徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】たんとんとん #1

TBS 1971年6月1日

 

あらすじ

大工の棟梁の息子・健一(森田健作)は高校三年生だが、勉強もせず毎日喧嘩ばかりしている。そんな息子に手を焼く母・もと子(ミヤコ蝶々)は、夫の仕事を取り仕切るしっかり者。しかしある日…。

君のいる空

君のいる空

  • 森田 健作
  • 謡曲
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

2024.1.4 BS松竹東急録画。

 

脚本・山田太一

 

主題歌

作詞・山田太一

作曲・木下忠司

唄・森田健作

 

協力・東急建設

 

尾形もと子:ミヤコ蝶々…健一の母。字幕緑。

尾形健一:森田健作…高校生。字幕黄色。

*

中西雄一郎:中野誠也…新築の家を依頼してきた。

生島とし子:松岡きつこ…新次郎の15歳下の妻。

*

夏川朝子:岩崎和子…健一の同級生。

堀田咲子:杉山とく子…堀田の妻。

*

堀田ゆり子:丘ゆり子…堀田の娘。

中西敬子:井口恭子…中西の妻。

磯田:岩上正宏…健一の友達。

*

堀田:花沢徳衛…棟梁。

*

生島新次郎:杉浦直樹…健一の父の下で働く大工。

 

今回はキャストクレジットに役名が付いてた! これだけでだいぶ分かりやすい。名前だけとか名字だけだったりするのでフルネームはwikiを参照しました。オープニングは家の外観完成図。独特のおしゃれさがある。

 

オープニングのコーラスが終わり切らないうちに高校を飛び出して走る健一と磯田。木下恵介アワーで学校が出てくること自体結構珍しい。ちゃんと磯田と字幕も出るので、すぐ誰が誰か分かるのはありがたい。走っている健一が朝子にぶつかり、朝子の落としたかばんを健一が拾って渡す。

 

磯田役の岩上正宏さんは「二人の世界」ではスナックトムにやってきた商店街の青年の一人で、朝子役の岩崎和子さんも同じく「二人の世界」ではスナックトムのアルバイト女性…どっちも前クールの「二人の世界」に出演してたのね。放送順に「あしたからの恋」→「二人の世界」とやっていれば、キャスト一新した感じが多少和らいだかも。

 

東海道新幹線の走る高架下で待っている高校生たちのもとに走る健一と磯田。体の大きな磯田は走るのがしんどそうで健一ひとりが先に到着する。

 

生徒「もう一人はどうした?」

健一「あとから来らあ!」

生徒「じゃあ、お前から料理してやる。かかってこい!」

 

学生服を脱ぐ前に隠れていた生徒に飛びかかられ、ケンカに突入。磯田はまだ追いつかない。そして走る東海道新幹線。あの青いラインの新幹線、懐かしい。

 

「えっ? 雨漏りしまんの? おかしいですなあ、そうですか。いえ、この前…」電話で話しているもと子。玄関が開き、健一が帰ってきた。学生服の肩がケンカのせいでぱっくり開いている。

 

「おかえり」と言ったので、夫が帰ってきたと電話の相手に思われ、息子だと言うもと子。「亭主? 亭主はね、お伊勢参りとかなんとか行きましたよ。組合のつきあいだとかなんとか言いましてね。は? 寂しいかって? いやあ、冗談でしょう。あんなん、おってもおらんでも同じこっですよ。フフッ、いえ、ホント」

 

2階の自室に上がった健一は学生服を脱ぎ、窓を開ける。

 

受話器を置いたもと子。健一は1階に降りて来たが、押し入れを開け、針箱を探していた。もと子にケンカしてきたことを指摘され、関係ないとごまかし、また2階へ上がる健一。

 

もと子「どこ破ったの? ワイシャツかズボンか」

 

⚟健一「上着だよ」

 

もと子「上着? ケンカするときは上着を脱げとあのぐらい言うたでしょ」

健一「脱ぐ暇がなかったんだよ」

もと子「どこ破ったん? 見してごらん」

健一「いや、大したことないよ」部屋に来たもと子に見つからないようタンスに隠す。

もと子「あっ、そう」

健一「自分で縫えばいいじゃないか」

 

もと子は手に長くて大きな定規?を持ち、机をたたく。

健一「やだよ、俺。やめて、痛いじゃないか」たたく音はするけど、実際たたくところは写さない。

 

部屋から出てきた健一は、もと子に「母ちゃん、この間なんて言うた?」と責められる。来年、大学入ったらいい服を買ってやるから、あと半年は今の上着を大事にしろ、ケンカするようなやつとつきおうたらいかん。

