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【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #33

TBS  1968年8月27日

 

あらすじ

北海道旅行が、いよいよあさってに迫った。そんな中、亀次郎は専務の息子が、敬四郎と同じく浪人中であることを知る。聞けば専務の息子は、朝から晩までずっと勉強しているらしい。敬四郎のことが心配になった亀次郎は、愛子に電話して、北海道に敬四郎を連れていくのはやめようと言う。

2023.8.25 BS松竹東急録画。12話からカラー。

 

鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。

*

堀部長:小池栄…愛人に子供を産ませモメている。

 

今日は、きょうだいは全員揃ってないけど、出演者は多い。

 

時計は12時。

大亀建設の社員たちが一斉にお昼になり移動している。

社員1「さあ、今日はどこ行こうかな」

社員2「安上がりは1軒しかないよ」

 

社員3「うんざりするよ、昼飯には」

社員4「味気ないよな、盛りそば2つじゃ」

 

社員5「また中華そばへ行くの?」

社員6「いちばん無難だよ」

社員5「もう20円出しゃカレーライスが食べられるんだぜ」

社員6「そうか」

 

社員5が城戸卓さんで社員6が小森英明さんかもしれない。あとの人は不明。

 

社長室

武男「お父さん。今日はお弁当がありませんから外へ食べに行きましょう」

亀次郎「ああ、ちょっと待ちなさい。こっちのほうが大事だ」書類確認。

林「先にお食事にいらしたらいかがですか?」

 

林専務役の北見治一さんはいろんなドラマで見かける方。

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マー姉ちゃん」では優しい駅員さん。

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たけしくんハイ!」では竹次郎の行きつけの飲み屋の主人。

 

午後は午後で忙しいと言う亀次郎に、武男は外へ出ると暑いからここへ取りましょうかと提案するが、亀次郎は細かい数字のチェックでうるさいと注意する。

 

武男「はい、どうぞごゆっくり」

亀次郎「ゆっくりはしてませんよ。あさってからは北海道じゃないか。あとをちゃんとしとかなきゃ困るんだ」

武男「はい、お願いします」

 

林は北海道旅行を羨ましがる。子供孝行だという林に「連れていきたいのは奥さんなんですよ。つまり、僕たちのお母さんですね」とバラす武男。亀次郎は「お前なんかには、まだ親の気持ちが分かってたまるか」と怒った。武男は留守番。

 

どこをチェックしていたか分からなくなった亀次郎。林はよく目を通してありますから大丈夫ですけどねと言うものの、そういう社長のいいかげんな会社が事件を起こすんですよと怒る。しかし、まあいいでしょうとやめる。「ある点では人を信用しなきゃ大きな仕事はできんよ。まあ、それで裏切られたら自分の不徳さ。上が悪けりゃ下も悪くなるんだ」。

 

武男に林の分も麦茶を持ってこさせる。

武男「はい、私もいただきます」

 

林は武男さんはよく出来てらっしゃいますよと褒める。林の一人息子は2年も浪人していて、親のほうが瘦せると笑う。予備校から帰ったって、部屋に入ったっきり、勉強をよくしている。7月も8月も休みはない。子供が外に出ないため、親だけが避暑に行くわけにもいかず、去年の夏も今年の夏もどこにも行けない。

 

林の話に感心した亀次郎は自宅に電話をかけた。階段を下りて電話に出るお敏。敬四郎にしっかり勉強するように言う。お敏さんは今日はこれだけ。やっぱり菅井きんさんも忙しかったのかな。

 

そば屋

サラリーマンがたくさん。

武男「お父さん、満員ですよ。他、行きましょうか」

亀次郎「すぐ空くだろう」

 

武男は会社でも「お父さん」と呼び、亀次郎も特に注意しない。

 

社員4「社長、ここ空きます」

ひとりのサラリーマンが立ち上がって頭を下げた。冒頭に出てきた「味気ないよな、盛りそば2つじゃ」の人と同じ気がする。

 

亀次郎「ああ、そうか。やあ、ありがとう」

武男「まだ始めたばっかりじゃないの?」

社員4「いや、すぐですよ。(向かいの席の同僚に)おい、早くしろよ」

亀次郎「まあ、ゆっくり食べなさい。いや、そんな急ぐことはないよ」

 

