徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(101)「いつか光が...」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

病院に入院しているはずの町子(藤山直美)が、夜な夜な隣町にあるスナックに飲みに現れ、歌を歌っているといううわさが、健次郎(國村隼)の周りで駆けめぐる。そして、そのうわさは病院で入院している町子にも届く。町子は、この前、こっそり帰ったのが見つかったかとヒヤヒヤするのだが…。一方、隆(中村孔哉)が野球の練習で右手首をケガする。しかし来週、チームのレギュラーの発表を控え、隆はケガを隠そうとする…。

病室

 

入院4日目を迎えている町子でした。

 

純子「え~、週刊誌のエッセーの方は、以前の合併号の時の1週間ストックがございますのでなんとかなります」

町子「あっ、そうか。あ~、それは安心しました」

純子「それとですね、陽春社さん、そして、あけぼの出版さん、毎朝新聞さんからお見舞い頂きました」

町子「こっちがご迷惑かけてるのにね、申し訳ないですよねえ…」

純子「先生。申し訳ないってお思いでしたら、夜中に抜け出したりしないでくださいね」

町子「あ…すいません」

純子「ほんとに先生は…」

 

そして、その日、診療所には…

 

待合室

藪下「南野さん、どうぞ」

きぬ子「はい」

オーバーオールの女の子が付き添う。

 

診察室

健次郎「胸が痛いのは朝からですか? 薬は?」

きぬ子「この前の病院でもろとりましたんやけど、こっちゃの方へ引っ越ししてきてから、ちょっと前の病院が遠なったもんで…。で、この10日ほどのんでしまへんね」

健次郎「ふ~ん。なるほど。おばあちゃんの付き添いか? 偉いな」

麗子「お母ちゃん、二日酔いで寝てるから」

きぬ子「これ、麗子」

 

健次郎「ハハッ、お酒飲みか? 僕と一緒や」

きぬ子「ほんまにいらんことを…」

健次郎「この近くに越してきはったんですか?」

きぬ子「へえ、南町です」

健次郎「ああ」

 

麗子「お母ちゃんがこれからずっと一緒にいててくれることになってん」

きぬ子「あの、芸人をしとりましてな、あの、しょっちゅう旅回りしてたもんやから。けど、これからそういうことものうなりましてなあ」

健次郎「そうですか。あのね、ちょっと脈に乱れがあるんですよ。検査入院して調べはった方がええと思います」

きぬ子「検査入院?」

健次郎「紹介状書きますから」

 

きぬ子「あの…先生」

健次郎「はい」

きぬ子「お金、だいぶと要りますんやろか?」

健次郎「う~ん、そうですね…。けどまあ、あの、保険ききますから」

 

徳永医院

「午前の診療は終わりました」の札が下がっている。

 

茶の間

純子「うわ~、おいしそう!」

テーブルの上のタッパーにはおかずとおにぎりがぎっしり。

健次郎「悪いな、鯛ちゃん、僕らの分まで」

鯛子「1つも3つも同じです。いっつもおうどんごちそうになってますから」

健次郎「いただきます」

鯛子「はい、いただきます」

純子「あっ」

 

晴子が茶の間に入ってきた。

健次郎「何や、おったんかいな? 昼出か?」

晴子「うん」

鯛子「晴子先生もどないですか? ようけあるんです」

晴子、座る。

 

電話が鳴り、純子が出る。

 

鯛子「町子先生の仕事の調整、大変でしょうね」

健次郎「ああ、そやろな」

 

純子「はい、徳永でございます。あっ、少々お待ちくださいませ。晴子さん、病院からお電話」

晴子「あっ、すいません」

純子「はい」

 

晴子「はい、徳永です。あ、先生…。え? 来週ですか? 片肺摘出…」

 

鯛子「難しい手術ですよね?」

健次郎「うん」

 

晴子「すいません。私、来週、休暇届出してるんです。ええ、1週間。せっかくですけど、別の先生に助手を…。ええ。お願いします。失礼します」受話器を置き、席に戻る。

 

健次郎「断ったんか? お前、肺の大きなオペ、初めてやろ? どないしたんや? いつもやったら休みなんか返上して引き受けるやろに」

晴子「ええやんか。たまには私かて休みたなんの。ほっといてよ」部屋を出ていく。

 

純子「最近何だかお元気ないですね」

鯛子「どうぞ食べてください」

純子「はい、いただきます」

 

