1974年 日本
あらすじ
マレーシア(旧英領ボルネオ)の北端・サンダカンと、熊本県・天草にある村を舞台に、「からゆきさん」と呼ばれた少女たちの姿を、研究者としての女性の目を通して描く。栗原小巻、田中絹代らが豪華共演。
女性史研究家・三谷圭子は、からゆきさんの実態を調べる中で、偶然サキという老婆と知り合う。サキが元からゆきさんだと確信した圭子は、サキと共同生活を始め、サキの過去に触れていくことになるが……。
2024.9.7 BS松竹東急録画。栗原小巻映画の3本目。
昭和四十九年度
藝術祭参加作品
東マレーシア
コタキナバル空港
空港の駐車場にいた三谷圭子は農業試験所の山本に声をかけられた。所長の代わりに案内することになったと挨拶した。圭子は栗原小巻さん、山本は中谷一郎さん…って沢野!
山本の運転する車でサンダカン八番館跡へ向かう。戦時中に焼けたので、建物自体は新しい。
3年前、アジア女性史研究である圭子は研究の一環として「からゆきさん」と呼ばれる海外売春婦のことを調べていた。最も多く「からゆきさん」を送り出した島原・天草を調べたが、人々の口は重く、調査を終えようと、友人とある食堂へ入った。
食堂にいるおばあさんにタバコを譲り、自らタバコを吸う圭子。おおっ! 栗原小巻さんの喫煙シーン。そして一緒にいる友人は「たんとんとん」の中西婦人。または「二人の世界」で麗子が偵察に行ったスナックフジを夫婦でやってた井口恭子さん。
おばあさんの訛りが聞き取りやすいと話すと、子供の頃から外国で暮らしていたからなあと話すサキ。不躾に「からゆきさんでしょう?」と言う友人。サキは店を出てしまい、圭子は後を追った。なんちゅー友人よ!
サキは集落の奥で、たくさんの猫と暮らしていた。近所の村人に圭子を息子の嫁と紹介し、昼寝を始めた。いつの間にか一緒に寝ていた圭子にこんな汚いうちにあがってくれてありがとうと頭を下げるサキ。
マレーシア
圭子はこれまでのいきさつを山本に話していた。
天草
初めて会って1か月後に再びおサキさんを訪ねた圭子。サキは圭子を歓迎したが、圭子の身の上を聞こうとしなかった。圭子のためにボルネオの綿が入った布団を出し、すぐ横になって寝た。障子はボロボロで猫の出入り自由。
朝、太陽に向かい「お大師様、お天道様、海神様」と手を合わせ、京都に住む息子の無事を祈るサキ。毎日、米、ジャガイモばかりを食べる暮らし。猫は何を食べてる?
サキの元に息子のユウジから現金書留が届き、身内に挨拶するサキにトイレの場所を聞く圭子。トイレはなく裏でやってこいと言われて、クワを持って畑をウロウロしていた圭子はイッちゃんという男に声をかけられた。
終バスにべっぴんさんが乗っていたと既に村では噂になっていた。圭子のことを村人に息子の嫁だと紹介するサキ。圭子はなかなか「からゆきさん」のことを聞き出せないまま、1週間が経っていた。
雷鳴が轟く日、圭子が寝ていると誰かに口を押さえつけられた。電気をつけると全裸のイッちゃんがいた。どうせどっかの商売おなご。ばさまに教育してもろたほうがええと悪びれる様子もなく帰って行った。おえーっ! 気持ち悪いなあ。
サキは男はみんな同じとサンダカンの話を始めた。
1907/明治四十年
父が亡くなり、小さなうちで暮らしていたが、つれあいを亡くした男の後妻に入った母。兄・矢須吉は三池炭鉱へサキは外国へ行こうと親戚に言われ、母がキレイな着物を作ってくれた。後に着物を解いて敷布団にしたのが、圭子に出したボルネオの綿入り敷布団。
