明日放送💼#千葉泰樹 監督
— 日本映画専門チャンネル (@nihoneiga) July 8, 2025
「#鬼火」未ソフト化📀
◆7/9(水)よる8時~ほか
東宝「#ダイヤモンド・シリーズ」第1弾💎#加東大介 初主演作✨
あわせて初の悪役に挑戦💪
ガス会社のまじめな集金係が
貧しい人妻に欲情したことから起きる悲劇を描く👤
音楽は #伊福部昭🎼https://t.co/miLdys0DGl pic.twitter.com/gLBJfRZHBL
1956年 日本
あらすじ
ガス会社のまじめな集金係が、貧しい人妻に欲情したことから起きる悲劇。加東大介が初の悪役に挑戦し、本作での千葉泰樹監督との出会いが「大番」シリーズへとつながった。ガスの集金人、忠七(加東大介)は料金滞納を繰り返すひろ子(津島恵子)の家を訪ねる。ひろ子は病気の夫(宮口精二)を抱え、ガス代はおろか食費にさえ事欠く暮らしをしていた。美しく豊満な肢体のひろ子に欲望を抱いた忠七は、取立てを見逃す代わりに肉体を要求する。
2025.7.9 日本映画専門チャンネル録画。映画としては短い46分!
加東大介さんは今年7月で没後50年。「鬼火」は初主演作。
蔵出し名画座なので川本三郎さんの解説付き。昭和30年代、映画の黄金時代を迎えて各映画会社は製作本数を増やした。東宝では「ダイヤモンド・シリーズ」と銘打ち、上映時間は短いが、人気作家の作品を原作とする中身の濃い芸術作品を作るようになった。今日のミニ・シアター系映画といえようか。
そのシリーズの第一作。原作は吉屋信子。監督は戦前から活躍している千葉泰樹。主演が、それまで傍役専門だった加東大介なのが新鮮。そのあと千葉泰樹監督による獅子文六原作の「大番」シリーズでも主演に抜擢され、代表作になる。
東京の下町、深川あたりが舞台。ガス集金人の加東大介が、病気の夫を抱えて生活の苦しい女性、津島恵子の弱みにつけこんで関係を迫る。市井の貧しい女性の悲劇を淡々と描いてゆく。津島恵子がやつれた美しさを見せ、悲劇がいっそう際立つ。
製作者の東宝のプロデューサー、佐藤一郎は、戦後、永井荷風と親しく、荷風の日記「断腸亭日乗」にもその名が記されている。昭和34年に荷風が没した翌年には、追悼の意をこめて、荷風の代表作「濹東綺譚(ぼくとうきだん)」(豊田四郎監督)を映画化した。
東宝株式会社
気の毒なのは
此の人たちの運命であった
世間には ふとしたことから
その人の一生を
左右することが
ありがちだ……
―作者―
鬼火という筆文字のタイトルが燃えた!
製作: 佐藤一郎
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脚本: 菊島隆三
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音楽: 伊福部昭
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ひろ子: 津島惠子…字幕水色
忠七: 加東大介…字幕黄色
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修一: 宮口精二
水原: 中村伸郎
水原家の女中: 中田康子
松田しげ: 清川玉枝
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吉川: 堺左千夫
吉太郎: 笈川武夫
水原の妻: 三條利喜江
アイスキャンディー屋: 佐田豊
寿司屋の親爺: 如月寛多
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押し売り: 廣瀨正一
鈴木孝次
榊田啓二
上遠野路子
岩本浩司
熊谷二良
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監督: 千葉泰樹
セミの鳴き声がする。アイスキャンディー屋の自転車が通りかかり、道端で休んでいた忠七がキャンディーを求めた。もう彼岸だってのに暑いじゃねえかって言ってるから、9月か。白黒だけど季節は真夏かと思ったよ。
忠七は徒歩で各家を回るガス会社の集金係。ある一軒家には廊下に猫だけがいて不在。台所にそのまま財布が置いてあるのに気づき、鍋をかぶせて家を出た。すぐあとにその家を訪ねてきた男が家に入ろうとしたので、この家は留守で鍵がかかっていると教えると、帰って行った。
忠七の前に女性が現れ、家に入ろうとしたので、忠七が戸締りをちゃんとしなくちゃダメだよと注意。ガスの集金だというと460円払った。女性は料金を払った後、一旦、奥へ行き、猫を抱っこし、タバコを1箱、忠七に渡した。かわいい猫だな~。
別の家を訪ねた忠七。吉太郎は忠七の顔を見るなり「すまねえが、みそかにしてくんな」。月末ってことか。「俺だよ、伯父さん」と玄関先に上がり込むと、忠七と気付いた。親戚だったのか。本当に吉太郎の近所の担当になり、成績がいいから難しい地区をまかされたのだという。難しい=貧乏人が多い!?