浪花大学附属病院

病室

リンゴを食べている町子と健次郎。

町子「そやったん…。初めての患者さんが亡くなりはったんやね。それでか…」

健次郎「うん?」

町子「抜け出して、うち、帰った時…」

peachredrum.hateblo.jp

回想

晴子「医者ってね、自分の診た患者さんに何かあったら、ものすごうつらいの…」

回想ここまで

 

健次郎「ふ~ん…そんなこと言うてたか」

町子「つらいやろね…」

健次郎「医者はみんな通る道や」

町子「手術、怖なりはったんやろか?」

 

健次郎「それでやめるようやったら、しょせんそこまでやな」

町子「それて冷たいのと違う? ちょっと」

健次郎「人の命預かるもんが迷ててどうすんのや。患者の身になってみ」

町子「何か相談にのってあげたら?」

健次郎「相談に来たらな。来るようやったら、まだ見込みがあるいうことや」

 

一方、例のスナックでは…

 

福子「私、カモカのおっちゃんに言うたったのよ。『女はね、口説かれるためにお酒飲むんやで』って」

坂本「うわ~、なるほどな! いや、先生の話、面白いし、ためになりますなあ」

堀之内「そう。ほいでじかになカモカのおっちゃんの話が聞けるなんてなあ」

福子「『忍法、今日も私とっても楽しい』の巻~!」

堀之内「先生、かいらしいなあ! あっ、ほな、そろそろマスター!」

マスター「はいはい、お待たせしました。はい」ギターを持つ。

 

福子「さあ、ほな、私そろそろ」

坂本「待ってました~!」

 

ギターで「柔」のイントロが流れる。

柔

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♪勝つと思うな 思えば負けよ

負けてもともと この胸の

奥に生きてる 柔の夢が

一生一度を 一生一度を

待っている

 

うわ~! 朝から天童よしみさんの歌が聴けるなんて贅沢!

 

たこ芳

健次郎「町子が? 入院してんのに?」

俊平「そやろ? このおっさん、ええ加減なことばっかり言うて。町子さんがな、夜な夜なスナックで飲んでるわけあらへんがな。なあ」

貞男「いや、けどな『会うた』言う人がいてんねんで。『飲んで歌まで披露した』て。『サインまでしてた』言うねやから」

健次郎「サインなあ…」

 

スナック波止場

色紙に「文学一筋 花岡町子」と書いている福子。

マスター「ありがとうございます! もう、こら、一生大事にいたしますんで」

堀之内「マスター、お勘定!」

マスター「はい、分かりました」

 

福子「あっ、いや~、こないだもごちそうになってますし」

堀之内「何を言うてる! よろし、よろし! 僕らかてね、こんな有名な先生と一緒に飲めるだけで光栄ですわ。なあ」

坂本「なあ。おまけに玄人はだしの歌まで聴かしてもろて」

福子「いや~、もうそんな。そうですか? ほんなら今日もお言葉に甘えまして『忍法ごちそうさま』の巻!」

坂本「うわ~、かいらしいなあ!」

堀之内「先生、もう一軒、行こ!」

福子「あのね、私、あの…締め切りが迫ってますんで」

 

そんなことになっているとは知らない町子です。

 

↑今週はこのフレーズが多い。

 

夜、病室

新聞を読んでいる町子。

 

ノック

町子「はい」

片桐「おとなしいしてますか?」

町子「はい」

片桐「検温です」

町子「はい」体温計を手渡される。

 

町子「片桐さん」

片桐「はい」

町子「ちょっと聞かせてもろてもよろしいですか?」

片桐「はい」

 

町子「受け持ちの患者さんが亡くなったっていうことはありますか?」

片桐「あります。もう30年以上この仕事に就いてますから何べんもあります」

町子「何べんも?」

片桐「何べんあっても慣れるということはありませんね。けど、しかたないです。そういう仕事選んだんですから」

町子、うなずく。

 

片桐「だけどですね、やっぱり患者さんが元気に退院していかれることの方が多いんですよ。うれしいことにね。そうでなかったらとっくに辞めてます」

町子、笑顔になる。

今やってる「プロジェクトX」の再放送で、これ見たばっかり。終戦後の沖縄の各離島に派遣された公衆衛生看護婦のお話。島の人たちに来たら病気ということが周囲にバレると拒絶され、自分の家族を犠牲にしながら働き続けた。

 

片桐「花岡さん」

町子「はい」

片桐「まさかそっと病院から抜け出したりなんてしてはらへんでしょうね?」

町子「は?」

片桐「ないでしょうね!?」

町子「そんなこと絶対にありません」

 

