徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】わが子は他人 #16「提案」

TBS 1974年7月17日

 

あらすじ

大吉(松山省二)と晃(吉田友紀)がよく似ているという噂が近所で広まり、不安になった紀子(音無美紀子)や和子(林美智子)は、しばらく大吉と晃を近づけない方がいいと考える。しかし、一郎(春田和秀)と晃の親密さはさらに増し…。

2024.5.15 BS松竹東急録画。

peachredrum.hateblo.jp

福山大吉:松山省二…太陽カッター社長。字幕黄色。

福山紀子:音無美紀子…大吉の妻。字幕緑。

*

和泉和子:林美智子…元の妻。

*

滝沢春生(はるみ):高沢順子…和子の姪。

福山隆:喜久川清…大吉の弟。浪人生。

*

友二:鍋谷孝喜…太陽カッターの従業員。

洋介:田尻丈人…太陽カッターの従業員。

女性1:下川清子…近所の主婦。

*

原京子:安東結子…元の教え子。

吉川:鈴木陽子…元の教え子。

川島:鶴ひろみ…元の教え子。

女性2:戸川美子…近所の主婦。

*

福山一郎:春田和秀…大吉、紀子の息子。小学1年生。

和泉晃:吉田友紀…元、和子の息子。小学1年生。

ナレーター:矢島正明

*

福山ゆき:小夜福子…大吉の母。

*

和泉元(げん):杉浦直樹…中学校教師。

 

親戚づきあいがやっと軌道に乗りかけたとき、そこに他人の目がありました。親たちとすれば、そのことを十分、注意していたはずなのですが、子供の問題があまりにも深刻だったために、つい世間のことを忘れていたのです。それが今、改めて問題になってきました。

 

福山家茶の間

ゆき「だから、裏の伊藤さんの奥さんがさ、近所で変な噂をしてるから注意したほうがいいよって言ってくれたんだよ。お前たちは難しい顔をしてたし、近頃、見慣れない晃が出入りしてるだろ? それで変な噂が生まれたんだよ、きっと」

大吉「まあ、要するに晃が俺の子供じゃないかっていうんだろ?」

ゆき「そこまではっきり言いやしないよ。ただ、よその子にしては、お前によく似てるって言ってるらしいよ」

大吉「だから、そういう意味じゃない。で、母さん、なんつったのよ?」

ゆき「うん。親戚の子だって言っといたよ。そうしか言えないだろ? 似てるって言うんだから」

大吉「まったく、うるせえヤツらだな。人のうちのことなんか、どうでもいいじゃねえか」

 

紀子「でも、こんな噂、ほっとくわけにはいかないわね。どうする?」

大吉「うん…」

紀子「この噂は立ち消えにならないわ。これからだって晃は来るんだし」

大吉「まさか、ご近所に説明して歩くわけにもいかないだろ」

 

隆「おはよう。ゆうべ、だいぶ酔ってたね」深刻な雰囲気に「顔洗わなくちゃ」と茶の間から出て行った。

 

大吉「とにかく、今すぐにはどうすることもできないんだから、しばらく様子を見るしかないよ」

紀子「何かいい方法はないかしら?」

大吉「ないって言ってるだろ。イヤならここを引っ越すしかないよ」

ゆき「それほどのことじゃないよ。どうせ近所の人は暇つぶしで言ってんだから」

大吉「母さんが大変だって言ったんじゃねえか。チッ、頭痛(いて)え」

 

ゆき「そりゃ、最初はドキッとしたよ。でも、よく考えてみたら、ただの噂話だからね。こっちがシャンとしてれば、そのうち飽きるよ。奥さんたちのほうで」

大吉「なんだよ、その程度のことならさ、大げさに言わないでよ」

紀子「大げさじゃないと思うわ。こういう噂が一番困るのよ」

大吉「それじゃ、俺にどうしろっていうんだよ?」完全な二日酔いだと紀子に水をもう一杯求めた。

 

隆「朝から暑いね。(新聞を読む)今日から土用か。そろそろうなぎだね」

 

「おやじ太鼓」視聴者からすると、ここで無反応のゆきがちょっと寂しい。それどころじゃないけどさ! 1974年の夏の土用の入りは7月20日(土)から8月7日(水)まで。じゃあ、土曜日なんだね。

 

隆「なんだよ、また痴漢かよ」

大吉「黙って読めよ」

 

紀子は大吉に水を渡し、今日、晃が来ることになってるけど断ったほうがいいか聞いた。大吉も2~3日様子を見た方がいいと答えた。紀子は今のうちに電話をかけることにし、大吉も出かけることにした。

 

しかし、和泉家は電話に出ない。大吉は仕事に出かけた。もう昼近くくらいなのかな?

