徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】岸辺のアルバム 第12話

1977/09/16 TBS

 

あらすじ

東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。

 

第12話

繁(国広富之)は勉強どころか、何も手につかなくなって荒れてしまう。久しぶりに一家4人が揃ったある日曜日、田島家は川岸に並んで家族写真を撮影するのだった。

2022.9.21 日本映画専門チャンネル録画。

Will You Dance?

Will You Dance?

ドラマが始まる前に「この番組は1977年9月に放送されたものです。番組中、一部に不適切な表現がありますが、作品の時代背景およびオリジナリティを考慮し、そのままお送りいたします」の注釈が出た。前も出たけど東南アジアの女性云々のところかな? 何がヤバいってみんなヤバく思えるんだけどな。

 

アパートの前を掃いている堀先生。先日から再放送が始まった「本日も晴天なり」のチャキチャキの江戸っ子とは大違いの津川雅彦さん。則子が訪ねてくるので掃除をしてたのか。もう卒業した生徒の母親が自宅を訪ねてくるなんて先生も大変。

 

則子は繁のことを堀先生に話していた。学校に電話したのか~。繁は黙り込んだり、怒ったり、突然大きな声で演歌を歌ったり、則子たちに突っかかるようになり、わざと階段をひどい音を立てて上がってみたり、勉強もしてないと相談する。

 

田島家

自室で大音量のロックをかけ、寝転んでいる繁。律子もたまらず注意するが、カセットデッキ(って言うんだっけ?)を止めただけで鍵は開けない。

律子「赤ん坊がすねるようなことしないでよ。男らしくないわよ。何よ、お母さんに突っかかって膨れっ面してドアは必ずバタンって閉めて…あなたね、ホントならもう大学生なんだから、あんまり子供っぽいこと…」

ドアが開く。

律子「ハァ…いいかげんにしてよ。何よ? 何が気に入らないのよ?」

繁「俺のことだと派手に怒るじゃないか」

律子「誰だって怒るわよ。あんな音立てて怒らない人間いるもんですか」

繁「親父やおふくろには怒らないんだな!」またドアを閉める。「何聞いたって怒らないじゃないか!」

律子「ハァ…あんたみたいに迷惑じゃないもの。大の大人が自分の責任で何したって勝手でしょ」

 

いつものスナック

タバコ吸ってる堀先生と繁。もう昔のドラマで見慣れてしまったけど、生徒の前でタバコ吸うって今だったらありえない光景だよね。堀先生から則子が何を言ったか聞く繁。受験勉強がつらすぎるのではないかという返答にそんなことじゃないという繁。謙作は繁を殴ると言っているが、繁がもっと頑固なところに入り込むのが怖くて則子が止めていると聞かされた。

 

堀「先生は殴ったほうがいいんじゃないかって言った。いい年して親を困らせるようなヤツは殴ったほうがいい。憂さ晴らしに親に当たる年じゃないだろう」

うちをメチャメチャにしてやりたいという繁に理由を尋ねるが、繁は言いたくないという。

堀「勝手な印象を言えば、君はぜいたくを言ってる。いいお母さんじゃないか。よくは知らないが、お父さんだって悪い人じゃないだろう。幸せだと思うね。浪人した君をうちじゅうで気にしてくれてる。カネの心配もない。自分の部屋だって持ってる。商売の手伝いをするわけでもない。うるさい音で困ってるっていうこともない。そんな環境はご両親のおかげじゃないのか。お父さんやお母さんが努力して今の家庭つくったんだ。その家庭を子供の君が壊すってことはこれは大変なことだ。どんな理由があるか知らないが、そんな権利、君にはないんじゃないのかな?」

繁「平穏ならいいんですか? うちってものは平穏無事ならいいんですか?」

堀「当たり前じゃないか。どんな家庭だって、ほっといて平穏無事なわけじゃない。努力してそうしてるんだ。家庭の平穏無事なんてもろいもんだ。例えは悪いが、お父さん病気になったらどうする? たちまち今のままじゃいられなくなる。君はすぐにでも働いて家計を助けなきゃならなくなる。大学どころじゃない。もろいもんだ。君がいらだって壊す権利はない」

