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【ネタバレ】岸辺のアルバム 第3話

1977/07/08 TBS

 

あらすじ

東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。

 

第3話

則子(八千草薫)は電話の男・北川(竹脇無我)と会ってしまう。則子は心のときめきを押さえきれずにいた。一方、息子・繁(国広富之)は則子が浮気しているのではと疑う。

2022.7.20 日本映画専門チャンネル録画。

Will You Dance?

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毎回、濁流に家が流される映像と雨の中にいる?家族がオープニングで流れる。山田太一さんの新聞小説が原作になっていて、結末まで分かっているからの映像なんだろうね。だって、以前見た「アナザーストーリーズ」だと、多摩川水害は、かなり終盤のエピソードだったはず。

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先週のおさらい

北川「私たちの関係にもし不自然なところがあるとすれば2人が会わないということじゃないでしょうか」

則子「会わないこと?」

北川「そうです。こんなふうに話している私たちが会わないということが一番不自然です。電話では話すけど会うのはイヤだというのは臆病すぎるんじゃないでしょうか。何をするわけじゃないんです。話をするだけです。それなら会ってもいいんじゃないでしょうか。会う方が自然なんじゃないでしょうか。電話だけのことにしてるから何か不自然な感じがするんじゃないでしょうか」

 

北川「渋谷の南平台にフィリッポという喫茶店があります。金曜日の2時から3時まで行っております」

 

北川「2時から3時までです」

 

北川「金曜日」

 

北川「お待ちしてます」

 

北川のセリフが流れる中、則子は渋谷のスクランブル交差点から喫茶店に向かって歩いている。セリフが多くてもいつも映像の中に動きがあるから退屈しない。

 

珈琲 フィリッポ

店内を見回す則子。男が立ち上がる。

則子「あ…あの…」

北川「北川です。お待ちしてました」

おさらいここまで。

 

北川「すいません、こんな所まで」

則子「いいえ」

北川「どうぞ」

則子「はあ」

北川「妙な…」

則子「は?」

北川「ハッ…妙な具合ですけど」

則子「ええ」

北川「はじめまして」

則子「はじめまして」

マスターが水を持ってきたので、則子はコーヒーを注文。北川はアメリカンをおかわり。

 

北川「どうですか? この店」

則子「ステキだわ」

北川「静かな所がいいと思いました。ただ、駅からあるし、坂道だし…悪い所を選んだかと」

則子「いいえ」

北川「あっ…それならよかった。毎日…暑いですね」ビシッとスーツ姿だしねえ。

則子「ええ、ハハ…」

北川「ハハ…。電話のほうが滑らかです。いけないな、気楽に雑談をしようというのにこれではいけません、ハッ…。よく来てくださいました」

則子「いいえ」

北川「きっかけは不自然でしたが、そういうことにこだわりなく来てくださる方だと思ってました」

則子「お話、面白いから」

北川「ハハハ…」

則子「フッ…。常連なんですか?」

北川「は?」

則子「このお店」

北川「いえ、2度目です」

則子「そう」

北川「そういう所のほうがいいと思って」

則子「ええ」

北川「大体、僕は行きつけの店というのがないんです。喫茶店でもバーでも顔を覚えられて、何々さんいらっしゃいなどと言われると途端に行く気がしなくなってしまう。ホッとできなくなってしまうんです」

則子「そういう人、少ないんじゃないかしら?」

北川「少ないでしょう、変わってるんです」

 

そう? 私は北川さんの言うこと分かるな~。今は多数派なんじゃないかとすら思う。毎日通っているコンビニの店員さんから「いつもありがとうございます」とか「いつもこれ買ってますよね」みたいに言われたら店変える。

 