 

隆「ねえ、何かあったの? またケンカでもしたの?」

ゆき「寝すぎだよ、お前は。早くご飯食べなさい」

 

和泉家を訪れた隆。こんにちはと言いながら玄関に入ってる。「こんにちは。福山ですけど。福山の家の者ですけど」

 

ようやく奥から春生が出てきた。「あっ、なんだ、あんただったの」

 

それにしたって、ホットパンツ姿の春生の脚が長い、細い。

 

隆「誰もいないの?」片足もう上がり込んでる。

春生「ダメよ。これから出かけんだから」

隆「違うよ。奥さんに会いに来たんだよ」

 

用を頼まれたと言う隆。和子は晃を送って、帰りに買い物してくると言っていたと春生が言う。春生は隆を家に上げ、昨日、元が福山家に泊まったことを聞いた。兄貴と二人で酔っ払ったと隆が言うと、仲がいいことを意外に思っている。

 

一郎と晃のことが近所で噂になってることを伝えに来た隆。春生は扇風機を隆の前に運び、画面の前に脚が映る。

 

春生「脚、気になる?」

隆「いや…全然」と言いつつ、ニヤニヤ。

春生「格好いいでしょ? 私の脚」

隆「まあね」

春生「これでも自慢なんだけどな」

 

大学は夏休みに入ったが、実家に帰っても面白くないので東京にいる春生。隆はまたドライブ行かない?と誘うが、春生は浪人の男の子2人も一緒じゃ遠足みたいでムードないと断る。

 

和子、帰宅。和子が出かけて、春生が寝ていたので電話に出なかったことが判明。隆は近所の人たちが晃を大吉の子ではないかと噂になっており、しばらく来ないほうがいいんじゃないかということを伝えた。和子は了承。

 

帰ろうと立ち上がった隆。

和子「あの…何か冷たい物でも」

すぐしゃがんだ隆。

春生「いいのよね?」と言われて、結局帰ることにした。

 

和子「いつかこんなこともあると思ってたわ。そりゃ、福山さんのご主人に似てるはずよ、ねっ」

 

でも、子役の晃ちゃんは和子に似てると思うんだけどな。

 

茶店の赤電話で自宅に電話をかけた大吉は、一郎が近所の人に晃のことを聞かれたら困るから、ちゃんと説明しといたほうがいいと紀子に言う。晃ちゃんの家は遠い親戚だということにしようと言うが、紀子は前になんか言わなかったかと気にする。

 

受話器を置いた紀子にゆきが話しかけた。紀子は「ウソを言うなんて、なんだかヤだわ」と戸惑い気味。

ゆき「でも、この際、しかたないよ。一郎のためだから」

うまく言えるかしらと不安な紀子。

 

公園

一郎と晃が遊んでいると買い物かごにエプロン姿の主婦たちが話しかけた。

女性1「僕」

女性2「名前なんていうの?」

晃「晃っていうの」

 

ちょうど紀子も公園に来て、主婦たちのほうへ向かう。「こんにちは」

女性たち「こんにちは」

紀子「お暑うございます。晃ちゃん、こんなとこにいたの。さあ、おうちへ帰りましょう、いい物あげるから」

一郎「ここのほうが涼しいよ」

 

紀子「じゃあ、晃ちゃん行く?」

晃「うん。一郎ちゃん、行こうよ」

一郎「うん」

 

女性2「やっぱり子供同士ね。仲いいのね」

女性1「あの子、どこのお子さん?」

紀子「ええ、あの…ちょっと遠い親戚の」

女性1「ああ、そうですか」

女性2「そう」

女性1「近頃よく、この辺で遊んでるの見かけるから、どこのお子さんかと思ってね」

女性2「ええ、そうなの? なんだか、ご主人にね、ちょっと似てるし」

女性1「そうね」

 

