NHK 1982年1月17日
あらすじ
夢千代(吉永小百合)は、神戸の病院から山陰の温泉町へ帰る列車の中で、ひとりの少女に出会う。一目で少女が家出をしてきたのだとわかった。20年前の夢千代にそっくりだったからである。夢千代は少女を自宅へ連れて帰るが、折しも金魚(秋吉久美子)がアコちゃんが行方不明だと大騒ぎをしていた。夜になって、アコちゃんはストリップ劇場に隠れているところを発見される。一方、家出してきた少女は好きな人を探しに来たと言う。
2025.1.8 NHK BS録画
ドラマ人間模様
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作:早坂暁
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音楽:武満徹
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演奏:東京コンサーツ
方言指導:高橋ひろ子
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三味線指導:豊藤美
踊り指導:松浦姉妹
協力:兵庫県美方郡温泉町
夢千代のナレーション<いつもながらあんなに表日本は晴れているのに山1つ抜けたら、こちらは鉛色の空になっている。11月28日。だから晴れのち曇り>
余部鉄橋を走る電車。夢千代がお茶で薬をのみ、聖子ちゃんカットの少女が見ている。夢千代と目が合うと目をそらす。20年前の自身にそっくりでひと目で家出と分かった夢千代。
夢千代は少女の前の座席に移動し、どこまで行くのか聞き、どこでもいいと答えた少女に上着を着せた。山陰は初めてだと言う。病院通いの夢千代が電車で誰かと出会うというのは前のシリーズと一緒だね。夢千代は次の駅で降りるから一緒に降りようと誘った。
浜坂駅で降りた夢千代と少女。駅へ向かう金魚と会い、アコを捜していたので夢千代は少女を待たせて、金魚に話を聞いた。学校へ行ったきりでホームでは手掛かりなし。
橋の上を歩いていた少女は川べりから湯気が湧いていることに驚く。川の一部だけ温泉が流れてるんだっけ?
はる家
スミが夢千代を出迎えた。警察署の藤森がアコを心配して来ていると言う。藤森は小学校1年の女の子で黄色い帽子をかぶっているとアコの特徴を電話で話していた。今日は土曜日。あさって大きなホテルがオープンするので見に行っているのだろうと藤森は言う。
三味線の貝殻節が聞こえる。菊奴が小夢に三味線指導をしていた。
菊奴は稽古を中断させ、小夢にマッサージさせた。夢千代は菊奴と小夢のいる部屋に少女を連れて行き、置いた。
署に戻るという藤森はみかんを欲しがり、最近腹も出てきたし妊娠したんじゃないだろうかと笑う。
夢千代は立ち眩みを起こし、スミに部屋に連れて行ってもらった。スミには少女が家出少女であり、今はそっとしといてご飯だけ食べさせてあげてとお願いした。
着替えてくると席を立った夢千代は自室に行き、仏壇の前で「母さん…私の命、あと2年だそうよ」と語りかけた。
菊奴たちのいる部屋
ここはどこ? 何するところですか?と聞く少女。置屋。芸者屋と菊奴が答えると、芸者って着物着て、変なヘアスタイルの?と驚く。おばさんも芸者さんですか?と聞くと、おばさん!?とムッとする菊奴。
”おばさん”でムッとするのは80年代が境なのかも! 金八の第2シリーズでも国井先生が加藤に”おばはん”って言われてムッとしてたな、そう言えば。70年代のドラマだと20代の若い女性でも子供におばさんと言われても、普通に返事してて、自分からおばちゃんって言ってたりしたし、「おばさん!?」みたいなワンクッションはない。
こないだ見た「踊る大捜査線」のスペシャルでも青島がおじさんと子供に言われて、ちょっとショックを受けていた。あれは1997年の年末。
菊奴は自身を芸者らしい芸者と答えた。
スナック喫茶 白兎
金魚が「うちのアコ、見なんだ?」と駆け込んできた。この店のマスター・寄子さんと「二人の世界」のブティックの片桐さんや「それぞれの秋」の藤森さんが最初は同一人物だと気付いてなかったよ。縁の太いの大きな眼鏡をかけて地味な感じで。美人キャラだったのにこのドラマに限っては地味キャラなんだろ?
