TBS 1974年6月5日
あらすじ
大吉(松山省二)夫婦と元(杉浦直樹)夫婦は、血のつながった親のもとで暮らすことが子どもの幸せだと結論づける。子どもたちが慣れるまで、二組の家族は親戚づきあいをしようと提案するが…。
2024.5.7 BS松竹東急録画。
福山大吉:松山省二…太陽カッター社長。字幕黄色。
福山紀子:音無美紀子…大吉の妻。字幕緑。
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和泉和子:林美智子…元の妻。
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滝沢春生(はるみ):高沢順子…和子の姪。
福山隆:喜久川清…大吉の弟。浪人生。
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福山一郎:春田和秀…大吉、紀子の息子。小学1年生。
和泉晃:吉田友紀…元、和子の息子。小学1年生。
ナレーター:矢島正明
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福山ゆき:小夜福子…大吉の母。
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和泉元(げん):杉浦直樹…中学校教師。
福山家
廊下でサッカーボールを蹴っている一郎。
取り違え事件のショックが過ぎても子供の問題は依然として残っていました。そのために親たちはケンカもしました。でも、やはりまた会うことにしたのです。その約束の日曜日がとうとう来てしまったのです。
茶の間で新聞を読む大吉。
紀子「うちの中でボール蹴っちゃダメでしょ! お義母(かあ)さん、のり知りません?」
ゆき「のり?」
紀子「敷布に付けたいんですけど見えないんですよ」
ゆき「あっ、のりね…あっ、そうそう、この間使ってね。一番上の棚に載せたと思うよ」
紀子「あっ、そうですか。あっ、あなた。ねえ、ヒゲでも剃ったら?」
早く支度をするように言う紀子に「まだ大丈夫だよ」と座ったままの大吉。
紀子「一郎、やめなさい!」
一郎「1人で公園行っちゃいけないっつったじゃない」
紀子「他のことして遊べばいいでしょ」
一郎「ねえ、どこ行くの?」
大吉「仕事のことでな。ちょっとお話ししに行くんだ」
一郎「ねえ、お父さ~ん」
大吉「よし、それじゃちょっと公園行くか」
一郎「うん」
大吉「おい、ちょっと公園行ってくるからな」
紀子「そんなことしてる暇ないわよ」
大吉「まだ1時間以上あるよ」
物干し場
まだ帰ってこない大吉を心配するゆきと紀子。ゆきは紀子に早く呼びに行くように言う。ホントに優しいお姑さんだね。先方に会っても無理しないよう気遣う。
エプロンと頭にスカーフ、つっかけのまま近くの公園に走る紀子。「あなた、もう時間よ!」
大吉「おう」
一郎がサッカーボールを紀子のほうに蹴る。「お母さん、蹴ってごらん!」
紀子「さあ、帰りましょう」
一郎「やだよ」
大吉「じゃ、またあとでやろう。約束するよ」
一郎「やだよ」また公園内に走っていく。
大吉「じゃ、お前、先帰ってろ。すぐ行くから」
紀子「ねえ、もう12時よ。早く支度しなきゃ」
大吉「12時半までには帰るよ」
紀子「ねえ、あなた。ホントは行きたくないの?」
大吉「なんで?」
紀子「どうしてもイヤなら私一人で行ってもいいわよ」
大吉「行くよ。約束したんだから」
紀子「ねえ、ホントはどっちなの?」
大吉「行くんだからいいじゃねえか」
紀子「あなたの本当の気持ちを聞いときたいのよ。会う以上、どうするのか決めとかなくちゃ困るでしょ? いつまでもこの問題を避けとくわけいかないのよ」
大吉「俺はホントのこと言うとね、2人とも引き取りたいんだよ。晃だって、うちに来れば必ず幸せになれるんだ。俺が絶対してみせるよ」
紀子「でもそれはできないでしょ?」
大吉「だから困ってんじゃないか。とにかくどっちか取るかって話は、今したくないんだよ」
紀子「じゃあどうするの?」
大吉「だから会うことは会うよ」
紀子「ただ会うだけ?」
大吉「そうさ。お互いに気まずくなっていたから、まず会って仲直りするんだよ。子供のことは、それからあとに考えたって十分に間に合うよ。子供の将来のために血がつながってる親のほうがいいとなりゃ、それはそのときでまた考えるさ。お前は一体どう思ってんだ?」
紀子「私は一郎や晃ちゃんが幸せになってくれれば、それでいいと思ってるの。そのために苦しむんだったら我慢する覚悟はできてるわ。だから、あなたに一番いい方法選んでもらいたいのよ」