吉太郎は露店の商品を扱っているが景気は悪い。忠七はすぐ手元にあった商品を手慣れた感じに作っていく。忠七の月給は下宿代で手いっぱい。かかあももらえず、マゴマゴしてるうちに頭のほうが薄くなってきたとぼやく。
吉太郎の家の前の路地に豆腐屋の自転車が通りかかり、下着姿みたいな格好の女性が豆腐を買っていった。いやらしい目つきで見ている忠七に吉太郎は若いんだからと笑う。
一服して一回りするかとタバコを取り出す忠七。吉太郎は「日の丸」を吸う忠七に「結構ぜいたくしてるじゃねえか」と驚く。「好きなタバコまで倹約してたんじゃ生きててつまらねえよ」と忠七はどや顔し、5~6本取りなよと分けた。さっき、もらったやつじゃないの~!?
忠七は扇子であおぎ、汗をふきふき歩き、道路工事している人たちの間を通り抜けた。あれ? 忠七が歩く目の前に大きなガスタンクらしきものが…木下恵介アワーに時々出てくる建物に似てる気がする。
さらに歩いていると同じ集金人の吉川と出会う。この先に安直な店があるから昼飯にしないかと誘われ、あと1軒でこの辺が相済みになるから先行っててくれと、吸っていたタバコを道端でもみ消した。
水原 欣吾
江東生活相談所
電話・江戸川(65)7826番
水原家を訪ねた忠七。ヤカンの火がかかりっぱなしで煮こぼれ、奥に女性の脚がチラ見え。一度は帰ろうとしたが、覗き見ようとし、梅という若い女性が出てきてびっくり。次に着物の前がはだけた水原が出てきて、覗き見を注意し、名前を聞く。忠七は頭を下げるが名乗らずにいると、上司の名前を教えろという。それでも答えない忠七に営業所にかければ分かると言われ、何度も土下座して謝る。
梅は「奥様は今、お里のほうへいらしてます」と電話対応していた。忠七は2人の関係(主人と女中)に気付き、思わずニヤついてしまい、水原に注意されるが、水原には明日来いと言われ、その場を去った。
吉川と合流した忠七は、吉川に笑われた。忠七は「こっちは汗流して働いているのに事もあろうに真っ昼間から女中を手込めにしやがって、どっちが下劣だい」と怒っていた。なぜペコペコ謝ったのかと自分のことながら情けなく感じた。
吉川は何度も目撃したことがあるというのでお茶を噴く忠七。「君が出くわさないだけだよ」と吉川は平然とし、女中や未亡人などいろいろだという。食堂は50円。ちっとも安かないと吉川に文句を言う忠七。
地図を見ながら吉川と歩く忠七は一軒家の前に立った。吉川は逆さになっても鼻血も出ない家だと言い、コレが長いこと寝たっきりでねと親指を立てる。しかし、行かないわけにはいかないと雑草だらけのでこぼこ道を進む。
家はまあまあ大きいけどボロ家。建付けの悪い戸を開けて、声をかけた。ひろ子といううつむき加減の女性は、もう少し待っていただけないでしょうかというが、忠七はこんなにため込まれたんじゃ立場がないとあきれる。寝たっきりの病人のために薬を煎じているので、今払えないけど、ガスは止めないでくださいと頼む。
タバコを取り出す忠七。日の丸という銘柄じゃなく、ラッキーストライクのことを日の丸というのか。
箱がそんな感じに見えた。
ひろ子はガスの火でマッチに火をつけ、忠七のタバコに火をつけた。どうすればいいか聞くひろ子に「ど…どうすればって、おめえ、娘っ子じゃあるめえし」といやらしく笑う忠七。「分かってるじゃねえか」というと、ひろ子はマッチ箱を落とした。
ひろ子は病人がいるからここではいけませんというと、今夜、俺んち来なよと誘う。ガスは立て替えとくといい、自宅住所を教えた。吾嬬町(あづまちょう)の停留所の前の水菓子屋で聞けばすぐ分かる。産婆の2階。来たら寿司ぐらいおごるぜと電車賃を渡して帰ろうとしたが、ひろ子の姿を見て、帯ぐらいしてきなよと注意して帰った。
台所に忠七の名刺を置くひろ子。夫の修一が奥からひろ子を呼ぶ。
銭湯で体を洗う忠七。寿司屋が♪夫は妻をいたわりつ~と歌っている。隣に座る肩や背中に入れ墨の入った男が寿司屋なの!? 忠七は更に念入りに髭を剃る。
化粧をするひろ子。恥ずかしがりながらも忠七の家を訪ねた。いい帯じゃねえかと褒める忠七はひろ子に酒を勧めると、逆に酌をしてくれた。上品に寿司を頬張るひろ子に今夜泊まってもいいんだろと迫るとまんざらでもなさそう…という妄想を風呂屋でしていた忠七は髭そりを失敗し、痛がる。
ヤニ下がってたぜと寿司屋に指摘されると、上寿司2人前を注文した。
寿司が届き、応対したしげが寿司なんか取らないよと驚く。2階だというので、上寿司食べるカネがあったら下宿代の方、入れてちょうだいと忠七を責めた。先月分を払ってくれなきゃここを動かないと座り込むが、忠七は女の客が来るのだと言ってニヤついた。
ひろ子は忠七の言葉を思い出しながら、雑炊を作り、修一に食べさせた。出かけるというひろ子に夜だったらごまかせるよと自分の帯を差し出す修一にひろ子は涙を流す。
寿司も食べずにひろ子を待ち続ける忠七。しげは出かけるので下頼みますよと出かけて行った。もう来ないものと思い、寿司をつまむ。「おやじ太鼓」でもそうだけど、やたらワサビがきいてる仕草するよね~。
ひろ子が訪れ、電気を消してと希望するので、真っ暗な部屋でひろ子を待つ忠七。あんまり遅いから、どうとっちめてやろうかと考えてたとこだ、だって。キモ!