則子「ホント。私となんかどうして話したいのか、まだ分からないわ」

北川「誰だって話したいと思うな」

則子「いくらでも若いキレイな人いるじゃありませんか」

北川「そんなふうに考えたことがありませんね」

則子「話題もあまりないわ。どうですか? 近くで会ったらガッカリしちゃったでしょ? 遠くなら多少まだマシかもしれませんけど」

北川「奥さんがそんなこと言うのは似合わないな」

則子「でも、そうなの。シャレたことなんかあんまり言えないし。きっとあなたが思ってる私と本当は随分違うわ」

北川「僕はずっと奥さんとこうやってお会いしたいと思ってましたし、お目にかかってなおさら、これから何度もお会いしたいと思ってます」

則子「フッ…雑談しましょう」

北川「あっ…ええ」

則子「モーツァルトよかったわ。教えてくだすってありがとう」

北川「いえ」

 

則子「ショパンなんかどうなんですか? キレイだななんて思ったことあるけど」

北川「そうですね」

則子「ピアノですね、ショパンは」

北川「ええ、ある人がショパンに聞いたそうです」

則子「ええ」

北川「どうしてオペラや交響曲を作らないのかって」

則子「ええ」

北川「ショパンは聞き返したそうです。あなたはなぜ空を飛ばないのかって。ハハ…作れないって言うんですね」

則子「そう、ハハ…」

北川「ハハ…」

コーヒーが運ばれてきた。

 

川田時枝の病室

ベッドで寝ている時枝の脇で病室の冷蔵庫に物を入れたり、片づけをしている則子。搾って飲んでもらおうとグレープフルーツを買ってきた。目を覚ました時枝は、則子になんか違ったみたいと指摘する。華やいでいる、どんなだった?と聞いてきた。

 

すごい二枚目だったと話す則子。ふざけた感じで悔しいと返す時枝。悪く想像していたけど驚くほどいい男だったと話す則子に、旦那よりいい男だった?と聞く時枝。タイプが違う。1時間半くらい雑談して、仕事も所帯持ちかも聞いていない。音楽や北海道の話をしていたと話す則子。素性も明かさないなんて怪しい、主婦売春のヒモかもしれないと言う時枝と笑い合う則子。

 

田島家

寝る前にお茶漬けを食べている謙作。寝しなに食うと朝、気分が悪いというもののガツガツ食べている。則子は麦茶を出しながら、こないだイヤな電話がかかってきたと話をする。エロ電話か?と聞く謙作。そんなものはどなってすぐ切れとアドバイス。今度かかってきたらという則子にどなって切ればいいと歯みがきを始めた。

 

翌日の昼、玄関掃除をする則子に電話の声が重なる。専業主婦というとソファに寝転がってテレビばっかり見ているという間違ったイメージが定着してしまってる感じだけど、則子は家にいる時は大体掃除したり内職したり忙しそう。忙しいんだよ、実際。

 

則子「もしもし、田島でございます」

北川「北川です。昨日はわざわざありがとうございました」

則子「いいえ」

北川「すぐにでもまたお目にかかりたくなるけど」

則子「そんな」

 

北川「月曜日あたりいかがですか?」

則子「月曜日はちょっと」

北川「じゃあ、火曜日」

則子「火曜日はあの…」

北川「じゃ、水曜日ならいいですか? 水曜日の2時から3時よろしいですね?」

則子「ええ、たぶん…」

北川「レコードをお持ちします。ショパンを」

則子「まあ」

北川「楽しみにしてます」

則子「あの…」

北川「すいません、急ぐんです。またかけます。さよなら」

 

何だか随分強引になったな。でも丁寧な口調は変わらない。

 

モスバーガーの隣はビッグジョン。繁はモスバーガーに一人で入った。注文はダブルバーガーにジュース。オレンジジュース一択か? レジにいる雅江に俺のことは諦めてくれよと話す。信彦は風邪で休んでいる。繁に「そうはいかないわよ~」という雅江。かわいいなあ~。席について食べようとしたが、外に信彦がいた。

 

店に入ってこようとしないので、ハンバーガーだけを持って外に出る繁。雅江に片づけといてと言う。ジュースもったいない。

 

