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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(53)「最後の一人まで」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

女学生の町子(尾高杏奈)は、いとこの信次(宮﨑将)に淡い恋心を寄せる。だが、信次が出征を志願していることを知ると、愛国心の強かった町子は、複雑な思いに駆られる。また、信次が志願していることを母の和代(鈴木杏樹)には、言えない。そんなとき、町子の学校の英語の教師、黒沢絹子(菊池麻衣子)が学校を辞めるという知らせが入る。戦争が終わるまで疎開するのだという。黒沢は、町子にも疎開を勧めるが…。

麦わら帽子をかぶった町子。「信次にいちゃん、どこにする?」

玄関の門を出てきた信次。「どうしよっかなあ。う~ん…。あっ、そこがええや」

町子「ここ?」

信次「うん。よし、動かないで」

 

カメラを構えた信次が町子のかぶっていた麦わら帽子をとった。

町子「あ…」

信次「うん。ない方がいいや」.

町子「好きな帽子やのに」

信次「う~ん…」

町子の髪に触れ、整える。町子、ドキドキ。町子の麦わら帽子を自らかぶった信次。「よし!」と再びカメラを構えた。「いくよ!」

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昨日、芋たこなんきんのタグをつけたツイートで知ったけど、祖父が残した昔の写真が大量に出てきたという方のツイートを興味深く見ました。関西の方なので大阪大空襲の写真もあったり…「芋たこなんきん」とつながった世界で、いつか写真集なりなんなりで見てみたいなあ。

 

川辺

信次「へえ~。学校の近くにこんないいとこあるんだな」

町子「いつも友達としゃべってんねん。この辺に座って『アイスクリーム食べたい』とか『みつ豆食べたい』とか」

土手に座ってカメラのファインダーを覗いている信次の近くにさりげなく移動する町子。

 

信次「あれ?」

町子「え? どないしたん?」

信次「何かいる。動いた…」

町子「え?」

川の近くの草むらがガサゴソ揺れる。

町子「何やろ?」

 

カンジが出てくる。

信次「うわっ!」

町子「あっ…」

カンジ「あ…。取ったった。食べたろ思て」

カンジの手には大きなウシガエル

 

カエルをいれた袋からカエルの鳴き声がし、袋が動く。

町子「食べんの? そんなん」

カンジ「うまいんやで、ほんまのとこ。フランスでは高級品や」

町子「ほんま?」

信次「そう。うまいらしいよ」

町子「ほんま?」

 

信次「誰かの随筆にあったよ。パリの画家かな」

カンジ「へえ、ひょっとして原書で?」

信次「うん」

カンジ「へえ」

 

信次「君は中学生だろ?」

カンジ「学校行ってへん」

信次「どうして?」

町子「『食べることが先やから』て」

 

カンジ「それにもうすぐ授業もなくなる。動員でみんな作業や」

信次「そうか…。僕はちょっとだけ先に生まれてきて平和な時代に勉強する楽しみを存分に味わわせてもらったんだね。子供から教育の機会を奪うのは一番の罪だ。知識がなくなると愛がなくなるんだ」

信次、いいこと言うなあ。

 

町子「え?」

信次「人は知らないものに愛も憎しみも感じないだろ? 川を愛するのは川を知るからだし、魚を愛するには魚を知らなきゃ駄目だ。日本の言葉は美しいよ。『人はいさ 心もしらず古郷(ふるさと)は 花ぞむかしの 香ににほひける』」

ogurasansou.jp.net

町子「紀貫之や」

信次「うん。僕はね、帰ってきたら岡山に戻って国語の教師になろうと思ってるんだ」

カンジ「帰ってきたら…。そしたら、志願?」

信次「うん…」

 

町子も含め、町子の周りは頭のいい人たちがいっぱい。町子は昔からインテリが好きだったんだろうな。しかし、この時代はある程度お金持ちじゃないと上の学校には行けないもんねえ。カンジだって今は働いてるけど旧制中学に行けるくらいだもんね。