紀子「ええ、あの…主人のほうの親戚なんです」

女性2「どうりで」

紀子「あの…駅の向こうに住んでるんですよ」

女性1「ふ~ん」

女性2「ああ…」

 

主婦たちは去って行った。女性1は細くて若い女性、女性2の戸川美子さんは木下恵介アワーにちょいちょい出ている。

peachredrum.hateblo.jp

「思い橋」だと団体客で二上の庭で弁当を食べた女性3人組の一人。

peachredrum.hateblo.jp

「たんとんとん」では磯田の実家の金物店に来た客。ほかにも「あしたからの恋」では後ろ姿だけの女性客や、「3人家族」の20話、「二人の世界」の9話など。

 

紀子「一郎ちゃん、ほら、早くしなさい、一郎」水遊びをやめない一郎。「あっ、そうだ。じゃ、みんなでアイスクリーム食べに行きましょうか」

一郎「うん」

 

紀子は右手で晃、左手で一郎の手をつないで歩く。

 

晃は決して遠い親戚の子ではなかったのです。紀子は慌ててもなおウソをついた自分が情けなく、わが子を拒否した母親の罪を感じるのでした。

 

茶店

アイスを食べる子供たち。

紀子「2人とも慌てないの。ゆっくり食べなさい。それからね、晃ちゃん、来るときはちゃんとお母さんに言ってくるのよ。いいわね?」

晃「うん」

紀子「ケガでもしたら大変でしょ? 晃ちゃん、一郎のマネしちゃダメよ。一郎、やめなさい」

 

和子が店に入ってきた。「奥さん、どうもすいません。お電話いただいちゃって」

紀子「いいえ」

 

和子「ダメじゃないの。あんなに言ってあるのに。どうして1人で踏切渡るの?」

紀子「2人とも遊びに夢中なんですよ。前からあの公園で会う約束してたんですって」

和子「ホントに目が離せないわ」紀子も同意。「あっ、それから奥さん。昨晩は主人が大変お世話になりましたそうで申し訳ございませんでした」

紀子「いいんですよ、そんなこと」

 

突然、晃が紀子に「一郎ちゃんちと僕んちは親戚なの?」と聞いてきた。

紀子「ええ、そうよ。遠い親戚なのよ」

和子「そう、親戚よ」

晃「だって言ったじゃない。お父さんたち仲いいって。お友達だって」

和子「ええ。だから、いいんじゃない。お父さんたち、親戚だから、仲のいいお友達なんでしょ」

晃「そっか」と納得してアイスを食べる。

peachredrum.hateblo.jp

三浦半島に行く前、元が晃に言ってた。

 

和子は紀子にうちへお寄りになりませんかと誘う。

 

和泉家

子供たちは寝てしまった。

 

和子はお茶の準備をしに台所へ。「ああやって、2人並んで寝てるなんて、なんだか信じられないわ」

紀子「あれからもう4か月になるんですね」

和子「私なんか最初、もう…どうなることかと思ったわ」

紀子「でも、大変なのはこれからですわ。世間の目もあるし、子供たちもだんだん物が分かってくるし」

和子「じゃあ、このまま遠い親戚ということで通すんですか?」

紀子「ええ。そう言ってしまいましたから、そうするしかないと思います」

 

和子「いいのかしらね。心配だわ。一度世間にウソの話をしてしまったら、もう二度と取り消せませんからね。あとはもうつじつま合わせのために、ますますウソが大きくなってくんじゃないかしら」

紀子「他にもっといい方法があるといいけれど…それに、今、子供たちに知られたら困りますわ。ここしばらくはウソをつくしかありませんわ」

 

和子「ただ…本当のことが分かったとき、子供たちに恨まれるわ。ウソをついてたら」

紀子「それは私、覚悟してます。恨まれても、今、子供たちに分かるよりいいと思います」

和子「奥さんは強いわね。私はダメだわ。誰に恨まれてもいいから、あの子たちには恨まれたくないの。私には、あの子たちしかないんですもん。あの子たちが二十歳になるとき、私はもう55だわ」

 

1974/昭和49年に小学校に入学した晃と一郎は1967/昭和42年生まれ。1987年に55歳ということは、和子さんは1932/昭和7年生まれで1974年現在42歳か。