繁「…」

堀「みんなね、やりくりしてようやく平和に暮らしてるんだ。平穏無事が気に入らないなんて、あんまり安っぽい不満じゃないのかな?」

 

律子も堀先生も大人だし、正論だね~。

 

夜、川の土手に佇む繁。

 

繁のナレーション「そうだろうか。食わしてもらってる僕に家庭を壊す権利はないのだろうか。お母さんが浮気をしても、姉さんが子供を堕ろしても、お父さんが東南アジアから女性を輸入しても黙って受験勉強してればいいのだろうか。確かに黙っていれば平穏無事だ。何も起こらなかったと思えば、そんな気がしてくるくらいだ。でも、それでいいのだろうか。平穏無事ならそれでいいのだろうか」

 

いや、いいと思うけどな~。

 

夜、田島家

則子と談笑している信彦。

則子「それじゃまるで女学校みたいじゃない」

信彦「ええ、気がつくと女ばっかりの教室に1人でいたりして」

則子「モテるでしょう?」

信彦「ええ、まあ、しつこいのがいたりして、もう…」

則子「あら、ウフフ」

信彦「ブスなんですけどね」←これこれ(^-^;

則子「まあ、フフフ…」

 

帰ってきた繁はそのまま2階へ。信彦も2階へ。則子から繁がノイローゼだと聞いた信彦が遊びに来てくれた。

繁「先生の次はお前だ。人を呼んで俺と向き合わねえように向き合わねえようにしてるんだ」

信彦「キツいこと言うなよ…。お母さん、お前が怖いとよ。何怒ってんだ?」

繁「お前はモテモテかよ」

信彦「バカ、モテるかよ」

繁「そう言ってたじゃないか」

信彦「ハハハ、聞いてたのか」

繁「俺のことなんか忘れやがって」

信彦「そう言うな、お前」

繁「電話したっていやしねえ」

信彦「だけどよ、お前だってよ、急に女が80%の教室入ってみろよ。男と会う気なんか全然なくなるって」

繁「よく言うよ」

信彦「ハッ、とにかくよ、お前、積極的なのがいてよ。すげえんだから、お前」

繁「フッ…コンニャロ」やっと笑顔を見せる。

信彦「ホントだって、今度会わせるって」

繁「コンニャロ」とふざけて殴る振りをしてるが、のろけやがってと泣きながら殴り続ける。

 

日曜日

庭に水をまいている謙作。台所にいる則子にうちじゅうで散歩しようと誘う。則子は繁が一緒に行くわけない、また大声でどなるの聞きたくないから、お父さん呼んでとすっかり恐れている様子。

 

謙作「知らん顔して誘えばいいんだよ。繁! 散歩行くぞ、散歩。律子も下りてこい」階段下から呼びかけるが、返事がなく階段を上る。「久しぶりにお父さん、日曜にいるんだ。散歩ぐらい行こうじゃないか。律子、散歩だ散歩」

律子「分かった」

謙作「あのコーヒー屋でまた飲もうじゃないか。繁? キャメラ、お前んとこか? 久しぶりで写真撮らないか? どうだ? 繁」反応がないのでドアを開けるとカーテンを閉め、布団で寝ていた。「繁。めったにこんな日曜はないんだ。みんなで散歩して写真撮らないか? うん? アルバム、随分、間があいた。起きないか。うん? キャメラ、お前んとこだよな?」

繁「お父さんの…」

謙作「うん?」

繁「うちのアルバムなんてインチキだもんな」

謙作「フッ…何がインチキだ?」

繁「アルバム見るといつも4人一緒じゃないか。いつも4人で仲良く笑ってるみたいじゃないか」

謙作「アルバムなんてのはそういうもんだ。どこのうちがケンカしてるときの写真を貼る。先生にうちが平和なのが気に入らないとか言ったそうだな。まあ…若いうちはそういうことでもイライラするのかもしれないが、ハッ…無理を言うな。平和なら結構じゃないか。おい、機嫌直して下りてこい。ん? どこにある? キャメラ。起きろよ、どこにある?」

