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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(102)「いつか光が...」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

健次郎(國村隼)の診療所に、南野福子(天童よしみ)の母、きぬ子(鳴尾よね子)が診察を受けに孫と一緒に来るが保険証がない。以前の診察でも保険証がなく、今回は福子が保険証を持ってくるはずだったが、現れた福子は保険証が見つからないという。次回必ず持ってくることを健次郎と約束する。一方、隣町のスナックで夜な夜な、作家・花岡町子を語って客にごちそうになり、お金も借りていた福子のことが健次郎たちにバレる。

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昨日の振り返り

晴子「手、見せて」

隆「痛い!」

晴子「けがしたんでしょう? 見せてみなさい」

 

隆の様子にいち早く気付いた晴子です。

 

隆「痛っ!」

晴子「ここ痛いの? ああ…筋痛めてるわ。治療せな。おいで」

隆「お願い、晴子叔母ちゃん、包帯なんか巻かんといて!」

晴子「え?」

隆「今、けがしてんの分かったらレギュラー絶対外される。なっ、お願い!」

途中ナレーションが入ったり、セリフが増えたり減ったりしてるけど振り返りここまで

 

隆の右手首に包帯が巻かれている。

健次郎「アホか、お前は! けがしとんのに無理して練習なんかして! 動かへんようになってしもたらどないすんね! 明日、ちゃんと監督に言いに行け」

 

茶の間のテーブルで向き合う健次郎、晴子と隆。

隆「え…あかん! 絶対、来週までに治るから!」

晴子「完全に治るかどうか分かれへんのよ。今日一日無理して使てたんやから」

隆「そんなん! せっかくレギュラー目指してやってきたのに…」

健次郎「けが治す方が先や。ちゃんと正直に自分で言いに行け。ええな?」

 

病室

健次郎「アホや、あいつ、ほんまに! 土曜日に痛めて、そやのに日曜日また練習して余計痛めてしもたんや」

町子「大丈夫なの?」

健次郎「うん…」

町子「ありがとう」健次郎がいれてくれたお茶を受け取る。

 

健次郎「さっき見たら『ようこんなんで我慢しとったな』いうぐらい腫れとったわ」

町子「どないしてもレギュラーになりたかったんやね。一生懸命練習してたんやもん…」

健次郎「どいつもこいつも頑固でむちゃするやつばっかりや」

町子「申し訳ございませんです。で、隆君、どないしてんの?」

健次郎「今、ふて寝しとるわ。『監督にはちゃんと報告せい』て言うてあるけどな」

町子「かわいそうに…」

 

診療所に例の患者が再びやって来たのは、その翌日でした。

 

受付

健次郎「『あれへん』て?」

藪下「はい」

健次郎「この前も保険証なかったんやろ? 『次持ってくる』て言いはったから保険加入の料金で計算したんですけど…」

 

待合室

麗子「お母ちゃん!」

きぬ子「福子!」

 

福子「あ…お世話になってます。あの、保険証なんですけど、引っ越しの時にね、あの、どっかに紛れ込んだみたいで…。あの…次必ず持ってきますから」

健次郎「分かりました。見つかりしだい保険証持ってきてくださいね」

うなずく福子。

健次郎「あっ、それとちょっと中の方へ」

福子「え?」

 

診察室

健次郎「心臓がだいぶ悪なってはります。で、検査入院をお勧めしてるんですけど、できるだけ急いだ方がいいと思います。場合によったら手術の必要があるかもしれませんし」

福子「検査…手術…。あの、それ、病院代ていくらぐらいかかるんでしょう?」

健次郎「まずは、あの検査なので5,000~6,000円ぐらいですね」

福子「!」

健次郎「ご本人が何か嫌がってるみたいですね。まあね。怖いもんやから、みんなそうなんですけども、できるだけ急ぐように娘さんの方からも」

福子「はい…」

 

待合室

笑い声

きぬ子「これ! もう、麗子!」

麗子「そうかてお医者さんやのに藪下さんやて…。『医者でヤブとはこれいかに!?』」歌舞伎っぽい動作。

鯛子、藪下笑う。

 

健次郎「どないしたん?」

藪下「先生、この子には負けますよ、面白うて」

麗子「お母ちゃんの方が面白いねんで。漫才師やねんもん」

藪下「へえ~!」

健次郎「そうか」

福子「そんな余計なこと言わんでよろし! もう漫才師やないねん」

麗子「え!?」

 

きぬ子「あんな、あの、ばあちゃんな、お薬もろて帰るよって、あんた、お母ちゃんと先一緒に帰っとくか? なっ」

福子「外で待ってるわ。あ…お世話になりました」

健次郎、藪下も頭を下げる。

 

