TBS 1970年9月1日
あらすじ
またケンカをしてしまい、落ちこむ和枝(尾崎奈々)と直也(大出俊)。ある夜、直也の家を訪ねた和枝は、留守だった直也の代わりに直也の父(野々村潔)に事情を打ち明け謝罪するが、葉子(范文雀)が訪ねてきて……。
2023.12.13 BS松竹東急録画。
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谷口和枝:尾崎奈々…福松の長女。21歳。(字幕黄色)
野口勉:あおい輝彦…直也の弟。大学生。20歳。
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野口直也:大出俊…内科医。28歳。(字幕緑)
井沢正三:小坂一也…「菊久月」の職人。30歳。
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谷口修一:林隆三…福松の長男。25歳。(字幕水色)
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中川トシ子:磯村みどり…修一の幼なじみ。26歳。
三浦葉子:范文雀…直也の見合い相手。
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野口正弘:野々村潔…直也と勉の父。
石井キク:市川寿美礼…野口家に25年、住み込みの家政婦。
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看護師:坂田多恵子
看護師:水田成美
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谷口常子:山岡久乃…福松の妻。46歳。
オープニングクレジット、今までフリガナはついてなかったのに范文雀さんだけハンブンジャクというフリガナ付きだった。
菊久月
接客している和枝。女性客から栗羊羹はいつごろから出るか聞かれる。
和枝「9月半ばになるかと思います。年々、栗の入荷が遅くなりまして」
女性「なんでも高くなるから」
台所で作業している常子にお茶を頼む福松。「桃子はどうしたんだ?」
常子「さあ? お友達の所じゃないかしら」
福松「あれから1週間だよ。謝るわけじゃなし、顔を合わせたってケロッとしてますよ、あの子は」
常子「親子っていいわね。あれだけガミガミ言われてもこたえないんだから」
福松「冗談じゃありませんよ。こっちは寝ても覚めても胸がおさまりゃしない」
常子「しつこいのね。お父さんも」
福松「当たり前ですよ。この店を担保に金を借りてケーキ屋なんぞ始められてたまりますか」
常子「まだ先の話じゃないの。桃子だっていろいろ考えてんだもの」
福松「フン、修一も修一だ。どさん子を桃子と勉さんに乗っ取られるかもしれんというのに、わしが呼んだって顔も出しやしない」
常子「そのうち来るわよ。私は桃子や修一よりも和枝のほうが気になって」
家の中に入ってきた和枝に「お店はお母さんが見てるから」と声をかけた常子に力ない笑顔を見せて2階へ上がる和枝。
福松「和枝もいやにぼんやりしてるじゃないか」
常子「お父さん、直也さんに何か言ったでしょ」
福松は野口さんとこも無責任で勉さんから事情を聞いたら挨拶ぐらい来ればいいと言うが、常子は勉さんが悪いとは限らない、和枝はなんでもない顔をしているが、この間、直也さんのお宅に伺ったときとは天と地だと言う。
前回の件は和枝は完全にとばっちりを受けただけだからねえ。
⚟正三「旦那、まだお茶飲んでんですか?」
福松「うるさーい!」←ちょっとかすれ声
⚟正三「♪しあわせは
歩いてこない だから…」
水前寺清子「三百六十五歩のマーチ」1968年11月10日発売
常子は大きなため息をつく。「やっと正三さんが気を取り直したと思ったら」
⚟正三「♪一日一歩 三日で三歩」
2階
和枝は窓辺に座り寂しそうな表情を浮かべる。
病院の廊下を白衣のポケットに手を入れて歩く直也。
看護師「先生、お先に」
直也「ああ、これからデートか?」←今ならセクハラ発言です。
看護師「ええ。先生はよっぽど暇なんですね。日曜日に患者さんを診に来るなんて、ねっ?」
看護師たち「じゃ」
私服は割と派手なスーツ姿の看護師たち。黄色のスーツの看護師がここ何回か出ている坂田多恵子さんだろう。