繁「棚だよ」やっと布団から起き上がった。フィルムは入ってない。

 

だいぶ古くなったから買うかななどと話す謙作に去年、渋谷で則子が男と歩いているのを見た人がいると話す繁。謙作は大した動揺も見せず、一緒に歩いてたのは川田かもしれないと言い、そのまま部屋を出て行った。

 

土手

則子と律子の写真を撮る謙作。河川敷で犬と戯れている繁に家族写真を撮るように話しかける。

謙作「お前が一番、4人そろうのをいつも喜んだじゃないか」

繁「撮るよ」

謙作が中心に則子と律子の肩を抱く。

謙作「アルバム、1年ぐらいブランクだったからな。ニコニコニコニコ!」

則子「ご無沙汰しました、ウフッ」

謙作「ハハハハハ…」

シャッター音

 

繁「なぜあんなに笑えるんだ? 女房が男と腕を組んで歩いてたって聞いてなんとも感じないのかよ?」

 

素直に写真を撮るところが繁ちゃんらしいとこなのかもしれない。

 

モスバーガー

カウンター席でポテトを食べている繁。雅江が話しかけた。信彦が店に来て、繁がノイローゼだから電話かけてやれと言われたという。信彦は「このごろ俺は女に飽きた」と余裕を持っている。繁は人に言えることじゃないと言いつつ、雅江の家庭の事情を知ったので、則子の浮気のことを話す。前回も言ってたので知ってると答える雅江。しかし、客が来て話は中断。

 

雅江「いらっしゃいませ」

北川「えーっとね…」

北川の妻「私、やっぱりコーヒーにするわ」

北川の娘「私はモカシェーク」

くるっと振り向いた北川を繁は目撃! ホントに生活圏が近いんだね。北川は気付いてない。

 

雅江「いらっしゃいませ。ご注文、伺います」

北川「コーヒー2つ」

雅江「はい」

北川「チーズバーガー1つ」

雅江「はい」

北川「普通のバーガー2つ」

雅江「はい」

北川「モカシェーク1つ」

雅江「コーヒー、ツーにチーズバーガー、ワン。えーとハンバーガーがツーにモカシェークがワンでございますね。少々お待ちくださいませ」

妻「パパ、大丈夫? 1つで」

北川「大丈夫さ、フッ」

娘「帰ってビール飲めばちょうどいいわよ」

妻「やだ、太りだしたのよ。困るわよ、ビールばっかり」

北川「ハッ、ばっかりなんて飲んでないじゃないか」

娘「ママがそばから飲んじゃえばいいのよ」

妻「じゃ、ママが太るじゃないの」

北川「太ったほうがいいさ、ママは」

妻「やだ、こんな所で大きな声で。さあ」

北川「ハハ…」

北川の妻は娘を連れてテーブル席へ。

 

繁「あいつもインチキだ。和気あいあいじゃないか。浮気しといてケロケロしてるじゃないか」

 

北川は会計をし、商品を持って席へ。

娘「パパ、ここ」

北川「うん」

妻「あら、もう冷房効かせてるのかしら」

北川「そんなことないだろ、はい」

娘「風邪ひいたんじゃないの? ママ」

妻「そうかしら?」

 

北川の妻の水原英子さん。何か見たことあるなと思ったら、「二人の世界」では恒雄の憧れの年上女性・片桐弓子だった。20代後半でブティック経営。このドラマでは竹脇無我さんとは一緒のシーンはなかったような気がする。

peachredrum.hateblo.jp

 

繁「こんばんは!」

カウンター席から振り向いて声かけたー!

 

北川「こんばんは。ああ…こんばんは」

 

いやあ! 北川さんっていろんな意味ですごい。全く動揺の色を見せず、さらに繁に笑顔まで見せる。

 

繁「一家団らんですね」

北川「ああ、一家団らんだ。ハッ…じゃ」

妻「誰?」

北川「いや、ちょっと駅んとこでな」

妻「駅んとこで?」

北川「定期落としたの拾ってやったんだ」

妻「へえ」

 

北川さん、すげーや! 紳士で妻子にも優しく、バレずに浮気する人!