席のすぐそばに社長が立って、食べづらい…。武男と並んでも亀次郎のほうがやや背が高い。すごい明治の男だ。

 

亀次郎はいい若い者が盛りそばだけで夕方までもつのかなと心配する。武男はもたなくてももたしちゃうと言い、背中だけ映る社員3は少々つらいですけどねと亀次郎に言う。

 

亀次郎「いや、そうだろう。いや、これはなんとかせんといかんよ」

武男「物価が高すぎるんですよ。月給が追いつかないんですからね」

社員4「そうなんですよ。昼飯は悩みの種ですよ」

亀次郎「米は臭くなるほどあるのに、それがさっぱり安くならない。経済の原則をひん曲げてるよ、日本の政治は」

武男「無理があるんですね」

亀次郎「いや、無理が根本にあるから何をやってもダメなんだ。いや、つまりだ…」

 

男「ねえねえ…おとうさんよ」

 

突然、社員4のうしろに座っていた男が話しかけてきた。江幡高志さんは「3人家族」だと耕作をだまそうとした吉本役だったり小悪党役が多い。おしんを売り飛ばそうとした勝次とか。今回オープニングで名前を見かけて何の役か楽しみにしてました。

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男「どこの社長さんだか知らないけどね、食べてるときぐらい少し静かにしてもらいたいね」

亀次郎「いや、これはすまなかった。いや、つい日本のことが心配になっちゃって」

男「心配したって始まらないね。悪いことをするやつは太る一方さ。俺なんか気にしないね。この国がどんなんなろうと」自分の席に向き直り食べ始める。

 

亀次郎「こんな国って、あんたの生まれた国でしょうが」

男「関係ないね、そんなことは」

亀次郎「関係ない?」

武男「お父さん、もういいですよ」

亀次郎「いいことありませんよ」

 

社員4が「社長、お待ちどおさま」と社員3と出て行こうとするが、亀次郎が止め、おつゆを飲んでいくように言う。「生意気ですよ、夕方までもたないくせに」

社員4「はい、いただきます」

亀次郎「そばつゆだって、心を込めて作ってあるんだ」

社員4「はい」と社員3とともに立ったまま飲み干す。

社員4「ごちそうさまでした。お先へ」

亀次郎「うん」

 

今ならパワハラとか言われちゃう?

 

土田桂司

川崎巌

古田茂久

市山達巳

これまで出てきた社員役の人たちはこの中の誰か。ネットに顔写真も残ってないと分からないものだね。

 

亀次郎に話しかけた男が食べてるのは、店のメニューにもある冷や麦だろうか? 透明のボウルに入った白い麺に缶詰のミカンらしきものが浮かんでいる。あまり店では見かけないメニューだけどね。

 

席に着いた亀次郎は「さてと…」とまだ何か言いたそうにして武男に止められる。

 

男「なんだよ、その顔は」

亀次郎「つくづくあきれてものが言えないんだ」

男「俺に絡もうってのか?」

武男「いえ、とんでもない」

亀次郎「お前は黙ってなさい。とんでもないのは、この男だ」

男「なんだと!?」

亀次郎「それでもすごんでるつもりか? 腹が立ったら、もっと腹を据えてわしの子の顔をにらんでみなさい」

 

無視して自分の席に向き直そうとした男に亀次郎は大きなせきばらいをする。

亀次郎「お前ごとき性なしの骨なしがわしに太刀打ちできるか」

男「ん…何者(なにもん)だ、お前は」

 

店の電話が鳴る。

 

亀次郎「武男、名刺をやんなさい」

武男「はい!」

 

店員が「大亀建設の堀さんですね。はい、なるべく早くお届けします」と大きな声で電話で話している。亀次郎は電話が終わった店員に堀が何を注文したか聞いた。

店員「ざるそばお一つです」

亀次郎「そんなもの持ってくることありませんよ。この忙しい時間になんてやつだ、あいつは。よし、帰ったらどやしつけてやるから」

 

