徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】わが子は他人 #13「相互訪問」

TBS 1974年6月26日

 

あらすじ

二組の親子は、互いに相手の家を訪問することになる。元(杉浦直樹)夫婦が晃(吉田友紀)を連れて訪ねてくる前日、大吉(松山省二)は複雑な気持ちになっていた。当日、一郎(春田和秀)とすっかり仲良くなった晃は…。

2024.5.10 BS松竹東急録画。

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福山大吉:松山省二…太陽カッター社長。字幕黄色。

福山紀子:音無美紀子…大吉の妻。字幕緑。

*

和泉和子:林美智子…元の妻。

*

滝沢春生(はるみ):高沢順子…和子の姪。

福山隆:喜久川清…大吉の弟。浪人生。

田口:桐原新…隆の友人。

*

福山一郎:春田和秀…大吉、紀子の息子。小学1年生。

和泉晃:吉田友紀…元、和子の息子。小学1年生。

ナレーター:矢島正明

*

福山ゆき:小夜福子…大吉の母。

*

和泉元(げん):杉浦直樹…中学校教師。

 

親たちは、ついに親戚づきあいを始めたのです。最初は旅行をし、次にそれぞれの家庭を相互訪問することになりました。たとえ、そこに多少の迷いがあったとしても自分たちの選んだ道を進もうと決心していたのです。

 

おもちゃ屋に来た福山夫婦。

大吉「小学生じゃもうぬいぐるみでもないしな。他のおもちゃはいっぱいあるだろうし」

紀子「2人に同じ物あげるんだったら、かえって絵本なんかのほうがいいんじゃないかしら」

大吉「ダメだよ、そんなの」

紀子「でもそのほうが当たり障りがなくていいのよ。向こうのお宅だって、いろいろと都合があるだろうし」

大吉「いいんだよ、贈り物は。こっちの気持ちなんだから」

 

紀子「あちらだって持ってくるわよ、多分」

大吉「持ってこないかもしれないだろ」

紀子「それでもいいじゃないの」

大吉「寂しいよ、そんなの。俺は何かやりたいんだよ。この前だってさ、晃が貝をくれたじゃないか。そのお返しだよ」

 

紀子「だったら、今度、うちが行くとき持ってけばいいでしょ」

大吉「分かってねえな、お前は。晃だって初めて、うちに来るんだよ。緊張するじゃないか。そこでだ、贈り物でもすれば、その緊張もほぐれるっていうわけだよ。それにさ、その贈り物が気に入れば、また来たくなるだろ? 万が一だよ、晃がもう二度と来たくないなんて思ったら、今度の親戚づきあいは一巻の終わりなんだからな。そうなったら手も足も出なくなるだろ。困るだろ」

紀子「私はただ両方の親が変にご機嫌取ったりすると、かえって子供たちが気にするんじゃないかと思っただけよ」

大吉「だからさ、そんなこと思いつかないほど、すごいやつをプレゼントすればいいんだよ」

紀子「分かったわ」

 

福山家

買ったのは青いレールの上を走る列車。プラレール? かなり場所をとる。片づけを考えると絵本がいいよな~。

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「麥秋」でも子供が32ミリゲージを欲しがっていて、鉄道模型は昔から人気のあるおもちゃだったんだね。眺めてる分にはいいけど、やっぱり片づけが…(^-^;

 

ゆき「こんな大きなおもちゃ2つも買ってどうすんの? いくらあげるっていったって」

大吉「いいんだよ、1個は向こうへやっちゃうんだから」

 

大吉がコントローラー?を持って動かしている。

 

一郎「ねえ、僕にも貸してよ」

大吉「おい、ちょっと待ってろよ。まだ調子見てんだからよ」

一郎「つまんないの」

ゆき「貸しておやりよ」

大吉「もうすぐだよ」

 

紀子「大人が楽しんじゃ、なんにもならないわ。子供に買ってきたのに」

ゆき「ホントだよ」

大吉「うるさいな。今、調子見てるんだって言ってるじゃねえか。隆、お前、ポイント切り替えろ」

隆「はい、ポイント切り替えOK」

大吉「ハハハハッ。行った、行った。なあ、一郎。ポイント切り替えるとさ、汽車もちゃんと向こう行くだろ?」

一郎「そんなの知ってるよ」

大吉「じゃ、やんな」コントローラーを放って、台所にいる紀子の所へ行き、晃に渡すプラレールの箱をしまっとくように言う。

 