 

自動販売機コーナーの前にバイクに乗った青年が集まっている。中では雅江と繁がビールを飲んでいた。

雅江「あんたバカよ」

繁「どうして?」

雅江「ケロケロしてるって言うけど、心の中では分からないじゃない。一生懸命ケロケロしてるのかもしれないじゃない」

 

ケロッとしてるとかじゃなく、ケロケロっていう表現が面白い。

 

繁「そうかもしれないけど」

雅江「お父さんだってショック受けても子供の前でもめたくなかったかもしれないじゃない」

繁「うん」

雅江「親の浮気をもう一人の親に言うなんて最低よ」

繁「ほっとけばいいのかよ?」

雅江「当たり前じゃない」

繁「臭いものに蓋をして和気あいあいかよ」

雅江「ぶち壊してなんになるのよ?」

繁「インチキじゃなくなるさ。俺んちなんかインチキでいっぱいなんだ」

雅江「人間なんてそんなもんよ」

繁「あんたのお父さんはそうじゃないじゃないか」

雅江「最低よ」

繁「ちゃんとお母さんの浮気にショックを受けてるじゃないか」

雅江「浮気じゃないわ。飛び出してっちゃったんだもん。本気よ」

繁「それも立派だよ。コソコソ浮気して口拭ってるよりずっと人間らしいよ。ショックを受けて起き上がれないお父さんだって人間らしいよ」

雅江「帰ってみなさいよ。今頃お父さん、お母さん問い詰めてメチャメチャになってるから」

繁「そうかな?」

雅江「そうよ! よくそんなことができるわね。あんたの親、これで終わりかもしれないじゃない。帰んなさいよ。よくこんな所にいられるわね。あんたバカよ、1人で立派ぶって…大バカ野郎よ! 帰んなさいったら! 今頃お母さんあんたのおかげで追い出されてるかもしれないじゃない!」

 

雅江、最初のころは、すごいカンチガイ女だと思ったら全然違った。何で繁も雅江の父に感銘を受けたんだ。

 

家の前まで来た繁は、包丁を握って則子を問い詰める謙作を想像する。謙作が則子を刺し、謙作は自らの腹を刺す…。

 

鍵を開けて家に入ろうとした繁は則子の楽しそうな声を耳にする。

則子「フフッ、違うのよ、違うの、ウフフ…伊豆でやるんじゃなくて、伊豆へ老人ホームの人が行くでしょ」

謙作「うん」

則子「でもバスが大変で旅行できないお年寄りもいるわけ。そういう人たちを慰問するから歌でもなんでもいいから歌えって言うのよ」

謙作「それで『ソーラン節』か?」

則子「だって変に気取った歌、歌うなんてイヤらしいじゃない。思い切って『ソーラン節』」

謙作「ハハハハ…こっちが聴きたいな」

則子「やだ、とってもとっても…」

謙作「ハハハハハ…」

談笑している両親の声を聴いて苦々しげな表情をする繁。謙作にお父さんの相手しないか?と言われても、そのまま2階へ。

 

則子が月に3回、老人ホームに行っていると知り、見直したと笑顔を見せる謙作。

 

繁は律子の部屋へ。律子は編み物をしていた。

繁「男ができると編み物か」

律子「イヤな言い方しないでよ」

 

律子に両親がケンカしていたか聞くが仲良さそうにしていたと答え、繁は謙作に則子の浮気のことを話したことを律子に言った。お父さんに弱みがあるんじゃないかという律子。騒ぎにして何が面白いのよとここでも正論を言われる。

 

繁「インチキだからだ。姉さんもお父さんもお母さんもインチキだからだ」

律子「あんたはインチキじゃないの? インチキに食べさせてもらってる、あんたはインチキじゃないの? いいかげんにしてよ」

 

