徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】阿修羅のごとく

2003年 日本

 

あらすじ

昭和を代表する名脚本家にして直木賞作家・向田邦子の代表作を、「椿三十郎」(2007年版)の森田芳光監督が映画化。それぞれ葛藤を抱える四姉妹とその両親、一家を取り巻く人間模様を豪華俳優陣で滋味豊かに描く。昭和54年冬。竹沢家の三女・滝子(深津)は姉妹たちに、父 (仲代達矢)に愛人と子供がいることを告げる。母 (八千草薫)には内緒にしようと約束するが、娘たちも悩み多き日々を過ごしていた。長女・綱子(大竹)は妻子ある男性(坂東三津五郎)と不倫中。次女・巻子(黒木)は夫(小林薫)の浮気を疑い、潔癖症の滝子は内気な探偵(中村獅童)との恋に悩み、四女・咲子(深田)は売れないボクサー(RIKIYA)と同棲していたのだった。

peachredrum.hateblo.jp

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NHKのドラマ版が面白かったので録画しました。 

 

ドラマ版キャストと映画版キャスト

父・恒太郎 佐分利信仲代達矢

母・ふじ 大路三千緒→八千草薫

長女・綱子 加藤治子大竹しのぶ

次女・巻子 八千草薫黒木瞳

三女・滝子 いしだあゆみ深津絵里

四女・咲子 風吹ジュン深田恭子

 

桝川貞治 菅原謙次坂東三津五郎

巻子の夫 緒形拳(パート1)/露口茂(パート2)→小林薫

探偵 宇崎竜童→中村獅童

ボクサー 深見三章→RIKIYA

 

土屋友子 八木昌子紺野美沙子

赤木啓子 萩尾みどり木村佳乃

桝川豊子 三條美紀桃井かおり

緒形(綱子の見合い相手) 益岡徹

里見洋子 荻野目慶子(パート2)→長澤まさみ

ナレーション…加藤治子

 

NHKドラマ版で次女の巻子だった八千草薫さんが四姉妹の母に、長女の綱子だった加藤治子さんがナレーションを務めています。内容はドラマ版の1と2を合わせたもの。

 

阿修羅。

インド民間信仰上の魔族。

外には仁義礼智信

掲げるかに見えるが、

内には猜疑心が強く、

日常争いを好み、

たがいに事実を曲げ、

またいつわって他人の

悪口(あっこう)を言い合う。

怒りの生命の象徴。

争いの絶えない

世界とされる。

 

綱子や巻子はドラマ版のイメージと近い感じがするなー。綱子(45)、巻子(41)、滝子(29)、咲子(25)。舞台はドラマ版と同じ昭和54年だそうですが、テレビとかは古臭いけど、服装や髪型はわりと今っぽく見える。特に深キョン

 

巻子の家に綱子、滝子が来る。巻子の夫・鷹男は鏡開きをしようとしている。ひび割れた餅を見て、母のガサガサのかかとを思い出し、笑い合う綱子と巻子。餅を小さく切ってかき餅を作り、つまみながら、後から来た咲子も合流し、滝子が代官山で父が面倒見てる女性と男の子がいるのを見てしまった。

 

滝子は興信所に頼んで証拠写真まで持っていた。巻子は見たくないと否定し、咲子と滝子はケンカ。鷹男は母の耳に入れないこと、と言った。

 

綱子と巻子と滝子は50万で手を切ってもらおうと、女性を見かけた公園に行った。巻子は女性と向き合っても会釈ですれ違うだけしかできず、3人はそば屋に入った。

 

巻子は鷹男にお父さんのことを任せたいとお願いした。

 

後日、巻子が綱子の家を訪ねると浮気相手といるところを目撃した。なぜ何も聞かないの?と綱子は責めるが、巻子は鷹男が浮気していることを知っているため何も言えなかった。浮気相手の貞治と食べようと頼んでいたうな重を巻子と綱子で食べようとしたが、巻子が配達員とぶつかって偏ったため、綱子が取り替えてあげると取り合いしているうちにひっくり返した。ここ、ドラマと全然違うのね。

 

ホテルのロビーで鷹男と探偵の勝又と会っていた。鷹男は義父が娘たちから軽蔑されるからなかったことにしようと提案する。そこに現れた滝子は戸籍謄本を取り寄せて、父が面倒を見てる男の子が父の子でないことを知り、安堵。

 

咲子はボクサーの男とつき合っていて、お母さんにだけ話があると電話をした。それを聞いた巻子が母に父の面倒見てる女性のことを話すのではと咲子のアパートを探す。咲子を問い詰めると、彼のことを話しただけだと言われた。

 

滝子の働く図書館を訪ねた父・恒太郎。滝子は女性のことを思いきって尋ねる。

 

綱子の浮気相手は料亭の旦那で、そこの花を活けていたが辞めさせられた。大竹しのぶさんと料亭の女将の桃井かおりさんってすごい組み合わせ。

 

綱子はその料亭で偶然、鷹男と秘書の赤木啓子に出会った。赤木啓子ってここで出て来るか。ドラマ版で綱子と啓子って会ったことあったっけ?

