NHK 1987年5月19日(火)
あらすじ
音楽学校で全国から集まった優秀な生徒たちに囲まれ、声楽の授業についていくだけで必死の蝶子(古村比呂)。そんな蝶子にも、佐々木光代(山下容里枝)と木村益江(山下智子)というふたりの親友ができ、互いに切磋琢磨し音楽の道を究めることを誓う。3人は叔父・泰輔が経営する映画館を訪れ、そこで楽士の国松連平(春風亭小朝)に著名なバイオリニスト・岩崎要(世良公則)を紹介されるのだが…
2025.5.6 NHKBS録画
脚本:金子成人
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音楽:坂田晃一
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語り:西田敏行
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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色
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岩崎要:世良公則
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北山みさ:由紀さおり
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野々村富子:佐藤オリエ
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国松連平:春風亭小朝
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彦坂頼介:杉本哲太
河本:梅津栄
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木村益江:山下智子
佐々木光代:山下容里枝
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梅花亭夢助:金原亭小駒
小西幸夫:長谷川恒之
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宮内:藤田啓而
桑山:真鍋敏
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男子学生:神谷政浩
円崎一也
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女:外河京子
大宮美由起
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弁士:松田春翠
鳳プロ
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北山俊道:佐藤慶
<チョッちゃんは音楽学校へ行くのが楽しくてしかたありません。市電に乗って通学などして東京にもなじみ始めたチョッちゃんですが、まだまだ世間には疎いようで…>
木の陰に隠れていた学生服姿の男が角を曲がって歩いてきた蝶子に声をかけようとするが…
光代「北山さ~ん!」
蝶子「あ、光代さん!」
光代「おはよう!」
蝶子「おはよう!」
声をかけられずじまいの男。まだ名乗ってもいないけど、小西幸夫役の長谷川恒之さんはwikiを見ると186cm! すれ違ったときの身長が大きいと思った。
学食
蝶子「はい、どうも」トレーで食事を受け取る。
光代「はい、すいません」
先に席に着いていた益江に箸を渡す蝶子。「はい」
益江「ありがとう」
3人「いただきま~す!」
後ろの席の男子学生に話しかける益江。「中村さんたちもよかったら」
中村「あ、悪いね」
男「木村さんて親切なんだね」
益江「そうよ」
中村「じゃ、今度、俺の下宿の掃除も頼もうかな?」
益江「いいことよ」
男「じゃ、今度さ俺と銀ブラしようよ」
益江「銀ブラねえ、いいわよ」
中村「部屋の掃除やってくれるんなら、いっそ同棲しない?」
益江「生活力あるの?」
中村「もう、君のためなら、たとえ火の中、水の中!」
益江「じゃ、考えるわ」
多分、中村というのが眼鏡で蝶ネクタイ、もう一人は昨日、蝶子と目が合って手を振った神谷政浩さん。中村役の円崎一也さんは「はね駒」106話にも出演されてたそうで…。
下宿人を探す話だったので、応募者の一人だったのかな?
探されてるけど、一方で同姓同名の社長も出てきて…違う人? それにしても掃除とか同棲とかすごいセリフ。掃除をやらせるために呼ぶって何だよ!
