徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】チョッちゃん(100)―連続テレビ小説―

NHK 1987年7月30日(木)

 

あらすじ

邦子(宮崎萬純)が戦争映画の出演を断った。道郎(石田登星)の職場の先輩・大川信吾(丹波義隆)にアドバイスされたことが、頭の片隅に引っかかっていたせいらしい。邦子は大川に気があるのではないか、そう思うと以前から邦子に好意を寄せていた道郎は気が気じゃなく、蝶子(古村比呂)にあれこれ尋ねるのだが、蝶子にも邦子の真意はわからない。すると7月のある晩、邦子が大川を連れて蝶子の家を訪ねてくる。

2025.8.7 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

*

黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

*

音楽:坂田晃一

*

語り:西田敏行

*

岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色

*

岩崎要:世良公則

*

国松連平:春風亭小朝

*

田所邦子:宮崎萬純

*

北山道郎:石田登星

岩崎加津子:椎野愛

*

大川信吾:丹波義隆

彦坂安乃:貝ますみ

*

梅花亭夢助:金原亭小駒

岩崎雅紀(まさのり):河野純平

*

鳳プロ

早川プロ

劇団ひまわり

*

野々村富子:佐藤オリエ

*

神谷容(いるる):役所広司

 

<時は7月になりまして、世の中は更に物不足にあえいでいます>

 

道端の掲示板にポスターや標語が貼られている。

 

陸軍少年兵募集

 

ゼイタク  

 敵ダ!

    洗足警防團

 

岩崎家茶の間

道郎「お前、あれか?」

蝶子「ん?」さやいんげんの筋取りをしている。

道郎「最近、あれ、邦ちゃんと会ったか?」

蝶子「?」

道郎「いや、ちょっと」

 

蝶子「つい、この前、うちに来たけど」

安乃「お茶どうぞ」

蝶子「ありがとう」

安乃「お米といでていいですね」

蝶子「うん、お願い」

道郎「子供たちは?」

蝶子「俊ちゃんは寝てる」

安乃「加津(かっ)ちゃんとマーちゃんはお向かいです」

道郎「へえ」

 

蝶子「邦ちゃんが何か?」

道郎「どうだ? 様子」

蝶子「どうして?」

道郎「うん」さやいんげんの筋取りを手伝う。

 

蝶子「邦ちゃんがどうしたのよ?」

道郎「いや~、あれ。お前、邦ちゃんに何か変化感じないか?」

蝶子「…悩んではいたけど」

道郎「何を?」

蝶子「何よ」

道郎「いや、あれか? 恋愛とかそういう方面のあれか?」

蝶子「違う、違う」

道郎「あ、違うのか。なるほど。本当だな?」

蝶子「どうして?」

 

道郎「いや~、実は昨日、邦ちゃんと会ったんだ」

蝶子「へえ!」

道郎「ほら、例の会社の大川さんと俺と邦ちゃんと」

peachredrum.hateblo.jp

蝶子「うん」

道郎「大川さんに頼まれて、ま、俺が呼び出したんだけどさ」

 

カフェ泉

 

道郎「はじめのうちは別に何ていうことはなかったんだ」

 

回想

邦子「大川さん」

大川「は?」

邦子「大川さんは、この前、私に『戦争映画にだけは出ないで』とおっしゃいました」

大川「はあ」

邦子「あれはどういう意味でしょうか?」

 

大川「いや~、どういうも何も」

邦子「はい?」

大川「つまり」

邦子「はい」

大川「いや、僕は何となく」

邦子「そういうのは困ります! ああいうこと『ただ何となく』だなんて…」

道郎「まあまあ」

 

邦子「私は戦争映画の出演を断ってしまったんですよ?」

大川「それは僕が言ったからですか?」

邦子「それも少しはあります」

大川「アハハハッ。いや~、うれしいなあ! 僕の言ったこと気にしててくれたなんて、いや、光栄です。アハハハ」

邦子「断ったせいで、私は社内で不利な立場に立たされました」

 

