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ドラマの感想など

【ネタバレ】滝の白糸(主演・京マチ子)

1952年 日本

 

あらすじ

泉鏡花の小説を原作に翻案した新派劇を、演劇畑出身の野淵昶監督が映画化。溝口健二監督らの手で映画化されてきたメロドラマに名脚本家の依田義賢がアレンジを施し、京マチ子が恋に一途な女性の半生を力演。男社会の中で一座を率いる水芸師の白糸(京マチ子)は、法律家を志す苦学生の村越(森雅之)に惹かれ、学資を仕送りする約束を果たすべく、嫌悪する寅五郎(羅門光三郎)との仕事もこなし懸命に金を稼ぐが、晴れて任官した村越と皮肉な対面をすることに。

2026.3.11 日本映画専門チャンネル録画

 

蔵出し名画座

評論家川本三郎こう観た

 

御存知、明治を舞台にした恋愛劇の代表作。昭和のはじめ新派の創設者、川上音次郎が泉鏡花の「義血侠血」を脚色して「滝の白糸」と題して上演。女水芸師と法曹界を目ざす苦学生の恋を描いて大好評となり新派の当り狂言となった。

水芸師を演じる水谷八重子は大人気になった。これを受けて昭和8年に映画も作られた。依田義賢脚本、溝口健二監督のサイレント映画「滝の白糸」。主演の二人は当時の大スター、入江たか子と岡田時彦。サイレント映画時代の溝口の傑作と評された。

本作は戦後に作られたそのリメイク。水芸師に京マチ子。彼女が学費を援助する法曹界を目ざす苦学生に森雅之。ある事件で窮地に陥った水芸師とかつての恋人・村越欣也は思わぬところで再会を果たす。二人の運命はいかに。

泉鏡花の故郷である金沢とその周辺を舞台にしている。人力車、乗合馬車、水芸が披露される芝居小屋など明治色豊か。旅芸人一座の列車を待つ海辺の駅は紀勢本線の和深駅。開設は昭和15年だが。ロケの事情で仕方がない。

 

大映株式會社製作

 

原作:泉鏡花

脚本:依田義賢

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音楽:伊福部昭

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瀧の白糸:京マチ子…字幕黄色

村越欣彌:森雅之…字幕水色

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松永剛三:進藤英太郎

出刃打の寅五郎:羅門光三郎

検事正:香川良介

あやめ:星美智子

みどり:浪花知榮子

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福市:殿山泰司

徳三:上田寛

裁判長:南部彰三

新太郎:天野一郎

菊松:寺島雄作

原田:伊達三郎

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理髪師:玉置一恵

道具方:三井滝太郎

人力車夫甲:福井隆次

    乙:清水明

    丙:三浦志郎

廷丁:矢野武男

寫眞師:牧竜介

三吉:久原亥之典

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下宿のおばさん:相馬幸子

ゆみ子:松岡信江

六勝亭の女中:堀さわ子

たつ子:仲上小夜子

千種:前田和子

みつ江:中目順子

花子:御雪ゆり

峰子:種井信子

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監督:野渕昶

peachredrum.hateblo.jp

前に見たなと思ったら、こちらは若尾文子バージョンでした。たった4年でリメイク。

 

白糸は旅芸人で二親を旅先で亡くし、一緒の墓に入れることができた。

 

駅前では馬車と人力車がそれぞれ客引きし、白糸たち旅一座は馬車に乗ることにした。先を行く人力車数台。白糸たちの乗る馬車も後を追う。馬車に追い越された人力車は寅五郎を乗せた人力車だけでも追い抜いてやろうと寅五郎1人にほかの車夫も加勢して一緒に走った。

 

ほかの客は置いてけぼりなんだから、その時点で負けでしょ。

 

馬車の車輪が外れ、車体が傾き、人力車が再び追い抜いた。白糸だけが御者の村越と一緒に馬の背中に乗って先に到着した。

 

祭で人がにぎわう。白糸は水芸を披露した。

 

寅五郎は父を亡くした白糸に一緒にやらないか、大阪に乗り込もうと持ちかけるが、1人でやっていきたいと断った。

 

夜、1人で涼みに行った白糸は川辺で寝転んでいた村越に声をかけた。村越は白糸の顔に覚えがなく、白糸が、お前さんに抱かれた女だよとややこしい言い方をして、人力車とかけっこした馬に乗ったと話し、ようやく思い出してた。

 

村越は馬車の心棒を折ってしまったため馬車会社をクビになったという。白糸は一座に誘うが、法律家になりたい村越は勉強できそうもないから他の仕事を探すという。村越欣彌は母が金沢にいて、父は無実の罪で刑務所で亡くなった。裁判官になりたい村越に白糸は大学に行くために仕送りをさせてと申し出た。

 

改めて見ると、なんて男性にとって都合のいい話だよ!

 

村越と写真館で写真を撮った白糸。

 

学生食堂で働きながら勉強している村越。仕送りを10円減らしていいと10円を送ったが、白糸は苦学をしないでほしいと10円返した。

 

だんだん客の入らなくなった白糸の小屋。大坂にいる寅五郎の話に乗ろうと言い出すが、福市やみどりが反対する。今まで水芸は夏場だけ稼いで稼ぎの少ない秋冬は、それぞれ稼ぎを探すのが白糸の父のやり方だったが、白糸はそれでは古いという。

 

白糸は、みどりに村越との写真を見せ、今、大学で勉強中だという。

 

寅五郎のいる大阪へ行った白糸。金貸しの松永に会いに行った。白糸をじろじろ眺め、立たせていろんな角度で見る。松永役は関西弁でいやらしい「おやじ太鼓」の進藤英太郎さん! 