 

林美智子さんは1939年生まれだから、和泉夫婦は2人ともちょっと年上を演じてるのね。

 

和子「ハァ…そんな年になって子供に恨まれるなんて考えただけでも耐えられないわ。もしかしたら、物事がはっきり分からないときに知らせたほうがショックが少ないかもしれませんわ。中学生や高校生になったら、そんなこと言えませんよ。すべてが分かるんですもの、かわいそうだわ。そう思いません? 今なら笑ってるかもしれないわ。大きくなって話せば必ず泣きますよ。そんな子に面と向かって話せますか?」

紀子「できれば、私、一生知らせたくないんです」

和子「そんなことできないじゃありませんか」

紀子「だから恨まれるのを覚悟したんです。ただ恨まれるんだったら、なるべく先にしたいんです」

www.chunichi.co.jp

これは難しい問題だな。この記事だと和子みたいに小さいうちから伝えておくのが今は主流らしい。記事の中にあった、近隣等の何気ない言葉や子供自身の気付き、戸籍の記載などとあり、なるほどと思った。やっぱり近所の目はやっかいなのかも。紀子は一郎を手元に置いときたい気持ちが強いのかな。

 

元が歩いていると、川島と吉川が声をかけてきた。いつも2人一緒なんだもん。やっぱりどちらが鶴ひろみさんか分からない。でも旧ツイッターだと先日の回だと画面左にいた一つくくりの子が鶴ひろみさんだと言ってる人が多い気がする。

peachredrum.hateblo.jp

元「なんだ、君たちか。どうしたの?」

吉川「先生。原さんの居場所が分かりました」

元「どこにいたの?」

吉川「やっぱり横浜の元町です」

元「横浜?」

川島「原さんとね、仲のいい後輩のうちへね、ゆうべ電話がかかってきたんです。元町のね、マジョリカっていうスナックにいますって、ねっ?」

吉川「うん」

元「そう。ありがとう」腕時計を見る。

 

今回も吉川さんは一つくくりで黒いリボン。吉川さんは髪をおろしている。今回、ほとんど後ろ姿ということでやっぱり分かりません。

 

夜、元町へ行った元。マジョリカに入って「原君」と声をかけた。

 

原はオレンジのワンピース。髪は下ろしてパーマをかけてるのか天然パーマなのか大人っぽい雰囲気。顔には化粧。元々、大人っぽい顔つきの子だよね。ただ肌がぴちぴちすぎるので若すぎる感じは出てる。

 

原「いらっしゃいませ」

元「随分捜したよ」

原「何にしますか?」

元「うん? ああ…コーヒーもらおうかな」

原「はい、1(ワン)ホット、お願いします」

 

元「ご両親にも会ったけど、ホントに心配してるよ」

原「あの人たち、私のことなんて関係ないのよ」

元「そんなことないよ。君、勘違いしてるよ」

原「先生には分かってないわ」

元「そうかな。分かってるつもりだけどね、大体のことは。帰ったほうがいいよ」

 

原「どうせ帰ったって他人のうちだわ」

元「なぜ他人のうちなの? 君のうちじゃないか」

原「いいえ、他人のうちです。お母さんは自分の好きなことやってるし、あとは義理のお父さんがいるだけですもの」

元「君は間違ってるよ。お母さんが君のことを心配してるのは事実だし、お父さんだってホントに心配してるんだよ」

原「口だけよ。あの人はホントの親じゃないもの」

 

元「なぜ血がつながってなけりゃ、ホントじゃないんだ? 今、この世の中で君のこと一番心配してるのは、ご両親じゃないか。それが一番大事なことじゃないか」

原「先生はうちの親を知らないんですよ」

元「でもね、ご両親が自分勝手で、まるで君のことを考えていないとは思えないね。それに、君もかなりわがままなんじゃないかな? いや、お父さんは血がつながってないから何を言っても信用されないと思ってるんだ。そう思いながら、毎日、君に話しかけてる人間を、君、関係ないと言えるかね?」

 

元は血のつながりを否定している自分が哀れでした。どこまで否定しても血のつながりはそこにあったのです。そのつながりこそが元にとって一番大きな問題だったのです。

 

元より親が捜したりしないのかな?