福子と麗子、徳永医院の外へ。

麗子「なあ、お母ちゃん、漫才やめたん?」

福子「そうや。もうやめた」

麗子「何でやめたん?」

福子「ええやん! なっ」

 

配達用自転車で通りかかる貞男。

福子「あっ、すいません。ちょっと…ちょっとすいません」

貞男「はいはいはい…」

福子「あの、お尋ねしますけど、ここ、ええお医者さんですか?」

貞男「いや、そら、もう名医名医! 町内で徳永先生のこと知らんかったらもぐりやな!」

福子「へえ~」

 

貞男「あっ、ほら、あの週刊誌なんかで読んだことおませんか? カモカのおっちゃん」

福子「えっ!? あの小説家の花岡町子先生のお宅ですの!?」

貞男「そうです! あの、何か?」

福子「あ…いえ」

貞男「もう、よろしか?」

福子「はい」

貞男「ほな」

福子「すいません」

貞男「よいしょ!」自転車をこぎ出す。

 

福子「どないしたん? あんた」

麗子「何でやめんの?」

福子「『何で』て…。何でもや!」

麗子、しょんぼり。

 

たこ芳

俊平「町子さんを?」

一真「そや。うちのお寺へ来はった人の知り合いがな、スナックで飲んだて!」

貞男「町子さんをかたってんのか?」

りん「!」

一真「こら、ほっとかれへんで!」

俊平「そうでんな」

貞男「そやなあ」

一真「どないする?」

 

そして、その夜のうちに…

 

スナック波止場

一真「ほな、何ですいな、その花岡先生、夜な夜なここに来ると?」

坂本「いや、そうですよ。あの、昨日の晩もね」

俊平「ええ加減なこと言うたらあきまへんで!」

堀之内「何がええ加減やねん! 失礼やな、あんた! マスター、ほら! こうしてサインかてちゃんともろてあるがな」

 

一真「『文学一筋』?」

貞男「その人は確かに花岡町子さんですか?」

坂本「週刊誌の写真と一緒の顔や!」

堀之内「話も面白いし、カモカのおっちゃんの話もちゃんとしてくれはった」

 

一真「ほう…」

貞男「そしたら、その先生はいつもあんたらにごちそうになって、で、そのお礼として歌を歌てると」

坂本「その歌がプロ並みの歌なんやな!」

堀之内「もうそれ聴いたら、飲み代、食事代、こんなんいっこも惜しいことあらへん! なあ!」

 

俊平「(色紙を一真に見せる)本物やろか?」

一真「アホ!」

俊平「え?」

一真「町子さんが『文学一筋』なんて書くかい!」

貞男「そや」

一真「こら、完全になりきった別人やで。なあなあなあ、あんたら、お金貸してへんやろな?」

堀之内「え?」

 

俊平「貸してまんのか!?」

堀之内「いや、飲み代ぐらい…。ちょっとだけでっせ」

坂本「いや、あの…僕はあの『銀行行かれへんかって現金あらへん』言わはったから、こないだちょっとだけ」

マスター「坂本さんも?」

坂本「マスターも!?」

 

一真「ほ~ら、見てみ! だまされてからに!」

堀之内「何を言うてんね! あのな、あの人はそんな人やないで! 『必ずちゃんと返す』て言いはった。何やったら本人に確かめよか?」

貞男「あのな、あのな、いや、当の本人は今、入院してて、それどころやないんや」

 

福子「こんばんは!」

坂本「あ~、来はった!」

堀之内「先生!」

貞男の顔を見て、慌てて店を出ていく福子。

 

俊平「逃げた! 追え追え!」

椅子から転げ落ちるなどドタバタ。

俊平「アタタタタタタ…」

マスター「けがおまへんか? 大丈夫?」

 

一真「あっ、今の人か?」

堀之内「そうですけど…」

俊平「えっ? おお、どやった?」

貞男「いや~、あかん。逃げられた」

一真「そうかあ…」

 

貞男「今の女、どっかで見たことあんねんけどな…」

俊平「え?」

貞男「待てよ…。あっ、あの時の!」

一真「え?」

 

茶の間

健次郎「あの人か…。ほんで『ごちそうになったお礼に』いうて歌を?」

貞男「ほんまに歌うまいらしいわ」

俊平「話も面白いねんて。『忍法ごちそうさま!』って言うらしいわ」やり切ってて面白い。

一真「やて…」

健次郎「まあ、そら、漫才師らしいからなあ」

 

一真「そんなにのんきなこと言うてる場合かいな! お金貸してる人間もおるんやで!」

健次郎「お金?」

一真「うん! 顔見たらな、似ても似つかへんねんで。何であんなんにだまされんねやろな、ほんまに~」

俊平「警察言うか? いや、診察に来たんやったら住所分かってるやろ」

健次郎「いや、あの、警察なあ…」

 

