NHK 1981年3月1日
あらすじ
芸者・金魚(秋吉久美子)のもとへ、彼女と心中をはかった相手の母と妻がやって来る。生き残った金魚に子どもがいると知り、引き取りたいと言うのだ。一方、山根刑事(林隆三)は胃潰瘍が悪化し、木原医師(ケーシー高峰)の診断で療養を余儀なくされるが、市駒(片桐夕子)逮捕への執念を捨てきれない。そんな山根に、木原は鳥取の大きな病院に行くよう強く勧めるのだった。ある晩のこと、夢千代(吉永小百合)は市駒の声を聞く。
2024.12.4 NHK BS録画
ドラマ人間模様
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作:早坂暁
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音楽:武満徹
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演奏:東京コンサーツ
方言指導:高橋ひろ子
劇中劇指導:沢竜二
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三味線指導:豊藤美
踊り指導:松浦姉妹
協力:兵庫県美方郡温泉町
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夢千代(永井左千子):吉永小百合…字幕黄色
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金魚:秋吉久美子
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藤森刑事:中条静夫
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菊奴:樹木希林
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木原:ケーシー高峰
春川団十郎:沢竜二
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雀:大信田礼子
時子:中村久美
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トヨ子:村瀬幸子
寄子:水原英子
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スミ:夏川静枝
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千代春:楠トシエ
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かね:佐々木すみ江
泰男:岡田裕介
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アサ子:緑魔子
市駒:片桐夕子
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沼田:草薙幸二郎
作子:伊佐山ひろ子
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黒ダブルの男:丹古母鬼馬二
節子:田島令子
あんちゃん:あがた森魚
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信之:北村総一朗
市村:久保晶
黒メガネの男:堀礼文
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アコ:大熊なぎさ
邦子:内藤路代
辰夫:香山浩介
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座員:田中美佐
溝口順子
阿部光子
若駒
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山倉(山本倉次郎):長門勇
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泰江:加藤治子
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山根刑事:林隆三…字幕水色
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制作:勅使河原平八
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演出:松本美彦
幸せは一色(ひといろ)だけど、不幸せは一つ一つ違った色をしている。はる家にいる人たちの芸者になった理由は一人一人違う。
金魚はアコと出かけようとして、玄関先でスミに会い、「うちら、おらん」と言い残して出かけて行った。
はる家の客間にはトヨ子、節子、藤森刑事、夢千代がいた。6年前の心中事件のことは母から聞いて知っていた夢千代。当時は東京に住んでいた。夢千代の母が体調を崩し、鳥取の病院にいたときに金魚が担ぎ込まれてきた。夢千代の母の隣のベッドになったことが縁で金魚は芸者になった。