大川「僕の責任ですか?」

邦子「誰もそんなこと言ってません! 私はただ…今でさえ脇役の私は今後、出演の依頼なんか来ないんじゃないかということをですね…!」

大川「それはそれでいいんじゃないですか」

邦子「…」

大川「意に沿わない仕事をして後悔するより潔くていいな。あなたのそういうきぜんとしたとこ、いいと思います」

 

間に挟まれた道郎の顔芸が面白い。

 

♬~(レコード)

ただ一度だけ

ただ一度だけ

Googleの曲検索で1931年のドイツ映画「会議は踊る」(日本では1934年公開)の主題歌「ただ一度だけ」と出ました。

回想終わり

 

岩崎家茶の間

道郎「何なんだ、あれは? 邦ちゃんが悩んでたことっていうのは何なんだ?」

蝶子「…仕事のこと。『女優の仕事やめたい』みたいなこと言ってたのよ。『疲れた』って」

道郎「いつのことだよ?」

蝶子「4~5日前」

 

道郎「じゃあ、変じゃないか。変だよ」

蝶子「何が?」

道郎「『映画出演断ったのは大川さんのせいだ』みたいに言ったのは変だよ。『疲れたから』なんて、ひと言も言わないってのは変じゃないか!」

蝶子「邦ちゃんは文句を言ったんでしょ?」

道郎「その言い方が…挑発的っていうか、文句を言ってそうで甘えてるみたいな。すねてるというか、にらみつけてるんだけど、何だか見つめてるふうでもあり…会わせるんじゃなかったなあ」

 

蝶子「兄さん」

道郎「いや、いい! いいんだ、いいんだ! さてと。じゃ、帰るわ!」

蝶子「兄さん!」

 

玄関に向かう道郎。

蝶子「ごはんぐらい食べてけばいいのに」

道郎「食欲がない」

 

戸が開き、邦子がいた。

道郎「あっ!」

蝶子「邦ちゃん!」

邦子「昨日は…」

道郎「あ、うん…俺、帰るとこだから、また!」靴べらを蝶子に渡して足早に出ていった。

 

邦子「どうしたの?」

蝶子「あ、ううん」

 

茶の間

安乃がテーブルの上のさやいんげんのざるを片付ける。

 

蝶子「どうしたのよ?」

邦子「うん?」

蝶子「昨日もあれだって? また3人で会ったんだって?」

邦子「うん」

蝶子「その大川さんっていう人、どんな人?」

邦子「変な人よ」

蝶子「一度会わせてよ」

 

邦子「うん。何よ、どうして、そんなこと私に言うの? 道郎さんに言えばいいじゃない」

蝶子「邦ちゃん『うん』て言ったくせに」

邦子「はずみよ。何よ、どうして私に『会わせて』なんて言い方するの? 好きな人みたいに」

蝶子「どうなの?」

邦子「何言ってるのよ!」

蝶子「だけど、兄は、そう感じたみたいよ」

邦子「へえ。ねえ、チョッちゃん、6時ぐらいまで眠らせてくれない? 最近、部屋に1人でいると眠れないの」

 

麦茶を持ってきた安乃は邦子を見て首をかしげる。疲れた様子の邦子。

 

<数日後のことです>

 

夜、連平が元気なく岩崎家前の路地を歩いている。

 

岩崎家茶の間

雅紀・加津子「ごちそうさま!」

神谷「おお、偉いなあ!」

加津子たちは自分で食器を台所に運ぶ。

道郎「神谷先生は何でまた加津ちゃんの学校に?」

神谷「いや、私みたいに童話を書いてる友人というのが、そこの校長先生と知り合いで」

 

要「で、学校どうでした?」

神谷「いやいや、大したいい学校だわ。何がいいったって、生徒それぞれの個性っちゅうもんば大事に考えてるとこがいいんだ」

蝶子「高女の時の先生の理想でした」

神谷「うん、そうだったな」

蝶子「はい」

 