武男にもらった名刺を眺めていた男は亀次郎の話しているのを聞いて「なるほど」ともらす。

 

亀次郎は盛りそばの大きいのを2つ。武男は自分の分も合わせて3つ注文しようとすると、亀次郎が4つだよと言う。

武男「僕は1つでいいんですよ」

亀次郎「男がそんなへなちょこで夕方までもつか」

武男「はい、では」

亀次郎「無理をするんですよ。それが頑張りというもんですよ」

 

一連の会話を聞いていた男は「なるほど、そうです、そうです」と亀次郎を見る。

亀次郎「どうかね? あんたも盛りの大きいのは」

男「はい、いただきます」

亀次郎「おい、武男」

武男は盛りを1つ追加。

 

亀次郎「1つじゃないよ、2つだよ」

男「いや、あの…1つで結構なんです」

亀次郎「無理をするんだ、無理を。なんだ、男が。ショボショボするな」

 

江幡さんは役名もないし、ここだけの出番かな。面白かった。

 

社長室

亀次郎「大体、君はですよ、ざるそばを1つ届けさせるような男だから家庭がうまくいかないんですよ」

堀「はあ、以後一切」

亀次郎「奥さんには尻に敷かれる。出来た女にはごてられる。それで、よくもよくも会社の部長が務まったもんだ」

dictionary.goo.ne.jp

堀「申し訳ありません」

亀次郎「その後、赤ん坊はどうなったのかね」

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堀「はあ」

亀次郎「うまく話は落ち着いたのかね」

堀「それがやっぱり…」←さっぱりじゃないのかね。

亀次郎「まだゴタゴタしてんのかね」

堀「はあ、大揺れなんです。女房は赤ん坊だけを引き取ると言いますし、ルリ子は女房と別れろと言いますし、もともと結婚の初めから土台は狂ってたんです。そのうちにペシャンコにならなければいいなと…」

 

堀は女房と別れたいんだろうね~。

 

亀次郎「君、君、うちは建設会社ですよ。なんですか、大揺れだの土台が狂ってたの少し言葉に気をつけなさい。縁起でもない」

堀「はあ、ついうっかり」

亀次郎「ついうっかりはうちのお手伝いさんだけでたくさんです。なんですか、ペシャンコとは」

堀「以後気をつけます」

亀次郎「君は以後、気をつけることばっかりですよ」

堀「はあ、情けないけど、お言葉の通りです」

 

亀次郎は困った困った、ひどい悪妻にあたりついたもんだと言うが、悪いのはどう考えても堀なんですけど??

 

亀次郎「気が強くて、虚栄心が高くて」

堀「その上、頭がいいときてるから手がつかないんですよ。奥さんなんて少し足りないくらいがいいんじゃないですか」

亀次郎「バカなこと言いなさい。君の奥さんから割り出されてたまるか。うちの奥さんなんか頭はいいし、優しいし、よく気がつくし、働くし」

堀「その上、ご主人に甘いし、お子様方にはいいお母様だし。まあ、言うとこありませんね」

亀次郎「そうさ」

堀「第一、とってもきれいな方ですね」

亀次郎、ニヤニヤ。

堀「社長は幸せですよ。あんないい奥さん、めったにいませんよ。実にいいんだな」

 

あさって北海道に行くこと、愛子は北海道を知らないことなどを話す亀次郎。「喜ぶだろ、あれは」

堀「そりゃもう、大喜びのこんこんちきですよ」

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この、こんこんちきめが!みたいな使い方しか知らなかったので新鮮。亀次郎も、こんこんちきかと笑ってる。

 

堀は登別の地獄見物は足元が危ない、うっかりすると滑って転ぶ、昭和新山も滑って転ぶ、川湯温泉の硫黄山も滑って転ぶと連発し、亀次郎に怒られる。

 

滑って転ぶと言えば…と自宅に電話をかけた亀次郎は、赤ん坊を粗末にしたら承知せんぞとあとはいいからパンでも買うように堀に言い、月給を上げるともいう。

 

愛子と電話で会話。敬四郎は北海道行きをやめた方がいいんじゃないかと言う亀次郎に愛子の怒りが爆発。敬四郎にそんなこと言ったら私が承知しないと電話を切った。

 

会話を聞いていた堀に腹を立て、月給なんか取り消しですと言っちゃう亀次郎。面白おかしく描いている?堀だけど、クズだわ~。お世辞だけで出世したのか!?