 

売られたケンカを買わないわけにはいかないともと子から逃げる健一。家の中から作業場にいる新次郎に助けを求める健一。「もうケンカしませんよ、すいませんでした」

もと子「お前はね、口ばっかりなんだからね」

 

新次郎「ハハッ。やってますね、また」気にせず、作業を続ける。若いんだからしょうがない、私だって健坊の年頃のころは女のことばっかり考えていたと笑う。女のことじゃないと言われた新さんはかがんだ姿勢から立ち上がって健一に何をしたのか聞く。森田健作さんも杉浦直樹さんもでかいね。ミヤコ蝶々さんが小柄なせいかな。

 

「あねさんいるかい?」と棟梁の堀田が若夫婦を連れてきた。もと子は自分で縫うことないから下に持ってきなさいと定規を健一に渡して作業場を出ていった。

 

もと子「あっ、どうぞ上がってくださいよ」

堀田「あねさん、なんでしょう? おたく上大崎の新築はもう手ぇ離れたんでしょう?」

もと子「ええ、2~3日前にね。あっ、いらっしゃい」

堀田「いや、こちら野崎さんの紹介なんだけどね」

 

堀田役の花沢徳衛さんも若いね~。

 

もと子「は?」

堀田「どうだろうな? 新築、ちょっと遠いんだけどね」

もと子「ああ、そうですか。どうも失礼しました。どうぞ上がってください。玄関先じゃなんですから」

 

作業場

新次郎「嫌々大学行くことねえんじゃねえか?」

健一「そうなんだけどさ、すげえんだよ。行け行けって」

新次郎「なんだ、おかみさんかい?」

健一「うん。これからは大工だって大学ぐらい出なきゃってね」

新次郎「ハハッ。大体入れるのか? 健坊」

健一「どこでもよけりゃ引っ掛かるさ」

新次郎「無駄だね。俺、見ろよ。俺を。ええ? 高校出てバッシリ腕つけちゃってさ。いや、いつも言うようだけどね。かみさん15も年下だからね、俺んとこは」

 

角材を運ぶ新次郎を追ったカメラがめちゃくちゃ揺れてる。

 

健一「うん」

新次郎「いくら大学出たって、お前。安月給でピーピー、ピーピー言ってりゃ15も若い娘は惚れてきやしないよ」

健一「そんなにいいの? 若いのって」

新次郎「そりゃいいさ。お前、15違ってりゃ考えてみろよ」

健一「うん、2つだけど」

新次郎「うん?」

健一「俺、今、17だろ。15離れてたら2歳だな」

新次郎「バカ。俺のこと言ってんだ、俺の」

 

森田健作さんは1949年生まれなので当時22歳。あおい輝彦さんと同世代なのね。

 

茶の間

もと子「そうですか。お二人で、よくねえ」

中西「はあ」

堀田「だからさ、私だってめったな所へ紹介できねえやねえ。いえね、堅(かて)えったって、なんてったってね、この大吉つぁんぐらい手堅くやってる請負は他にめったにありませんよ」

中西「お願いできるんでしょうか」

堀田「そりゃ、お願いできるよね。いやね、少々待ったってね、ここのうちに頼んだほうがいいんだから、いや、ホントに」

もと子「そう言うていただけたらホントにうれしいですわ」

堀田「あの…二子玉川ね、向こうに渡ったとこなんだよ、地所は」

もと子「ああ、そうですか」

堀田「うん。遠いったって、車で行きゃね、一っ走りだから」

もと子「うん。あの…実はね、うち、ほら公園の裏のほうの井上さんね、あそこの増築やってんだけどね」

 

堀田「だけど、そんなものはすぐ済んじまうんだろう?」

もと子「うん…つまりまあ忌憚なく言うたらね、うち、ほら、坪15万でやってるでしょう。あれでええのかしら?」

堀田「そりゃ相場だもん」

中西「そのつもりで考えていますが」

もと子「そうですか」

堀田「ホントにまあ、これだけが玉にきずだな。ここのうちはまったく…」

もと子「だってねえ」

堀田「私が紹介してここへ連れてきたんだよ。そのくらいのことは前もって念押してまさあね」

もと子「いや、そう言うけどね、若いお二人がお金をためはったいうの聞いたらさ、なんか13か13の5って言われるんじゃないかと思うじゃない」

 