道郎が縁側にいる加津子に声を掛ける。「加津ちゃん、いいとこ行けてよかったじゃないか」

加津子「うん!」

 

玄関の戸が開いた。

安乃「私が」

蝶子「ああ」

 

⚟︎安乃「いらっしゃい」

 

蝶子「どなた?」

 

⚟︎安乃「連平さんです」

 

蝶子「どうぞ! いらっしゃい!」

要「よう!」

神谷「よう!」

道郎「どうしたの?」

連平「見ちゃった」

要「何を?」

 

連平「この間、泉に行ったらね、邦ちゃんが男と2人でいた」

顔を見合わせる道郎と蝶子。

神谷「アハハハッ、いけませんか?」

連平「いけなくは、ありませんけどね」

道郎「どういう男でした?」

連平「う~ん、30チョボチョボ、かたぎの男、まともな会社員だね」

 

道郎「(蝶子に)大川さんだ」

連平「誰、それ?」

蝶子「兄の会社の先輩」

連平「何でそういう男と邦ちゃんが、もう!」

道郎「いや~、ちょっと前、僕が邦ちゃんに紹介したんですよ」

連平「どうしてそういうことすんの? どうしてそういうことすんの!?」

 

要「で、邦ちゃん、その男性とその…交際してるのか?」

蝶子「さあ?」

連平「男と2人っきりってのは、まずいよ」

神谷「いや、2人っきりだからといって」

連平「いや、神谷さんはね、男と女のそういうことに疎いから。あたしの目に狂いはないんですよ」

 

道郎「どう、狂いはないわけ?」

連平「この間ね、野々村社長に会って話、聞いたけど、邦ちゃん、今、大変な状態だっていうじゃない」

神谷「というと?」

蝶子「映画の出演断ったり、会社の中でちょっと」

連平「そう。大東キネマで孤立した状態。そういう時にね、男と2人っきりでいるっていうのはさ、その男は、ただの男じゃないと思わざるをえないわけよ。でしょ?」

神谷「そう」

ため息をつく連平。

 

安乃「お茶どうぞ」

 

⚟︎玄関の戸が開く音

 

蝶子「あっ」

 

⚟︎邦子「こんばんは!」

 

蝶子「は~い! 邦ちゃんだ」

要「うん。どうぞ!」

 

邦子「あ…皆さん、いらしたんですか?」

神谷「やあ!」

要「いらっしゃい」

邦子「どうも」

連平「どうぞ」

 

蝶子「どうしたの?」

邦子「あ、あの…あ、道郎さん、大川さんも一緒なの」

道郎「ん!?」玄関へ。「どうぞ!」

 

<いやいや、これは事ですよ>

 

あからさまにがっかりする連平とちょっと目つきが鋭くなった神谷先生。

 

大川「あ、夜分、どうも」

安乃が座布団を敷く。

蝶子「あ、どうも。どうぞ」

大川「あ、すいません」

要「どうぞ!」

 

         縁側

        邦子 大川

      道郎       連平

    安乃       神谷

←台所側 蝶子      要

 

道郎「あ、僕の会社の先輩で大川さん」

大川「大川です」

一同頭を下げる。

邦子「あ、いや、今日、会っててね、チョッちゃんの話、してたの。小さい頃からの友達で道郎さんの妹で。で、旦那さんはバイオリニストの岩崎要さんでとか…そしたら『行ってみようか』ってことになって…」

ぎこちない雰囲気。

道郎「妹です」

蝶子「あっ、あ…妹です」頭を下げる。「お茶を!」

安乃「あ、私が」

蝶子「あ…そう?」

 

道郎「岩崎さん」

要「あ、岩崎です」

神谷「神谷です」

邦子「チョッちゃんと私の高女の時の先生」

大川「ああ」

道郎「で、こちらが国松連平さん」

大川「あ、よろしく」

ぎこちない笑顔を浮かべる連平。

 