 

CM明けは空を飛ぶ飛行機から。

千歳空港から出てきた一行。

三郎が運転手で前に幸子と敬四郎。後ろに亀次郎、愛子、かおるが車に乗り込む。前に3人も乗れるんだ!? 武男と洋二は留守番なのね。

 

亀次郎「飛行機から降りたらレンタカーか。まあ、便利になったもんだ。ハハハッ」

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車種は分かりませんが、日産車なんでしょう、きっと。日産車を映すためにドライブ旅行にしたのか!

 

支笏湖

すごい観光客の数!

愛子「いい湖ですね」

亀次郎「いや、しかし日本はどこ行っても人間が多すぎるよ」

三郎「落ち着いて景色なんか見ていられないよね」

敬四郎「絵葉書じゃ人っ子一人いないもんね」

 

三郎も敬四郎もビシッとスーツを着こなしている。避暑に行くのとはまた違った意味合いなのかしら? 幸子は黄色のツーピース。かおるはピンクのワンピース。

 

少し削った方がいいんじゃないというかおるの発言から、「年よりは削らなくたって消えていきますよ。それが自然の法則ですよ」と愛子。

 

登別

すごい岩場を亀次郎と愛子が手を取り合って歩く。愛子さん、今日もお着物なのでね。子供たちはひょいひょい身軽に移動している。三郎のピタッとしたスーツかっこいい。幸子とかおるも手を取り合ってるし、他の観光客も手を取り合って歩く人もいた。

 

子供たちは手を取り合う両親を見ていて、幸子が三郎に写真を撮るように言う。シャッターを切った直後、亀次郎が転んだ。

愛子「だから私よりお父さんの方が危ないんですよ」

亀次郎「何を言うか。お前がわしの手をしっかり握ってないからですよ」

愛子「しっかり握ってたら私まで滑っちゃいましたよ」

亀次郎「つれないんだよ、お前は」

愛子「どっか骨をぶったんじゃないんですか? 年寄りの骨はもろくなってますからね」

亀次郎「骨、骨、言うな。まだいっぱい肉がついてるのに」

愛子「じゃあ今度はしっかりつかまってくださいよ」

 

洞爺湖

中央マリン1号というボートに乗る子供たち。すごい飛ばすね。

 

先に旅館でくつろぐ亀次郎と愛子。この旅館はセットだと思います。

亀次郎「おい、手を振ってるよ。お前もここへ来て手を振ってやんなさい」

愛子「じゃあ、もうひと回りしてきたんですね」

亀次郎「もう帰ってきなさーい!」

愛子「そんなこと言ったって聞こえるもんですか。ここは8階のいちばん上ですよ」

亀次郎「聞こえなくたって何を言ってるかぐらい分かるさ」

愛子「どのボートに手を振ってるんですか?」

亀次郎「ほら、あれだよ。あっ、手を振ってるじゃないか」

愛子「何言ってるんですか。あれは外人ですよ。1人は黒人ですよ」

亀次郎「そんなことがあるか。あの船だよ。ほら、今、回ってる」

愛子「目がかすんできたんじゃないんですか?」

亀次郎「バカなことを言いなさい。お前はすぐわしの嫌がるようなことを平気で言うんだ」

愛子「だって黒人とうちの子供間違えるんですもの」

亀次郎「いや、そういやありゃ日本人じゃないみたいだな」

愛子「女の人は日本人ですよ」

亀次郎「ああ、だから間違えたんだ」

愛子「敬四郎だって三郎だってあんな黒いもんですか」

 

ちょっとひやひやするセリフだね。

 

敬四郎に似てると言う亀次郎に、愛子は三郎ならプールで日に焼けてきたけど敬四郎はめったにうちから出ないんですよ。勉強でそれどころじゃないんですよと反論。しかし、亀次郎はほんとに勉強してるのか怪しむ。二度もすべったらかわいそうなのは本人だと亀次郎が言うが、愛子は大学へ入るばかりがいちばんいいってわけじゃないと言う。