ダイニングでくつろぐ則子と謙作の前に繁が姿を見せた。

謙作「どうした?」

則子「どうしたの? いらっしゃい」

繁「お父さん」

謙作「なんだ?」

繁「気が狂ってるのかもしれないけど頭の中がいっぱいでどうしようもないんだ」

則子「何がいっぱいなの?」

謙作「何がいっぱいなんだ?」

繁「みんなのインチキだよ」

謙作「インチキ?」

繁「お父さんは仕事に誇りを持ってる?」

謙作「ハッ…なんだ? それは」

繁「質問さ! 仕事に誇りを持ってる?」

謙作「もちろんだ、仕事には…」

繁「お母さん! お父さんが何をしてるか知ってる?」

則子「何を?」

謙作「何をしてるっていうんだ」

繁「繊維機械なんて言ってるけどね、兵器作ったり東南アジアから女を輸入したりしてるんだぞ!」

謙作「繁…」

繁「女を輸入してクラブやキャバレーへ送り込んでるんだ! 誇りを持ってね!」部屋を出る。

謙作「繁!」

則子「繁ちゃん」

 

繁は階段へ。「お父さんはお母さんが何をしてるか知ってるか? 僕の言ったことウソだと思ったんだろ。ウソじゃないぞ! お母さんは男と何度もホテルへ入ってるんだ。渋谷の連れ込み行って聞いてみりゃいいさ。はいはい、その方はお得意様で…」

謙作「よさないか、繁!」

繁「もっと驚くこと言ってやろうか!」

律子「繁!」部屋から出て階段の上に立っている。

繁「そうだよ! 姉さんの番だよ!」

律子「バカなこと言わないでよ!」階段を駆け下りてくる。

繁「姉さんはね…姉さんはアメリカ人の男とできてて、ひどいことされて子供堕ろしたこともあるんだぞ」

律子「やめてよ!」繁をつかみ合いになるが、謙作が律子をよけて、繁をポカポカ叩く。

繁「殴ったって無駄さ! 俺を殴ったって消えるわけじゃないんだ!」

取っ組み合いになり、繁が謙作を殴った。今度は繁が謙作に馬乗りになり、殴りつける。

繁「これが俺んちさ、これが本当の俺んちさ!」

則子も律子も止めることが出できない。組み合って階段に殴り倒された謙作。

繁「俺を殴ってどうなるんだ!? お母さんだって!」

律子がなんとか繁を止め、律子は謙作を心配する。

繁「いいかい? これがホントの俺んちさ!」2階に駆け上がる。

 

助け起こそうとした則子を拒絶して部屋に行く謙作。則子は律子に聞こうとするが、律子は2階へ。

 

繁の部屋

繁「俺が悪いかよ? 俺が悪いかよ!?」

 

ひとり残された則子は謙作のところへ。謙作は繁を呼べと怒鳴りつけたが、則子は「繁が何を知ってるか知らないけど、もう終わったことなの。とっくに終わったことなの」と弁解。

謙作「終わってれば罪はないのか?」

則子「悪いと思ってるわ」

謙作「空々しいことを言うな」

則子「どうしたらいいの?」

謙作「どうしたらいい? 勝手なことしといてその始末を俺に聞くのか? 繁を呼べと言ってるんだ! 繁! 繁!」

 

階段を下りてきた繁と目が合った則子は繁を避ける。繁は謙作のいる部屋に行き、大学へは行かないと宣言。食わしてもらってちゃ言いたいことも言えないと明日家を出て働くという。

謙作「明日になりゃあ、何食わぬ顔してすねかじりに来るんだ」

繁「見てろよ、見てりゃいいさ」

謙作「お前は働くっていうことがどういうことか分かってないんだ」

繁「すぐそうやってもったいつけるんだ。働くってどうってことないじゃないか」

謙作「お前は働いてないじゃないか!」

繁「だから働くって言ってるだろ! 自分1人で働いてるみたいに言って、さも大変で難しくて神聖みたいに言いたがるけど」

謙作「そんなことは言わん」

繁「働くなんて大したことないじゃないか。女を輸入しなきゃ食ってけないってもんじゃないだろう。バカにして見てりゃいいさ。立派に1人で食べていくから見てりゃいいさ」

謙作「お母さんの…ことを聞こう」

繁「本人に聞けよ」

謙作「律子のこともだ」

繁「だから本人に聞けよ! 本人がいるのになぜ僕に聞くんだ? 本人に聞けよ!」部屋を飛び出し、階段を駆け上がり2階へ。

 