ゆき「でも、まあ、そんな大きなおもちゃをもらったら、あっちのうちでも困らないかね? 足の踏み場もなくて」←そうそう。

紀子「私もちょっとどうかと思ったんですけどね」

大吉「大丈夫なんだよ。部屋がちっちゃきゃ、ちっちゃい輪が作れんだから」

ププッと紀子やゆきに笑われて、大吉は「俺が持ってくよ」とすねた。

 

ゆき「隆、お前もニヤニヤして見てないで早く勉強したらどうなの?」

隆「今、食後の休憩時間だよ」

ゆき「あしたは人が来るから、また勉強できないよ」

隆「俺は予備校だよ」

ゆき「あしたは休まなきゃダメだよ。一応みんな顔をそろえることになってんだから」

隆「じゃあ、兄貴たちが向こうへ行くとき一緒に行くよ」

ゆき「いいから休みなさい。1日ぐらい勉強しなくたって急に頭が悪くなることはないんだから」

隆「なんだよ、勉強しろっつったり、するなっつったり」

ゆき「時と場合によるんだよ」

 

2階の部屋は一郎の勉強部屋兼親子の寝室なのかな? 大吉は三浦半島へ行ったときの写真を見ていた。紀子が「お茶が入りましたよ」と声をかけたが、「俺はいらないよ」と写真を袋にしまった。懐かしいなあ、あの袋。

 

なんでもないよと言いつつ、そっけない大吉。

紀子「だって、膨れてるじゃないの」

大吉「俺はね、親戚づきあいすることを決心したんだよ。だから晃と仲良くなるためにはなんでもするつもりなんだ」

紀子「私だって、そのつもりよ」

 

大吉「だったら横からゴチャゴチャ言うなよ」

紀子「なんにもゴチャゴチャなんて言ってないじゃないの」

大吉「言ってんじゃねえか。でっかいおもちゃだのヘチマだのって。大体、俺のやることにグズグズ言いすぎるんだよ、分かりもしないくせに。俺はね、さんざん考え抜いたあげく、これしか方法がないと思うから、そうするんだよ。お前は黙って俺の言うとおりにすりゃいいんだ」

 

紀子「いつだってそうしてるじゃないの」

大吉「えっ?」

紀子「じゃ、お茶はいらないのね?」

 

今度は飲むと言いだす大吉に勝手ねと一郎の帽子をかぶせて部屋を出て行く紀子。

大吉「何が勝手だ。俺はここで飲むからな」

紀子「どうぞご自由に」

 

畳に寝っ転がる大吉。「てめえの子供だよ。安物(やすもん)なんかやれるかい」

 

食事中の和泉家

晃「ねえ、あした、学校休んで行くの?」

和子「帰ってからよ」

晃「なんだ」

和子「学校行くの、当たり前でしょ」

晃「一郎ちゃんちへ行くの遅くならないの?」

和子「駅の向こうですもん。すぐよ」

 

春生「この間、ケンカしたばっかりなのに、また随分、仲良くなったもんね」

和子「そうなの。三浦半島行ってから、急にね」

春生「よっぽど楽しかったのね」

和子「2人でもう走り回ってたわ、夕方まで。フフフッ」

 

春生「一郎ちゃん、好き?」

晃「うん、まあね」

春生「そう、よかったわね」

晃「今度会ったらミニチュアの作り方教えてくれるって」

春生「へえ」

 

和子「あの子はね、小手先が器用らしいのよ」

ポロポロ食べ物を箸から落としている元。

和子「あなたは不器用ね」

元「うん? んんっ、うん」今度はテーブルの下に何か落としたが、和子におかわりを頼む。

 

晃「ごちそうさま」

和子「あら、もう終わり?」

晃「うん、おなかいっぱいだよ」

和子「もう少し食べるといいのにね」

 

晃「ねえ、テレビ見ていい?」

和子「テレビは夕方ずっと見たでしょ?」

晃「野球だよ」

和子「そんなもの見なくたっていいのよ」

晃「一郎ちゃんちじゃいつ見てもいいんだってさ」

 

和子「一郎ちゃんちとうちは違うのよ。人のマネなんかしないの」

晃「(元のほうを見て)ねえ、見せてよ」

元「じゃあ、今日は特別だよ」

和子「ダメよ、あなた」

元「いいよ、今日は」

 