蝶子「ちょっといいのかい?」
益江「ウソよ。からかってるだけ」
蝶子「そうかい?」
光代「益江さんて平気で男子と冗談言い合えるんだね」
益江「だって、慣れてるもん」
蝶子「へぇ~」
益江「何よ」
蝶子「いやあ、やっぱり東京の人は違うんだねえ」
益江「そ~う?」笑う。
蝶子の部屋
蝶子「叔父さんのうちなんだ。さっき、玄関に出た人が叔父さんの奥さん」
益江「はあ~」
光代「だけど、北海道からよく1人で来たわね」
蝶子「うん」
益江「きょうだいは?」
蝶子「兄と弟。兄はね、東京なんだ。すぐこの近く。帝大医学部に2度も落ちて、今は小説家ば目指してる」
光代「へえ、小説を!?」
益江「見てみたい!」
蝶子「私にも見してくれないんだよ」
益江「小説じゃなくて、お兄さんを」
光代「私も!」
蝶子「どうってことないんだよ」
⚟富子「チョッちゃん、開けて」
蝶子「はい!」
富子がお茶を運んできた。「何にもないけど」
蝶子「悪いね」
益江「すいません」
光代「急にお邪魔しちゃって」
富子「うちは、いつ来てもらってもいいんですよ」
蝶子「叔母さん、改めて紹介するね」
富子「はい」
蝶子「佐々木光代さんと木村益江さん」
頭を下げる光代。
益江「こんにちは」
富子「チョッちゃんと仲よくしてやってね」
益江「チョッちゃんて言われてるの?」
蝶子「うん。母親は蝶ちゃんて呼ぶけど、大体、ちっちゃい時からチョッちゃんって呼ばれてた」
光代「これからは私もチョッちゃんって呼ぶ!」
益江「私も!」
富子「よかったね、いいお友達出来て」
蝶子「うん!」
富子「さあさ、お茶どうぞ」
2人「いただきま~す!」
蝶子「いただきま~す」
富子「皆さん、音楽をねえ」
益江「はい」
富子「いいわねえ。今は、やりたいことがいっぱいあって」
蝶子「叔母さんにも何かやりたいことあったんかい?」
富子「いや、大してなかったんだよ。私らの若い頃は」
⚟夢助「『ある長屋でございます。そそっかしいのが隣り合って住んでおります』」
光代「うん?」
益江「落語だ」
富子「噺家が1人、下宿してんだよ」
蝶子「夢助っていう人」
益江「へえ~!」
光代「楽しいね!」
富子「夢ちゃん!」
⚟夢助「へ~い!」
富子「今ね、チョッちゃんの音楽学校のお友達が見えてんだから下手な噺で耳汚しちゃいけないよ!」
⚟夢助「へ~い!」
みんなで笑う。
富子「そいじゃ、ごゆっくりね」部屋を出ていく。
2人「はい」
⚟夢助「『そそっかしいのが隣り合って住んでおります。片っ方は不精でそそっかしい。片っ方は…』」
⚟富子「夢ちゃん!」
⚟夢助「へ~い!」
2人のやりとりに笑う蝶子たち。
蝶子「私…ほかの人たちについていけるかどうか不安なんだわ。何にも知らないのと同じだもねえ。ラジオもなかったし、レコードの数も少なかったし、バイエルなんていうのも知らなかったんだよ」
益江「そう」
蝶子「演奏会なんていうのもなかったでしょ? したけど、ほかの人たちは、ほら、益江さんなんかは、そういう音楽、生活の中にあったしょ?」
益江「そりゃねえ」
蝶子「私なんかスタートの時から遅れてんだわ」
光代「うん」
益江「だけどさ、この間は私も残されたじゃない。ピアノに触ったことあったって、音楽の知識があったって実力とは関係ないってことよ。例えば、藤原義江を知ってたからって、おんなじように歌えるってことになんないでしょ?」
蝶子「あ、それは、そうだ」
光代「そうだよね!」
蝶子「したけど、どうしたらうまくなれるんだろうか?」
益江「やっぱり知ることなんじゃない?」
光代「矛盾!」
光代のセリフを聞いて、なぜかふと「12人の優しい日本人」を思い出した。
益江「違う。いい音楽、いい歌を知るってことよ。聴くことよ。あんなふうに歌いたいって思うことよ。感動することよ!」
蝶子「同感だわ! 私たちがこの前、先生に『ほかより劣ってる』って言われたのは幸いだったかもしれないわ」
光代「どうして?」
蝶子「したっけ、目標出来たっしょ。したら、努力するっしょ。自分以外は、みんな、先生だと思えば吸収するもんもいっぱい見つかるっしょ」
益江「そう、ものは考えようよ」
蝶子「演奏会とか行こうね!」
益江も光代もうなずく。
蝶子「レコードも聴き、ラジオも聴き」
益江「映画や演劇も見!」
光代「音楽と関係ある?」
蝶子「あると思う! 映画や演劇にも音楽は付き物でしょ。それに人の心ば打つものには変わりないと思うんだわ」
益江「そう、要は吸収し、触発されること!」
光代「そしたら、銀ブラだってしようね!」
益江「行こう、行こう、行こう、行こう!」
前向きでいいね!