待合室のベンチに座りタバコを吸おうとポケットに手を入れるが、出てきたのは口紅。
前回の回想
和枝「まあ、唐変木!」
直也「イテッ」
和枝は直也の右腕辺りを持っていたかばんでたたいて、かばんを落として拾って家の中へ入って行った。そのとき、路地に落ちていた口紅を拾った直也。
回想ここまで
前回、見ていた時は、かばんを落としたのはアドリブなのかと思っていた(;^_^A
直也はくわえたばこで口紅を開け、じっと見つめる。「唐変木か」
看護師「先生。今、お電話がありまして三浦葉子さんが前の喫茶店でお待ちになっているそうです」
今回のキャストクレジットの水田成美さんはこのセリフを言った看護師さんかな? 栗羊羹を買いに来た女性客、廊下ですれ違った看護師2人組の1人はセリフはあったけど、あんまり顔も映ってなかった。だけど、この人だけは顔がちゃんと映ったうえでセリフもあった。
喫茶店
葉子がレモネードを飲んで待っていた。
直也「何か用事ですか?」
葉子「別に」
直也「忙しいんですよ、僕は」と言いつつ隣に座る!?(円卓だけど)
葉子「あなた、私をお嫌い?」
直也「嫌いってわけじゃないけど、あなたみたいなお嬢さん苦手だな」
葉子「フフフッ。逃げてばっかりいらっしゃるから」
直也「あなた、僕のことどう思ってるんですか?」
葉子「おじが推薦してくれた方の中で一番興味が持てましたわ」
直也「そりゃどうも」
葉子「迷惑そうね」
直也「あなたは暇を持て余してるかもしれないけど、僕はこうして日曜に出てきてるんですよ」
葉子「患者さんはお幸せだこと」
ウエイトレスさんもセリフもあったし、顔も映った。直也はコーヒーを注文。
葉子「でも、私にとっても一生の問題よ。結婚を前提としておつきあいを始めたんですから」
直也「しかし、僕は迷惑してるんですよ」
葉子「お断りになる?」
直也「父にはそう話してあります。近いうちにおじ様のほうへお断りすると思いますよ」
葉子「私が承知できないと申し上げたら?」
直也「そんな…むちゃですよ。あなたって人は」
葉子「だって私たち、まだろくに交際もしてないでしょ? お断りを頂く理由になりませんわ」
直也「強引だな、まったく」
葉子「はっきりした理由はありますか?」
直也「うん?」
葉子「顔がお嫌い?」
直也「いや、美人ですよ」
葉子「じゃ、他に何か?」
直也「とにかく僕とあなたじゃ交際してみてもダメですよ」
葉子「納得のいかないことは諦めませんわ」
直也「困ったお嬢さんだ」
葉子「恋人がいらっしゃるんですか?」
直也「それを聞かれると弱いな」
葉子「じゃあやっぱり交際したほうがお互いのためですわ」
直也「しかしね、君…」
葉子「改めてデートのお誘いに伺いますわ」
お見合いのルール的にはっきり言っちゃいけないのか、まだ交際してないから和枝のことは言わないのかなんなんだこの状況。
野口家
キク「ああ…夏の終わりに来てとうとう変になっちゃったんですか」
勉「うるさい。ああ、あった、あった『唐変木』。『気が利かずに偏屈なこと。またそういう人』。ハハッ」
キク「あら、やだわ。大学生ってそんなこと辞書を引かなきゃ分かんないの?」
勉「バカ。念のために確かめたの」
キク「ん~。素直に聞いてくれりゃ、そんなこと教えてあげたのに」
勉「和枝さんも割かしズバリ言うじゃないか」
キク「へっ? 和枝さんがそんなこと言ったんですか? へえ、勉さんが唐変木ねえ」
勉「何言ってんだよ、兄貴だよ。まったく気も利かないし、恋愛すんのも下手だからな」
キク「ねえ。私この間からちょっと変だなと思ってたんだけど、なんかあったんでしょ?」
勉「いや、誤解だよ。菊久月の親父さんにも困ったもんさ」
キク「具体的におっしゃいよ。この間の日曜日、部屋に入って兄さんとベチャベチャ話してたでしょ?」
勉「立ち聞きしたな?」
キク「いいえ…いえ、ハハッ。近頃、私の耳、遠くなってるから。でもね、勉さん、旦那様の耳には入れといたほうがいいんじゃないかしら。桃子さんに誘われて将来ケーキの店を経営するなんてこと」
勉「ほら、やっぱり聞いてたんだ」
キク「そりゃ、ドアが開いてれば、ちぎれちぎれに聞こえますよ」
電話が鳴り、勉が出ると桃子だった。
キク「ほらほら、黒い霧よ。気をつけないと」
勉「黙って。うるさいな」
「おやじ太鼓」でも会話の中で「黒い霧」が出てきた。
