/#山田太一 による不朽の名作
— 日本映画専門チャンネル (@nihoneiga) October 4, 2022
最終回まであと1話☝️
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「#岸辺のアルバム」14話
◆10/5(水)よる9時~ほか
父・謙作(#杉浦直樹)が倒れ
寝込んでしまう…🛏️
繁(#国広富之)は見舞いに行くが追い返されてしまう😰
そんな中、律子(#中田喜子)が
結婚したいと言い出し…https://t.co/fQPxTxEdoB pic.twitter.com/1lcDvl1aFf
1977/09/30 TBS
あらすじ
東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。
第14話
謙作(杉浦直樹)が倒れ、寝込んでしまう。その知らせを聞いた繁(国広富之)は見舞いに行くが、追い帰される。そんな中、律子(中田喜子)が結婚したいと言い出し…。
2022.10.5 日本映画専門チャンネル録画。
ラーメン屋
繁は忙しく働いている。裏手で待っている信彦。客が空きはじめた時、5分だけと言って店を出た繁は、信彦から謙作が倒れたと聞かされた。繁は聞かされておらず、信彦は山本のおふくろから聞いた。
山本のおふくろ、情報通だな。渋谷で則子と北川を目撃したのもこの人。
信彦が家で昼寝していると、山本のおふくろと自身の母が繁が家出したことなどを話していて、繁には知らせてないと話していたのを聞いた。知らされてなかったことを悔しがる繁。しかし、その日、店はマスターと2人きりですぐ行けない…と場面が切り替わると、店にいたのは信彦。声が小さいとマスターに注意され、大きな声で「ありがとうございました!」。信彦、いいヤツ。
玄関を掃除している律子。繁は律子に怒りをぶつける。律子は謙作が神経痛だと言った。
寝室で寝ている謙作。こういう寝たきりの状態で布団ってきついだろうなあ。介護ベッドならなんぼ楽か。布団の傍らには杖。繁が顔を見せた。
繁「俺、まだ家出はしてるんだよ。でも、こういうときは特別じゃないか。4日も寝てるんだって」
こういう出来事があった時、地方人としては東京住まいっていいなあって思っちゃう。
謙作は全然動けずにいる。脊椎分離症。則子は薬を取りに行っている。
謙作「男がデカいことを言って、うちを出てったんだ。こんなことで戻ってきちゃダメだ」
繁「見舞いに来たんじゃないか」
謙作「『お前には知らせるな』とお母さんに言った」
繁「どうして?」
謙作「お前は見舞いにかこつけて、ずるずる戻ってきちまうようなところがある」
繁「誰が戻るかよ。よくそんなことが言えるな」
謙作「いいか。お前の優しさは欠点でもあるんだ」
繁「自分のことは分かってるさ」
謙作「受験勉強だって、今日はお母さんがつまらなそうだ、今日は友達がなんだかだと…すぐ切り上げたそうじゃないか」
繁「今頃言われたくないね」
謙作「男はこうと決めたらつまらん人情なんか無視して一直線に行かなくちゃダメだ。お父さんの見舞いになんか来なくていいんだ」
繁「そうかよ」
謙作「家出したヤツが簡単にひょこひょこ戻ってきてどうするんだ」
繁「そうかよ、お父さんは強いからな」
謙作「ああ、やるときはやったぞ」
繁「やるときやってがむしゃらに働いて神経痛かよ!」
謙作「なんだ、その言い方は!」
繁「お父さんはお母さんや姉さんが何してたって僕が知らん顔で勉強して大学入っちまったほうがよかったのかよ! それが男の強さだっていうのかよ。そんなの全然ついていけないね。俺は周りでなんかあればドキドキするし見舞いに行くし、そういう人間のほうが立派だと思うね。人のことは無視してただ一直線に行けば男らしいのかよ!」
謙作「そういうところがなきゃ実社会はのしていけないと言ってるんだ!」
繁「よく言うよ! のしてた父さんが女を輸入して病気で倒れてりゃ世話ないよ! 誰がこんなうち、ずるずる戻るもんか!」
繁は部屋を飛び出し、謙作は布団をギュッと握りしめる。
夕方
則子「どなるなんてムチャだわ。神経痛は心因性の高い病気なんだから安静にしてるようにって言われたじゃない」
謙作「あいつにはあのくらい言わなきゃダメなんだ。すぐけろってして帰ってきちまうんだ」
則子「せっかくお見舞いに来たのに…」