堀田「いえね、ここのうちの棟梁って人は、もうホントに仏様みたいないい人でね、ニコニコニコニコ笑っちゃって、もううちをこさえるだけが楽しみって人なんだよ」

もと子「私が悪者(わるもん)みたい」

堀田「いやいや、悪者とは言わないけどもさ、いや、しっかりしてんだ、この人は。大阪から嫁に来ちゃってね、いや取りしきるの、なんのってね。悪口を言うわけじゃないけどね、ここのうちは棟梁一人だったら請負なんかやっちゃいられませんよ。いやいや、人見知りしちゃって」

もと子「そんなことないですよ」

堀田「えっ? 自分だっていつもそう言ってるくせに。とにかく何一つ決めるんだってね、棟梁だけじゃ話にならねえんだから。かかあに聞いていいようにやってくんねえと、こうだ、ハハッ。だからね、今日だって棟梁は組合の旅行で伊勢へ行ってるの承知のうえでこうやってあんた方、連れてきたってわけだ」

中西「はあ」

堀田「ちゃんとこの人で話は済んじまうんだから、全部」

 

もと子「ハハッ、まあ、あの…詳しいお話はあととしまして概略のお積もりだけ聞いておきましょうか」

堀田「そうそう。そうこなくちゃいけねえや。あっ、あの…ありましたね、さっきのあの紙。あっ…あれ」

敬子「はい。あの…2人でちょっと間取り描いてみたんです」

もと子「はあ、そうですか」

 

堀田さん、説明役なのかセリフが多いね! 昨日、「みんなのいえ」を見たばかりだけど、長一郎は新次郎と同世代かな。

peachredrum.hateblo.jp

作業場

作業をしている新次郎の元を妻のとし子が子供を連れてきた。「パパ!」

新次郎「なんだ? お前」

とし子「どうしても行くって聞かないんだもん。さあ、さおり、よいしょ」

 

”としこ”は美人枠なのか、ずっと木下恵介アワーにいるね。「おやじ太鼓」ではお敏さん、水原トシさん。「あしたからの恋」では中川トシ子。松岡きっこさんめちゃくちゃ美人。15歳下だからというよりあんな美人だったらそりゃ自慢するわ。松岡きっこさんと森田健作さんはそれほど実年齢は変わらない。

 

新次郎「しょうがねえな、まったく」

健一「いらっしゃい」

とし子「こんにちは。さあ、ほら、あそこにお水があるわ。さあ、さおり」

健一「コップ持ってこようか?」

とし子「あっ、いいの。手を洗うの。そこで転んじゃったのよ。さあ、さおり、行きましょう」

健一「赤ちゃん、大きくなったね」

とし子「あら、赤ん坊じゃないわ、もう」

健一「でも早いね。この間まではってたのにね」

 

外の手洗い場で手を洗わせるとし子。「さあさあ、手、きれいにしてね。早いのは人の子だから。私なんか遅くて遅くて、早くお嫁に行っちゃわないかと思うわ」

新次郎「お前ね、くだらないこと言うんじゃないよ」

とし子「まあ…一日この子とつきあってごらんなさい。いいかげんにイヤになっちゃうから。すぐどっか行っちゃう分からんちんだし、泣き虫だし、頭にくるわよ、ホントに」

ニコニコとさおりを見つめる健一。

新次郎「ああ…男の仕事場へ顔出すなって言ってんだろ」

とし子「いいじゃないよ、たまなんですもん」

新次郎「いや、危ないの。危ないの。ここ、いろんな物があんだから」

とし子「だって親方旅行中でしょう?」

新次郎「だから、なんだよ?」

 

とし子「あんた一人で働いてるからさ、慰めてあげようと思ったのに、何よ、その態度」

新次郎「いや、な…なにもそんなすぐ泣きだすことないだろ」

とし子「だってしゃくなんだもん」

新次郎「まあ、いいよ。だからいてもいいからさ。そのくだらないこと言うのやめなよ」

とし子「いいよ。じゃ、さおり…」

新次郎「いいよ、いいよ、いて。おい」

とし子「いいもん。帰るもん。実家へ帰るもん」

新次郎「ちょっとちょっと待ちなさい。だからいいって言ってるだろう。よく来たじゃないか、なっ?」

とし子「知らない」

新次郎「さおり、どこ行った? あっ、さおり、おいで、おいで、さあおいで。いやあ、いい子だな、パパ…」さおりを抱き上げる。

とし子「いいよ、帰るんだから」さおりを取り返して下におろす。

 

新次郎「お前ね、ちょっと…何を言ってんだよ? ええ? いていいって言ってるでしょ。よく来たね、ホントにね。いや、よく来た。俺ね、寂しかったんだよ、実は、うん」

とし子「調子いいわね」

新次郎「とし子、お前、俺の言うこと信じられないのか?」

とし子「信じるよ、そりゃ」

新次郎「そうだろう、なっ? だから、よく来たなって言ってるじゃないか」

とし子「だって…」

新次郎「うん? この野郎。またすぐ膨れて、この…ええ?」

とし子「だって…フフフ」

 

新次郎「ハッ…あれ? なんだ、まだいたのか、健坊」

健一「うん? ああ、今行くさ」

 

自転車で走っている朝子。健一は磯田と並んで歩き、ケンカ指南?