トヨ子は金魚と心中した橋爪信之の母だと夢千代に自己紹介し、節子のことは信之の家内と説明した。金魚の娘であるアコは信之の子供だと言い張る。節子は金魚をここへ呼んでほしい、よそに生まれた夫の子供を引き取ることは少々抵抗があると言う。七回忌で夫の死んだ場所が見たいと初めて来たが、ここで心中相手が芸者をやっていると知り、信之の子供がお座敷を連れ回されているのがたまらなく、引き取りたいと思った。
話を聞いた夢千代が金魚を呼びに部屋を出たが、スミから出かけたことを聞かされた。
金魚とアコは川辺にいた。川から湯気が出ていて温泉が流れてる? 外に捜しに出た夢千代は橋の上から金魚を目撃した。
藤森はスミに話を聞きに行った。スミが言うには、アコは金魚の子供ではない。
夢千代は金魚に一度話し合ったほうがいいと言うと、アコに話を聞かせたくないと夢千代にアコを預けた。
スナック白兎にアコを連れていった夢千代。「二人の世界」のスナックトム、「岸辺のアルバム」の繁たちの行きつけのスナック…前はスナックというより喫茶店ではないの?と思っていたけど、夜、お酒を出すからスナックというんだろうね。
店には木原医師がぼんやりしていた。山根刑事は胃潰瘍だが、木原は川崎署に連絡して引き取ってもらうよう連絡を取ってほしいと夢千代に頼んだ。大きな病院で診てもらったほうがいいと考えていた。
木原診療所
病室のベッドに寝かされている山根。
はる家
金魚は信之とは死ぬ前の日に汽車の中で初めて会ったとトヨ子と節子の前で話す。死のうと考えていた同士が汽車の中でたまたま出会った。トヨ子は会社の出張で出かけたんだからそんなはずないと信じない。
回想
餘部鉄橋を通りかかり、死のうと思った金魚は汽車の窓を開けると、偶然、隣のボックス席の窓も開き、信之と目が合った。おお、北村総一朗さん! お互いしようとしていたことが分かり、信之が金魚の向かいの席に移動して、どこまで行きますか?と聞いてきた。お互い行き先は決めていなかった。
回想終わり
ここの温泉町で降り、一泊。お互い身の上話もせず、名前も聞かないまま、次の日の朝、海辺へ行き、海へ入った。金魚はあのあと流産し、アコは自身の子供ではない。誰の子かは言えない。
節子は会社におはおわびの手紙を残していたが、私には何か残してなかったか聞いた。「若い女の人と一緒に死んだら女房は恨むだろうな。悲しまれるより、かえってそのほうがいいんだ」と金魚はそれだけ言っていたと伝えた。節子はお礼を言い、信之が証券会社勤めで成績を上げるために無理な株を動かして失敗したと語る。それではあまりに寂しすぎる、好きな人ができて死んだというほうが納得できると言い、トヨ子と帰っていった。
残った藤森と金魚。藤森はアコを木原医師のもとでもらったという噂があることを話した。
木原診療所
作子から便を採ってくるよう催促される山根は、水洗便所だから下へ落ちてしまうと言い訳した。作子はこの辺の人はみんな工夫して採ってる、表日本の人は不器用、多分、胃に穴が開いて便から血が出てるという。
夢千代とアコが山根の見舞いに来た。作子は食事まで作ることになるので、入院は困ると夢千代に文句を言う。あとから藤森も来て、夢千代とアコは帰った。作子は山根の入院費用は警察に請求したらいいか聞くが、藤森は管轄が違うと断った。
木原が戻ってきて、山根にうまいこと言って出て行ってもらえと作子に頼んだ。
病室に行った藤森は山根に川崎署に連絡を取りましょうと提案するが、山根は市駒がこの町に現れるのは間違いない、誰にも手を出してもらいたくないと断る。
町では春川団十郎一座の宣伝カーが走っている。旅の一座が来るとスミは辛そうな顔をする。スミは芸者になる前、旅の一座にいた。
菊奴が春川団十郎一座の楽屋に菊の花束を持っていくと、山倉もいた。客席には客もおらず、辰夫は刀を落とす失敗もし、座長はキレて芝居をやめてしまった。山倉は小屋主として客入りの悪さを文句言いに来たのね。座長の女形は気持ち悪いと言う。座長は芝居をやめて、歌謡ショーを提案するが、山倉は若い座員にポルノショーをやらせたらどうかと提案した。
役者は芸、芸者は芸と座長をかばう菊奴に今度は菊奴と山倉が言い争いになった。結局、山倉は今日で芝居は打ち切りだと楽屋を出て行った。
湯里ヌード劇場
セーラー服姿のアサ子が舞台に立つ。「私の名はアサコです。年は18、身長は163cmです。自分ではきれいなほうだと思っています。髪の毛は今は短いですが、じき長くなると思います。お酒は、まだあまりのめませんが、ブルースとタンゴぐらいは踊れます」毎回、この挨拶が終わると、音楽が流れて始まる。
照明係のあんちゃんが拍手、拍手~と客を煽るが、誰に指図しとんじゃと黒ダブルの男は怒る。男は椅子を持って壁をたたき、これが表日本の拍手だと言って、椅子を壊す。沼田が男を制し、修理代といって3000円くらい置いて出て行った。
男たちが帰ると、あれヤクザと違う?とアサ子があんちゃんに話しかけた。
木原診療所から山根はまた帰ってくると言って出て行った。この診療所は保険がきかないから早く出て行ってほしいらしい。モグリの医者!?