 

信次「よし! カエル取るぞ!」

カンジ「えっ?」

町子「信次にいちゃん?」

川に入ってごそごそ。

 

大人町子「そのころ、家には叔母の昌江の婚約者が挨拶に訪れていました」

 

スーツもビシッと着こなした好男子。昌江のワンピースもきれい。

イト「この子はぼんやりで気の利く方やあらしまへんのや。何ぞありましたらどうぞ厳しゅう言うてやってください」

富男「はあ。そうさせてもらいます」

一瞬、ムッとする常太郎。

 

孝子「ただいま!」

イト「あっ、孝子」

散歩帰りの孝子はポパイを連れていた。ポパイが鳴く。

富男「うわ~!」

常太郎「孝子、どっか連れていき」

孝子「はい」

 

常太郎「犬、お嫌いなんですか?」

富男「子供の時、でぼちんかじられまして」

イト「でぼちん?」

常太郎「でぼちん?」

イト「そらまた珍しいとこを…」

 

富男「生まれたてで乳母に座敷で寝かされてるとこへ隣の犬が入ってきたんです。子犬と間違えて危うく連れていかれるとこでした」

昌江「小さい時からえらい苦労しはったんですねえ」

常太郎「苦労…」

 

町子・信次「ただいま!」

常太郎「何や、お前ら、その格好!」

イト「お客さんやで!」

 

泥だらけの町子と信次。

町子「いらっしゃいませ!」

袋からウシガエルが飛び出す。

富男「うわ~!」

昌江「マコちゃん!」手づかみでカエルを持てる昌江もなかなかの度胸。

信次「ごめんなさい、ごめんなさい!」

イト「早う2人とも奥へ行きなさい!」

 

富男「あ~、びっくりした~!」

イト「え…えらい、すいません! すいません!」

 

写場

和代がオルガンを弾き、昌江、町子、孝子が歌う。信次はギター。徳一、茂は見ている。

 

♪なつかし川辺に 露はあれど

♪いとしのアニー・ローリー いまやいずこ

アニー・ローリー

アニー・ローリー

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あぐりのお母様・美佐も歌ってたけど歌詞は全然違う。

 

茂「昌江、幸せになってほしいな」

徳一「そやな」

茂「けど、結婚して、すぐ赤紙来たりしたらかわいそやな」

徳一「怖がりのぼんらしよって戦地行っても逃げ回って弾には当たらへんて」

茂「それにかわいらし嫁さん、待ってんねもんな。何が何でも戻ってくるわ」

 

信次を気にして元気のない町子。

 

♪雪のひたいよ

 

大人町子「信次にいちゃんが兵隊になることを志願しているのを、その日、私は母に言えませんでした」

 

♪ひとみは 清く

 

大人町子「そして、ある日のこと…」

 

花岡家の玄関

町子「キクちゃん」

差し出されたのは「白秋詩歌集1」

町子「白秋…」

 

キク「『渡して』って言われた。カンジ君…」

町子「あ…」

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映画館にいた町子に「今度白秋貸したるわ」と言ってるね。

 

キク「工場辞めやんねん。学校戻んねんて」

町子「あ~、そうか…」

キク「『あ~、そうか』て何で? 私にないしょでいつの間にそんな仲ようなったん!?」

町子「ないしょいうわけや…。たまたま何回かばったり…」

 

キク「『ほんまのとこ』。口ぐせまでうつってた。ずるいわ、マコちゃん!」

町子「そんなん違うねんて、キクちゃん!」

キク「ずるいわ!」

町子「キクちゃん! 待って、キクちゃん!」

門を出たところで下駄が脱げてしまった町子。「キクちゃん…」

セミの声がひときわ大きく響く。

 

月夜

町子は一人起きていた。

信次「マー坊」

町子「あっ、信次にいちゃん」

信次「どうしたん? こんな遅くに」

 

町子「おにいちゃんこそ」

信次「暑くてね。ちょっと水をもらいに」

町子「そう」

信次「ありがとう」

縁側に並んで座る。

 