蝶子「ねえ、学校でもちょこっと耳にしたんだけど、『ギンブラ』って何?」
益江「銀座を歩くの。ブラブラってね。だから、銀ブラ」
蝶子「いやいやいや、あの銀座をかい! へえ~!」
<日曜日、チョッちゃんは益江と光代と3人で銀ブラとしゃれ込みました。いや、チョッちゃんの場合、キョロキョロとむしろ銀キョロと言うべきでしょうか>
2階席もある豪華な造りの喫茶店。
女給「何になさいますか?」
益江「私、ソーダ水」
光代も蝶子も同じものを頼んだ。
女給「かしこまりました」
店内にはシャンソンが流れる。
窓の外は自動車が走り、軍人が歩いている。
マスター「いらっしゃい!」
<来ましたよ、モボとモガ>
オシャレな男女が階段を上って2階席へ。見とれた蝶子が椅子ごと倒れた。
<あ~、あ~、あ~!>
北山家
裏口で座ってお茶を飲んでいる頼介のところにみさが来た。「蝶ちゃんからの手紙、今日、着いたの。はい」
頼介「いいんだべか?」
みさ「うん!」
昔の手紙って私信というより、回し読み前提でもあったのかな?
俊道も奥から来た。「読めや」
頼介は立ち上がるが、再び座る。
みさ「あ、お茶でも?」
俊道「うん」
みさ「たみちゃん! たみちゃん!」
俊道「別にいいわ」
頼介が手紙を読み始める。
みさ「蝶ちゃん、張り切ってるしょ?」
俊道「張り切ってるっていうか浮ついてる。銀ブラだの百貨店だのと珍しがってばっかり。音楽とどういう関係があるっていうんだ?」
みさ「関係あるんでないんですか?」
俊道「どう?」
みさ「さあ?」
俊道「泰輔君とこの下宿人は男ばかりでないか。そういう所は、よくないんでないか?」
みさ「したけど」
俊道「第一あれは、う~ん、この…噺家っていうのは何なんだ?」
みさ「…さあ?」
俊道「そういう訳の分からん人間のいる所に蝶子ば居さしては、ならないんでないか?」
みさ「う~ん、泰輔もいることだし」
俊道「どう思う? 頼介君」
頼介「はあ」
俊道「正直にしゃべってみれ」
頼介「蝶ちゃんば信用するしか。すいません」
みさ「そうだねえ。信用するしかないもねえ。私は信用してるんだ」表情がいい。
せきばらいする俊道。「頼介君、あれは? 畑の方は、どうだ?」
頼介「もう少しで雪も消えるんで、したら、たまねぎば植えます」
俊道「う~ん…したら」奥へ。
手紙を読み終え、丁寧に畳む頼介。
みさ「どうだい?」
頼介「何か蝶ちゃんがだんだん遠くに行くような気がして…」手紙を返す。
<ここはチョッちゃんの叔父、泰輔さんの経営する映画館です。数年前、相場でボロもうけした時、手に入れたのです>
曲藝團 上映
1925年公開のドイツのサイレント映画。公開時の邦題「曲藝團(ヷリエテ)」
泰明座
事務所
連平「そう、お友達?」
益江「木村益江です」
光代「佐々木光代です」
蝶子「楽士の国松連平さん」
益江・光代「こんにちは」
連平「はい、こんにちは。じゃ、同じ音楽学校の?」
益江・光代「はい」
連平「いわば、ご同業だ」
蝶子・益江・光代「はい」
連平「これからもよろしくね」
益江・光代「はい」
連平「あれ、社長は?」
河本「ちょっと商談で」←字幕で”河本”と出てたけど、この人、梅津栄さんじゃないでしょー!? 梅津栄さんは喫茶店のマスターでは? 多分、藤田啓而さん演じる宮内ではないかと…それとも、役名が間違ってる?
