公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
昭和20年、女学生の町子(尾高杏奈)は、勤労動員で兵庫県にある飛行機の部品工場で働くことになる。そんななか、町子のいとこの信次(宮﨑将)が戦死した知らせを受ける。泣きじゃくり悲しみに暮れる町子。そして悔しがる和代(鈴木杏樹)だが、突然、和代は予定日より早く産気づき、男の子が産まれる。花岡家に新しい家族が誕生。悲しみに包まれた花岡家に、明るい光を運んでくれた新しい生命。子どもは信夫と名付けられた。
大人町子「勤労動員で働く工場では飛行機の部品を作っていました。私は毎日、黙々と旋盤に向かいました。一方、私の留守中、家では…」
鏡台の前で左手の指にマニキュアを塗る孝子。
和代「孝子。何してんの?」
孝子「何や、かいいて…」背中で左手を隠す。
和代「背中か?」
孝子「うん」
和代「お使いお願い」
孝子「はい」
火鉢のある和室で米つきをするイト。
孝子「ただいま!」
イト「お帰り!」
孝子「買うてきた」
イト「おおきに、おおきに。寒かったやろ? 手袋脱いで火鉢にあたり」
孝子「うん!」
しかし、手袋を外しかけたところでハタと気付く孝子。「やっぱりええわ!」
首をかしげるイト。
夜、ダイニング
一同「いただきます」
徳一「取ったろか。よいしょ」
和代「ありがとう」
徳一「孝子?」
孝子「はい」左手だけ手袋をはめたまま。
徳一「手袋したままやで」
孝子「し…しもやけで痛いね」
イト「しもやけ? 見せてみ」
孝子「ううん。ええ」
徳一「ええことあらへんがな。そんなんでお茶わん持ちにくいやろ?」
ピンとくる和代。「取りなさい。取りなさい!」
孝子「はい…」手袋を外すと真っ赤なマニキュアが塗られていた。
孝子の手を見て、徳一もイトも驚く。
和代「孝子!」
大人町子「私がその話を聞かされたのは次の週末に帰宅した時でした」
火鉢で干し芋を焼いている孝子。
町子「孝子、聞いたで、マニキュアのこと」
孝子「知らん。あげへんで」
町子「いらん」
孝子「お姉ちゃんは工場で何してんの?」
町子「旋盤でネジ作ってる。飛行場の部品のネジな」
孝子「どんなネジ?」
町子「それは軍事秘密や。大きいのやら小さいのやら、そのネジで飛行機造って、それに兵隊さんが乗って戦地へ飛んで行きはんね」
孝子「ふ~ん」
町子「孝子、頼むわな」
孝子「え?」
町子「私が工場へ行ってる間は、あんたがお姉ちゃんや。家のこと、頼むで」
孝子「やっぱり1つあげるわ」
町子「ほんまは欲しかってん」
孝子「しゃあないな!」
2人の笑い声
イト「和代さん!」
電話の前
イト「あっ、こっちは大丈夫だす。まあ、えらいことで何と申し上げたらよいのか…」
町子「お母ちゃん?」
イト「はい」
町子「どないしたん? お母ちゃん」
イト「今、岡山から電話で信次さんが…」
孝子「信次にいちゃんがどないしたん!?」
イト「信次さんの飛行機がフィリピンの沖で…」
口を押えて膝から崩れ落ちる和代。
孝子「お母ちゃん!」
イト「和代さん、大丈夫か?」
孝子「大丈夫? お母ちゃん!」
イト「大丈夫?」
夜、町子たちの部屋
机に向かって泣いている町子。
茶の間
金属の供出品の整理をしてるのかな?
和代「こんなもんで…。こんなもんで飛行機造って…若いもん、あんな死に方さして…。好きな勉強して、友達と遊んで仕事に就いて結婚もして子供ももって…そんなことも…あの子はそんな幸せも知らんまま…」泣き出す。「この子かて…この子かて男の子やったら、そんなふうに持ってかれてしまう…」
イト「和代さん、しっかりしなさい!」
和代「お母さん!」
写場
ギターを手にする徳一。
信次の思い出のシーン
・町子の小説を取り上げて読む。
・ギターを弾く。
・町子の麦わら帽子をかぶって町子を撮影。
回想ここまで
町子たちの部屋
信次に撮ってもらった自身の写真を見つめる町子。
花岡家の前の路地を歩いているカンジ。ちょうど玄関から出てきた町子。「あ…」
カンジ「よう!」
町子「こんにちは」
ポパイに水をあげる町子。
カンジ「聞いた。いとこの信次にいちゃんのこと」
町子「うん」
カンジ「残念やったな。『国語の先生になりたい』て言うてはったのにな」
町子「うん」
カンジ「あんな…」
町子「うん?」
カンジ「今日で終わりやねん」
町子「え?」
カンジ「写真教室。動員で山ん中の作業場に行かなあかんことになったから、もう来られへんねん。こんなけったいな時代、何ではよ終わらへんのやろか。ほんまのとこ」
徳一「おい、しっかりしい! おい!」
家の中から声がし、慌てて玄関に入る町子とカンジ。
徳一「お母ちゃん! お母ちゃ~ん!」
町子「お母ちゃん…」
徳一「早いんや」
町子「えっ!?」
徳一「予定より早い。町子、早う呼んできて!」
町子「えっ?」
徳一「あれや、あの人、ほら! お産婆さん。伊藤のおばあちゃん…」
町子「どこ?」
徳一「知らんはずあらへんやろ? お前、取り上げてくれたお産婆さんや」