大吉「じゃ、あいつが向こうに引き取られてもいいっていうのか。相手は他人なんだからな。お前の気持ちを善意に解釈はしてくれないぞ」
他人だから善意に解釈してくれないのは橋田ドラマを見ていると、よーく分かるよ。
一郎「お父さ~ん!」
大吉「おう、行く行く。12時半までには帰るからな」と一郎の所へ行き、ボールの蹴り合いを始めた。
和泉家
和子不在で昼食。
春生「このソーセージおいしい。お料理上手ね、叔父さん」
元「いや、無理しなくたっていいよ」
春生「ホントよ。味付けがなかなかいいわ」
元「そうかね?」
春生「うん、どこで習ったの?」
元「いや、自己流さ。戦後ね、食べる物がなくて、みんないろいろ工夫したんだよ」
春生「でも、そういう味はしないわよ」
元「うん。時が過ぎれば味も変わるんだね。遅いな、それにしても」
春生「あっ、今日、日曜日でしょ? 美容院、混んでんのよ、きっと」
元「だったらやめて帰ってくりゃいいのに」
春生「無理よ。女は時間に遅れたって、お化粧だけはするもの」
元「いや、そういうふうにして行く日じゃないんだよ、今日は」
春生「関係ないのよ。お葬式だろうが結婚式だろうが、女ってそういうもんなのよ」
元「なんだい、自分も女のくせに」
春生「だからつまんないの」
元「いや、男だったらもっとつまらないかもしれないよ」
春生「あ~あ、恋でもしちゃおうかな」
元「ご飯は?」
晃「ごちそうさま」
元「もうおしまいか?」
晃「うん」
元「ダメだよ、もっと食べなくちゃ。大きくなれないよ」
晃「体より頭だってさ。お母さんが言ってたよ」
春生「フフフッ。まさしくそのとおりね。叔母さんらしいわ」
元「それはね、大きくなってからの話なんだ。お前、まだちっちゃいんだから、たくさん食べて大きくならなくちゃ。なんだい、こりゃ。間に合いそうもないね」
和子が帰ってきた。「ただいま」
元「遅いじゃないか」
和子「そうなの。すごく混んでて全然狂っちゃったわ。あら、もうこんな時間。大変だわ。すぐ支度しますから」
元「食事はどうするの?」
和子「もういいわ」
元は食事を終えた。
春生「ああ、私、片しときます」
元「あっ、そう。じゃあ、晃のこと頼むね」
春生「はい」
元「晃、おねえさんの言うことよく聞くんだよ。すぐ帰ってくるからね」
晃「うん」
三面鏡に向かっている和子。「ダメね、日曜日に美容院行くのは。出かける人がみんなセットに来るでしょ? もうてんやわんやで忙しいったらありゃしない。春生ちゃん、見てよ、この頭。ひどいでしょう?」
春生「でも、いいんじゃない?」
和子「無責任ね。あ~、逆毛ばっかり立てちゃって風船みたいだわ」
春生「そうでもないと思うけど」
和子「変に若い子がやったんだけど見てても手元がおぼつかないのよ。それにね、なんていうのかしら、ここんとこをこうしてちょうだいって言っても、全然こっちの言うとおりにしてくれないんだから、もう。やってる間、イライラしっぱなし」
元「さあ、急いで」
和子「はい、分かってますよ。じゃあ、ちょっとここ閉めますからね。ああ、忙しい」
襖を閉めて身支度をする和子。元は背広を着て、タバコを吸う。春生は片づけ。
和子「ごめんね、晃。せっかくの日曜日なのに」
晃「うん」
和子「いい子ね」
晃「お母さん、きれいだね」
和子「そう? フフフッ」
晃「早く帰ってきてね」
和子「もちろんよ。急いで帰ってくるわ」
晃「お土産も忘れないでね」
和子「はいはい」
襖越しに晃と和子の会話を聞いていた元。
喫茶店
大吉「どうしたのかな?」
紀子「もうそろそろ来るわよ、いくらなんだって」
大吉「まったくもう。自分のほうから電話よこしといて遅れるんだからな」
紀子「何かあったのかしら? ちょっと電話してみるわ」
大吉「いいよ」紀子は「だって…」と言うが、大吉が止めた。「大体どうしてこんなとこで待ち合わせんだ。うるさくって話もできやしない」
紀子「いいじゃない。和泉さんたちがみえたら、どこかもっと静かなとこに場所を移せば」
大吉「せっかくこっちは仲直りしようと思って、やって来たのに」
紀子「向こうだって、そのつもりで電話よこしたのよ」
大吉「甘いんだよ、お前は。向こうは何を考えてるか分かりゃしないよ」
でも、紀子はほんわかした奥さんでいいよな~と思う。だから、嫁姑もうまくいってるし、一郎に注意すべきところは注意してる。
和泉夫婦が来店。紀子は立ち上がって頭を下げ、椅子に掛けたままタバコを吸っている大吉を立たせた。
元「どうも申し訳ありません。こんなに遅くなってしまって」
紀子「いいえ」
和子「その節は失礼申し上げました」あのあと和服に着替えたのか!