信彦は「お前んちのおふくろな、浮気してるって」と言いにきた。渋谷の連れ込みなんかがいっぱいある喫茶店のほうからいい男と隠れるように出てきたところを山本のおふくろが見ていたという。怒った繁はハンバーガーを信彦の顔に当てて怒りを爆発させた。道端で殴り合いのけんかになる繁と信彦。店から出てきた雅江は「困るわ、私のために」。

 

女性店主がやっている喫茶店に入る繁と律子。律子はホットコーヒー、繁はアイスコーヒーを注文する。繁と席についても本を読み続けている律子。繁は本を読むのをやめるように言い、母の浮気疑惑を話した。喫茶店から男と出てきたと聞くと則子はあきれる。

 

繁「お母さんが男と喫茶店なんか入るって考えたことあるかよ」

しかし、律子はそれほど関心がなさそう。律子は聞いてみればいい、男と喫茶店に入る権利くらいあるという。繁は聞いて隠したら、ショックだと話す。

律子「お母さんに浮気する勇気なんかありゃしないわよ」

繁「浮気は勇気でするもんかね?」

律子「そうよ、そんなことも知らないの?」

 

そこに来店したのは繁の担任の堀先生。タバコを吸いながら、缶?を手に持っている。スプレー缶? 喫茶店に入るのにジュース缶ってのも?? 堀はスパゲティを注文し、カウンターに座った。近所に越してきたという。堀に律子を紹介する繁。カウンターに座りながら律子を見る目が嫌らしいぞ! 堀先生。

 

電車

律子に敏子という女性が突然話しかけてきた。仏文科の丘と名乗り、律子が英語が上手だということを知っていて、どんなふうに英語を勉強しているか聞いてきた。

 

大学

律子は毎日暇さえあれば英語を聞いている。FENを分かっても分からなくても聴く。

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律子はエフ・イー・エヌと言ってました。同じだよね?

 

英語の小説の割合優しいのを読んでいる。例えば、ヘミングウェー。

The Old Man and The Sea

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律子「新しがっちゃダメだと思うの。粋がってカート・ヴォネガット・ジュニアなんて持ってる人がいるけど、高卒程度でそういうのはよくないと思うの」

敏子はフランス語のカセットテープやラジオを聴けばいいとアドバイス。同じ1年生じゃないという律子。え~、律子って大学1年生なの!? すごい大人っぽい。繁とは年子か。ついでにいうと丘敏子役の山口いづみさんも大人っぽい。

 

丁寧な口調の敏子にあまり敬語なんか使わない方がいいという律子に「ステキだわ」とうつむく敏子。春から遠くからいいなと思っていたと「よろしかったら、今度の日曜、わたくしのうちへいらしてくださいません?」と誘う。律子はおどおどしすぎると敏子に言い、対等にお話できるなら伺うわと了承した。

 

田島家

ダイニングテーブルで繁は食事、則子は焼き物の本を見ていた。笑顔で「珍しいじゃない」と話しかける繁。則子は萩焼だと言って本を見せた。テレビでやっていていいなと思ったから買ったという則子に喫茶店に入ることある?と聞くと、入らないと否定する。一人でそういう所に入ったってしょうがないとコーヒーの値段を聞き、200円か300円と聞くと、もったいない、喫茶店なんて随分入らないわと改めて否定。繁の表情が変わる。

 

帰ってきた律子にそのことを話す繁。律子はワンピースを脱いで着替え始める。こういうシーンわざとらしくない? 視聴者サービス? 繁は背中を向けて話を続ける。なぜ隠すんだと言う繁。男と話したっていい、お父さんに荷物を届けたのかもという律子。お父さんだとしたら隠さない、大体いい男かよ?と引っかかる繁。律子は普通よりいい、モテると語る。

 

バー?

謙作と絢子がカウンターに座って飲んでいる。親から勧められた見合い相手に3つになる男の子がいた。会うまで知らされなかった。再婚の人とでなきゃ結婚できないでしょうか?と謙作に問う。絢子役の沢田雅美さんは「3人家族」のときは浪人生の役だったから、それから9年後だからアラサーくらい?

