徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】岸辺のアルバム 第2話

1977/07/01 TBS

 

あらすじ

東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。

 

第2話

則子(八千草薫)は男との会話を楽しむようになっていた。一方、則子の息子・繁(国広富之)はハンバーガーショップの店員・雅江(風吹ジュン)から交際を申し込まれる。

2022.7.13 日本映画専門チャンネル録画。

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やっぱりこのオープニング、今見てもいいなあ。

Will You Dance?

Will You Dance?

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朝、田島家

謙作に繁を怒ってもらうため、則子が繁を起こす。朝から何を…という謙作に、夜は疲れてイヤ、おとといは酔ってた、その前の日は酔った上に2時だった。日曜はゴルフに出張といつも不在だから朝言ってもらうしかないという則子。

 

謙作はテーブルの上の薬に手を伸ばしたけど、赤いキャップに黄色い粒のアリナミンかなあ? スポンサーだったのかな?

 

起きてきた繁にかけた言葉は「分かってたらしっかりやるんだ。顔洗って勉強しろ」だけ。則子は私が言ったって感じないから頼んでるのにと不満げだが、18にもなれば自分の責任、ほっとけばいい、仕事がそれどころじゃない、うちのことで余計な思いさせるなと出かけていった。昭和のザ・サラリーマンという感じ。

 

友達の信彦と多摩川の河川敷で語らう繁。一日中勉強していてもできないのは俺のせいじゃない、頭の問題、親のせいじゃないかと愚痴る。爆笑問題田中さんの言う「俺が悪いんじゃない、俺の脳が悪いんだ」を思い出した。

 

田島家

律子が出かけるとき、則子が玄関前でゴミ出ししてるけど、ゴミ袋が米袋みたいな分厚い茶色の袋に見える。律子はこのところ家で夕飯もろくに食べない。翻訳研究会で忙しいのだというが、あまり遅いのよくないわと則子は言う。

 

男性「信じていただけないと思いますが、私はイヤになるほど常識的な人間なのです。子供の頃から非常識なことはしたことがないと言っていいくらいなのです。しかし、一方でいつもそんな人生は情けなくないかという気持ちがありました。途方もないイタズラをしたり、狂ったような世界に首を突っ込んで夜も昼も分からないほど何かに溺れてみたいなどと思うところがありました。でも、自分は決して本当にはそんなことをしないだろうということも知っていました。ところが気が付くと、ほんの1~2度お見かけした奥さんに電話をかけようとしているのです。自分の中にこんな非常識な情熱があったのかと、この年になって自分を見直す気持ちになりました。勝手なことを言うとお思いかもしれませんが、こんな情熱を引き出してくださったのは奥さんなんです。電話だから言えるんですが、奥さんの美しさなんです」

 

昼間、窓拭きをしながら、男性の電話を思い出す則子。文章にするとキモイのにあの声で聞くと、あ~ら不思議。則子みたいにちょっとニヤニヤしちゃう。お昼、そうめんをすすりながら、テレビのお笑い番組を見て笑っている。

 

家の窓から河川敷でキャッチボールをしている男女を見て「どうしてあんなところでやるのかしら」と独り言を言う則子。「やな夫婦…やな夫婦」とつぶやくと、電話が鳴った。

 

男性「今、よろしいですか?」

則子「またですか?」

男性「10分ぐらいです。5分でもいい」

則子「でも、あの…」

男性「5分ならいいですか?」

則子「そりゃ5分ぐらいなら」

 

男性「何をなさってたんですか?」

則子「何って庭の雑草取ったり、洗濯物取り込んで、アイロンかけなきゃいけないでしょ。スーパーにも混まないうちに行きたいと思ってたし」

男性「忙しいんですね」

則子「忙しくないみたいで忙しいの。ウフ」

 