幼い女の子が数人、小舟に乗って海へ漕ぎ出た。三池炭鉱の船に紛れ込む密航。外国へ行けると無邪気に喜ぶ女の子たちと泣き崩れる母や兄。
イギリス領植民地、北ボルネオの最大の港町・サンダカンは人口2万人。日本人は100人。女郎屋が9軒あり、サキは八番館で最初は女郎の世話や使い走りをしていた。
圭子は夜、聞き取りをして、昼、便箋に書き付け、東京の夫へ送っていた。
1年ほどして客を取ることになったサキは全力で拒否するが、サンダカンに連れてきた太郎造に殴られ、2000円を返せと引き摺り回された。キレイな着物に着替えさせられ、筋骨隆々の現地人?の相手をさせられた。
若い頃のサキ役の高橋洋子さんは前年、朝ドラ「北の家族」のヒロインで、この映画ってすごいな。サキと同じように騙されてない!? 当時二十歳そこそこでヌードありの役か。
マレー語を覚えて、日本人や白人以外も積極的に客を取ろうとするサキ。土人、土人って。
現在
サキの話を聞く圭子は好きな人がいたか聞く。
1978/大正七年
現地人みたいな格好をした男性に声をかけると秀夫という日本人だった。すんごい棒読みな田中健さん。以前からサキを見ていた。タンジョアル島から来た。秀夫は18歳、サキは19歳。
秀夫の実家は長野県で養蚕業をしていたが破産。父はとっくに亡くなっており、母も服毒自殺し、役場の紹介でシンガポールに行き、マレーの親方に拾われた。泊まる金のない秀夫に同情して、お金はいいから泊まっていけと引き止めた。
現在
それから、秀夫は3日と空けずに通ってきたと圭子に話すサキ。
ある夜、サキは秀夫を見送っていると、「世帯持つか」と秀夫からプロポーズされた。
1927/昭和二年
女郎たちに着物を売りにきた呉服屋。女郎たちはこれでまた借金を増やす気だろうと言うが、太郎造は御大典の祝賀のために紋付を新調しようと言い出す。紋付を着た女郎たちは太郎造と記念撮影。カメラマンは江幡高志さん。
そんな時、軍艦が港に着き、大量の軍人が行進していた。1人で30人も相手にしないといけないほどの混雑ぶり。花代5円とお金を取っていた太郎造が倒れた。いびきをかいていて、白人医師は横に首を振る。
しかし、秀夫とはそれっきり。秀夫は親方の娘と夫婦になった。
八番館のおかみは呉服屋の矢島と逃げ、余三郎はプノンペンに女郎を6人連れて行くと言う。ゴッドマザー的存在のおキクが2人と話をつけ、くじ引きで選ばれた2人が連れられて行った。
マレーシアを歩く圭子と山本。八番館の女性たちについて現地の人に話を聞く。
幕末からはじまった「からゆきさん」は昭和初期に衰退し始めた。
1930/昭和五年
カメラマンの村田も余三郎も紋付や白スーツで正装している。女衒だった余三郎は今やアジア物産シンガポール支社長として貴族院議員を迎える立場となり、おキクに商売を自粛するように言う。女郎の一人のおフミは「二人の世界」で恒雄が憧れてた片桐さんだな?
おキクは日本に帰っても仕方がないと日本人のために共同墓地を作るお金を貯めていて亡くなった。
現在
山本とジャングルの中の共同墓地を探す圭子は、山本から静かに眠っている「からゆきさん」を起こすことはないと言われたものの、サキの言葉の裏取りがしたい。
1931/昭和六年
しかし、おキクの言葉に反して寂しくて帰国したサキ。兄の家に行ったが、微妙な空気が流れる。外聞が悪いから隣近所に挨拶しなくてもいいと言う矢須吉。母も亡くなっていた。矢須吉の家はサキの稼ぎで建てられたものだが、矢須吉は、そのうち帰るだろうと妻に話していた。
どんちゃん騒ぎをする客たちに指輪をばら撒くサキ。客たちが我先にと群がる。料亭?