大吉「いや、こちらこそ」
椅子に掛けた両家。
元「随分久しぶりですね」
紀子「ええ、病院以来ですわ」
元「あっ…いや、もっと早くお会いしたいと思ったんですが、いろいろとどうも」
元はコーヒーを和子の分も合わせて2つ注文。「随分、混んでますね」
和子「日曜日だからですよ、多分」
紀子「今、主人とも話してたんですよ。もし、ここがなんでしたら、どこか他に場所を移そうかって」
元「どっか他に静かな所をご存じですか?」
大吉「ええ、食べ物屋なら知ってるんですが、この時間じゃどこもいっぱいでしょう」
元「この間みたいに公園でお話しするわけにもいきませんしね、ハハッ」
和子「じゃあ、しばらくここにいて様子見ましょうよ。もう少ししたらすくかもしれませんわ」
しかし、二組の夫婦は街に出ました。人混みの中でじっと座っていることが耐えられなかったのです。それぞれ、これから始まる大事な話を前にほんの少しでも考える時間が欲しかったのです。ただ、そうは思いながらも4人は落ち着かなく歩いただけでした。何一つ考えることなどできなかったのです。
商店街なので人も車もゴチャゴチャ。
そして、4人は静かな場所を見つけることができないまま、近くの土手に来てしまいました。
和子「ああ…こんなことなら子供たち連れてくればよかったわ。ねえ? 奥さん」
紀子「ええ」
和子「うちで何してるかしら? 今頃」
元「まあ、子供にしてみればいい迷惑ですね」ベンチに座る。
大吉「ええ。でもまだ分からないからいいんです。いずれ近い将来分かるときが来ますからね」
元「ですから、少しでも早くなんとかしなくちゃいけないと思うんですよ」
大吉「まあ、慌てる必要はないと思いますけど」
元「ただあれですね。子供の将来を考えると何か決断をしなくちゃいけないような気がするんです、そろそろ」
大吉「ええ、それは分かってますけど。子供の将来を誤ったら元も子もありませんからね。それにこういう問題はどんなに考えても十分すぎるってことはないと思います」
元「もちろんですよ。問題はそこですからね」
大吉「それにこういう場合は、あんまり結論を急がないほうがいいんじゃないですか?」
元「いや、私の言ってるのは結論じゃなくて、その出発点っていうんですかね。とにかく早急に手を打ったほうがいいということなんです」
大吉「手を打つといいますと?」
元「まず、私自身の気持ちを捨てて、そっから考えようと思うんですよ。私はね…あっ、これは自分の経験から言うんですが、子供には特別なものは何一つ必要ないんですね。両親のそろった、ごく平凡な家庭が一番いいんですよ。それを与えてやるのが親の義務なんですよ。どの子だって血のつながった親のそばが一番いいですからね」
大吉「でも問題はですね、子供が今の親を本当の親だと思っていることなんですよ。それをいきなりお前の親じゃないなんて、とても言えませんよ」立ち上がる。
元「ですから、そのために手を打つんですよ。そうしないと必ずあとで子供が不幸になるような気がするんですよ」
大吉「どんな手ですか?」
元「親戚づきあいをするんですよ」
驚く大吉。紀子も立ち上がって大吉の隣に来た。
元「反対ですか?」
大吉「いや…まあ、今日、来たのはですね、とにかくお互いにいろいろ誤解があったようですから直接会って、そのことを話そうと思ってやって来たんで、まさか親戚づきあいとは…」
紀子「あの…子供を交換しようとおっしゃるんですか?」
元「そうするしかないじゃありませんか」
大吉「でも、話が急なんですよ。そんな大事な問題をここの場でOKするわけにはいきませんよ。いや、はっきり言って今日は仲直りに来たんですからね。あとのことはまたあとで話をすることにしましょう」
元「福山さん、そんなことをしてたら、そのうち決心がつかなくなりますよ」
大吉「これ以上、子供を不幸な目に遭わせたくないんです。それにはよく考えなくっちゃ」