男性「音楽なんかお好きですか?」

則子「音楽?」

男性「コンサートなんかいらっしゃることありますか?」

則子「ずっと前ね、結婚前」

男性「どんなものがお好きですか?」

則子「知らないのよ。チャイコフスキーとかそういうのをちょっと、ウフ」

男性「そうですか」

則子「あなた、お詳しいの?」

男性「詳しくはありませんが好きです」

則子「そう、例えばどんな人?」

男性「やはりモーツァルトでしょうか」

則子「知らないのよ、あんまり。『魔笛』とか『ジュピター』とかそういうの名前だけ」

男性「レコードなんかは?」

則子「たまに買いたいと思っても何を買っていいか分からないでしょ。迷ってやめてしまうの」

男性「じゃあ、絶対推薦というのをお教えしようかな」

則子「ええ、そうね」

男性「今度かけたとき『またですか?』なんて言わないでいただけますか」

則子「あら」

男性「これでも傷ついているんです。これからは前置きなしで雑談させてくださいますか?」

則子「ええ…」

男性「レコード番号お教えしましょう。書くものおありですか?」

則子「ええ、ちょっと待ってください」

 

モスバーガー

信彦と繫がハンバーガー片手に雑談している。繁の話はレーサーは貧富の差が激しく、修理工場に勤めていてだんだんレーサーになったヤツと親からドーンとすげえの買ってもらったヤツで一緒に走る。あいつやっちまおうと2~3台で金持ちの息子狙って…と話すが、信彦は話に乗ってこない。

 

信彦はカウンターから店員の雅江がさっきからずっと俺の方を見ていると繁に言う。「あのブス」とか言うんじゃねーよ。繁はお前に気があるんだよとからかうが、雅江の方から信彦たちに声をかけてきた。仕事中に信彦と繁の席に座りだす雅江。こんなこと女の口から言うの恥ずかしいと前置きしながら「つきあってほしい」といった。受験生で困ると信彦は言うが、告白の相手は繁。信彦は店を出てしまった。信彦を追いかけた繁は「俺はつきあわねーぞ」と大声で言う。

 

家に帰った繁は律子の部屋へ。ぶっきらぼうなしゃべりをする繁だが、告白されたことを自慢していた。律子の部屋を出ると、則子がいて、勝手に使って壊すと悪いからとレコードを聴かせてほしいとレコードを持っていた。プレーヤーは繁の部屋にしかないのか~。

 

昼間も1人でレコードを聴いている則子。また電話の男を思い出していた。

 

男性「チャップリンにありましたね」

則子「何が?」

男性「『街の灯』っていう映画です」

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則子「ああ。ええ」

男性「目の見えない娘がひどい姿のチャップリンをすばらしい男のように想像している」

則子「あなたもひどい姿なの?」

男性「ちょびヒゲでボロボロのえんび服です」

2人笑う

 

則子がスーパーで買い物している映像と電話の会話。

則子「でも、こんなふうにお話ししてると、やっぱり好奇心が湧くわ」

男性「会わないうちが華です」

則子「ホントに?」

男性「すれ違ったこともあるんです」

則子「ウソ、どこで? いつ?」

男性「駅前のスーパーの近くでした。でも、気が付かれなかった」

則子「ホント?」

男性「夕方、お買い物に行かれたら周りの男を見てください。事によると、その中にいるかもしれません」

則子「やだわ、スーパーのお店の人? そうじゃないでしょ?」

男性の笑い声

 

田島家

風呂あがり、ビールを所望する謙作。飲み過ぎを心配する則子がビール瓶を用意する。謙作は川田の細君(今、言わないね~)がすい臓炎で入院していると言った。急にものすごく痛がって、医者が来て、モルヒネを打ってやっと病院に運んだ。太っていた奥さんで暴れ出したら川田じゃ押さえが利かない。明日、お見舞いに行ってほしいという謙作。お盆にビールとコップを乗せて、寝室で飲み始める。

 

お前もどうだと同じコップにビールを注いでくれる。どっちか病気になるとえらいことだと話し合い、私じゃそんなに稼げないという則子にお前ならたちまち銀座の一流クラブでナンバーワンになれるという謙作。俺なら毎晩通うという話から、「来いよ」。おっ、この2人でこんな生々しいシーンが。

 

翌朝、川田の妻の見舞いの品でもめる夫婦。「バカ、食べる物なんかダメに決まってるじゃないか」という謙作に「じゃあ、花か何か?」と聞くと、「そんなことは自分で考えろ」と返す。もー、何でそんなケンカ口調なんだよー。

 