藤田啓而さんさんは「ありがとう」42話で患者役として出てたけど、おじさんだった。
連平「ふ~ん。チョッちゃんたち、何? もう、社長に会ったの?」
蝶子「うん、さっきね」
益江「はい」
光代「私たち、この前、お宅にお邪魔したんですよ」
連平「あ、そう!」
光代「私、甲府でしょ。何だか親戚の家が出来たみたいで楽しかった」
益江「今日はまた無料で入場させていただいて」
だよねえ…観劇は結構お金かかるもんね。
連平「いやね、初めての土地に来て、友達が早く出来たから、叔父さんもうれしかったんじゃないの?」
蝶子「なるほどね」
連平「あ、そうだ。チョッちゃん、今日はね、あたしの友達も来ることになってんの。バイオリニストでね、昔一緒に勉強した仲なんだ」
蝶子「連平さんは、どっかの学校かい?」
開演のベルが鳴る。
連平「うん、まあ、学校のようなもんだね」
蝶子「え?」
河本「連平さん」
連平「はい」
河本「そろそろ」
連平「そうだ。じゃあ、今日はね、君たちのために特に念入りに演奏しようかな」
蝶子・益江・光代「はい!」
連平「舞台の上から合図送ってあげる」
蝶子・益江・光代「わぁ~!」
連平「鼻のとこ、指でこすったりなんかして…」
喜ぶ声
連平「ね、同じ音楽家同志の友好のしるし!」
蝶子・益江・光代「はい!」
「曲芸団」という映画の映像に合わせて弁士が話す。「七色のライトを浴びて空中ブランコの幕は華やかに開かれた」
弁士のしゃべりに合わせての生演奏、いいね~。
弁士「三流曲芸団とはいえ、演技はすばらしいものでハンブルク地方の人気者であります」
客席から身を乗り出す蝶子を益江が正し、蝶子も光代の姿勢を正す。
舞台上の連平が鼻をこする。
光代「あっ!」
益江「来た、来た、来た!」
蝶子「私、見てない!」
光代「ちゃんとやったのに!」
また連平が鼻をこする。
蝶子「こすった! 今のだよね? なんとなくうれしいもんだね!」
要(かなめ)「君たち、君たち!」
後ろの席の要が声をかけたので一斉に振り返る蝶子たち。
要「さっきからうるさいな」
蝶子たちはテンションだだ下がり。
事務所
下を向いたままの蝶子たち。
河本「どうでした、映画は? 面白かった? つまらない?」
蝶子「よく分からなくて」
河本「難しい?」
益江「よく見れなくて」
河本「どうして?」
蝶子「ねっ?」
益江、光代も「ねっ」
連平が事務所に入って来た。「社長!」
河本「ああ?」
連平「まだ?」
河本「ああ」
連平「チョッちゃんたちにね、あたしの親友を紹介しておくよ」
蝶子「例のバイオリンの?」
連平「うん」
テンションの上がる蝶子たち。
連平「要さん」
要「おお。失礼します」
蝶子「うわっ…」
連平「ご紹介します。岩崎要さん」
要「岩崎です」
連平「要さんは私とは訳が違うんだよ。何たって小海清治(こかいせいじ)四重奏団のメンバーなんだから」
益江「へえ~」
連平「この3人はね、東和音楽学校の生徒さん。社長のめいごさんとお友達の2人。3人とも声楽の方だけどね」
要「ああ、そう」
下を向いたままの蝶子たち。
事務所のドアが開き、女性たちが入ってきた。
「要さん!」
「まだ?」ベタベタ要にひっつく。
要「ちょっと待っててくれよ」
連平「ちょっとお安くないね」
要「あ、近くのカフェでも行こうか?」
連平「あたしは仕事。チョッちゃん、一緒に行ったら? 音楽の話とかいろいろ伺って」
要「(女性たちに)ちょっと待ってろって。(蝶子たちに)どうぞ。彼女たちも一緒なんだけどね」
蝶子「いえ…わ、わ、私は辞退させていただきます」
益江・光代「私も」
街を歩く3人。
蝶子「何がバイオリニストさ!」
益江「偉そうに!」
光代「女の人、引き連れていやらしい!」
益江「一緒にいた女の人、何、あれ? モガだか何だか知らないけど」
蝶子「はんにゃのお化けだわ!」
光代「バイオリニストにああいう人、いるの?」
益江「認めない!」
蝶子「何さ、あのギョロ目!」
益江「まゆ太!」
光代「『君たち、うるさいな』」
蝶子「女の敵だわ!」
<そんなこと言っていいのかな、チョッちゃん。将来、あなたの旦那さんになる人なんだよ>(つづく)
わー! すごいネタバレ!
でも、相手役って大体、字幕が水色だったりするのにな色付きじゃなかった。今後、生まれた娘が水色だったりするのか!? 「マー姉ちゃん」はマリ子が黄色、マチ子が水色だったからね。


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