 

踏切

自転車に寄りかかって待っている一郎。踏切が開き、向こうから晃が走ってきた。「一郎ちゃん」

一郎「行こう」

 

一郎は踏切前に置かれた自転車に寄りかかっていただけで、晃と一緒に走り出す。

 

公園

訂正だらけのノートと丸だらけのノートの広げて見ている子供たち。

晃「ほら、全部、三重丸。ねっ?」

一郎「晃ちゃんちのお父さんは学校の先生だろう?」

晃「うん、そうだよ」

一郎「うちのお父さんも学校の先生ならなあ」ランドセルにノートをしまうと、ポケットからガムを取り出し食べ始める。

 

晃「そのガム、おいしい?」

一郎「うん」じっと見つめる晃に「しょうがないなあ」と板ガムを1枚渡す。

晃「いいな、一郎ちゃんちは」ガムを口に入れ、見つめ合ってニッコリ。

このグリーンガムに見えたけど、ミント味で子供が噛むにはちょっと辛い?かも。違うか。

 

一郎「晃ちゃん、待ってよ」

走りながら、耳打ちしあう子供たち。

2人「♪指きりげんまん ウソついたら 針千本 飲ます」と約束し、「バイバイ!」と別れた。

 

福山家

ビールを飲んでいる大吉。風呂上がりの一郎の頭を紀子が拭く。「一郎は今日も道草してきたんですよ」

大吉「ダメじゃないか」

紀子「全然勉強しないんだから」

大吉「それじゃ、一郎は偉い人になれないな。今日はバツ印だぞ」

ゆき「大丈夫だね。勉強するよね」

一郎「うん、するよ」

大吉「そうか、やっぱり一郎だな」

 

一郎「ねえ、お父さん」

大吉「うん? なんだい?」

一郎「夏休みになったら晃ちゃんち行っていい?」

大吉「おい、いいよ」

ゆき「よかったね」

 

一郎「ずーっとだよ」

大吉「ずっと?」

一郎「うん、晃ちゃんちの子になって勉強するの。夏休みの間ずっと」

ハッとする一郎、ゆき、紀子。

 

一郎「それでね、晃ちゃんが僕んち来たいんだって」

大吉「えっ?」

一郎「毎日、ガムやチョコ食べたいんだって」

 

紀子「ダメよ、そんなの。晃ちゃんのうちで困るわよ、きっと」

一郎「僕は行くよ」

紀子「晃ちゃんはお父さんにそんなこと言いませんよ」

一郎「言うもん。約束したんだから」

ゆき「それはちょっと無理かもしれないね」

 

ぐでっと仰向けになる一郎。

紀子「ご飯、食べるんでしょ?」

一郎「食べないよ」

 

和泉家からの電話

大吉「ああ、いや…今、うちでもそれを言いだしましてね」

元は晃に電話を代わった。

晃「もしもし、おじさん?」

大吉「ああ」

晃「あのね、夏休みになったらね」

大吉「うん」

晃「おじさんちに行っていいでしょ」

大吉「うん、いいよ」

 

和泉家

晃「(元に)いいって」

元「よろしくお願いしますって言いなさい」

晃「うん。よろしくお願いします」

 

福山家

大吉「はいはい。うん、うん」涙ぐむ顔がアップでぼやけた。

 

一郎「うん、僕ね、おばさんちの子になるからね。ねえ、ねっ?」

 

和泉家

和子は一郎の言葉に返事ができない。

一郎「おばさん、聞こえる? 行くからね」

和子「はい、ありがとう。ええ。待ってますからね」

 

元は自身を納得させるようにうなずいている。晃はニコニコ。

 

福山家

電話をしている一郎の後ろで涙を流す紀子。

 

このとき、親たちは血を分けたわが子が本能的に自分の親を捜しだしたと思ったのです。(つづく)

 

親たちは深刻になってるけど、子供同士は取り換えっこしたらどうだろうぐらいの軽い気持ちだと思う。

 

キャストクレジットに従業員の名前が書いてあったけど、カットされた?

 

「おやじ太鼓」33話。今度は北海道旅行。しかも、話の後半だけってのがすごい。

peachredrum.hateblo.jp

34話は山田太一脚本回。「3人家族」の準備をしながら書いたのかな?

peachredrum.hateblo.jp