元も立ち上がる。「福山さん。もしかしたら、私たちはこの問題を少し暗く考えすぎてやしませんかね? よくよく考えてみれば、ある日、偶然、看護婦が2人の子供を取り違えたということでしょ? あっ、もちろん看護婦のミスは重大ですよ。しかし、その松林という看護婦だって悪意があってやったわけじゃないんですからね。もっと冷静に考えて子供たちのために明るくなりたいんです。大して不幸なことじゃないんだって思いたいんですよ。そのために親戚づきあいをしようと言ってるんですよ。そりゃあ、結果が必ずしもいいとは断言できません。しかし、やったほうがいいことだけは確かですよ。2年でも3年でも子供たちが慣れるまで親戚づきあいをするんです。言うなれば交換のための準備期間ですよ」
大吉「じゃ、晃を…いや、晃ちゃんをよこすというんですか?」
元「だから、まず親戚づきあいをしましょうと言ってるんです。それでもなおかつ子供たちがイヤがるようだったら、そのときはまた改めて考え直しましょうよ」
紀子「ねえ、あなた、交換することに決めるの?」
大吉「まだ何も決まっちゃいないよ。ただ親戚づきあいをしようっていう話だよ。そうですよね?」
元「ええ」
大吉「まだなんにも決まっちゃいませんね?」
元「ええ」
和子「子供たちが仲良くなれるかどうか」
隆が一郎を公園に連れてきて遊ばせている。隆はベンチで本を広げながら「一郎! 危ないぞ、やめろよ」と注意。
一郎「こんなの平気だよ」
隆「言うこと聞かないと、うち帰るぞ」
一郎「やだよ!」
隆「ほら、ボールで遊べよ」サッカーボールを投げる。
一郎「やだよ!」サッカーボールを投げ返す。
隆「悪いヤツだな、まったく。兄貴の血を引いてるとしか思えないよ」と、サッカーボールを枕にベンチに寝転ぶ。「もう6月だからな、あと…(指折り数える)8か月か。間に合わないかな。大体、変な事件が起こったからな。勉強もできやしないよ。フゥー、アイ・ラブ・ユーか」右利きで右腕に腕時計するタイプなのね。
春生「何がアイ・ラブ・ユーなの?」
慌ててベンチから起き上がる隆。
晃を連れた春生。「ダメね、昼間っから寝ぼけてるようじゃ。また様子見に来たの?」
隆「違うよ」
春生「おっきな声でどなってんのがいるからさ。誰かと思ったら、あんたじゃない」
隆「格好つかねえな」
春生「そうよ。お酒には弱いし」
隆「変なときに来るからな、いつも」一郎もそばに来て隆のボールを奪う。
近所に住んでるというのではなく、隆はわざわざ和泉家の近所の公園に連れていったんだね。
8話で出てきた公園と同じかな?
春生「この子が問題の子?」
隆「そうだよ、一郎だよ」
春生「あんたに似てんじゃない?」
隆「俺に?」
春生「そう、そっくりよ」
隆「冗談じゃないよ。俺に似てるわけないじゃない」
春生「でも、一緒にいると似るものよ。ねえ、この子知ってる?」
晃「うん」
隆「お前も覚えてるか?」
一郎「うん。君、晃ちゃんだよね?」
晃「うん」
春生「一緒に遊んできたら?」
晃「行こうよ」
一郎「行こう」
サッカーボールを蹴るんじゃなくて、キャッチボールしてる。
春生「子供っていいわね」
隆「うん」
土手を歩く親たち。
和子「そりゃまあ、女の子はいいですけど男の子はね、進学があるでしょ? 今から頭が痛いですわ」
紀子「そうですね」
和子「この間、ご近所で聞いたんですけど小学校へ入るとすぐに塾へ通わせるお母さんがいるらしいんですよ。それをみんな内緒にするんですって。他人(ひと)の子に分かると、そのうちでも負けずに塾に行かせるでしょう? そうすると自分のうちの子が追い越されるかもしれないって、もうそりゃあ大変らしいんですよ」
紀子「小学校からじゃ子供がかわいそうですね」
和子「でもまあ、お母さんとすれば子供の将来を考えて無理するんでしょうね」
紀子「私なんか落第だわ。甘やかすばっかりで」
和子「お互いさまね、それは」
フフッと笑い合う母たち。
大吉「それじゃ、そろそろ帰りますか」
元「ええ、そうでね。じゃ、病院のほうは私にお任せください」
大吉「ええ」
和子「ホントに今日はお話しできてよかったわ」
紀子「ええ」
和子「これからも時々お会いできますわね」