和子「そんなこと言ってたらキリがありませんよ。向こうのうちは甘やかすだけ甘やかしてんですから」

元「いいじゃないか」

和子「よくありませんよ。晃にそんな癖がついたら困りますよ」

元「大丈夫だよ。お前が目を光らせてるから。フフフッ」

和子「まるで鬼ババみたいな言い方ね」

春生は思わず噴き出す。

和子「噴き出すところじゃないわよ、春生ちゃん」

元「まあ、今日は見せてやろうよ」

 

あきれ顔の和子。元は晃に「テレビ見ていいよ」と許可を出した。

 

テレビをつける晃。

 

実況「打数が12でフォアボールが11という…」

 

元「ほら、もっとこっち来なさい。離れて離れて」

 

実況「5打数ノーヒットという、それを含めての12打数ということになりますから、いかにフォアボールが多いかということが分かります」

観客たちの歓声

実況「あと1本!」

 

晃「やった、やった、ホームランだ!」

元「ハハハッ、すごいなあ。ちょうどよかったね、晃」

晃「うん」

 

解説「ホントにすごいですね」

実況「5対2」

 

テレビ画面は映らないのでどこの何の試合か全くわからないけど、1974年のプロ野球長嶋茂雄さんが現役引退、王貞治さんがホームラン王、日本シリーズはロッテVS中日。TBSだから大洋戦なのかなあ? 王選手がホームラン打ったとか!?

 

しかしさ、テレビくらい見せてやってよと思う。地方なんて民放2局なんて当たり前の時代に東京だし、見られるテレビがいっぱいあるんだからもったいないよ。

 

福山家

大吉「隆は?」

紀子「さっきまでお部屋にいましたけど」

ゆき「出てったよ」

大吉「なんだ、あいつ。しょうがねえな。フラフラフラフラして」

 

ゆき「来るのは3人だろ?」

大吉「ああ」

ゆき「この辺でいいかね」座布団を並べる。

大吉「そうだな。そっちが上座ってことになるからね」

ゆき「ヘヘヘッ。なんだか座布団だらけだね」

大吉「いや、子供の分はいらないだろ。どうせ座っちゃいないから」

ゆき「そうだね」

 

紀子が「この新しいお茶碗にしましょうか」と箱を持ってきた。

 

ゆきは私の部屋に九谷のそろいがあるというが、「でも、これも悪くないでしょ?」という紀子。「そうだね」と引くゆきがすばらしい。紀子が新しい茶碗を洗おうとすると、ゆきが私がやるという。

 

紀子「お義母(かあ)さんは座っててくださいよ、今日は」

ゆき「落ち着かないよ」

大吉「まあ、母さん、座ってなさいよ。年寄りがね、走り回ってるとみっともないから。それに今日初めてだろ? 晃に会うの」

ゆき「うん。だから、じっとしていられないんだよ。心臓に悪いよ」

大吉「じゃあ、お茶でも飲んでな」

ゆき「じゃ、こういうときには水のほうがいいね」と台所に立つ。

 

一郎が来たよと家に入ってきた。紀子が台所から出て、ゆきも水を飲んで割烹着を脱ぐ。

 

紀子「あっ、どうぞ、いらっしゃいませ」

元「こんにちは」元はスーツ、和子は和服。

紀子「先日はいろいろとありがとうございました」

和子「こちらこそ、あの…これ、つまらない物なんですが」箱を差し出す。

紀子「まあ、どうもすみません。(晃に)いらっしゃい。よく来たわね。さあ、どうぞ」

大吉「どうも。さあ、お上がりください、こちらへ」

 

客間

大吉「やあ、この間のハイキングは疲れましたね。別に大して歩いたわけじゃないんですけど。うちへ帰ってきたらもう足がフラフラでした。ハハハッ」

元「お互いに気疲れですね、あれは」

大吉「まあ、少しは緊張したんでしょうね。まあ、最初だから、しかたありませんけどね」

 

ゆきが部屋に入ってきた。

大吉「おふくろです」

ゆき「あっ…まあ、はじめまして」手をついて頭を下げる。

元「はじめまして」

ゆき「この度は、また息子夫婦がいろいろお世話になりましてありがとうございます」

 