道郎「へえ~、今日会うことになってたんですか?」

大川「いや~…」

邦子「あ、今日は皆さん、おそろいで何事ですか?」

蝶子「うん? いや、別に大したあれじゃなく」

神谷「いつもの」

蝶子「うん、そう」

何となくそれぞれ麦茶を飲む。

 

安乃「お茶、どうぞ」

大川「あ、どうも」

蝶子「あ、あの、安乃ちゃんといいまして、滝川の頃からの昔からの…」

 

大川「あ、私は…岩崎さんの演奏、一度聴いたことがあります」

要「あ、そうですか」

大川「はい。2年前、『日比谷公会堂』で」

要「日比谷…『チゴイネルワイゼン』」

大川「そうです!」

要「ああ。音楽はお好きですか?」

大川「はっ」

道郎「趣味が広いんですね」

 

神谷「何? 連平さん」

連平「え? いやいや、あたしは別に何も。ああ、それより今日、蒸しますねえ、今日。む…蒸さない? バカヤローみたいに蒸すんですけど」

一同の笑い声

 

玄関

大川「何だか邪魔をしに来たいみたいで」

蝶子「いえ、そんなことは」

邦子「じゃ」

蝶子「うん」

道郎「大川さん、邦ちゃんをよろしく」

大川「ああ。じゃ、おやすみなさい」

蝶子「おやすみなさい」

邦子「おやすみなさい」

 

大川と邦子が帰っていくのをいつまでも見送っている道郎。玄関に入ろうとした蝶子が振り返るとニコッと笑って家の中へ。

 

茶の間

連平「あ~、どうして? どうして邦子さんがあんな男と一緒に来なくちゃいけないの、ホントに!」

茶の間に戻ってきた道郎。

連平「道郎さんの責任!」

神谷「何の責任ですか?」

連平「邦子さんを紹介したから悪い!」

道郎「…すいません!」笑いながら膝をついて頭を下げる。

 

要「まあ、お前は邦ちゃんにずっとほれてたからねえ」

連平「そう、ずっと片思い。ほっといてよ、そんなこと、もう! 邦子さんとはね、一緒になれないと思ってたよ。それは諦めましょう。だけどね、どこかの男にさらわれるのだけは嫌だね! 神谷さん、あの男のこと、どう思います?」

神谷「いや~、なかなか好青年じゃないですか」

要「俺の演奏を聴いたことがあるというのが気に入った」

連平「は~っ、冷たいなあ、もうホントに。わあ~! あ~! 邦ちゃん!」寝っ転がってジタバタ。

要「やれやれ」

連平「邦~!」

一同の笑い声

 

台所

洗い物をしている安乃。ちょっと怒ってる!?

 

⚟︎連平「あ~、やだよ!」

 

蝶子が皿を拭く。「今夜は泊まっていきなさいね」

安乃「邦子さん、神谷先生や道郎さんがいるのにあんな人連れてくるなんて」

蝶子「来てるとは思わなかったんじゃないの?」

安乃「でも、無神経です」

 

野々村家間の路地を雅紀を連れ、俊継を抱っこしている蝶子。

子供たち「♬ちゃつぼにおわれて トッピンシャン

ぬけたら ドンドコショ」

ずいずいずっころばし

ずいずいずっころばし

  • provided courtesy of iTunes

野々村家

富子「連平が昨日、警察に捕まったんだよ」

蝶子「どういうこと!?」

富子「昨日、芝居の中で役者に『せいたくは素敵だ』って言わせたらしいんだよ」

夢助「その作者として引っ張られちゃったの」

蝶子「そんなことで!?」

夢助「『ぜいたくは敵』の『は』と『敵』の間に『素』を入れちゃった」

富子「うちのが今、警察に迎えに行ってんの」

うなずく蝶子。

 

<そういう時代でした>(つづく)

 

神谷先生と安乃の予言めいたものがなければ、道郎と安乃なんてどう!?って思ってたかもなあ。道郎の人のいいとこ、何か好きなんだよね。幸せになってほしいよ。