信次「何かあった?」

町子「え?」

信次「夕食の頃から元気なかったよ」

首を振る町子。

信次「そう」

町子「うん」

 

町子が手にしている白秋詩歌集を見る信次。「へえ~、白秋か」

町子「ああ…それ、カンジ君が貸してくれてん」

信次「へえ~」

町子「カンジ君な、学校戻んねんて」

信次「あ…そうなんだ」

 

町子「うん。おにいちゃんのおかげかも分からへんね」

信次「ハハハ…。そうかなあ」

なぜか知らないけど、このセリフの時、急に宮崎あおいさんに似てると感じた。

 

町子「うん。きっとそうやわ」

信次「そっか。よかったな」

うなずく町子。

信次「うん。よかった…」

町子「うん」

 

大人町子「その翌朝のことでした」

 

ダイニング

ウメ「お先に」

茂「おばあちゃん、早いな。お代わりしたんやろ?」

町子「おはよう」

ウメ「あっ、おはよう」

常太郎「お~、寝ぼすけ姫のお目覚めや」

 

町子「あれ? 信次にいちゃんは?」

和代「ああ…東京に帰ったわ」

町子「えっ?」

和代「何やお友達から連絡があったみたいでな、朝早うからバタバタと…」

困惑する町子。

 

女学校・校庭

竹やり訓練

 

大人町子「残暑の中、2学期が始まりました。黙って去ってしまった信次にいちゃんのことを思うと訓練にも力が入らず、親友のキクちゃんとは口をきけないままでいました」

 

教師「そこ! 気合が足らん!」

町子「はい!」

 

教師「1!」

一同「ヤ~ッ!」

 

大人町子「そして…」

 

休憩中

町子「えっ、黒沢先生が?」

梅原「うん。辞めはるみたい」

 

裁縫室

窓辺にいる黒沢先生。

町子「4年梅組、花岡町子入ります」

黒沢先生がうなずく。

町子、上靴を脱いで先生の近くに行く。「先生、辞めはるて本当ですか?」

黒沢「福井に疎開するの。父の郷里」

 

町子「疎開…。いつまでですか?」

黒沢「戦争が終わるまでね」

町子「戦争が終わるまで…」

黒沢「いつかは、こんなこと終わる。町子さんもどこかに疎開したらええのに。こんなとこで竹やりなんか振り回していないで。竹やりなんかで…あんなもんで人を突き刺す訓練やなんて、私は見てられへんのよ」

町子「私は…。私は…」

 

空襲警報のサイレン

町子「私は…」

黒沢「町子さん、行きましょ!」

町子「私は逃げるわけにはいかへんのです!」畳に座り込む。

黒沢「町子さん、出ましょ! 花岡さん! 町子さん! 早う逃げましょ!」

町子「先生、さよなら!」

空襲警報のサイレンが鳴り続ける中、ギュッと目をつぶる町子。

 

いつもの帰り道を一人で歩く町子。

「フミちゃん、待ってえな!」

「はよ行くで!」

 

前を見ると、キクと梅原が歩いていた。

梅原「どないなんねやろ?」キクの方へ振り向く。

キク「う~ん」

梅原「あ…」

キク「え?」キクも振り返る。

 

梅原「ちょっと待ってて」

キク「うん」

 

町子のもとへ駆け寄ってくる梅原。「なあ、ボチボチ仲直りしたら? ねえ、マコちゃんが謝ったら許してくれんの違う?」

町子「私? 私は謝るようなことしてへん!」

 

キクを無視して通りすぎようとする町子。

キク「『竹馬(たけうま)の友』やと思てたのに!」

梅原「『竹馬(ちくば)』や、キクちゃん…」

ここで笑いを入れてくるとは面白い。

 

町子「私は悪いことなんかしてへん」

 

大人町子「心の中にはさまざまな寂しさが渦巻いていました」

 

ミニ予告

泣いている町子とウメ。

 

梅原さんの立場もつらいな~。