謙作「ほっとくんだぞ。あいつにとっちゃ大事なときだ。どこまでやれるか突き放したほうがいいんだ」
則子「分かったわ」
謙作「電話で優しいことなんか言うんじゃないぞ」
則子「言わないわ。とにかくイライラしたり、怒ったりするのが、一番いけないって言われてるのよ」
膝の下の布団がずれてると則子に直させる謙作。
則子が寝室を出て、台所に戻るとダイニングテーブルで新聞を読んでいた律子が笑顔を向けた。「こう何から何までお母さんの世話になるんじゃ怒ってばっかいられないじゃない。いいとき病気になったわ。お母さん、助かったわよ」
則子「そんな言い方しないで」
律子「無念だろうなあ、お父さん。せっかくお母さんに貸しをつくったのに途端に倒れて世話になりっぱなしじゃ威張るチャンスなくなっちゃったじゃない」
則子「あなた、ホントに言われたことしかしないのね。ここにお鍋があったら洗っといてくれたっていいでしょ」
律子、無視して新聞を読み始めるが、ドアチャイムが鳴る。
訪れたのは宮部。府中まで用事で来たという。
宮部「島田製作所が不渡りを出しましてね」
謙作「やったかい」
宮部「若社長、府中の親戚へ逃げ込んでんですよ」
謙作「貸しはなかったんだろう?」
宮部「ええ。泣きつかれて人を紹介して敗戦処理です」
謙作「そう」
宮部「これはどうも景気の悪い話ばかりで…」
謙作「うん」
謙作の病状は一時は腰をえぐられるようだったが今は落ち着いている。脊椎分離による座骨神経痛。飲まないから内臓にいい。月末には張り切って行くと言ったものの、また腰が痛みだし、則子を呼ぶ宮部。
八月
穏やかな多摩川の風景。
謙作は相変わらず布団に横になっている。
お昼になり、起き上がる謙作。
則子「無理しないで」
謙作「無理ぐらいするさ。いたわってると、この病気はキリがない」
則子「焦ってもいけないわよ」
謙作「1人で行くからいいよ」
則子「そう?」
謙作「とにかく1か月以上も冗談じゃないよ」
ドアチャイムが鳴る。帰ってきたのは律子で「あら、お父さん頑張ってるじゃない」と声をかけ、2階へ。アルバイトに行くというわりにはしゃいでることを気にする謙作。
則子「半分遊びのつもりでしょ」
謙作「そんな気で行くと顎出すぞ。カネ払ったほうは出した分だけ使おうとするからな」
則子「それだって楽しいのよ。山中湖のホテルのウエートレスなんて、よく、あの子が行く気になったなと思って」
謙作「ああ」
則子「前だったらそんなアルバイト、バカにして行かなかったわ」
謙作「うん」
このごろの律子は生意気じゃなくなり、謙作の世話もするようになった。1階に下りてきた律子は8月末まで帰ってこれないから会ってほしい人がいると則子に言った。午後から連れてくるというが誰とは言わない。その人と山中湖に行くわけではない。結婚を考えているという。
則子「どういう人なの? まさか外国の人じゃ…」
律子「フッ…会ってのお楽しみ」
謙作「『お楽しみ』とはなんだ! 一生の大事じゃないか」大声を出し、激痛が走る。「そっ…そんな言い方があるか!」
則子「お父さん、どならないで」
布団で寝ていた謙作。律子は迎えに行くと出ていったと則子が伝えた。予備知識なしと男のことは教えてくれない。気軽に会った方がいいと着替えを拒否する謙作。
則子「そりゃあ、いい人ならしょうがないと思うけど…」
謙作「無論、すぐ許す気はない。しかし、まあ、いい人間なら何度かうちへ来させて『卒業後』というような約束はするよりほかないだろう」
則子「ええ」
謙作「下手に反対すれば逆効果だ」
則子、うなずき、律子は爆弾を落として静まるのを待って帰ってくるという計算をしたのだと話した。ろくに料理もできないくせに何が結婚だと嘆く謙作だったが、則子は最近律子が変わった気がするから悪い人ではないと思っていた。えり好みして行き遅れると思っていたから早い結婚は意外とも話す。
結局、着替えた謙作。リビングで則子に着替えを手伝ってもらう。謙作はその男が律子の中絶を知っているのか?というが、則子も謙作も言うわけないと判断。
玄関
律子が帰宅。「驚いた? どうぞ」
堀「お邪魔します」
則子「ああ…あっ、どうぞ」
宗俊ー!?(違う)
リビング
謙作「そうですか。繁がお世話になったんですか」
堀「はい、あまりいい教師ではありませんでした」
律子「そんなこと言っちゃダメ。ハッ、『相談する気になるのは堀先生だけ』って、繁、よく言ってたわ。ねえ、お母さん?」