則子は、ピンクのカーネーションとカスミソウの花束を持って病室へ。太っているという川田の妻・時枝(原知佐子さん)はすっかりやせていた。あんまり知らない女優さんかと思ったら、金八先生の第2シリーズで石川祐子の母役やってた。あ~、雑誌の編集長だっけかな。則子は、時枝から声をかけられて初めて気付くほど見た目が変わっていた。点滴だけの生活でどんどん細くなっているという。

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謙作は40代の男…そうか~、40代で大学生の娘と高校生の息子がいてマイホームを持っていて、生活は安定。はあ~、理想的だね。

 

田島、川田、堀越は大学時代の親友で毎年夏に夫婦3組必ず会おう、スワッピングしよう(え?)と話し合っていたが、お互い仕事が忙しく、則子と時枝も3年ぶりの再会。

 

唐突に「浮気してる?」と聞かれた則子。すぐ否定する則子だったが、ノーセックスでつきあっている男性はいると告白。話だけで済む手があるといって、微笑む則子。

 

家で電話を楽しむ則子。

男性「見えない人間がいると思うときがあります」

則子「透明人間?」

男性「ハハハ…そうじゃありません」

則子「フフフ…ちょっとお待ちになって」立ち上がってカーテンを閉める。「ごめんなさい」

男性「いえ」

則子「心霊とかそういうことかしら」

男性「まあ、聞いてください」

則子「はい、フフフフ…」

 

則子がベランダの掃除をしたり、買い物したりの映像と音声が重なる。

男性「例えば、コーラスグループでヒット曲が出て急に有名になったグループがあるとします。ヒットしてるからしょっちゅうテレビにも出ている。ところが、中の1人が単独で現れると見覚えがない。言われて、ああそういえば、あの中にいたかなと思うグループの2人くらいの顔はすぐ浮かぶけど、その男の顔はさっぱり浮かばない」

則子「影が薄いっていうのかしら」

男性「そうかもしれません」

則子「顔が平凡なのかもしれないわ」

男性「私がそうなんです」

則子「テレビに出てらっしゃるの?」

男性「そうじゃありません、ハハ…」

則子「フフフ…じゃあ、平凡なところが?」

男性「影が薄いんです」

則子「声はよく聞こえるわ」

男性「かなりぶしつけに見つめていても奥さんは私に気が付きませんでした」

則子「また私を?」

 

1人夕食を食べている則子と電話の音声。

男性「昨日、電気屋にいらっしゃった」

則子「あら」

男性「出てきて本屋をのぞくようになさって、でも入らずにお宅のほうへ歩いていかれた」

則子「どこにいらっしゃったの?」

男性「電気屋の前では2mも離れていませんでした」

則子「ウソ」

男性「よほど声をかけようかと思いました」

則子「かけてくださればよかったわ」

男性「いいんですか? 声をかけてもいいんですか?」

則子「いいえ、やっぱり…電話だけのほうが」

 

ジュースやうどん、カップヌードルなどの自販機が並ぶ店? 

繁はうどん?を買い、信彦はコカ・コーラを買う。コカ・コーラの両脇はポッカと三ツ矢サイダーの自販機。ポッカのあの男性のイラストが懐かしい。信彦は横ばっかり向いているので、いつものようにしゃべれという繁。何だかんだ仲直りする二人。カップヌードルの隣はナボバーガーの自販機。今じゃレトロ自販機というのが現役の頃。その2人を笑いながら見ている雅江。かっわいいなあ。

 

ミシン掛けをしながらまた男性との電話を思い出す則子。

男性「音楽なんかお好きですか?」

則子「音楽?」

男性「コンサートなんかいらっしゃることありますか?」

 

男性「見えない人間がいると思うときがあります」

買い物帰りの則子がふと振り向く。

則子「透明人間? フフフ…」

男性「ハハハ…そうじゃありません」

 

家に帰って、服を着たまま髪を洗う則子。

男性「いいんですか? 声をかけてもいいんですか?」

則子「いいえ、やっぱり…電話だけのほうが」

 

夕食

繁から変な電話はどうした?と聞かれた則子は「あれっきり」だと答えた。繁はモテないヤツだろうと推測する。「よして」と止める則子。繁は人間モテなきゃダメだとかモテてるとか無邪気に話す。