紀子「よろしくお願いします」
和子「こちらこそ。大変ですよ、今日からは2人の子供の心配をしなくちゃなりませんものね。親戚ですから」
にこやかな和子に対して、苦笑いしてるような紀子の表情。
公園では晃と一郎がボールの取り合いをしていた。隆と春生が止めるが、一郎はボールを貸すのがイヤだと走り去った。泣きだす晃。
隆「ごめんね」
春生「大丈夫よね?」
隆「しょうがねえヤツだな」
春生「子供がいいとも言えないわね」
隆「人間なんて困ったもんだよ」
京浜蒲田駅前で別れた親たち。1987年に京急蒲田駅に改称されたのね。
一度は親戚づきあいという言葉に動かされたものの親たちは、もう自分たちの約束を後悔していました。たとえ、どんな事情があろうとも他人同士が親戚づきあいなどしてうまくいくはずがないのです。ましてそれが子供を交換する準備だとすれば、たとえ子供の将来のためとは言いながら、わが子を裏切っているような気がしてしかたがなかったのです。
和泉家は踏切を渡って線路沿いを歩き、福山家は歩道橋を上っていく。
福山家茶の間
大吉「それで晃って子はどうしたんだ?」
隆「泣いちゃったよ」
大吉「ホントか? 一郎」
一郎「だってさ、僕のボール取ろうとすんだもん」
隆「全然ケチなんだからな、驚いたよ」
紀子「お友達とはもっと仲良くしなきゃダメでしょ?」
一郎「友達じゃないもん」
大吉「大体お前がいけないんだぞ、そばについてて」
隆「だってさ、突然だったんだよ」
大吉「子供のケンカに突然もへったくれもあるか、お前。ケガでもしたらどうすんだよ」
隆「ホントだよ。パッと見たら2人とも取っ組み合っててさ。バンバンやってたんだよ」
大吉「まったく子守もできねえんだからな」
隆「勉強もできるわけないっていうんだろ?」
大吉「自分で言ってりゃ世話ねえや」
隆「そんなに面白いか? 人、バカにして。はっきり言ったらいいだろ」
ゆき「隆、何怒ってんの?」
隆「怒るのは当たり前だよ。いつも人、バカにしてさ。なんだい、自分だけ苦労してると思ってやがらあ」バン!とテーブルをたたいて席を立った。
ゆきはしょうがないねえとあきれ顔。「みんながイライラするとろくなことないね」
紀子は大吉に謝った方がいいという。そう? 隆の逆ギレじゃない?
一郎も席を立ち、隆の部屋に入り、「謝るよ、悪かった」と言い、親戚づきあいをすることに決めたがイライラすると本音を話した。「分かってるよ」と隆。
和泉家
寝転ぶ元と同じように寝転ぶ晃。
外は雨が降りだす。
ゆき「そろそろ梅雨に入るんだね」
一郎「つゆってなあに?」
紀子「雨の降る季節のことよ」
一郎「ふ~ん」縁側の掃き出し窓を開けて庭を見る。(つづく)
交換ではなく、いつでも両家を行き来できる関係でいたらいいんじゃないのかなあ。
金八先生の第1シリーズの生徒たちが1964/昭和39年生まれ、第2シリーズが1965/昭和40年生まれ、このドラマの春田和秀さんと吉田友紀さんは共に1966/昭和41年生まれ、松田洋治さんと坂上忍さんは1967/昭和42年…と。毎年のように名子役が生まれるもんだね。
「おやじ太鼓」27話。25話や31話でも出てきた「見てきよう」という言い回し、方言と知り勉強になりました。この回は珍しく秋子はいたのにかおるがいなかった。
「兄弟」ではスナックのマスターだった堀部長。「太陽の涙」では新作に鬼ババアと呼ばれていた堀部長の母。
Postし直し すみません
— Pon (@ponymachine) May 6, 2024
演劇界に少し関わっていた祖父の所蔵写真整理していたら
昭和4年2月27日 築地小劇場(分裂後)於 公会堂前
と書いた写真出てきた
戦後お譲りいただいた写真らしい
一番右 杉村春子 順に 田村秋子 村瀬幸子 岸輝子 東山千栄子 とある
当時入場券一円均一とも pic.twitter.com/eU6jPJ5nSX
旧ツイッターでこのポスト見かけてすごいなあと思った。神尾のおばあちゃん、イネさん、堀部長のお母さん。そして杉村春子先生!