町子「うん! 私、覚えてへん!」
徳一「あ~、そうか…」
和代「電車道、渡って3つ目の筋、入ったとこや」
町子「分かった!」
イト「あ~、待ち待ち、町子。町子はここにいときなはれ。そこのぼん」
カンジ「僕?」
イト「悪おますけど、ひとっ走り行って、産婆さん呼んできてくれへんやろか」
カンジ「はい!」
町子「おばあちゃん、私は?」
イト「お湯をたんと沸かして…。あ~! それより先にバアバアばあちゃんの部屋にお布団、敷いて」
町子「はい!」
徳一「僕は?」
イト「奥へ」
すぐに行こうとする徳一。
イト「アホ! 私と一緒に和代さんを連れていく」
徳一「あ~、そうか」
バアバアばあちゃんの部屋
町子「お母ちゃん、大丈夫?」
イト「台所でお湯、早う沸かしてきて!」
町子「けど…」
徳一「出ときなさい」
イト「あんたもや!」
徳一「けど…」
イト「早う! はよ、はよ! もう~!」
町子も徳一も部屋を追い出され締め出された。
町子「早いの? 予定より」
徳一「誰に似たんか? 気の早い子やな」
町子・徳一「おじいちゃんや!」
カンジ「連れてきたで!」
玄関
カンジ「気ぃ付けて」
産婆「はいはい」
徳一「よろしゅうお願いします」
産婆「いや~、大きなって!」
町子「なりました」
産婆「1、2…3人目や」
徳一「よろしゅうお願いします」
イト「まあまあ、お世話になります。どうぞこちらです」
町子「大丈夫? ヨロヨロしてはるけど」
徳一「15年前からあんなんや」
ダイニング
椅子に座るカンジと後ろをうろうろ歩き回る徳一。「ああ、何か手伝うことあらへんかいな。え~。あ~、あかん、あかん。行っても邪魔になるだけや」
孝子「えらいことや! えらいことや!」
徳一「どないしたんや?」
孝子「子供…子供がな…」
徳一「今、お母ちゃんが頑張ってる」
孝子「産まれてん!」
徳一「えっ!? まだやろ?」
孝子「裏の、裏の!」
徳一「え?」
孝子「あの鮫島さんとこの犬に子犬が産まれてな、それがポパイそっくりやねん!」
徳一「うん…」
ポパイにそっくり…ポパイの子供!?
台所に入ってきた町子。
徳一「どんなあんばいや?」
町子「もうすぐやて」
徳一「ああ、そうか」
孝子「赤ちゃん、産まれんの? 何ではよ言うてくれへんの?」
徳一「お前が勝手にしゃべってたからやんか」
孝子「もうイケズ!」
徳一「あっ、孝子、行ったらあかん! 邪魔なだけや! 孝子!」
カンジ「弟かな? 妹かな?」
町子「弟がええな」
カンジ「お母さんは女の子の方がええて思てはんのと違うかな」
町子「え?」
カンジ「兵隊に行かんかてええ」
町子「…」
カンジ「そろそろ帰るわ。おじさんとおばさんによろしゅう言うといてな」
廊下
町子「待って!」
カンジ「何?」
町子「お父ちゃんには言うたん? 『写真教室もう来られへん』て」
カンジ「いや、それどころやなかったしな…。ほんまのとこ」
町子「また来て」
カンジ「え?」
町子「戦争が終わって動員もなくなって、そしたら写真教室来てな」
カンジ「分かった。どっちかに片づいたらな」
町子「うん。約束やで」
カンジ「うん。ほなな」
町子「ほな…」
産声
茶の間
孝子「お父ちゃん!」
町子「お父ちゃん!」
徳一「産まれた…。産まれた!」
町子「おめでとう、お父ちゃん!」
徳一「うん、うん! よかった、よかった!」
町子「お父ちゃん!」
徳一「孝子、お姉ちゃんやで! お姉ちゃん! うん!」
町子「おばあちゃん!」
イト「2人とも元気やで」
孝子「よかった!」
徳一「それで?」
イト「男の子や」
徳一「あああ~! バンザイ!」
徳一・孝子「バンザイ! バンザイ! バンザイ!」
徳一「男や!」
孝子・徳一「バンザイ!」
玄関先のポパイのところ
カンジ「おめでとうさん」と家に向かって頭を下げて出ていった。
ポパイは何か食べてる。
大人町子「花岡家に新しい家族が誕生しました」
赤ちゃんのアップ
大人町子「弟は信夫と名付けられました。信次にいちゃんの『信』の字をもらおう。そう言ったのは父です」
徳一「う~ん、この鼻の辺り、お父ちゃんに似て男前や! うん!」
孝子「手、ちっちゃいな~!」
町子「あっ、笑た!」
徳一「うん? ほんまや!」
町子「いないいないばあ~! 笑た! かわいらしいな!」
大人町子「大阪を襲う大空襲のほんの少し前の出来事でした」
来週は「おとうちゃん」
・倒れかかる町子?を支える徳一。
・町子、泣きながら人形の頭をなでる。
ここから現代
・町子の仕事部屋
「かっこいい!」
・ん? この子役は子供町子?
・孝子「パパにどう言うたらええのよ!?」
町子「やめなさい、孝子」
・鯛子「私に言ってください! 先生!」
・パジャマ?をあてる一真「そうか?」
笑顔の純子。
ミニ予告
町子、走る。
2週に収まりきらなかったのか…そりゃそうだよね。中身ぎっしり。まだ大阪大空襲がきていない。信次にいちゃんは予想通り帰ってこなかった。
でも来週は藤山直美さんに会えそうでそれも楽しみ!