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そんなことはないと否定する謙作。

絢子「でも親はそう思ってます。お前はもうぜいたく言ってる年じゃないって早くしないと一生お嫁に行けなくなるって」

6人きょうだいの末っ子でどうでもいい存在だという絢子。京都大学を出て30で月給が手取りで22万で何が不足があると言われる。

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1977年 大卒初任給(公務員)91.900円の時代だそうなので、結構高給取り。

 

絢子が子供がいることを指摘したら「どうせ産むんだ」と返された。親からのそんな扱われ方も嫌なんだろうね。絢子は謙作を狙ってんのかな~? 

 

中田喜子さんも沢田雅美さんもその後、橋田ファミリーという印象が強いな。でも、沢田雅美さんは初期山田太一作品に結構出てるよね。

 

ダイニングテーブルの上の謙作の食事に布がかけられている。則子はテーブルに突っ伏して寝ている。

 

淡いピンクのワンピースを着て歩道橋を歩く則子。華やかになったな~。スカート丈が短くないのも清潔感があってよい。フィリッポで北川と再会。

則子「ごめんなさい、待ちました?」

北川「いいえ」

則子「これで4度目ね、待たせちゃったの」←あれから何回も会ってる!?

北川「2度は僕のほうが待たせました」

則子「急行逃すとすごく時間かかって」

北川「その代わりいいですか?」

則子「え?」

北川「帰りの時間を、えー…13分延長です」

笑顔になる則子。

 

則子を渋谷で目撃したという山本夫人に会いに行く。山本さんちは金物屋さんかな? 山本夫人が信彦の母に言った話を確かめたいと信彦が繁を山本夫人に会わせた。どうして母を知ってるのかという問いに、PTAで会うし、うちへ買い物に来てくれたこともあると答えた。そんな心配することないという山本夫人。喫茶店の名前も最初はしらばっくれるが、フィリッポだと教えてくれた。

 

フィリッポ

焼き物の本を広げて見ている則子と北川。

 

五反田駅がうつり、飲み屋街の小さな路地を敏子と律子が歩いている。「ごめんなさい、こんな所」と律子に謝る敏子。飲み屋街を抜けてうちへ来る前にここで話そうと公園に誘った。今から座るベンチをハンカチで拭く敏子。卑屈だという律子。

 

律子は秀才で英語が抜群でキレイで議論をするとものすごく回転が早いと仏文科でも評判だと敏子は言う。分からなくてもFENを聴くなんて偉いわと褒める。

律子「結局、語学って根気だと思うの。毎日やるかやらないかだと思うの」

律子の持っている本に興味を示す敏子。アップダイクの「Rabbit,Run」。翻訳と英語と両方並べて読んでいる。

これか?

 

英語が好きなのは事実だけど、それ以上に現実が嫌いなのかもしれない。何でもいいから目の前の世界から逃げるものが欲しいのかもしれないと本音を漏らす律子。

 

律子「大学に入ってガッカリしたの。大学の男の子たちって何かしら。子供っぽくてやぼくさくって荒っぽくて気が弱くて、ホコリ臭くて怠け者で不真面目でいいところ何もないじゃない。女性だってそうだわ。妙にクソ真面目だったり鈍感だったり感傷的じゃないかと思えば、やたらにオルガズムがどうとかって言いたがったり、展覧会からオペラまで、いい年してカタログとプログラムばっかり集めたり、お嫁に行くこと以外、未来のことは何も考えなかったり、講義はつまらないじゃない。目を開かれるような授業なんか何一つないじゃない。英語ならイライラしないで済むわ。言葉を覚えるときが一番静かな気持ちなの。草がグラースで石ころがストーンで公園がパークだって覚えることは機械的なことでしょ。その上、英語で呼んでみると周りのものが少しずつマシなような気がしてくるの。鉛筆をペンシルって呼ぶと、ふっと生活に味がついたような気がするの。フフ、滑稽ね。滑稽だけど他に夢中になれるようなものがないんですもの」

橋田ドラマじゃないけど、この頃から長台詞をこなしている中田喜子さん。

 

敏子「なんだか分かるような気がします」

敬語をやめるように言う律子。お宅がどんな所だって構わないと励ます。

 

公園の外には黒い高級外車がとめられていた。ありがとうと車の外に立っていた運転手に挨拶する敏子。車が止められないのでグルグル回ってもらっていたと律子に説明、車に乗せる。

 

敏子「この車、大きすぎるでしょ。日本の狭い道をこんな車で走るなんて悪趣味だって父によく言うんです。恥ずかしいわ」

マウントっていうの、こういうの!?

