公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
健次郎(國村隼)の手術が終わるのを待っている町子(藤山直美)たち。手術は成功に終わるが予断を許さない状況で、集中治療室で経過を見るという。麻酔から覚め意識が戻るまで、町子は健次郎のそばでずっと手を握っている。眠る健次郎を見ていると町子の脳裏に、父・徳一(城島茂)が浮かぶ。戦後仕事を失い体調を崩し寝ている徳一に寄り添ってあげなかった後悔と、徳一に言われたことばがよみがえる。
病院
面談室?相談室?
毛利「この白く写っているのが大きな血のかたまりです。手術で全て取り除くことができました。発見が早かったので最善の処置ができました。強運の方ですね」
レントゲンを見ながら病状説明を受ける町子、昭一、由利子。
町子「それで先生、いつごろ意識は戻るんでしょうか?」
毛利「麻酔が覚めれば意識は戻りますが、あとは再出血や合併症が問題ですのでICUで引き続き様子を見ることになります」
まだ完全に危険を脱したわけではないことが、町子の心に影を落としました。
集中治療室
心電図モニターの音だけが響く。
ベッドサイドで健次郎の手を握る町子。「健次郎さん、頑張って…。頑張ってね。聞こえる? 私の声、聞こえる?」
3人いるけど、1人は看護師? あとは町子と由利子。みんな同じ専用の帽子とガウンを着用。
手術室前の待合室
由利子「いっぺん家帰って何か作ってくるわ」
清志「そうか…」
由利子「みんな、いててあげて」
昭一「俺も一旦帰るわ。連絡せなあかんとこあるし」
徳永家、台所
純子がおにぎりや卵焼き、ウインナーなどつまみやすいものを作っている。出来る人だな~。
純子「由利子ちゃん! 今、『手術終わった』って亜紀ちゃんから電話もらって…」
由利子「成功はしたんやけど、まだ目、覚めてへんの」
純子「でも、よかった…。あっ、あの、これ、皆さんに」
由利子「ありがとう。和代おばちゃんは?」
純子「お部屋」
昭一「純子さん、あの、俺、しばらくいますから、純子さん病院へ行って、町子さんについとってやってください」
純子、うなずく。
和代の部屋
和代「徳一さん、お母さん、お父さん、バアバアばあちゃん…。どうぞ健次郎さんを助けてあげてください。お願いします…」仏壇に手を合わせる。仏壇の脇には古いカメラ。
別の部屋
由利子「おじいちゃん、おばあちゃん…お母ちゃん。寂しいからて、お父ちゃん呼んだらあかん。お父ちゃんのこと頼りにしてる患者さんもようさんいてはる。私らかて一緒にしたいことがいっぱいあるんです!」
仏壇に手を合わせる由利子の背中を見ている純子。
集中治療室
眠っている健次郎の手を握り続ける町子。「健次郎さん、聞こえてる? 安心してね。私もみんなもここにいてるから。お父ちゃん、お願いします。健次郎さん、助けてあげて」
眠る健次郎の姿が父と重なり、町子の脳裏に父と過ごした最後の日々がよみがえりました。
ここで少女編にワープするか!