1時間半くらい前、25~26の女の人と一緒に店に来たという寄子。25~26のコート着た人で2人で店に入ってきたが、注文を聞くと、女性はケーキをカウンターのほうに見に来ている間にアコは逃げた。金魚はその女性をアコを産んだ女だと言って店を出て行った。やっぱりアコちゃんは金魚さんの子じゃないんだと言う寄子。アサ子は産んだからってホントの母とは限らんと言う。
警察署
実の母なら誘拐とは言えないと言う藤森だが、金魚は早く手配してくださいと受話器を渡す。
はる家
松崎というアコちゃんの担任教師が訪ねてきて、申し訳ありませんでしたと頭を下げた。檀ふみさん。先生役が多いイメージ。
浜坂駅前
佐和子という女性がスーツケースを持ち、女の子と歩き出したが、警官に止められ、警察まで来てくれんかと腕をつかんだ。佐和子はいしだあゆみさん。
警察署
藤森は女の子の顔を見た途端、違う違う!と言い、金魚は出て行った。警官の安岡を注意し、佐和子には誘拐事件のようなものがあってと説明し、謝った。佐和子は山のほうに建った葵ホテルで働くことになっていたと話し、煙草屋旅館のことを聞き、まだあるんですかと言い残し出て行った。
夕方帰ってきた金魚。松崎がまだいて、昼間「宮原アキコとい生徒は今日、学校に出ておりますか?」と電話が女の人の声であったことを話した。金魚には何度もアコの母親から手紙が来ていて、会いたいと書かれていたが断っていた。
菊奴と小夢がお座敷に行くことになったが、菊奴が金魚なしでは不安がるので、夢千代が行くことにした。
煙草屋旅館
お座敷で三味線と歌が菊奴、夢千代と小夢が踊る。千代春さんの美声が聞きたかったね~。
別の部屋では佐和子と女の子がくつろいでいた。おかねさんが食事を運んできたのでここは長いんですか?と聞いた佐和子。おかねさんは勤続20年、佐和子は25年前に母と来たことがあり、今は母が亡くなり、七回忌だという。
スナック喫茶 白兎
山倉が来て、舞台を開けてないことに文句を言う。山倉はミッチー・ギャルソンという若い黒人女性を連れてきて、明日から劇場に出演すると紹介した。「コンバンハ」と挨拶するミッチー。アメリカ外人ショーとして売り出すんだと意気込む山倉が、突然絵描きは来なんだか?と聞いた。
ヌード劇場
♪愛は愛とて 何になる
「赤色エレジー」にのって踊るアサ子。練習ね。一緒にステージにいるミッチーはガランとした客席に目を凝らし、椅子に座っているアコを見つけた。
煙草屋旅館の泰江にアコちゃんが見つかったと電話があった。
お座敷を終え、廊下に出た夢千代は立ち眩みを起こしていて、泰江が見つけて気遣った。そして、アコちゃんが見つかったことを伝えた。
夢千代のナレーション<私の命はあと2年です。不意に…誰かを好きになりたい。誰かに好きになってほしい思いが込み上げてきました。自分でもうろたえるほどに込み上げてくるのです>
何だい!? 急に。
はる家
アコが戻ってきて金魚はアコを抱きしめた。何か言わなかった?と聞いた金魚に「電車に乗って、お天気のいい所へ行こうって」と答えたアコ。スミ、松崎、少女も2人の様子を見ていた。
煙草屋旅館
佐和子の部屋を訪ねた泰江。おお~、この2人は「阿修羅のごとく」の長女・綱子と三女・滝子。
「岸辺のアルバム」は「阿修羅のごとく」より前だけど、次女・巻子役の八千草薫さんと四女・咲子役の風吹ジュンさんが共演してたね。次女と三女の間は結構年の差がある。
泰江は古い宿帳から佐和子の名前を探し当てて見せた。
部屋番号 紅葉
31年11月23日 午後4時
住所
東京都世田谷区富士見町十九番地
氏名
曽根キヨ子 32才
娘 佐和子
佐和子は母の字だと喜ぶ。今、泊まっている部屋も同じ。泰江は親子のことを覚えていた。佐和子は死にに来たんでしょ?と聞くと、後でそう聞いたと答えた泰江。「私の様子も変ですか? 母のときと同じですか?」と聞く。
スナック喫茶 白兎
山倉は絵描きの絵にダメ出し。ヌード劇場だから上品なのは向かない、もっとドギチイのがいいと言う。絵描きは石坂浩二さん。絵描きがこういう絵しか描けないと言うと、山倉は旅費も宿泊費も払えないと拒否。
店には夢千代が来て、アコを見つけてくれたお礼を言った。絵描きは夢千代の顔を見て立ち上がり、こちらの人を絵に描いてはいけないでしょうか?と山倉に聞くと、ヌード小屋がどういうもんか分かってないなとヌード劇場に連れて行こうとしたが、絵描きは海鳴りに気付いて立ち止まった。
寄子が夢千代に絵描きの絵を見せた。おしゃれな絵なのにな~。
ヌード劇場
「最后のダンス・ステップ」に乗り、アサ子がセーラー服で出てきた。
セーラー服の下は結構派手派手。イヤイヤながら見ている絵描き。
煙草屋旅館からはる家に帰った夢千代。スミが出迎え、アコはもう2階で寝たと知らせた。金魚はアコの寝顔を見守る。少女はこたつにあたったままで、夢千代は少女に名前を聞き、家出少女であることを指摘し、自身も家出したことがあると話した。
少女は好きな人を捜しに来た、その人と結婚したいと言い出す。少女は14歳。
夢千代のナレーション<夜になって初雪。何か生き急いでいる私のように今年の雪はいつもより早い初雪です>(つづく)
初回は最後にキャストクレジットが出るパターン。
夢千代(永井左千子):吉永小百合…字幕黄色
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金魚:秋吉久美子
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菊奴:樹木希林
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寄子:水原英子
アンちゃん:あがた森魚
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小夢:中村久美
少女:菊地優子
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アコちゃん:大熊なぎさ
奈美絵:市丸和代
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曽根佐和子:いしだあゆみ
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松崎先生:檀ふみ
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アサ子:緑魔子
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山倉(山本倉次郎):長門勇
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駅員:北見唯一
ミッチー:條津レナ
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クーちゃん:内藤路代
安岡:松田茂樹
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房子:高橋ひろ子
トシ子:香山エリ
鳳プロ
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泰江:加藤治子
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おかねさん:佐々木すみ江
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おスミさん:夏川静枝
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男:石坂浩二…字幕水色
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制作:勅使河原平八
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演出:深町幸男
当然、前作の山根刑事や千代春、木原医師は出てこなかった。雀も旅芸人と出て行ったんだっけ。でも、おなじみの人が結構そのまま残ってる。夢千代は泰江の息子・泰男と結婚したいと考えていたけど、病気のこともあってやめた。今度ひかれた絵描きは泰男にちょっと似ている石坂浩二さん。
泰男役の後の東映社長・岡田裕介さんは石坂浩二さんに間違えられてスカウトされたとか。若いころほどよく似てる。石坂浩二さんは「ありがとう」シリーズのころは痩せすぎでこのドラマくらいのころがいいなあ。今後、どんなふうに関わってくるのか。