 

福岡出身なのに前も関西弁の役を見たな。「おやじ太鼓」を見てると全く関西弁のイメージがないから別の人みたい。

 

休みが取れて、村越の大学へ行った白糸。友人におまえのメッチェンが来たなとからかわれる。ドイツ語で若い女性という意味らしい。

 

村越の下宿先を訪れた白糸。下宿先に菓子折と村越に万年筆、鯛寿司を土産に持ってきた。部屋に白糸の写真を飾っていた。村越は白糸が好きだという。

 

それにしても水芸ってなんなのだろう??? 不思議だ。

 

白糸の出番後、松永が楽屋に来た。客は大入り。

 

当時の進藤英太郎さん、やせてるね。

 

寅五郎は松永と白糸の食事の場を用意し、かわいがってもらいなと帰ろうとした。白糸は断って帰り、松永は寅五郎に白糸の弟子のあやめをどうにかしようとする。大阪は客の入りもよく、帰りたくない団員たち。みどりは白糸を人身御供にするわけにいかないと怒る。

 

いや、まともな人がいてよかった。

 

だが、寅五郎に説得されたあやめは大阪に残るという。

 

京都の大学に通う村越は白糸の水芸を見に来ると言っていたのにとうとう来なかった。

 

みどりには仕送りはしてるけど結婚するつもりはない、ただ好きなだけ。村越には好きと言ってもらえたと話す白糸。

 

白糸たちは大阪から出て行った後、村越が大阪を訪ねたが、あやめからあんたに操を立てて舞台を捨てたと言われた。水芸は秋冬は季節外れ。

 

みどりから聞いて勝浦にいる白糸に会いに行った村越。白糸を”友(とも)ちゃん”と呼ぶ。白糸は本名・水島友。村越は肺炎で寝込んでおり、便りが出せなかったと言い、仕送りをやめてくれないかという。白糸が苦労している様子をみて、一度、学校をよしてもいいというが、みどりがあんた、分かってへんと怒る。

 

村越に白糸の忘れ物だと届けさせた、あやめもまた白糸や村越の心配をしていたことが分かり、今まであやめの悪口を言っていたみどりも泣き出す。

 

手紙のやり取りを続けた白糸と村越。とうとう村越の卒業が決まった。

 

村越は僕の妻になってくださいと手紙を書く。

 

白糸は福市から200円借りて、村越に送ろうとしていた。東京に辞令をもらいに行くのに学生服じゃおかしい。しかし、福市はそんな道楽はやめてくれという。

 

松永が白糸に会いに来た。松永と寅五郎がケンカし、寅五郎があやめと逃げてしまったという。また大阪に来てほしいという松永は兼六公園の六勝亭にいるといって帰っていった。

 

白糸は、みどりと共に松永のもとを訪れ、200円を貸してほしいと頼んだ。だったら大阪に来てほしいという松永。すぐ200円を貸してくれた。

 

白糸とみどりが帰ると、あやめが戻っていた。寅五郎のところから逃げてきてどうしても帰りたくないというあやめをみどりは、あてが隠したる!という。

 

寅五郎があやめを捜しに来た。あやめか金のどっちか出せと脅す寅五郎。白糸は松永に借りた200円を取られてしまい、泣いていたが、松永に助けを求めた。寅五郎が残した包丁を証拠に警察に訴えるというと松永も賛成した。

 

白糸は、また200円を貸してほしいと頼むと、お酌くらいはしてくれと松永は200円を貸してくれた。白糸に酒を勧め、1杯飲んで帰ろうとした白糸にもう1杯酌してくれと引き止め、押し倒した松永を包丁で刺してしまった白糸。

 

白糸を訪ねた村越だが、福市から白糸は一昨晩からいなくなったと言われた。

 

任官早々、一昨晩の松永殺しを担当してほしいと言われた松永。残された包丁から寅五郎が疑われているが、村越は白糸が一昨晩からいなくなったことが気になる。

 

白糸がみどりたちのところへ戻ってきて、みどりだけを呼び出し、松永殺しを告白し、一緒に警察に行ってほしいと頼んだ。

 

警察から、あさっての裁判に証人として出廷してほしいという知らせが入った。

 

みどりは寅五郎のせいということになっているのだから、このまま寅五郎のせいにするようそそのかす。もうすぐ村越と結婚するのに…ってなー!

 

微妙に殺人に至るまでの流れとか違うんだね。

 

白糸は証言台に立ち、検事として村越がいることに驚く。白糸は寅五郎に金を取られてないと話し、松永から金を借りたことは認めた。200円の送り先は出世前の村越の体に傷がつくと思い、名は出さない。検事の村越が白糸を追及する。

 

村越は自分の生い立ちを話し、ある人が仕送りをしてくれた、正しい裁判をしたいと白糸を説得する。偽りの申し立てはしたくない。

 

白糸は200円を寅五郎に取られ、すがりついて寅五郎の片袖と出刃包丁を取り、松永に再び金を借りに行き、女になれと無理強いされたため、殺してしまったと告白し、泣き崩れた。

 

拘置所にやってきた村越は白糸に厳正な処置をすると言うが、婚姻届も持ってきた。どんな判決を受けても村越の妻となって潔く受けてほしい。

 

判決は懲役1年。2年の執行猶予。

 

村越は白糸の出所を待ち、一緒に帰った。(終)

 

前に見た1956年版は正当防衛が認められ、無罪になって結ばれ、こちらもまたハッピーエンド。原作は白糸が自殺し、村越があとを追うという結末だったらしい。

 

白糸にみどりのような頼りになる女友達がいるのがいいねえ。寅五郎のせいにしろってのはダメだけど…だけど、最後の200円は、勉強のための金じゃなく見栄のための金って感じだから、ちょっと同情できかねる。いやな松永に再び借金するのも…これが何度も何度も映像化されるのが分からないな。