昭和20年6月1日 大阪大空襲
回想
ぼう然と焼け跡に立ちつくす徳一。
町子「お父ちゃん…」
徳一「町子!」
徳一に倒れ込む町子。
徳一「歩いてきたんか? 大丈夫か?」
町子「お母ちゃんは? 孝子は? 信夫は?」
徳一「安心し。みんな無事や。近くに避難してる」
町子「写真館…お父ちゃんの写真館…なくなってしもた…」
徳一「町子…無事でよかったな」
夜、ろうそくの明かり
信夫を抱いて頭をなでる孝子。
町子「道端にようけゴロゴロ転がってた…。まだ生きてはる人もいてた…」
仰向けに寝ている町子のすねに濡れた手ぬぐいを乗せる和代。髪が乱れている。
町子「トラックの荷台、荷物、運んでんのかと思たら、真っ黒焦げの…」
和代「町子」
徳一「氷、分けてもろた」
和代「あ~、すんません。町子、もう寝なさい。なっ」
徳一「和代」
和代「あ…」
徳一「ゆっくり寝ねんで」
町子「お父ちゃん…」
徳一「ああ、安心し」
昭和20年9月
縁側でぼんやりしている徳一。
和代「町子、お芋さん」
町子「あ…はい」
回想ここまで
ここからは新撮っぽい。
町子のナレーション「大事にしてた写真館が焼けてしもて、終戦からすぐ寝ついてしもたお父ちゃん。私らの前では泣いたり悲しんだりした顔見せへんかったけど、どんだけつらい思いしてたことか…」
寝ている徳一。机に向って何か書いている町子。
徳一「町子…」
町子「うん?」
徳一「今度は、どんなお話書いてんねや?」
町子「かっこええお侍さんと鼻ペチャやけど気立てのええ女の子が恋に落ちるお話」
徳一「うん! 今度のも面白そやな」
ノートを閉じ、徳一の布団のそばに来る町子。「もう戦争終わったし、好きなこと書けるやろ」
徳一は手を伸ばし、町子の手を握る。「頑張りや。お父ちゃんはな、町子のお話が楽しみなんや。出来(でけ)たら一番先読ましてや。お前は好きなこと、ずっと続けんねんで…。何でもええ。大事なもんつかんだら…手ぇ離さんとギュ~ッと握っとくねんで」
徳一「お前は、好きなこと、ずっと続けんねんで…。大事なもんつかんだら…手ぇ離さんとギュ~ッと握っとくねんで」
うわ~! 8話で出てきたセリフがここで来た!
以前、読んだこちらの記事によれば少女編は1話より先に先行して撮影したとか。新撮の部分もずっと前に撮ってた分なのかな? すごいな!
集中治療室
町子・心の声「健次郎さん…。何で私、お父ちゃんのそばでこうしてずっと付き添うてあげられへんかったんやろ。あの時…」
再び回想
孝子「お父ちゃん、食べたん?」
和代「ちょっとだけな」
和代「明日、お休みやから買い出し行ってくるわ。着るもんかて処分できるもんは、せんとな」
赤ちゃんの信夫がちゃぶ台の所まで来てるのをさりげなく世話する孝子。
町子「私も行く」
和代「えっ?」
町子「私のもんも売って、それで野菜買お」
和代「あんたのもんて、まさか…」
泣きながら本や人形を仕分ける町子を陰で見ている和代。
回想ここまで
町子のナレーション「食べていくのが精いっぱいやった。空襲の中からお父ちゃんとお母ちゃんが持ち出してくれた大事な本も食べるためにほとんど売ってしもた。とにかく目の前のことだけしか見えてへんかった」
夜、ろうそくの明かりの下で何かを書く町子。
徳一「町子」
町子「うん?」
徳一「試験か?」
町子「うん」
徳一「頑張りや。もう好きなだけ勉強ができるな」
うなずく町子。
町子のナレーション「そんなふうにして時が過ぎていって…。昭和20年も終わりに近づいていた」
昭和20年12月
長屋
町子「ただいま」
孝子「お帰り」
和代「あ~、町子、お帰り」
町子「帰ってたん?」
和代「うん。早引けさせてもろた」
町子「え…」
和代「はい」
町子「おいしそう!」
お皿に乗った大きなさんま。
町子「白いごはん! 何で? どないしたん?」
和代「はよ、手、洗てきなさい」
町子「はい」
和代「はい」よそったごはんを孝子へ。
信夫の髪がすっかり伸びてる。
町子「お母ちゃんの分は?」
和代「ええから、先に2人で食べなさい」
町子「お父ちゃん、悪いの?」
和代、うなずく。
孝子「さっき、お医者さん、帰りはったとこ」
和代「夕方から急にな…。ほれ、あったかいうちにお上がり。なっ」
町子・孝子「いただきます」
町子のナレーション「お父ちゃんが危ない…。そやのに私は目の前のごはんがおいしいておいしいてしょうがなかった。そして、その明け方やった…」
長屋の2階
孝子「お父ちゃん! お父ちゃん! お父ちゃん…」
布団の上で眠るように亡くなった徳一。
町子のナレーション「お父ちゃんは死んでしもた。まだ44歳の若さやったのに…」
夕日の当たる町子の部屋
カメラを胸に一人泣いている町子。
回想
徳一「頑張りや。何でもええ。大事なもんつかんだら…手ぇ離さんとギュ~ッと握っとくねんで。手ぇ離したらあかん。あかんで」
回想ここまで
集中治療室
町子「私、大好きなお父ちゃんに優しい言葉の一つもかけてあげへんかった…。そやから今度はこの手を離さへん…。何があっても絶対にこの手を離さへんからね」
ミニ予告
立っている健次郎と喪服の小川君!?