由利子「あ…(一真たちに頭を下げる)。あの、お父ちゃん、隆がいてへんねん」

健次郎「いてへん?」

 

パジャマ姿の清志、登、亜紀も茶の間のテーブルにつく。

 

健次郎「ああ、そうですか。そちらにも、はい…。いえいえ、あの、こんな夜分にすいませんでした。失礼します」受話器を置く。

 

由利子と一緒に電話帳を見る健次郎。

貞男「健さん!」

健次郎「おう。どやった?」

貞男「『夕方、グラウンドで見た』言う子がおったんやけどな、そのあとは分からへんみたいやわ」

健次郎「そうか…」

貞男「今、俊平さんとごえんさん、その辺、捜してるから見つかったら連絡するよって。ほな」

健次郎「ありがとう。すまんな」

 

由利子「野球の監督さんとこは?」

健次郎「来てへんのやて。『けがのこと言いに行く』言うて出たんやけどな、あいつ」

由利子「よう言わんかったんやろか…。おばちゃんとこは? 病院」

健次郎「晴子にちょっと電話してみて。僕、その辺見てくるわ」

 

病室

看護婦「あ~、ちょっとありますね」

町子「ああ…。あら、晴子さん。当直ですか?」

晴子「うん」

町子「え? 何か?」

晴子「今日、子供らお見舞い来た?」

町子「いいえ」

晴子「そう…」病室を出ていく。

 

町子「(小声で)ちょっと看護婦さん。看護婦さん」

看護婦「はい」

町子「ちょっとすいませんけどね、帰りしなにね、これパサッとポストに入れといてもらえます?」

看護婦「あ~、はい、いいですよ」

口に人差し指を当て、シーッとする町子が預けたのは切手の貼ってある厚みのある封筒。

 

再び病室を覗く晴子。「原稿? ここで書いたの?」

町子「はあ…」

 

夜の公園

ベンチに座っている隆。「はあ…」

 

別のベンチに座る福子。「はあ…」

 

同じ公園の近くのベンチに座っていた隆と福子。そろってまた「はあ…」。

 

そして…

 

茶の間

亜紀に布団をかける由利子。清志も登も待っている。

 

戸の開く音

由利子「あっ」

3人は玄関へ。

 

玄関

登「隆!」

健次郎「公園で座っとった」

由利子「もう…」

健次郎「ほら、みんなに何とか言わんか」

隆「ただいま」

 

由利子「『ただいま』て…」

健次郎「ええわ、今日は。風呂入れ。話は明日や」

由利子「おなかすいてんねやろ?」

隆「ううん。知らんおばちゃんにあんパンもろた。『これ食べたら、家帰りや』って」

 

健次郎「おばちゃんに? ちゃんと礼言うたか?」

隆「うん。『忍法ごちそうさま』って」

健次郎「え?」

隆「『そう言うねん』て教えてくれた」

健次郎「ああ…」

 

その日の夜遅くでした。

 

診察室

診察台にいるきぬ子。

麗子「おばあちゃん、おばあちゃん! 大丈夫?」

健次郎「急に苦しみだしたのか?」

麗子「晩ごはん食べたあと…」

健次郎「お母ちゃんは?」

麗子「待ってても帰ってけえへんから…」

健次郎「大丈夫や」頭ポンポン。

 

由利子「お父ちゃん」

健次郎「うん?」

由利子「大丈夫?」

健次郎「ああ、なんとかな。あのな、由利子、この子に何かあったかいもんあげて。それとな、晴子叔母ちゃんの病院に電話かけてベッドに空きがあるかどうか確認して」

由利子「はい。こっちおいで」麗子を連れていく。

 

きぬ子「先生、すんまへんな…」

健次郎「痛み、どうですかね?」

きぬ子「だいぶ楽になりました…」

健次郎「医者、行かへんかったんやね」

きぬ子「すんまへん…。私ら、保険料滞納してて。私の方も体がこんなやさかいに働けしまへんしな…。娘は『芸人やめて、ほかの別の仕事する』言うてまんねんけどなあ、やっぱり未練があるらしいて、やけみたいに毎晩飲み歩いてて…」

 

福子「お母ちゃん! お母ちゃん、大丈夫か? お母ちゃん…」

 

病室

町子「はあ…。熱出てきたんかなあ。はあ…」

 

自分のいない間にいろいろなことが起こっているのを何も知らない町子です。

 

ミニ予告

町子「『忍法ごちそうさま』!」

 

福子と対面するのかな? 町子は原稿1本仕上げたから、また調子が悪くなったのかな。明日はどんな結末を迎えるのか楽しみ。