元「とんでもありません。私のほうこそご迷惑ばかりおかけして。あの…家内と息子の晃です」

和子「どうもはじめまして」

ゆきは頭を下げ、晃に「こんにちは」とあいさつ。

晃「こんにちは」

ゆき「いい子ね」

晃「うん」

ゆき「そう、じゃ、いい物あげましょうね」白地の紺の井桁絣の浴衣を晃に渡す。

和子「まあ、こんなステキな物頂いちゃって」

 

一郎「おばあちゃん、僕には?」

ゆき「お前のもちゃんとあるよ、ほら」一郎にも同じものを手渡す。

大吉「おお、いいな」

ゆき「夏になったら着てちょうだいね」

晃「うん」

 

ゆきはどうぞごゆっくりと席を立とうとした。

大吉「いいじゃない、母さん、一緒にいれば」

しかし、ゆきは失礼しますと席を立った。

 

一郎は晃をおばあちゃんの部屋に誘う。晃は和子の顔を見る。

和子「じゃ、遊んでいただきなさい。イタズラしちゃダメよ」

晃「うん」子供たちは部屋を出て行った。

 

入れ違いに太陽カッターのドアを開けて隆が入ってきた。「いらっしゃいませ」

大吉「弟の隆です」

隆は頭を下げ、そのまま廊下へ。大吉がお茶に誘うが、ちょっとねと断った。

 

しかしさ、隆も春生のことをちゃんと直接謝った方がいいんじゃないの!?

 

大吉「まだみんな慣れないんですよね」

元「そうでしょうね。いや、私たちでも時々変な感じがしますからね」

大吉「そのうち慣れるでしょうから、気にしないでください」

元「いやいや、気になんかしませんよ」

 

和子「奥さん、おばあちゃんのお部屋、お邪魔じゃないかしら?」

紀子「大丈夫ですよ」

 

ゆきの部屋

プラレールで遊ぶ子供たちを見てほほ笑むゆき。「晃ちゃん」

晃「はい?」

笑顔を向けると、晃も笑顔を返した。

 

ゆき「2人とも仲がいいのね」

晃「うん」一郎と顔を見合わせてにっこり。

 

ゆきは2人の姿を見て、ほほえみながらも涙ぐむ。

 

客間

大吉「いや、それでですね、我々の仕事っていうのは、その…先生みたいに頭は使いませんけどもね、まあ、それはそれなりにコツってものがありましてね。まあ、なんていうかな、先見の明とでもいいますか、ある日ね、突然、パッとひらめくんですよ。そしたら、それいけ!ってなもんですね、ハハッ。それが当たりますとね、ホント面白いぐらいに金が入ってきますね、事業ってやつは」←70年代の話だな…(-_-;)

元「そうでしょうね」

大吉「例えば、この、うちのコンクリートカッターの仕事ですけどもね、これはもとはといえば土建会社の仕事だったんですよ。それをあるときね、これを独立させて別会社に仕立てたらどうだろうな、なんて考えましてね、まあ、その当時はこういう会社、あんまりなかったもんですから、まあ、それいけ!ってなことになりましてね、ええ」

 

元「で、どうでした?」

大吉「まさしく当たりましたよ」

元「大儲けですか?」

大吉「いや…ハハハハッ。それほどでもありませんけどもね、まあ、今、考えてみたら、もっと会社をでっかくしといたほうがよかったと思いましてね」

 

元「どうしてしなかったんですか?」

大吉「いや…いや、それが僕の弱点でね、成功したと思った途端、もうそれ以上のものが欲しくなくなっちゃったんですね。今まで貧乏だったせいか、金が急に入って怖くなっちゃったんですな」

和子「羨ましいですわ、お金が入りすぎて怖かっただなんて」

大吉「まあ、ちょっとオーバーですけどね」

大吉と和子が笑う。

 

元「いや、私なんかには考えられないことですよ。お金にはまるで縁がありませんからね」

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「たんとんとん」の新次郎とは真逆のキャラ。

新次郎「いくら大学出たって、お前。安月給でピーピー、ピーピー言ってりゃ15も若い娘は惚れてきやしないよ」

 

大吉「いや、でも、先生の資本っていうのは頭でしょ? こっちはそれがありませんからね、まあできることなら僕だって生徒に勉強の一つも教えてみたいと思いますよ」

和子「でも、最後はお金ですもの。今の世の中」

大吉「いや…」

元「そうだね。まあ、誰でも人より幸せになりたいと思うからね。まあ、そうなれば、お金がいるわけですよ、ハハハハッ」

 

