになりまして。それと、子供の快気祝ということで」

老人「そんなこと、今の日本で不謹慎だと思わんのか!」

女「時局をわきまえてください! さ、参りましょう」

 

女性たちはおなじみ大日本国防婦人会のタスキをかけ、かっぽう着姿。

 

⚟︎♬~(「出征兵士を送る歌」)

出征兵士を送る歌

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乱入者と入れ違いに店に入ってきた要。「どうかしました?」

 

連平「何が時局だ」

夢助「時局でやすよ」

音吉「そうそう、時局なんだから」

連平「時局って何だ!」

要「それはね、軍部がのさばるってことだよ」

要をにらみつける頼介。

 

泰輔「まあまあ、あの静かに、ね! 静かに飲もう、静かにね。静かにね、皆さんね」

 

富子に耳打ちする蝶子。「軍の関係に会場取られて演奏会中止になったもんだから、要さん、カッカしてんのよ」

富子「ふ~ん」

 

眠っている子供たちに服をかける蝶子。

 

連平「なるほど、そうか、え? あんた、あんたはそういう人間か!」

音吉「ああ、そうだ」

連平「神谷先生、何か言ってやってくださいよ」

音吉「今、日本は戦してるんだから」

夢助「そうそう」

 

要「だったら何だ?」

音吉「だからよ、銃後にあっては戦に勝つために耐え忍ぶってのが、これ、国民の義務ってもんじゃないか」

連平「こっちが『戦争してくれ』って頼んだわけじゃねえよ!」

音吉「非国民!」

神谷「中山さん、そういう言い方はよくない」

 

連平「何だい、お前さんは」

音吉「建具師だい」

連平「軍隊にやけに肩入れし過ぎると思ったら、おめえ、何だろう、こっちに回さなきゃいけねえ、米や砂糖、みんな、軍隊からないしょで譲り受けてるんだろう?」

音吉「何を!?」

はる「冗談じゃありませんよ!」

音吉「引っ込んでろ、お前はよ!」

 

泰輔「まあまあ!」

音吉「おう、俺は肩入れしてるよ。戦争に勝ちてえじゃねえか。できりゃ俺も戦争に行きてえぐらいだ!」

はる「あんた行ったら負けるよ」

音吉「だからよ、だから、俺は銃後にあって、日々の生活にグダグダ文句も言わねえで耐え忍んでるんだろ!」

夢助「そうそう。それが当たり前なんだ」

連平「何だよ!」

夢助「何せ若は『ぜいたくは素敵だ』という人だから。それでとっ捕まったクチだ」

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神谷「どういうこと?」

要「芝居の中で役者に『ぜいたくは素敵だ』と言わせて、それで警察にね」

頼介「本当ですか?」

連平「そうですよ」

泰輔「あん時は本当に参っちゃったなあ。私が身元引受人にされちゃってねえ」

 

神谷「へえ、なかなかうまいこと言ったもんだ」

頼介「先生!」

要「いや~、よく言ったぞ、連平」

頼介「岩崎さん!」

 

音吉「非国民!」

要「何だって!?」

頼介「いいんですか! こんな時に、この非常時に日本が生きるか死ぬかという時に挙国一致、大政翼賛、国民が一つになって戦わなきゃいけない時でしょう、今!」

辛そうに下を向く安乃。

頼介「そのためには日本人なら忍ぶべきである!」

 

要「物がないのはね、忍んでみせるよ! でもね、演奏会場を横取りするのは、やめろ!」

蝶子「要さん!」

要「仕事場を奪うのは、やめろ! 演奏会ぐらいやらせてもらいたいよ! 軍部はね、演奏会場までぶんどるんだ!」

蝶子「頼介さんのせいじゃないでしょ!」

要「同じだよ!」

頼介「今の日本には、やわな音楽も文芸も落語も不要です」

神谷「それは違う、頼介君!」

頼介「時局をわきまえていただきたい!」

要「時局かなんか知らんがね…演奏会場を返したまえ!」

 

頼介「自分は隊に戻ります」軍帽をかぶり、敬礼して帰っていった。

 

安乃は植木の隅へ行き、しゃがみ込んで泣いていた。

神谷「安乃ちゃん。…何、泣いてるんさ?」

安乃「私…兄ちゃん、嫌いです。みんなと会うと、いつも、もめて」

神谷「ま、もめるっていうか…」

安乃「いつも『日本日本、戦争戦争』って…」

神谷「うん」

安乃「兄ちゃん、優しくなくなりました。心狭くなりました。怖いです」

 

神谷「なあ、安乃ちゃん」

顔を上げて神谷先生を見る安乃。

神谷「なんも頼介君が間違ってるわけではない。音吉さんや夢助さんの考えが今ではほとんどだ。したけど、岩崎さんや連平さんのしゃべることも、よく分かるもねえ。いやいや…。世の中、大してゆるくない。したから、あんまり頼介君ば責めるんでない。嫌いになるんでない」

うなずく安乃。

 

キャーッ! 神谷先生、やっぱりカッコいいわ。神谷先生は精神年齢的に年上のしっかりした女性より年下のしっかりした女性の方が合うのかもしれないな~。

 

泣いている雅代。店には野々村夫婦、岩崎家、邦子が残る。

要「でも」

泰輔「うん?」

要「やあ、なんだか元気な人間が死んでいくみたいで」

泰輔「…そうだな。いっそ倒産した方がさっぱりしたかもな」

要「…でも、楽しかったでしょ?」

泰輔「うん…楽しかったね。ハハハ! あとは映画館一筋か!」

 

戦争映画があるから、映画館は大丈夫だと思う。

 

蝶子「邦ちゃん」

邦子「ん?」

蝶子「ここでいろんなことあったね」

邦子「うん…あったね」

 

蝶子「要さん」

要「うん?」

蝶子「喫茶店、泉の最後に何か弾いてほしいな」

泰輔「いいね!」

蝶子「お願い」

 

要「じゃ、中止になった演奏会代わりに何かやりますか?」

拍手

 

要が「蛍の光」を演奏する。

蛍の光

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珍しく回想シーン

・初めてカフェ泉に来店した蝶子。

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・テーブルに突っ伏して泣く邦子。

・泰輔、河本、赤いドレスの邦子?の後ろ姿。

・蝶子の手を握る要。

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<昭和16年9月、さまざまな思い出を残し、泉は消えていきました>(つづく)

 

昭和19年夏に物語が始まった「本日も晴天なり」の元子の叔父夫婦が経営していた「モンパリ」は意外とずーっとやってたよね。元子たちのたまり場になってたし。

 

未来人目線のみんなが反戦で「この戦争は負ける(キリッ)」みたいな展開が嫌いなので、このドラマみたいにいろんな意見が出てくるのが面白いなと思う。連平の戦争してくれって頼んだわけじゃないってのも分かるし、勝てばいいという音吉の言い分もまあ、分からんでもない。