則子「繁の紹介かしら?」
堀「はい、スナックで」
則子「偶然会ったの。繁と先生がコーヒー飲んでたのよ」←これがそれこそ上にも引用した3話なんだよね。初対面の堀先生がいやらしい目で律子を見ていたような…。
謙作「いつのことだ?」
堀「えー、4か月ほど前になります」
つき合い始めたのが、手術後だったということか。
謙作「それで?」
律子「翌日から繁抜きで何度も会ったわ」
則子「何度ぐらい?」
律子「4か月だもん、数えてないわ」
則子「そんなに?」
謙作「おいくつですか?」
堀「37になります」
謙作「37?」
律子「そんな顔しないで。気にしてるんだから」
則子「失礼ですけど、今までご結婚なさらなかったのは何か訳でも?」
堀「いえ、ただ縁がなかったというか…」
律子「モテなかったんですって」
堀「面倒くさがり屋なもんですから」
律子「この人のよさってすぐには分からないのよね、フッ」
謙作「お前はすぐ分かったわけか?」
律子「そうなの」
則子「初対面で?」
律子「正直言うと、初対面では分からなかったな」
則子「『翌日会った』って言ったじゃない」
律子「それはちょっと訳があるんだけど、とにかくだんだん参っちゃったわけ」
堀「私も次第に本気に考えるようになりまして…」
謙作「そうですか」
律子「真剣なのよ。本気じゃなかったら会ってもらわないわ」
戸惑いを隠せない則子と謙作。37歳の津川雅彦さんが独身なら、モテないの逆で遊びすぎて選びきれないの方が納得いくくらいカッコいい。
多摩川の風景から謙作の寝室。謙作は杖を置き、布団に寝転んだ。「まさかお前、自分に見切りをつけたんじゃないだろうな」
律子「見切り? どういうこと?」
則子「よして、今はよしたほうがいいわ。横になって、お父さん」
謙作「大丈夫だ。あの男ぐらいがふさわしいとくだらん卑下をしてるんじゃないだろうな」
律子「どうして私が自分を卑下するの?」
則子「あとにしましょう」
謙作「ちょっと黙ってないか」
律子「どうして私が自分を卑下するのかしら?」
謙作「あのことがあったからだ」
律子「あのことって中絶?」
謙作「中絶もだ」
律子「なんてやらしい想像するのかしら。そんなことで私がなぜ自分を卑下するの? 大体失礼じゃない。どうして卑下するとあの人を好きになるの? あの人、結婚の滑り止め?」
謙作「誰が見たってお前が夢中になるような男じゃない」
律子「誰がって誰かしら? 私、人の目に合わせて相手を選ぶ気はないわ」
則子「律子ちゃん…」
謙作「不自然だ。一口に言って不自然だ」
則子「どうして見かけや年にこだわるのかしら」
謙作「年だけじゃない」
則子「じゃあ、月給?」
謙作「月給だけじゃない」
則子「他に何をお父さん知ってるの? ろくに話もしなかったじゃない。あの人のこと、なんにも知らないじゃない!」
謙作「お前はまだ若いんだ。これからどんな男に会うか分からないじゃないか」
律子「そんなのやらしいじゃない! 今の気持ちを大事にしないでバカみたいに王子様の夢か何かを見てるなんて不潔じゃないの!」
謙作「お前は現実を知らん!」
律子「現実を知らないのはお父さんよ! 私はあの人を知ってるわ。お父さんとは全然価値観が違うのよ! お金儲けと会社以外になんにもないお父さんとは全然違うのよ!」
則子「律子ちゃん!」
律子「あの人は人間らしく生きてるわ。お父さんとは段違いにものすごく豊かに生きてんのよ。お父さんにあの人を批判する資格ないわ。お父さんなんか…」
則子「律子ちゃん」
律子「ただお酒飲んで働いてるだけじゃない! なんにもないじゃない!」
そばにあった杖を握りしめる謙作。
律子「暴力振るうの?」
律子のいないほうへ力なく杖を放り投げる謙作。
律子「お父さんなんか最低よ!」
則子「大丈夫? お父さん」
謙作「大丈夫…大丈夫だ」ショックを受けてる感じ。
穏やかな多摩川近辺。
翌朝、律子は山中湖のバイトに出かけた。
多摩川、ボートに乗る人々。
則子は掃除機をかけ、謙作は布団に仰向けになり、本を見ている。その後、階段を上ったり下りたりの練習。
多摩川で遊ぶ子供たち。
内職をする則子。
テレビを見ながら夕食を食べる則子…の斜め前には謙作。則子がテレビを見ながら笑っているのに驚くが、謙作も笑っている。
夜、座布団で背中を支え、則子から焼き物の本を見せてもらっている謙作。あ、それは北川さんから教わったやつ!?