すごい構成だなと思うし、実在の人物で東京制作だとそこまで描かないだろうなとも思う。「マー姉ちゃん」はヨウ子の夫が早くに亡くなるから、それよりあとにマチ子が大病したのを時系列いじってまで描いて、明るいところで終わらせた感じ。
それか架空の人物だけどお世話になったご近所の老人たちの最期を描かないように配慮したように見えた。劇中にあった年寄りは国の宝だというセリフのとおり、お年寄りの視聴者に向けて描いていたように思う。でも、最後まで植辰さんの息子が帰ってこないなどシビアな部分もあったけどね。
「芋たこなんきん」は、すごいドラマだなと思う反面、あまりつらい気持ちが続くから、「マー姉ちゃん」や「あぐり」のように長く生きた人でもほどほどに明るいところで終わるというのもそれはそれで好きだけどな~とも思う。
短いあらすじを読んでいたので、最終回が終わってから読もうと思ったんだけど、ちょっと読み始めたら面白くて読み進めています。
簡単に言うと田辺聖子さんの2001年~2002年にかけての日記です。ドラマと同じようにパワフルに仕事をし、交友関係が広い。純子さんみたいなアシスタントの女性も登場します。アシスタントのほかに家のことをやる家政婦も日替わりで何人かいたみたい。
そして、ぬいぐるみもしゃべる。ドラマだとこの辺まで描くのか分からないけど、今、描かれているよりちょっと後のことです。そして、2001年7月には藤山直美さんの舞台を見に行っています。
1979年にNHKで藤山直美さんがヒロイン・トキコ役でドラマ化してるので、その縁もあったのでしょうか。
あらすじ
田辺聖子の自伝的小説のドラマ化。大阪の写真館に生まれた少女のてんやわんや青春記。「1943年正月、武田写真館の娘で、女学校3年生になるトキコ(藤山直美)は、出征兵士の壮行会で勇ましくタイコを打ち鳴らした。トキコは人一倍の軍国少女。この非常時を認識しているようすのないチチ(山田吾一)や、自分を男に産んでくれなかったハハ(高森和子)には、いささかの不満がある。いまだ健在の祖父母と妹、弟を含めて総勢7人の家庭だ。ある日、トキコは御真影の安置してある奉安殿に入り、眠り込んでしまった。人情校長(千秋実)のはからいで、処罰は免れたものの、軍国少女としては大変な不始末。数日後、奉安殿の焼失がもとで校長は自決に追いこまれた。
「芋たこなんきん」の少女編みたいな感じだし、面白そうなドラマだな~。テレビ銀河小説で20分×20回。残念ながら映像は残っていないそうです。
以前、山田太一脚本の「夏の故郷」という岩手の農村を舞台にしたドラマを見たことがあったのですが、こちらも元はテレビ銀河小説で20分×10回でした。私が見たのは45分×4回の総集編です。ドラマは1976年の夏放送ですが、総集編は1977年の夏放送。
お~、そういえば1977年というと、ちょうどTBSでは「岸辺のアルバム」放送中の時期だね。
「夏の故郷」の方が「欲しがりません勝つまでは」より古い作品だし、DVD化されてるわけでもなさそうなのに、映像が残ってるというのはどういうことなんだろう?
話がそれますが、「夏の故郷」は当時のリアルな岩手の若者って感じがしたなあ(美男美女だらけなのは、まあ、ドラマだからね)。ちゃんと取材していて、都会の人のイメージする純朴な若者たちの話ではないから面白かった。嫁を待ってるだけの受け身な長男と都会に出てイケイケな次男、三男と女性たちとの対比。
朝ドラだけじゃなくテレビ銀河小説の再放送もしてほしい!