お敏「大体正直者が馬鹿を見る世の中よね。それが証拠に闇屋をやってた人はみんな大金持ちになっちまったじゃないの」
初子「黒い霧よね」
ふむふむ、怪しげな、疑わしいこと?みたいな。
正弘が帰宅。勉は今はまずいと電話を中断。キクは菊久月の桃子からだと正弘に言い「ほんとにもう外へ行くと何をたくらんでるか」と口走る。
正弘「えっ? たくらむ? 穏やかじゃないな、ハハッ」
キク「あっ、あの病院のお嬢さんのほう、うまくお断りになりました?」
正弘「ああ、冷や汗かいたけど、まあ、なんとかな」
勉「おしゃべり、黙ってろ!」とキクをののしり、電話を再開。あしたの3時に待ち合わせ。
桃子のほうも福松が「風呂沸いてんのか?」と茶の間に来たので敬語で電話を切った。
福松「お前、この間のこと…」
桃子「まだこだわってんの? やあね」
福松「一家の大事ですよ」
桃子「お父さんと一対一で話したってダメよ。いずれ兄さんに来てもらって、ゆっくり検討しましょう。ねっ。お母さん、ご飯になったら呼んでね」と2階へ。
福松「こら、桃子!」
休みの前の日だから話し合いたい福松と休みの前の日ぐらいのんびりしたい常子。「肩が凝っちゃって」
福松「もんでやりますよ」←「おやじ太鼓」ではもんでもらうばかりだったのに!
常子「ありがとうございます。その気持ちがあるんだったら今夜は黙って静かにしててちょうだい。お願いね」
福松「分かりましたよ。フン、なんだってこっちが悪者にされちまうんだ」
ナースステーション
口紅を見て、谷口家に電話をする直也。しかし、電話に出たのが福松で電話を切ってしまう。おい!
2階
和枝は口紅をなくしたことにようやく気付き、「直也さん!」と大きな声で言い、桃子を驚かせる。
桃子「直也さんが口紅とどうつながんの? ええ?」
和枝「うるさいわね」
桃子「直也さんにキスでもされましたか?」
和枝「まあ…バカにしないでちょうだい」
桃子「姉さんもつまんなく堅いからね」
物干し場に出た和枝のあとにギターを抱えた桃子もついてきた。「お姉さん、一曲いかがですか?」
♪赤く咲くのは けしの花
白く咲くのは 百合の花
どう咲きゃいいのさ この私
藤圭子「圭子の夢は夜ひらく」1970年4月25日発売。このドラマの時代の新曲だね。
東京少年鑑別所で歌われていた俗曲から「ひとりぽっちの唄」という曲が出来て、1966年に園まりさんが「夢は夜ひらく」をヒットさせて、藤圭子さんがカバーして…道理で暗い歌なわけだ。ただ恋愛の曲っぽくなってるけどね。
「おやじ太鼓」も「あしたからの恋」も昭和歌謡成分が高くて好きよ。歌えるメンバーが多いってことなんだろうか。洋二兄さんのピアノ&歌が聴きたいよ。
本日休業の札が下がる菊久月
月曜日が定休日なので1970年8月31日かな。
どさん子
常子は箸立てに割り箸を入れる作業をしていた。「お父さん、プンプンしてるわよ。お前も悪いわ。あのときすぐに飛んできてくれないんだもの」
修一「だからさ、親父がのぼせて、やたらわめいてる中へ俺が行ったら、ますます騒ぎが大きくなるだけじゃないか」
常子「でも、それで気が済むんだから」
修一「ごめんだね。どなって片づく問題じゃないんだ」
常子「考えてみると5~6年先の話でしょ。今からもめることはなかったのよ」
修一「桃子のヤツもあれで一生懸命考えたことだし、一応賛成しとけばいいのに」
常子「お父さんにそんな器用なことができるもんですか。善悪がはっきりしてるんだから」
和枝と桃子の心配をする修一。常子によると、桃子は要領がよくて出かけたが、和枝は直也とケンカいてションボリしている。
修一「ハハハッ、元気なのは母さんだけか」
常子「災難よ、ほんとに」
修一「勉君と共同でやるってことも親父にはカチンときたんだな」
常子「勉さんだって現代っ子だもの。気軽にやる気になっただけなんでしょ」
修一の言う「野口さんからはなんにも言ってこないんだね?」の野口は正弘? 直也? 常子は怒ってるんじゃないかと推察。
電話が鳴り、修一が出ると福松だった。常子は代わるのを拒否。
福松「そろそろ昼の支度をしなくてもいいのかって、母さんに言いなさい。ああ、和枝は2階に上がったっきりだ、うん。大体お前も長男のくせに軽率だよ。わしが苦労して買ってやった店を桃子にやるもないもんだ。承知しませんよ」と受話器を置いた。おお、やっぱりどさん子は福松が買ったのか!