昼、宮部が再び訪ねる。律儀な人だ。宮部はばあさんがいて、中学生もいて、自身は帰りが遅く、妻と二人きりになることがないと謙作に話す。4~5日なら代わりたい。
しかし、謙作は世間話以外話をすることがない。ゴルフの話、カラチの話、繊維相場の話を謙作がしても、則子が面白がっていない。謙作もまた則子の焼き物の話、テレビドラマの話には本気になれない。余分なことを話したことがない。子供のこと、うちの修理、カネが足らないなどそんな話で精いっぱい。
宮部は一緒に何でもやったらいいという。知人は定年過ぎて夫婦で絵や小唄をやっている。
則子はリビングで竹籠編み。
謙作は趣味もないから早く働きたい。
宮部「昭和1桁?」
謙作「ああ。精神が貧しいと言われてもしょうがない。仕事ばっかりやってきた報いだ。フッ…。仕事にしか夢中になれない」
宮部「ハハハッ、困りましたね」
謙作「ああ、困ったね」
謙作は昭和1桁生まれなら戦争中に10代。がむしゃらに仕事してきた世代という感じか。
夜、庭に出た則子は謙作を花火に誘う。サラダオイルの景品にもらったという花火を始めた則子。則子を見て、思い出される会話。
謙作「どういうきっかけか知らないが男に脅迫されてとか、そういうことじゃないんだな?」
うなずく則子。
謙作「自分の意志でしたことなんだな?」
うなずく則子。「でも…」
謙作「言い訳は聞きたくない! 『終わった』と言ったが、いつからいつのことだ?」 則子「去年の夏から冬の初めまで…」
クッションを投げつける謙作。
回想ここまで
花火が終わったのにぼんやりしていた謙作。
則子「終わったわ、花火、全部」
八月三十一日
窓から雨が吹き込んでいた。家中の窓を閉める則子。
雨の中、則子が帰ってきた。電気スタンドの電球を買ってきた則子は、電気屋で堤防の向こう側の河原にあるブランコ片づけてるぞと子供たちが走っていったのを見た。
八月三十一日
夜八時
則子「小堤防が危ないってことじゃないかしら」
謙作「そんなに簡単に堤防は決壊しないだろう」
2階から多摩川を見る。
則子「でも、水、相当だわ。小堤防すれすれじゃないの」
謙作「すれすれなもんか。まだ2~3mはある」
則子「2~3mくらいすぐだもの」
謙作「そんなに急に増えるかなあ」
則子「もし小堤防が決壊したら、そこまで水が来るのね」
河川敷内の遊戯施設撤去
謙作「そりゃそうだが本堤防が崩れるってのはよほどのことだからなあ」
則子「そりゃそうでしょうけど」
雨の中、作業する人々。
寝ていた則子を起こす謙作。「おい、お母さん、お母さん。小堤防が決壊したよ」
則子「(布団から起き上がる)いつ?」
謙作「今だ。2階から見てたんだ。眠れなくってなあ」
則子「じゃあ、水、そこまで来てるの?」
午前一時
小堤防決壊
当時のニュース映像。
則子「どうしたらいいの?」
謙作「うん、あんまり流れがすごいんでなあ」
則子「怖いわ」
謙作「本堤防が崩れることはないと思うんだが」
則子「分からないわ、これじゃあ」
謙作「大事なものを少し2階に上げといたほうがいいと思ったんだ」
則子「2階へ?」
謙作「決壊したら、うちごと持っていかれるかもしれないが」
則子「そうね、下だけ水につかるってこともないとは言えないわね」
謙作が運んでるのが、ヤカンなのがちょっと面白い。
則子「あっ、いいわよ、お父さん。私が運ぶわ」結構動きが機敏。