置屋を継いで芸者になろうとは思ってもいなかった夢千代。唇に血の毛はなく、あと3年の命。顔色の悪い夢千代を気遣うスミ。
湯里ヌード劇場
山倉はどこのヤクザだとイライラ。
スナック白兎
アサ子が藤森を呼んだ。山倉は警察がちゃんとしてもらわないとと文句を言う。城崎(きのさき)も鳥取も表日本の山陽会にみんな押さえられてしまったと嘆く。
これ以降、何度も山陽会と字幕では出てくるけど、”さんしょうかい”と聞こえるんだよなと思い、wikiを見ると、サン商会だった。舞台版の「夢千代日記」は山陽会だし、どういうこと? このドラマの俳優さんたちはサン商会と言ってるとは思う。
山陽会なら問題だと藤森も考え込む。山倉は体張って町を守ると言う。
煙草屋旅館
杉の間に呼ばれた夢千代と千代春。夢千代の前に泰男が現れた。泰男と一緒にいた市村は夢千代を見て、この温泉にはきれいな芸者がいると感心する。
泰男は泰江に「お母さん…左千子さん芸者やってんですか?」と聞く。ん? ここは親子なの? 「しかたにゃあだら」と答えた泰江。
廊下を歩いていた夢千代が立ちくらみを起こした。千代春は泰男の顔つきが変わって別の人かと思ったと話す。
私もドラマを見ていて、この人どっかで見たよな?と思っていたら、その後、東映の社長になった岡田裕介さんだった。若いころは石坂浩二さんにそっくりだったのに、千代春が言うように随分顔つきが変わってみえてしまった。やせたから?
山陽会の面々の前で貝殻節を踊る夢千代。
山根ははる家に来て、市駒のことをスミに聞いていた。
菊奴が三味線を弾き、千代春が歌う。千代春役の楠トシエさんは歌がうまいなと思ったら、元々歌手でデビューし、紅白に出たこともある。
CMソングもたくさん歌っていた。この歌、知ってる!
昭和36年4月3日、みんなのうたの初回で歌われた「誰も知らない」。
男たちは無表情で見ていたが、大声で「もうええ!」と演奏を止めた。沼田は夢千代になんぼで寝るのかと聞き、そういうことは致しておりませんと答えてもしつこく聞く。芸者は芸を売ってます、1時間5000円、よろしゅうお願いしますと菊奴が頭を下げ、演奏に戻る。
黒ダブルの男は再び怒り、演奏をやめさせる。沼田は今度は置屋ごと買ってもいいと言う。
煙草屋旅館に藤森が訪ねてきた。
夢千代は売るつもりはないと言うが、沼田はなんぼだとしつこく聞く。そこに藤森が調べさせてもらうでと入ってきたので、夢千代たちは座敷を出ることができた。杉の間の前には泰男がいて、話したいことがあると夢千代に言うが、夢千代は話すことはないと立ち去った。
ひとり残った藤森は男たちに立ち向かうが、黒ダブルの男には手が震えてると指摘された。
はる家に電話。スミが出たが、話から市駒と思った山根が受話器を奪い取ったものの電話は切れた。山根はフラフラになりながら外へ。
雪の中、夢千代たちが帰ってきた。吉永小百合さんの美しさが際立つな~。
夢千代の近くに市駒が来ていて、「おかあさん」と呼びかけた。(つづく)
ゆっくり話が進んでるように思えて、あと2回で何がどうなる?