福松「菊久月をなんだと思ってんだ、まったく。お茶!」と言うものの誰もおらず、自分で急須を傾ける。
湯飲みを持って立ち上がり、2階の様子をうかがう福松。「和枝、そろそろ昼ですよ。なんとか言ったらどうだい、和枝。和枝さん」反応なし。「どいつもこいつも勝手なことしてるんだから。よくもまあ親不孝がそろったもんですよ。日本中探したって、うちの子供みたいにわがまましてるのがいるもんか。今にどうなったって知っちゃいませんよ~だ」
植物園をポップコーン片手に歩く勉と桃子。どうやら神奈川県川崎市にあった向ヶ丘遊園らしい?
勉「まったくえらいことになっちゃったよ。だから言ったろ? 君んとこの親父さんはカッと頭にくるほうだって」←さすがよく分かってらっしゃる。
桃子「あの年であれじゃ先が心配よね」
勉「先はどうでもいいけどさ、当面どうするおつもり?」
桃子に罪の意識はなく、勉も桃子の夢みたいな話に相づちを打っただけで、菊久月を乗っ取ろうなんて考えたわけじゃない。お父さんはお金のかかることが嫌いだと言う桃子に勉も桃子のケーキ屋に何千万も投資するのは考えものだと言い、桃子の心意気に惚れたとは言ったけど、桃子をそそのかしてお家騒動でもやるみたいに思われるのは本意ではない。
桃子はお父さんに弁明しろというが、勉は直也のほうがへそを曲げていて、このまんまじゃどさん子にアルバイトにも行けないと言う。「秋風が立ったら、そろそろ顔出すつもりでいたのに」ってなんだか詩的。直也は正弘には何も言っていない。花のカットがパッパッと切り替わる。
しかし、直也と勉が話しているのをキクが聞いていたのでバレるのも時間の問題。
勉「これ以上こじれたらどうなることか。君ね、水に流して親父さんに謝ったら?」
桃子「冗談じゃないわよ。こっちはやる気十分なんだから」
勉「キクさんがつくづく言ってたけどさ、お宅のごきょうだいは勇ましいね」
桃子「お宅のご兄弟はひねてるわね」
どさん子
いつものカウンターの奥に座るトシ子。客が帰っていきトシ子だけになった。
修一「どうした?」
トシ子「別に」
修一「夏の疲れが出たんじゃないのか?」
トシ子「そうかもしれないわ」
修一「しっかりしなよ。ボヤボヤしてると秋口に寝込むぞ」
トシ子「正三さん、このごろどうしてる?」
修一「まあまあさ。彼だって大人だ。気を取り直して頑張ってるよ」
トシ子「よかった」
修一「それよりトシちゃんのほう、どうなんだい?」
トシ子「何が?」
修一「何って…見合いしただろ? あれさ」
トシ子「決まったのよ。来年の春に」
驚いた表情を見せる修一。
トシ子「やあね、秋には27ですよ。お嫁に行ってもいい年よね」
修一「だけどさ…ほんとか? 今、その…決まったって」
トシ子「ほんとのほんと。修一さんだっていい話だったら断る理由ないって言ってたでしょ?」
修一「うん。そりゃそうだけどさ、なにもそんな急に…」
トシ子「こういう話は縁なのよ。縁があるとトントンって決まってしまうの」
この時の口をとんがらせて拗ねたような修一の顔がかわいい!