再び当時の映像。夜中に土嚢などを運ぶ人たち。
謙作はじっと外を見、則子はお盆にポットやお茶セットを運ぶ。「いいかしら? こんなもんで」
謙作「ああ、そうだな」
謙作は階段を降りる。「忘れてたんだ。忘れてたなんてどうかしてた」
則子「待って、何かしら? お父さんが運ぶなんて無理だわ」
謙作「いいよ」
則子「どうしたの? なんですか?」
謙作「なんだと思う?」
則子「何?」
謙作「大事なものだ」
則子「だから何?」
謙作「思いつかないか?」
則子「分からないわ」
謙作「俺も今まで思いつかなかった」
則子「なんですか?」
謙作「アルバムだよ」
則子「アルバム?」
謙作「2人とも忘れてた。どうかしてるんだ、俺たち」
則子「だけど、お父さん…」
謙作「大事じゃないって言うのか?」
則子「そうは言わないけど…」
謙作「21年の家族の記録だぞ。なぜ忘れてたんだ、2人とも」
則子「お父さん」
九月一日
雨がやんでいる。謙作の釧路に住んでいる兄から電話。謙作は北海道出身!? テレビでこの辺が映ったのだという。小河内では大変な雨で貯水の限界量を超えているが、放水を続けているので、これ以上、水が増えることはないと話す謙作。堤防には見物人もいる。これも当時の映像なのかな? 川の濁流がすごい。
お昼はカレー。
謙作「そうか、今日は日曜か」
則子「そうなの、電話切ってから、あら、どうしてお兄さん、あなたがいるって思ったんだろうって」
謙作「サラリーマンが日曜忘れちゃね」
則子「ホント。一月半ですもの」
謙作「うん」
律子が何時ごろ帰ってくるんだろうと思う則子。外は曇り空。しかし、川の水の量は減らない。
繁が雅江と相合傘で帰ってきて、避難命令が出てると知らせに来た。繁は雅江を「哀愁」と紹介して家にあげた。謙作の元へ行き、この辺一帯は二中へ避難するのだと教えた。
スピーカー「こちらは狛江市の広報車です。緊急避難命令が出ました。緊急避難命令が出ました。多摩川の本堤防に決壊の恐れが出てまいりました。多摩川の本堤防に決壊の恐れが出てまいりました。猪方、狛江地区にお住まいの皆さん、狛江第二中学校へ一時、緊急避難をお願いします。狛江第二中学校へ一時、緊急避難をお願いします」
繁「登戸だって大騒ぎだから」←登が住んでるのは神奈川県川崎市。
雅江「東京側がどんどん崩れてって大変でした」
繁や雅江が2階から荷物を運び出す。
謙作「繁。この人、どういう人なんだ?」
雅江「あっ、私…」
繁「そんなこと言ってるときじゃないだろ! 緊急避難命令なんだよ!」
主題歌のスローバージョンが流れ、多摩川の濁流も流れる。さっきから川の映像だけはニュース映像っぽく見えない。
狛江第二中学校
雅江は先頭に立って荷物を運ぶ。体育館とかじゃなく、教室の机や椅子を避けて避難するんだね。
川の濁流、無人の田島家。
ああ、次が最終回。北川さんも結構ご近所さんじゃないのかな? 今はこういう災害に絡んだドラマは作りづらいだろうなあ。しかも不倫絡みでは。
それと律子。ああいう性格だとうんと年上がお似合いに思える。則子が40歳くらいだから堀先生とさほど歳は変わりないのね。今、「本日も晴天なり」でチャキチャキの江戸っ子・宗俊を見てるせいか堀先生とのギャップがすごい。北川さんが津川雅彦、堀先生が竹脇無我バージョンも見たくなってくるなあ。