 

昼間

またしても電話

則子「もしもし」

男性「こんにちは」

則子「こんにちは」

男性「いきなりですけど、昨日、銀座の小さな画廊で不思議な絵を見たんです」

則子「あの…」

男性「は?」

則子「いろいろ私考えたんですけど」

男性「何をですか?」

則子「こういうおつきあいって、やっぱりよくないと思うんです」

男性「どうしてですか?」

則子「やめようと思うんです」

男性「だからどうしてですか?」

則子「知らない人でしょ」

男性「もう知り合いじゃないでしょうか」

則子「でもお名前も知らないし」

北川「北川です」即答したー!

則子「不自然な気がするんです。お顔も知らない方とこんなふうに何度も電話でお話ししてるなんて、なんて言ったらいいのかしら…自分がイヤになるんです」

北川「そうですか」

則子「人がこういうことしてたら、どんなふうに…思うかって思ったんです。きっとなんか暗いような陰気な感じがするんじゃないかしら。どこの誰とも分からない人と何度もこんなふうにお話ししてるなんて、どっかおかしいと思うんです。失礼ですけど、あなたも普通じゃないと思うんです」

北川「確かに多少とっぴかもしれませんが、私は奥さんを見ています。美しいと思った。話ができたらどんなにいいかと思った。そして電話したんです。気持ちは自然です。もし不自然なところがあるとすれば2人が会わないということじゃないでしょうか」

則子「会わないこと?」

 

則子「会わないこと?」

北川「そうです。こんなふうに話している私たちが会わないということが一番不自然です。電話では話すけど会うのはイヤだというのは臆病すぎるんじゃないでしょうか。何をするわけじゃないんです。話をするだけです。それなら会ってもいいんじゃないでしょうか。会う方が自然なんじゃないでしょうか。電話だけのことにしてるから何か不自然な感じがするんじゃないでしょうか」

洗濯物を干したり、化粧をする則子。

 

北川「例えば新宿で渋谷でもいいです。あまりお宅に近くないほうがいいでしょう。銀座でもいい。会っていただけませんか? 会って雑談すれば私たちの関係はちっとも不自然じゃなくなるはずです」

 

則子が出かけたのは時枝の病室。時枝に話しちゃった! 時枝は会ってみればいい、どんなヤツか見てみればいいという。則子は会ったら脅されるんじゃないか、もっと若い人に声かけるんじゃないかなどと話す。気軽に会って、住所を聞いてしつこくされたら警察に言いますといってやればいいという時枝。

 

謙作のいる繊維機械部の看板を下ろして注文機械の手を広げるべきだと部下の中田に言われる。お得意様の整理をして半分の人間で済ますべきという中田にいいときはきっと来る、来させる、そのときに無駄だと思ったつきあいが全部実になるという謙作。中田の言うことに耳を貸さない。時代が違うんじゃないかと中田は言い残して会議室を出ていった。

 

夜、謙作も則子もそれぞれ別のことで眠れない。

 

中田「時代が違うんじゃないですか」

 

北川「渋谷の南平台にフィリッポという喫茶店があります。金曜日の2時から3時まで行っております」

 

「起きてるの?」と声をかけた則子に「余計な気を回すな」と答える謙作。

 

北川の「お待ちしております」という言葉を思い出す則子。

 

1977年の渋谷。スクランブル交差点? 街を歩く則子がスラッとしてきれいだな~。公衆電話から自宅に電話する則子。「湯沸し器の口火、消したかなと思って」と電話すると、繁が消えてることを確認してくれた。

 

フィリッポに入った則子。ハンドバッグと紙袋を持っている。店内をキョロキョロすると男が立ち上がった。キャーッ、竹脇無我様!

則子「あ…あの…」

北川「北川です。お待ちしてました」

則子が頭を下げたところでつづく。気になる~。

 

やっぱり言葉遣いが素敵〜。カッコいい〜。wikiには竹脇無我さんと津川雅彦さんの役が逆だったと書かれていた。則子役も当初、岸惠子さんだったそうで、八千草薫さん、竹脇無我さんどちらも不倫のイメージが全くないもんねえ。ドキドキ〜。