 

高級住宅街

玄関を入ると「おかえりなさいませ」と着物を着た女中が出迎えた。セットだからイマイチ豪華ではないけど広いかな。殺風景な部屋なんですと案内された部屋も豪華なソファセットがあり、ちょっと寒いかしらと調節?してるからエアコン付き?

 

本棚には洋書が並び、ラジオからは英語が流れる。律子が振り向くとにんまり笑う敏子。ラジオと止めてという律子に「偉いわ。分からないのに毎日聴いてるなんて」とニヤニヤ。

 

英語を知らないふりをするのが面白いからだと敏子は言う。「下手に出るといい調子でしゃべるからおかしくって。アハハッ!」おかしくなんかないと怒り出す律子だったが、「私、気の弱い子やるとうまいのよ、うまかったでしょ?」と悪びれずに言う。思わずビンタする律子。

 

男の子はすぐ引っかかって、敏子がペラペラ話し始めるとかわいそうなくらいポカンとして青くなったり赤くなったりする。ニューヨークとパリに住んでいたので英語もフランス語も堪能。

 

怒って部屋を出ようとする律子を通せんぼする敏子。帰国子女の苦悩を語る。異端者扱いされ、「てにをは」から発音まで笑われた。日本の秀才が嫌いだという。お門違いだという律子に「帰らないで」と止める敏子。すぐ泣く秀才が嫌だと言っていた敏子にとって強い性格の律子が気に入った!? なぜか打ち解けて笑う2人。

 

初めて話しかけた時もすごく丁寧な口調だからすごいお嬢様?と思わせていて、狭い飲み屋街の路地をあたかも自宅付近に思わせて、律子にかわいそがられたり…怖いわ。

 

フィリッポを訪れた繁と信彦。則子の写真をマスターに見せるが、マスターが考えてる間に飛び出してしまう繁。帰りの電車で浮気を否定する繁。親の気持ちなんて考えたことなかったと孤独なんだと母を慮る。

 

信彦から1000円借りてケーキを買って帰る繁。母と話をするつもりだった。驚かそうとそーっと家に入った。

 

電話中の則子。「フフフフ…ええ、おっしゃってた萩焼の写真集買ったでしょ。そしたら今度は伊万里もいいんじゃないかなあ、仁清もいいんじゃないかなあって。まあ、今度は何かしら、楽しみにしてるの。ううん、驚いてるの、なんでも知ってるんですもの。ええ、勉強してください、勉強して教えてください。ウフッ、あなたみたいな男性初めてだわ。ウフッ」

人の気配に気づいた則子は振り向く。そこには繁が立っていた。

則子「何よ、いきなり」

繁「いきなりって?」

則子「もしもし、ちょっと用事が。ごめんなさい。さよなら、ごめんください」と受話器を置く。

 

繁「しゃべってりゃいいじゃないか」

則子「なぜそっと入ったの?」

繁「なぜって…」

則子「いつもチャイムを鳴らすじゃない」

繁「そりゃそうだけど…」

則子「人の生活探るようなことしないでちょうだい」

そんな逆切れ…動揺しすぎ。

 

繁はケーキの箱をダイニングテーブルに乱暴において、自室へ。なぜ、あんなに怒ったんだ? 相手の男は誰なんだ?と考える。

 

今回は敏子のインパクトが強かったな~。おどおどしていい気持ちに律子に語らせといて、お金持ちの帰国子女とは。繁が則子の浮気に気付くのが意外と早かった。