片桐婦長が町子に手を伸ばす。

町子「ヒィ~!」思わずのけぞる。

片桐「体温計」

町子「はい。はい」

片桐婦長、体温計を見て笑顔でうなずく。体温計を振る仕草、懐かしいねえ。

 

朝、徳永家

玄関前で隆が自分の右手首を見ていた。

由利子「隆、朝ごはん。何してんの? これから練習でしょ? はよ、食べな」

隆「うん。すぐ行く」じっと手を見る。

 

待合室

掃除をしている鯛子と藪下。

鯛子「もう、そんなわけあらへんて。勘違いやて」

健次郎「おはようさん」

鯛子・藪下「おはようございます」

 

鯛子「先生。ヤブちゃんがけったいなこと言うんですよ。町子先生がどっかでお酒飲んでたって」

健次郎「えっ?」

藪下「いや、私が見たわけやないんですけどね、昨日、友達から電話あって『知り合いが扇町のスナックで花岡町子先生と一緒にお酒飲んだ』て」

健次郎「ひょっとして歌、歌てた?」

藪下「そうです、そうです。『上手でびっくりした』言うてましたもん」

健次郎「ふ~ん」

 

その翌日

 

病室のドアが開く。

亜紀「おばちゃん!」

町子「あら! まあ、みんな来てくれたの?」

隆以外の由利子、清志、登、亜紀が来た。

 

町子「いや~!」起き上がろうとする。

由利子「寝といて」

町子「あ…ハハハ」

 

登「元気?」

由利子「元気やないから入院してるんでしょ」

町子「元気よ。もう大丈夫。元気になったから。ありがとうね。あれ、隆君は?」

健次郎「野球の練習や」

町子「日曜日なんや」

 

健次郎「もうすぐ何やレギュラーの発表があるんやて」

町子「そう。大丈夫かなあ」

清志「うん。自信あるみたいやったで」

町子「ほなよかった」

 

亜紀「おばちゃんの部屋にいてた子、寂しがってたから連れてきてあげた」人形

町子「あらまあ亜紀ちゃんありがとう。おばちゃんの横に寝かせてあげて。ねえ、由利子ちゃん」

由利子「うん?」

町子「そこにほれ、果物あるんでしょ、そこに。かごの所に。切って、みんなで食べて」

 

由利子「私、切ってくる」

亜紀「私も切る」

由利子「行こか」

健次郎「うん、行っといで」

由利子「よいしょ。行こ」

子供たち、みんな病室を出る。

 

町子「健次郎さん。悪いけどちょっとお水飲ませてもらえるかな」

健次郎「ああ」

町子「はあ…。ありがとう」

健次郎「あのな」

町子「うん」

 

健次郎「あんたがお酒飲んで歌、歌てるいううわさが流れてんねやけどな」

町子「それ、どうなってんやろね」

健次郎「歌、ものすごう、うまいねんて」

町子「まさか健次郎さんまで私抜け出してるて思てんのやないやろね。なんぼ何でもそんなアホなことせえへんよ」

健次郎「いやいや、思てない、思てない。なんぼアホでもそこまでアホや思てへん」

町子「何べんもアホアホ言わんでよろしいでしょ」

 

健次郎「はいはい。安静にしてください」

町子「ねえ、ちょっと…。ああ!」

健次郎「何?」

町子「やっぱり疑うてるわ」

健次郎「いや、疑うてないて」

布団を頭からかぶってしまう町子にため息の健次郎。

 

台所にいた晴子。隆がユニフォームのまま台所へ。

隆「お帰り」

晴子「ただいま。レギュラーは?」

隆「来週発表」

晴子「ふ~ん」

 

冷蔵庫を開けようとした隆。「イッタ…」

晴子「どないしたん?」

隆「ううん、別に」右手を使わずに左手で牛乳瓶を持って冷蔵庫を閉める。

晴子「隆、ちょっと待ちなさい」

隆「何?」

 

茶の間

晴子「手、見せて」

隆「えっ?」

晴子「ほら!」

隆「痛い!」

 

晴子「けがしたんでしょう? 見せてみなさい」

隆「痛っ!」

晴子「ここ痛いの? ああ…筋痛めてるわ。治療せな。おいで」

隆「お願い、晴子叔母ちゃん、包帯なんか巻かんといて!」

晴子「え?」

隆「なっ、お願い!」

 

留守宅で起きていることをまだ何も知らない町子でした。

 

ミニ予告

福子「はあ…」

隆「はあ…」

町子「はあ…」

ため息三連発。

 

町子と福子の対面はあるのでしょうか!?