朝子「何やってんの? 2人で」

健一「ああ?」

朝子「バカみたい」

健一「何を!?」

自転車で走り抜けていく朝子。

 

磯田「いいよなあ、彼女、やっぱり」

健一「どこがいいんだ? あんなヤツ」

磯田「お前だって好きなくせに」

健一「冗談じゃないよ」

磯田「やっぱり彼女は俺たち学年じゃいちばんきれいだもんな」

健一「お前ね、男には照れってもんがあんだろ、照れってもんが」

 

磯田「彼女、どこへ行くか知ってるか?」

健一「知ってんのか?」

磯田「ああ、すごーく絞る塾があるんだってよ」

健一「塾?」

磯田「すげえんだってよ。そんなことで大学に入れるか!ってどなんだってよ」

健一「ああ? ちくしょう、みんなホントに勉強ばかりしてやがって」

またケンカの話に戻る。

 

店頭のレコードジャケットを見ている健一と磯田。レッド・ツェッペリン

↑このジャケットだった。ジャケットが回転する面白い機械だったな。

 

磯田「いいよな、あれ」

健一「何が?」

磯田「格好いいよな、あのジャケット」

健一「お前はロックばかり買ってんだな」

磯田「だけどこのごろすぐ2枚1組だからな、余裕がないよ」

健一「買い過ぎだよ、お前は」

 

「健ちゃん」と声をかけられ、振り向くと、ゆり子がいた。「フフッ。うちのパパお宅へ行ってるでしょ?」←「あしたからの恋」のトメ子だ!

 

健一「ああ、会わなかったけど」

ゆり子「そう? 私ね、これからピアノのレッスン。ウフフ…」

健一「へえ」

ゆり子「なんだか忙しくて参っちゃうわ、ホント」

健一「なんか用?」

ゆり子「うん? ううん、別に。あっ、受験勉強大変でしょう?」

健一「ああ…あんまりやんないけどね」

ゆり子「頑張んなくちゃダメよ」

健一「分かってるよ」

ゆり子「お母さん、心配してたから」

健一「分かってるったら」

ゆり子「気が立ってんのね。あっ、合格したらスキーにでも連れてってあげるわよ、ねっ?」立ち去っていく。

 

磯田「なんだかすげえな」

健一「誰がスキーなんか」

磯田「あれで4年制の大学だって?」

健一「ああ。一人っ子だからすげえんだ。かわいがっちゃって」

磯田「もうちょっとメーキャップ考えりゃいいのにな」

健一「考えたって同じさ。頭(かしら)も苦労するよな。あんなのが娘じゃ」

 

今度のゆり子はお嬢様!?

 

作業場

新次郎の作業中にゆり子が声をかけた。明日休もうと思って根詰めていると答えた新次郎にパパが呼んでいると言う。

 

新次郎「なんだよ? うるさいんだよ、うちのヤツが。あした横浜遊びに行くってね、約束しちまったんだよ」

ゆり子「それどこじゃないのよ」ここのおかみさんには内緒だとしつこく呼び出す。

 

健一の部屋

机に向かうが、うたたねしてしまう健一。

 

茶の間

咲子「え~、私なんかもうね、ねえさん、羨ましくてしょうがないのよ。旦那おとなしいし、息子はね、男前だし」

もと子「でもね、そう言うけどさ、やっぱり女房と名前が付けばね、これでも随分あんた、私、亭主に譲ってんのよ」

咲子「だってさ、ねえさん、このうちに来てさ、何年?」

もと子「そうね、えっと…21~22年かな」←40代くらいってこと!?