大吉「金が全てじゃありませんよ、さあ、いきましょう」ビール瓶を持つ。

元は自分のコップに手で蓋をする。「いや、あの…今日は一応、ご挨拶ということですから」

大吉「いや、まあまあ、そう固いことおっしゃらずに」

元「そうですか。じゃ、少しだけ」

 

紀子「どうもすみません、遅くなりまして」料理を運んでくる。

和子「奥さん、ホントにもうどうぞお気を遣わないでください」

紀子「いいえ、もう大した物がなくて…」

和子「まあ、おいしそうだこと」

紀子「自己流なんですよ。どうぞ、冷めないうちに召し上がってください」

和子「ええ」

 

紀子「あなた、飲んでばっかりいないで、少しお勧めして」

大吉「あっ、奥さんどんどん食べてください」

和子「ええ」

紀子「お酒が入ると途端に話が大きくなるんですよ」

大吉「人前で亭主を裏切るんですからね、ひどいもんですよ」

元「ハハハハッ、いや、それはお互いさまですよ」

和子「これから気をつけないと何言われるか分かりませんわね」

紀子「そうですね」

 

晃が走って客間に入ってきた。

和子「静かになさい」

紀子「大丈夫ですよ。一郎がいつも暴れてるんですから」

和子「ここへお座りなさい」

晃「やだよ」

元「晃、お母さんの言うこと聞くんだよ。そろそろおいとまするからね」

 

大吉「いや、和泉さん、困りますよ。晩飯用意したんだろ?」

紀子「ええ」

大吉「もう用意してあるんですよ。食べてってください。それにこうやって始めたばっかりじゃありませんか。ねっ?」

元「まあ、あの…今度それは改めて」

大吉「親戚づきあいですよ。お互いに遠慮はなしにしましょうよ」

和子「実はすぐおいとまするつもりでお伺いしたんですよ。(晃を見て)さあ、ここお座りなさい」

 

一郎「行こう」

晃「うん、僕帰らないよ」

和子「しょうがない子ねえ」

 

紀子は微笑み、食事を勧め、大吉は元にビールを勧めた。

 

和子「ハァ…先が思いやられるわ」

 

和泉夫婦は福山家との親戚づきあいに不安を感じ始めていました。福山家の習慣や子供に対するしつけが自分の家とはかなり違っているように思えたからです。

 

食事しながら、ちょっと引いてる表情の和泉夫婦。

 

案の定、晃は両親と一緒に帰ってきませんでした。一郎との遊びに夢中になっていたのです。和泉夫婦とすれば、大吉があとから送り届けるというので、その場は帰ってきましたが、なぜか晃に裏切られたような気がするのでした。

 

和泉家

和子「帰ってきたら少し言わなくちゃ」

元「子供に言ったって始まらないよ。自分で連れてこなかったんだから」

和子「だって、いくら言っても帰らないって言うんですもん。しかたないでしょ?」

元「相手は子供じゃないか。なんとかうまく言えばよかったんだ」

和子「じゃあ、あなた言ってくださればよかったんですよ。ただ黙って笑っていただけじゃありませんか。大体あの人たちがいけないのよ。子供と一緒になって引き止めるんですもん」

 

プラレールの箱を開けて見ていた元。「しかし、それにしても、このおもちゃ少し豪華すぎるね」

和子「電話かけてみるわ」

元「今、かけたばかりじゃないか」

和子「いいわよ、何度かけたって」

元「よしなさい、みっともないから。そのうち向こうからかかってくるよ。それより、お茶入れてくれ」

 

お茶を入れる和子。

 

⚟(電車の警笛)

⚟(踏切の警報)

⚟(電車の走行音)

 

↑やっぱり字幕あるとこれだけ情報量が違うんだもん。

 

和子は耳をすます。

元「どうしたんだ?」

和子「足音しませんでした?」

元「うん? いや」

ため息をつく和子。

 

元は新聞を広げる。「静かすぎるね。晃のヤツ、まったく」

和子が突然泣き出す。

元「泣いたってしょうがないじゃないか」テレビをつける。

 

テレビからは歌声が聞こえて、チェリッシュまでは分かったけど、曲名はな~と思ったけど、旧ツイッターで見つけました。いつもありがとうございます。

愛のペンダント

愛のペンダント

  • チェリッシュ
  • 謡曲
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

チェリッシュ「愛のペンダント」1974年4月25日発売(「ふたりの急行列車」のB面)

 

新しい曲だし、B面の曲ってのがマニアック!?