店に客が入ってきて、トシ子はカウンターにお金を置き、店を出ようとした。
修一「あっ、トシちゃん。今夜、暇なら…」
トシ子は静かに首を振って出て行った。
10時ごろには兄さんが来るわよと常子が言うと、それまでには帰ると言って和枝が出かけて行った。福松は和枝がどこへ出かけたか気になるが、常子は和枝がかわいそうでうるさいことが言えないと聞けなかった。
福松「お前さんが機嫌良くいってらっしゃい、いってらっしゃいって言うから、みんなさっさと出ていっちまうんだ」
常子「いつまでも子供じゃないんだもの。親は機嫌良く出してやるしかないわ」
福松「ションボリしてるから気になるんですよ」
常子は明日、直也の家に謝りに行くので一緒に行ってくださいと福松に頼んだ。バカバカしいと断る福松。
桃子がおなかをすかせて帰宅。勉がしけていてデートしてもポップコーン1袋だった。福松は勉のことを聞き、桃子も勉を誘ったがまだお父さんと対決する気になれないと断られたと話した。
外で和枝に会った桃子。深刻な顔をしていたが、もしかしたら口紅でも取り返しに行ったのかなと言うが、常子と福松には何の事だか分からない。
野口家
正弘に事情を話しに行った和枝。正弘は事情をよく呑み込み、あすにでも挨拶に伺うと言う。ぜひ一度お伺いしてお願いしたいこともある。直也はまだ帰ってこない。
キク「ゆっくりしてってくださいよ。ここのところ直也さん、派手なお嬢さんに追いかけ回されてフーフー言ってるんだから」
和枝「まあ、直也さんが?」
正弘「男にも年頃というのがあるのか当人にその気がなくても、あちこちから話だけは来るんですよ。ハハハッ」
キク「断っても断っても来るんだから、もうイヤんなってしまう」
電話が鳴り、キクが出ると直也からだった。直也はどさん子にいてこれから菊久月に寄って帰ると言うと、キクが和枝がうちに来ていると知らせた。パッと表情が輝き、すぐにでも帰ろうとする直也。修一は和枝をうちまで送るよう頼み、直也は慌ててコップを持ったまま店を飛び出そうとした。
いつもの路地。修一は実家に入ろうとしたが、中川家の裏口に「こんばんは」と声をかけた。トシ子が出てくると、早じまいしたからコーヒーぐらいつきあえよと誘う。
トシ子「う~ん、だって…」
修一「縁談が決まった女の子誘っちゃ悪いかな?」
トシ子「そうよ。不良よ、修ちゃん」
修一「修ちゃん?」
トシ子「年下ですもの。修一さんでなく修ちゃんのほうがいいわ。もう夏も終わりね、修ちゃん」
ムスッとして路地を歩いていく修一。
トシ子「さよなら、修一さん」
ありゃ、家にはいかずにまたどさん子に戻った!?
切なそうなトシ子さん。
野口家のブザーを連打する直也。「ただいま! キクさん、おい!」
キク「まあ、息せき切って」
直也「和枝さんは?」
玄関に和枝が来た。「おかえりなさい」
直也「あっ、どうも。ご無沙汰しちゃって」
キク「イヤだわ。ご無沙汰だなんて」と笑う。
直也「うるさいよ、キクさんは」
キク「はいはい、引っ込んでりゃいいんでしょ?」と和枝に笑顔を向けて奥へ。
直也「よく来てくれましたね」
和枝「あっ、この間は…」
直也「そんなことはもうどうでもいい。そうでしょ? さあ、どうぞ」
しかし、玄関のブザーが鳴り、花束を持った葉子が登場。「お会いしたくて伺ったのよ。はい、お花。まあ、アハハハ…」
和枝も出てきて、葉子と見つめ合い、直也タジタジ。花束のアップでつづく。
お! そういえば今回、正三って声だけだったんだ。ああ、作業場から声かけてんだなと正三の姿が浮かんでて声しか出てないってことに今まで気付いてなかった。
この時代にトシ子と修一みたいな男性のほうが年下カップルって珍しい…って一瞬思ったけど、「おやじ太鼓」の秋子と神尾だって神尾のほうが年下だった。まあ、いずれも年の差はせいぜい1、2歳だけどね。
次回、和枝VS葉子かあ~!?と気にならない。
修ちゃんとトシちゃんカップルがめちゃくちゃツボだよ~。修一は和枝や桃子、アヤ子にはいい兄さんっぷりを見せるのに、トシ子には年下のかわいらしさを見せてさ~、でもトシ子に年下扱いされるのは嫌なんだよね。
正三「ハァ…こうなったらいっそどこでもいいからトシちゃんに嫁に行ってもらうよりしょうがないな」
修一「独身を通すかもしれないぞ。あれで強情なんだから」
正三「ほらね。トシちゃんは嫁には行かないって信じ込んでるから情熱がないとか惚れてないんだとか楽しんじゃってんだよ」
修一「そんなバカな」
正三「今に泣いたって知らないよ。話が決まってから、わんわん泣いたって」
正三の言ってることが現実になりつつあって、修一はどうする!?