ひろ子の夫はカリエスで7年寝込んでいる。
それ以上、聞くことはできず、忠七は布団を敷こうとすると、ひろ子は終電車までに帰りたいということと、ガスは止めないでくれますねと念を押す。忠七は伝票を見せると言って、文机の上のライトをつけると、ひろ子が昼間の着物のままでいることに気付いた。おめかししてないひろ子にドン引き。
それでも布団を敷き始めた忠七。ひろ子は黙ってうつむいていたが、しげが帰ってきて「お茶でもいれてあげようか」と声をかけたところで部屋を飛び出してしまった。しげはフラれたんだねと笑い、忠七もチェッと枕を蹴とばし、酒をラッパ飲み。しげは2階に上がってきて、寿司をつまむ。
寝転がった忠七は、しげの尻を触る。おえっ! 誰でもいいのか!
しげは例え気があっても、一度や二度は嫌なようなふりをするものだと要らぬアドバイスを送る。
家に帰ったひろ子はガス屋のうちへ行ったけど、何もなかった。取り返しのつかないことをするところだった、そんなことをするくらいならとっくの昔に闇の女になっていたと語る。虫、鳴きやんじゃったなと話を逸らす修一。
ひろ子は修一の腕をもむ。「俺たちって不幸だなあ」と修一がつぶやき、ひろ子の手が止まる。修一の目から涙が流れていて、ひろ子も泣いた。
翌日、水原家を訪れた忠七。通り過ぎたチンドン屋が演奏してたのは「お富さん」か?
梅が対応したが、水原は不在。水原の妻が梅に「旦那、昨日、うちにいたの?」と聞く。忠七は今時分うちにいたのだとニヤニヤしながら答えた。
また吉川と再会し、忠七は、ひろ子の家に向かった。外から覗くとガスの火がついている。もったいないことしやがってと戸を開けた忠七は「こんちは」と声をかけながら家の中へ。布団で寝ている修一に声をかけても応答なし、そのまま奥へ行くと、ひろ子がガス台の前で首を吊っていた。
悲鳴を上げ、修一の顔をよく見ると、修一も死んでる!?
メチャクチャ深刻なシーンなのに自分の顔に手をあてた加東大介さんの手がムチムチでかわいい…とか思っちゃった。
それはどうでもよくて「堪忍してくれ!」と何度も叫びながら、家をようやく飛び出した忠七は叫び声を上げながら走り去った。
ガスの火が燃えてるところで終。
最後、急にホラーになった! 短いけど、よくまとまってて面白くはあった。ひろ子がそのまま帰ったところがよかった。手込めにされてああなるよりはいいでしょ。
ちょっとしたスケベ心で人が2人死ぬって怖い~。
そうそう、加東大介主演の「南の島に雪が降る」で渥美清さんが如月寛多を名乗っていたけど、寿司屋さんが如月寛多さんだったのね。
加東大介、宮口精二といえば「七人の侍」なんだろうね。感想は残してないけど、10数年前に見た。あと、「日本のいちばん長い日」でも共演してたな。
朝ドラなどで戦前に男でも女でも1人暮らしするシチュエーションが出てくるけど、ホントの昭和30~40年代前半の映画やドラマだと男1人だと家事ができないから賄いつきの下宿に住むのが当たり前って感じ。
「3人家族」で会社勤めだった耕作が定年退職後に保険の集金人に再就職するというエピソードがあったから、年寄りの仕事だと思ってたけど、そうでもないんだね。いろんな人がいるから男性のほうが向いてるんだろうな…んで、セクハラめいた事案もあったりしたのかなあ…?