 

亀次郎「だけどだよ、とにもかくにも大学くらい出ておかなきゃしょうがないじゃないか」

愛子「どうしてしょうがないんですか。私はそうは思いませんけどね」

亀次郎「全く無知で話にならんよ」

愛子「じゃあ、大学を出たらどうしてそんなにいいんですか」

亀次郎「いいに決まってるさ。出ないより出たほうが」

愛子「このごろは女子大を出ると就職はないんですよ。高校を出ただけのほうが歓迎されるんですよ」

 

橋田壽賀子さんのドラマで女性が割と簡単に大学をやめると言いだすのもこういうことがあるせいなのかなあ? 時代がちょっと違うけどね。

 

亀次郎「男と女では違いますよ」

愛子「違いませんよ。大学を出たって役にも立たない男がゴロゴロしていたってしょうがありませんよ」

亀次郎「出なくてゴロゴロしてたらもっと困りますよ」

愛子「ゴロゴロ鳴るのは雷様ですよ。こんな北海道まで来ておやじ太鼓をたたかないでくださいよ」

亀次郎「あきれたもんだ。これでも7人の子の母親なんだから」

愛子「私だってあきれましたよ。来る間際になって敬四郎だけやめさせようだなんて」

亀次郎「それだってね、親心ですよ。ためを思えばこそですよ」

 

愛子は敬四郎は大学へ入らなくてもいいと思っていると話し、バカなこと言いなさいと亀次郎に言われる。

 

愛子「あんまり分からず屋だからですよ」

亀次郎「お前が無知だからですよ。なんだ、教育ママの正反対みたいなこと言って」

愛子「ええ、正反対で結構ですよ。大体、あなたは自分が無学なもんだから大学をありがたがりすぎるんですよ」

亀次郎「すぎるんじゃありませんよ。子供たちには恥をかかしたくないんですよ」

愛子「何が恥なんですか。そんな大きなヒゲを生やすようになったら立派なもんじゃありませんか」

 

ボートに乗っていたせいかラフな格好の幸子とかおるが疲れたと言いながら帰ってきた。エレベーターが故障して階段を上ってきたが、三郎と敬四郎はおばあちゃんをおんぶしている。玄関に入るとおじいちゃんとおばあちゃんの団体と一緒になり、その団体が泊まっている部屋は7階。

 

三郎と敬四郎はおばあさんをおんぶして階段を上る。着物でひっつめ髪のおばあちゃん。亀次郎と愛子も2人を激励する。

 

愛子「大学なんか出なくたってあれでいいじゃありませんか」

亀次郎「敬四郎を連れてきてよかったよ」

愛子「そうですよ」

 

わしも下に行っておんぶしてくると亀次郎が言い、愛子が止めるが行ってしまった。階段を上るおばあさんの一人が亀次郎と愛子をじーっと見ている。エキストラの一人なんだろうけどね。三郎と敬四郎はもう一度おばあちゃんを運ぶと下へ。敬四郎は愛子に上に水を持ってきといてと頼む。

 

三郎と敬四郎は階段を降りながらもおじいさんたちを励まし、時には手を取って一緒に上る。3階あたりでおばあちゃんをおんぶした亀次郎に会った敬四郎。「もう『あの人』なんて言いませんから」と潤んだ目で亀次郎を見送る。

 

おばあちゃん「すいませんね、本当に」

亀次郎「なあに一度はおふくろをおんぶしてみたかったからね」

 

キャストクレジットはセリフのある人だけ名前が載ってるみたいだから秋田のり子さんはこのおばあちゃんかなあ? 

 

三郎と敬四郎がひたすら階段を上る。バックに流れるのは「おやじ太鼓」の男女混声バージョン。

 

亀次郎もおばあちゃんを気遣いながら一歩一歩階段を上る。(つづく)

 

今回の旅程

千歳空港~支笏湖~登別~洞爺湖

 

前半が大亀建設の昼休み、後半が北海道旅行という面白い展開。やっぱりおやじ中心の話は面白い。