 

咲子は恒太郎と陣内のボクシングの試合を見に行った。陣内は脳震盪を起こし、倒れた。

 

滝子は勝又に告白された。

 

咲子が倒れたと聞き、巻子が咲子のアパートまで送っていくと、陣内は浮気相手の女性と一緒だった。咲子は陣内の減量に気を使って、一緒に減量をして倒れてしまったが、陣内は浮気相手とラーメンを食べていた。

 

図書館で勉強する勝又。

 

酔って帰って来た鷹男に水を差し出す巻子。「うちの水が一番うまい」という鷹男に「どちらと比べておいしいの?」と尋ねたが答えなかった。咲子は巻子の家に居候することになった。

 

急な雨に滝子に傘を差し出す勝又。

 

咲子は陣内と同棲したアパートに戻り、赤ちゃんが出来たと告白した。喜ぶ陣内。

 

昭和54年夏

遊園地。男の子に「パパ」と呼ばれている恒太郎。

 

咲子が巻子に電話をしてきた。すっかりおなかの大きくなった咲子は新聞に巻子が投書したと思い込んでいた。

 

 姉妹(きょうだい)というものは、ひとつ莢(さや)の中に育つ豆のようなものだと思う。大きく実り、時期がきてはじけると、暮しも考え方もバラバラになってしまう。うちは三人姉妹だが、冠婚葬祭でないと、滅多に揃うことはない。ところが最近、偶然のことから、老いた父に、ひそかにつき合っている女性(ひと)のいることが判ってしまった。

 老いた母は何も知らず、共白髪を信じて穏やかに暮らしている。私たち姉妹は集まってはため息をつく。私も夫もそろそろ惑いの四十代である。

 波風を立てず過ごすのが本当の女の幸せなのか、そんなことを考えさせられる今日この頃である。

 

鷹男も読んで、巻子が書いたのだと思った。

 

綱子を訪ねる貞治。綱子はこのままずるずるつき合うのは嫌で戸を開けなかった。巻子は綱子に電話をかけるが、投書を書いたのは滝子じゃないの?と言われた。

 

縁側で爪を切っていた恒太郎に母のふじは新聞を広げた。エプロン姿のまま、巻子が駆けつけ、新聞を読まれないようにした。

 

勝又はアパートが火事になり焼け出されてしまった。証拠品も焼けてしまったが、滝子の浮気調査がつき合うきっかけだったのが嫌だったからこれでいいんだという。勝又の役作りが…うーん…。

 

陣内は新人王になり、CM撮影。咲子もインタビューに応じた。

 

滝子は、実家に勝又を連れていった。そっかー、ここで来るのか。ふじは婦人会の集まりで不在。恒太郎と滝子と勝又の夕食で、勝又は浮気調査していたことや滝子と結婚するつもりのあることを話した。恒太郎はひとり笑い出した。実家に泊まった滝子は夜中になって布団を恒太郎の隣に運んだ。

 

入院した鷹男の病室を見舞った巻子。啓子と鷹男がキスしそうな距離に見えて慌ててドアを閉めてしまった。帰ろうとした啓子は巻子と同じジャケットを着ていた。あったあった、このシーン。

 

陣内と咲子は結婚。ダーツをしていた陣内の視界がぼやけている。

 

巻子は自分のことと重ね合わせるように鷹男にふじの話をした。ここでいきなりのラブシーン。巻子はガサガサかかとではなかったのか。

 

実家に来ていた滝子は恒太郎に勝又と結婚することを伝えた。式はどうすると問われ、滝子は咲子には来てもらいたくないという。恒太郎は、滝子と咲子の不仲は勝又にしこりが残ると言った。

 

滝子と勝又の結婚式。滝子の結婚式には陣内夫婦も派手派手な衣装で出席。陣内は照明が暗すぎると言ってふらついて倒れ、巻き添えに倒れた勝又を見た滝子は「もう帰ってよ!」とキレた。しかし、恒太郎は勝又に自分の紋付を着るように言った。式の最中も陣内はふらついていた。

 

咲子の家に行った巻子。陣内はオレンジを花瓶に投げ込んでいた。陣内は入院。巻子と咲子は病院の屋上で話し合う。陣内の母は出てこなかったね。

 

茶店。相変わらず子供と会っている恒太郎。子供は恒太郎の顔を描いていた。

 

実家で鍋をする滝子と勝又。ほのぼの。滝子たちはそのまま実家暮らしになったんだっけ?