サキはペナンにいたという女性に満州に行こうと誘われた。菅井きんさんだ!
その後、サキは満州で結婚し、息子を持てたが、引揚中に夫を亡くした。息子と京都で暮らしていたが、ある時、サキへ天草で暮らすようにいう。結婚したい女性ができて、サキが邪魔になったせいだった。それから9年、嫁は一度も会いに来ない。
買い物に行った圭子は村の人に正体がバレた。あることないこと書き立てられると村人たちに責められるサキ。うわー、田舎の嫌なところ出てるぅ〜!
圭子が帰ってくると、村人は帰り、サキは圭子のせいではないといつも通り振る舞う。
床に新しいゴザを敷き、襖を張り替えると、美しか〜と喜ぶサキ。圭子がお金出した!? いつも5匹くらい好き勝手遊んでいる猫かわいい。
圭子は明日東京へ帰ると告げた。なんかそれも無責任だな。一人残されるサキさんの暮らしを思うとなあ。サキはいつか東京に帰ると思っていたと笑う。3週間、なぜ何も聞かなかったのかと圭子が尋ねると、言えん訳があるのだと思って気になりながら聞かなかったと言う。「おかあさん、ごめんなさい」と泣きながら謝る圭子。
サキは本当のことを書くのなら何も遠慮することはなかと優しく励ました。
翌朝、圭子はお金を置いて行こうとしたが断られ、今使っている手拭いがほしいと頼んだ。何度もお礼を言って受け取るサキは、その時初めて声を上げて泣いた。圭子みたいな行動は、すごく残酷な気がしてイヤだな。
ジャングルを歩く圭子と山本たち。ようやく共同墓地を見つけたが、戦時中、山火事に遭い荒れ果てていた。山本がおキクさんのお墓を見つけ、荒れ果てた墓の周りの草木を取り払い、お墓に手を合わせた。圭子はお墓が日本に背を向けて建っていることに気付いた。
三谷圭子:栗原小巻…字幕黄色
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北川サキ:高橋洋子…字幕緑
竹内秀夫:田中健…字幕水色
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矢須吉:浜田光夫
矢島:砂塚秀夫
山本:中谷一郎
一條実孝:信欣三
余三郎:梅野泰靖
イッちゃん:山谷初男
村田:江幡高志
浅若芳太郎
平田守
清水幹生
小林亘
桐島好夫
佐川二郎
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ナミ:岸輝子
サト:岩崎加根子
秋好光果
おカネ:牧よし子
野中マリ子
高山眞樹
山田孝子
おフミ:水原英子
モト:神保共子
井口恭子
岸野小百合
おヤエ:藤堂陽子
ユキヨ:梅澤昌代
おハナ:中川陽子
おタケ:柳川由紀子
久住眞理子
松本潤子
谷本小夜子
高山千草
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太郎造:小沢栄太郎
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おキク:水の江滝子
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北川サキ(晩年):田中絹代…字幕緑
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製作:佐藤正之
椎野英之
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原作:山崎朋子
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脚本:廣澤榮
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監督:熊井啓
マレーシアの街を歩く圭子。(終)
思いもかけず木下恵介アワーキャストがいっぱい。栗原小巻さんと中谷一郎さんは「3人家族」では敬子にしつこく付きまとう40過ぎの独身カメラマンの沢野だもんね〜。キャスト見ると気付いてない人もいた。岸輝子さん、どの役だったかな。
内容については貴重な話を聞くために騙し討ちみたいな感じがしてモヤっとした。それから圭子は定期的に会うとかそういうのもなしなんでしょ、どうせ。あんな村人に責められてるサキがかわいそうで。矢須吉にもムカついたしよぉ!
こういう女性たちはお金をたくさんもらい、生活も保障されてるなんて大嘘だよなといつも思う。