謙作は2階に上がり、律子の部屋へ。もう済んだことだから大騒ぎしないでという律子。乱暴なら立派な犯罪だ、泣き寝入りすることはないと謙作は言うが、制裁はしたと律子は答える。繁が殴り込みに行ったこと? 

 

ようやく忘れたので蒸し返さないでほしい、ほっといてほしいという律子に、つきまとわれているんどということはないんだな?と聞くが、中絶したことは生死に関わることだから親に話せという。

 

1階に下りてきた謙作は今度は則子と話をする。

謙作「相手の男のことはきくまい。聞きたくない。まだ続いているっていうなら別だが…」

則子「終わったことだわ、とっくに」

謙作「終わったことか。律子もそう言った。じゃあ、いつ始まって、いつ終わったんだ!? お前らは平然と俺をだました。お前らはいつも変わらなかった。律子のことは知ってたのか?」

則子「いいえ」

謙作「一日うちにいて娘のそんなことにも気がつかないのか」←一日うちにいてって嫌な言い方だね~。

 

正座して小さくなっている則子。

謙作「それじゃ…それで勝手をしてりゃ世話ない」

則子「痛そうだわ」

謙作「なんだと?」

則子「腰、痛そうだわ」

謙作「調子のいいこと言うな! 俺のことが心配か」

則子「心配だわ。何言ってもいい気なもんだと思うでしょうけど心配だわ」

謙作「話をそらすな!」

則子「横になってください。できたら明日にしてください」

謙作「そんなことがよく言えるな。大体、俺は明日何時に帰れるか分からないんだよ」

則子「休めないの?」

謙作「休む? なぜ休む? お前と話するために休めっていうのか?」

則子「ひどい顔だわ。アザになってるわ。腫れてきたわ」

謙作「腫れてきた? アザになってるか?」

則子「ええ…」

鏡を見た謙作。左目の下が赤く腫れている。

 

本業の繊維機械の久しぶりの大仕事が月曜日、正念場を迎えようとしていた。日曜はたっぷり休んで月曜は全力投球だと部下の中田や宮部と話していた謙作。

 

謙作は部長の俺がこんな顔で出るのはまずいと結膜炎の時に余分に買った眼帯を則子に探させた。この期に及んで仕事仕事と言ってる謙作に非難するような態度の則子を怒り、泣き出した則子を殴りつけた。もー! やめなさい! 謙作は部屋のものを投げつけ当たり散らす。

 

翌日

眼帯をした謙作が出社。「さあ、今日は契約ですよ、契約。がっちりトリオを組んで絶対駆け引きさせない線でいきましょうや、ハハハハハ…」

中田に目のことを聞かれると、結膜炎だと答えた。

 

田島家

繁は家を出て行こうとしていた。則子は裸足になって家を飛び出し、止めようとしたが繁は出て行った。家に戻った則子に律子はタオルを渡した。律子は則子と謙作がどうなったか聞き、則子は律子の体が何ともないか聞いた。

 

律子は相手の人のところに行くのか、お母さんがその方がいいなら応援するというが、則子はとっくに終わったことだという。家を出ていきたくないという則子。則子の浮気をかばう律子だったが、謙作を悪く言う律子を則子は止めた。

 

商談

カラ元気で話す謙作。途中から音声オフで主題歌が流れる。謙作は笑っているけど、両側に座る中田や宮部が手ごたえを感じてない表情をしてるのが何とも言えない。

 

則子はいつものように掃除機をかける。

 

修羅場。これ今の地上波で放送したら盛り上がりそう。やっぱり繁が非難されるかなあ。されるよねえ。別にやりようありそうだもんねえ。北川さんの平静さが恐ろしい今日この頃。