 

和子「のんきね、あなたは。ハァ…よくテレビなんか見てられるわね」

元「晃、僕たちと一緒に帰ってくるより、あのうちに残りたかったんだね。血のつながった親の所に」

和子「ひどいわね」

元「そういうことじゃないか。これは今日だけのことじゃないんだ。いつか永遠に帰ってこなくなるかもしれないんだぞ。そういうふうに僕たちは決心したんだろ?」

和子「違いますよ、そんなこと」

元「親戚づきあいっていうのは、そういうことじゃないか」

また涙ぐむ和子だったが、戸が開く音がした。

 

⚟晃「ただいま!」

和子「おかえんなさい」

 

襖を開けた和子は、一郎、紀子、大吉もいて驚く。

 

元「すいませんでしたね、何から何までごやっかいになってしまって」

和子「申し訳ございませんでしたね、ホントに。さあ、どうぞお上がりください」

紀子「いえ、でもここで失礼します。あの、主人も酔いざましのつもりで歩いてきましたから」

元「いいじゃありませんか。困りますよ、ここまで来て帰られたんじゃ」

大吉「いや、でも、今度改めてお伺いしますから」

和子「いいでしょう? まだ早いんですから」

 

晃「一郎ちゃん、おいでよ」

一郎「うん」家の中へ。

 

和子「さあ、どうぞ。汚い所ですけど」

大吉「それじゃ、ちょっとだけお邪魔しようか」

 

プラレールの箱を開ける晃。

一郎「僕のお父さんがあげたんだよ」

晃「うん」

和子「仲良くね」

一郎「うん」

 

座布団を運んできた和子。「さあ、どうぞお当てください」

 

プラレールで遊ぶ子供たちをほほえましく見ている両家の親たち。

 

一郎と晃が遊ぶのを眺めている福山家。

 

夜道を歩く大吉たち。

大吉「どうして置いてきちゃったんだよ」

紀子「どうしても帰りたくないって言うんだもの。しかたがないでしょ?」

大吉「頼りないんだ、お前は」

紀子「あなた言ったじゃない。なんでも俺の言うとおりにすらばいいんだって。だから、私、黙ってたのよ」

大吉「俺のせいにするのかよ」

紀子「ご主人がちゃんと送り届けてくださるって言うんだもの、いいじゃない」

大吉「甘いんだよ、お前は」

 

和泉家

まだプラレールで遊ぶ子供たち。

一郎「ポイント切り替えOK」

和子「フフフッ」

 

着信音が鳴り、和子はもう大吉が電話をかけたと勘違いして出た。「はい、福山さん?」

 

しかし電話は校長先生からで教え子の原が家出したという。

 

夜道

紀子「引き返しましょうか」

大吉「そんなこと格好悪くてできるかい」

紀子「じゃあ、どうするの?」

 

親戚づきあいを決心したとき、大吉は自分の気持ちを捨てようと思ったのです。子供の将来を考えれば、それがたった一つの方法に思えたからです。でも、大吉は今、そのことに疑問を感じ始めていました。気持ちを捨てることが実は愛を捨てることにならないだろうかと。

 

夜道を歩く福山夫婦。(つづく)

 

今日は田口が出てないのにキャストクレジットにいた。本放送では25分なのを再放送では23分30秒ほどに編集されてるというのをどこかで見たことがあって、カットされてるのかな? 隆が遅れて顔を出したのもその前に田口に会ってたと思うと、ちょっと納得がいく。昨日の回の隆とゆきの名前があったのも、もしかしたら紀子が家に戻ったシーンがあったのかも!?

 

木曜日は「赤い疑惑」+「ちょっといい姉妹」2本立てで忙しくなったな~。字幕がないのも地味にストレス。あったらあったでいろいろ書こうとすると大変になるけど。まだ「おやじ太鼓」金曜日分(30話)も見てない。その上、6月からは「ありがとう」も始まる。1つの曜日に2本立てよりは「兄弟」みたいに土日に1話ずつのほうがいいな~。