 

ある日、鷹男は啓子宛ての電話を巻子にかけていた。慌てて電話を切る鷹男と浮気を確信した巻子。

 

綱子の家に貞治の妻・豊子が夫が来てないか聞いてきた。うわー直接対決。豊子は銃を取り出し、綱子に向けた。豊子が持っていたのは水鉄砲で綱子にあてて、泣きながら帰っていった。綱子の後ろに隠れるばかりの貞治に愛想を尽かした。

 

綱子、巻子、咲子は実家でふじや滝子と白菜を漬けた。ふじは買い物に行くと言って出ていき、四姉妹は今後のことを話し合う。

 

咲子に陣内が倒れたと知らせが入り、一人出ていった。陣内のことを知らされてなかった滝子は驚く。

 

鷹男が綱子のために見合い相手を探してきた。見合い相手は益岡徹さん。株の話ばっかりしている。綱子は見合いの席を抜け出し、ホテルのロビーで見ず知らずの学生に貞治を呼び出させ、電話を替わると今すぐ会いたいと言った。結婚しようと迫る貞治に、このままでいいという綱子。

 

陣内は頭を包帯ぐるぐる巻きにされて入院し、咲子は恒太郎に泣きついた。恒太郎は人払いをし、咲子は裸になって陣内のベッドに入った。

 

昭和55年 正月

恒太郎とふじのもとに姉妹が集まった。

 

巻子とふじが外食。巻子とふじが別れた頃、恒太郎は喫茶店で友子に「(別の人と)結婚します」と別れを告げられていた。

 

巻子は帰り道、以前、恒太郎と浮気相手の女性を見かけた公園に行った。そこにいたのはふじ。ふじは巻子ににっこり笑いかけ、倒れた。

 

ふじが入院した病室に四姉妹が集まっていた。あとから駆けつけた恒太郎を巻子と滝子が責めた。擁護する鷹男。恒太郎は相手が結婚することを話した。みんな病室から出ていき、恒太郎は「フラれたよ」と言いながら、涙を流した。

 

咲子はあるとき、買い物に行って万引きをしてしまう。おー、この役咲子が! スーパーの店員が咲子が陣内英光の妻だと気付き、強請ってきた。ドラマの方が万引きどころかもっと過激だったよな(-_-;) ドラマだと鷹男の浮気で不安定になり、万引きしたのが巻子、咲子は行きずりの男と関係を結んだ。

 

鷹男の会社で急に会計監査が入ることになり、急遽旅館にこもることになった。ちらし寿司をおすそ分けに持って来た滝子は、巻子の子供たちに食べさせるが、いつの間にか子供たちの姿は消えていた。

 

咲子が巻子の家に脅されてると電話をしてきたが、滝子が電話を受けてしまい、滝子が陣内の病室にいるスーパーの店員を撃退した。

 

巻子は鷹男が泊まっている旅館に行くと啓子に会い、啓子から結婚すると聞かされた。

 

綱子と貞治はぐずぐずとまたつき合い始めた。

 

実家では着物姿でテーブルを拭いていた滝子を「母さんそっくりだ」という恒太郎。

 

家族そろって墓参りに行き、ひとりひとり墓に手を合わせる。鷹男は墓に手を合わせながら「女は阿修羅だよなあ」とつぶやく。

 

家に帰り、四姉妹は母の得意料理の茶碗蒸しを作ろうと言いだした。綱子が耳の奥がガサゴソすると言って耳かきを探させた。咲子は母のタンスから封筒を見つけ、毎朝新聞から送られたペンを見つけた。あの投書はふじが書いたものだった。笑いながら、泣き出す姉妹。

 

将棋をする恒太郎と鷹男を見て、笑う四姉妹だった。(終)

 

ドラマだとパート1で母は亡くなってて、父が独りだと危ないからって勝又が暮らし始めたんだよね。だから、映画みたいに滝子が両親と暮らすというシーンはなかった。

 

キャストはドラマ版とイメージが近くて面白かったけど、端折った部分も多くてちょっとだけ物足りなさも感じたかな。八千草薫さんの出番が少ない。ドラマ版の恒太郎が持っていたおもちゃを投げつけるところが見たかったなー。