咲子「でしょう?」

もと子「うん」

咲子「ほんならさ、健ちゃんだってもう17でしょ?」

もと子「そうよ」

 

咲子「なのに、ねえさんって、もうホント頑固」

もと子「何が?」

咲子「なまりよ。大阪弁、ちっとも変わんないじゃない」

もと子「そうかな? 自分ではちょっとばかり直ったつもりでいるんだけどな」

咲子「まあさ、そりゃちょっとはそうだけどもさ。旦那が優しいのね」

もと子「うーん、直らないのね、これはね」

咲子「うーん、まあ、それで通ってるからよ。私はね、もう、ねえさんのなまり聞くと、ああ、一事が万事、ねえさん、自分通してんだなって、まあ、ちょっとばかり絡みたくなっちゃうわよ」

もと子「アハハハッ、いいわよ。だってね、亭主はいい男だし、息子はいい子だし、幸せすぎるから、まあ絡まれても我慢してあげるわよ、ちょっと」

咲子「まあ、ぬけぬけと、まあ…」

二人でお酒を飲む。いいねえ。

 

もと子はこの場面では関西弁を極力抑えているけどね。まあ、私も東京に住んでて、会社にいる関西出身の人が大体関西弁のままなのに驚いた。私と同じ東北人でなまったままの人は皆無。でも話してみると東北出身の人は結構いた。東北人同士は方言で話しても通じないから、仙台に住んでたときもみんな共通語をしゃべってた。

 

もと子の元を堀田、新次郎、ゆり子が訪ねてきた。もと子は堀田とゆり子が咲子を迎えに来たと思って、咲子を呼んだ。しかし、3人は改まった顔をしてなかなかもと子に話ができないでいるので、もと子は家に上がるように言う。堀田はゆり子に咲子を連れて先に帰るように指示。

 

茶の間

もと子「うちの人のこと?」

堀田「ええ、あの…二見浦のほうから、今、電話がありましてね」

www.kankomie.or.jp

もと子「旅館から?」

堀田「病院…病院のほうから大徳のあのおやじさんのほうが」

もと子「うちの人、ケガでもしたの?」

堀田「お宅へかけて、あねさんに直接言う勇気がねえからって、私んとこへかけてきたんですがね」

もと子「だから、どうしたのよ? ねえ、どうしたの?」

 

堀田「死んじまったんですよ、棟梁が」

もと子「えっ…なんで?」

堀田「死んじまったんですよ」

もと子「なんで?」

堀田「バスん中で急に気持ちが悪くなって…」

もと子「ここが?」自身の心臓を手で押さえる。

堀田「へい。そんなこと言ってました。大徳の…」

もと子「そうですか」

堀田「こんなことってあるかい! 一体」隣に座る新次郎も涙を拭く。

もと子「そうですか」

 

ゆり子から話を聞いた咲子も尾形家に戻ってきた。「ねえさん」と言いながら泣き崩れる。

 

もと子「新さん」

新次郎「はい」

もと子「私…」立ち上がる。「行かんならん」

堀田「あねさん、あしたにしたら? あしたの朝、新幹線で」

もと子「遠いねんな。あの人、遠いとこで死にはってんな」その場でへたり込む。

 

新次郎「むごいったって、なんたってねえ。急ですね。あんまり急すぎます」

堀田「なんかの間違いだって言いてえよ。落語の『大山詣り』じゃねえけど悪い冗談だって言って笑いてえ…」

japan-heritage.bunka.go.jp

咲子「ねえさん…ねえさん…」

 

もと子「健一。健一」立ち上がり、2階へ呼びかける。「健一! 健一! 健一」

ゆり子も泣いている。

 

健一「どうかしたの? 母ちゃん」

手を伸ばして近づいてきたもと子。

健一「どうしたんだ? 母ちゃん」

しかし、もと子は倒れてしまい、健一がお姫様抱っこで茶の間に運び、寝かせる。(つづく)

 

杉浦直樹さんはスーツ姿のイメージが強く、大工さん役が珍しく感じる。

 

森田健作さんはちょうど同時期(1971年2月~1年間)「おれは男だ!」主演中。

ていうかさ、「おれは男だ!」が津雲むつみさんの原作だったことに驚く。バリバリ少女漫画じゃないの。しかも全3巻! 元女子高に転校してきた男子生徒が剣道部を作る話だったのか。設定だけ借りた感じかな? 

 

ヒロインの姉に秋山ゆりさん。「兄弟」でしか知らなかったのに最近、昔のドラマを調べると結構出てる。主人公の母の津島恵子さんは「兄弟」の静男の母。笠智衆さんが祖父。

 

「たんとんとん」は今までの木下恵介アワーのメンバーとしては総入れ替えだけど、森田健作さんは「男たちの旅路」、杉浦直樹さんは「岸辺のアルバム」などのちの山田太一作品に出演している。

 

いや~、ミヤコ蝶々さんの演技が見られるのは嬉しいな。