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【ネタバレ】太陽の涙 #10

TBS 1972年2月8日

 

あらすじ

良子(沢田雅美)から、小川(三島雅夫)を「お父さん」と呼んでほしいと頼まれ拒否した正司(加藤剛)だったが、友人を亡くし気落ちしている小川の肩をたたいて声をかける。「お父さん、どうしたの」。

2024.4.1 BS松竹東急録画。

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愛と言う言葉は

紙屑のように

塵を払うように

その辺に

散らばっています

でも太陽の光の中には

確かに愛が

ひっそりとあります

 

音楽 木下忠司

 

主題歌

 作詞 尾中美千絵

 作曲 木下 忠司

 唄  有賀 公彦

  ポリドールレコード←いつの間にか書かれてた。

 

及川正司:加藤剛…添乗員。33歳。字幕黄色。

*

前田寿美子:山本陽子鉄板焼屋「新作」の娘。25歳。字幕緑。

*

池本良子(よしこ):沢田雅美…病院の売店の売り子。

及川勉:小倉一郎…正司の義弟。20歳。

*

井上はつ:菅井きん…そば屋「信濃路」の女将。

矢場:日野道夫…小川の隣のベッドだった入院患者。

*

堀:森野五郎…小川の向かいのベッドの入院患者。

林:高木信夫…堀の隣のベッドの入院患者。

ケン坊:鍋谷孝喜…「信濃路」店員。

*

鈴木:渡辺紀行…小川の隣のベッドの入院患者。

看護師:坂田多恵子

田中:豊田広貴…林の隣のベッドの入院患者。

ナレーター:矢島正明

*

前田新作:浜村純…寿美子の父。「新作」マスター。

*

小川:三島雅夫…1年半入院している病院の主。

 

新作のマンション

寿美子が店からたくさん持ち帰ってお夜食。そういえば、橋田ドラマだと店のものには手をつけないとかいう決まりがなかったっけ? 新作はお茶漬けでいいというが、寿美子は機嫌がよく、1本つけましょうかと肉のしょうが焼きまで持ってきていた。

 

新作「あきれるよ。お前にも。春先の天気だって顔負けだよ」

寿美子「やっぱり年頃ですからね。いろんな日があるんでしょ」

新作「自分で言ってりゃ世話ないよ? 今日は。店へなんか行きたくないと言っていたくせに。それを夕方から出てきて、それもまるで調子が違うんだから。あきれるよ、気まぐれで」

寿美子「そのことよ。だから、おいしそうな物(もん)たくさん持ってきたんじゃないの」

新作「気まぐれとおいしい物とは関係ありませんよ」

寿美子「お酒を飲みながら、ゆっくり話してあげるんですよ」

新作「そうか、つまりあれだな? あのポーっとした人とまた行き合ったんだな?」

 

寿美子は、そうじゃないけど、とてもうれしい人に行き合ったと話すと、新作はポーっとする人やうれしい人など気が多すぎるという。

 

寿美子「私がそんな浮気なもんですか」

新作「浮気ですよ。22の青年が使い込みをしたら、もう二度と店へは出たくないなんて言ったくせに」

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寿美子はもう店へ出ないでいいことになった、とてもいい人に行き合った。六本木でチラッと見たポッとした人の父親に出会ったのだとウキウキ。

 

でもさ、あんな状況で出会ったのにそんなにウキウキするなよ~と思っちゃった。

 

はつのアパートの階段を上る新作。

はつ「気をつけてくださいよ、足元」

新作「まだそんな年じゃないよ、こんな階段ぐらい」

はつ「だってよくつまずく人があるんですよ」

新作「あっ、そうだ。ここから見えるそうだけど、どのアパートなの?」

はつ「あっ、及川さんですか? あそこですよ。あの白いビルの右側。赤い屋根で緑のペンキが剥げかかってんでしょ?」

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寿美子にも同じような説明をしている。

 

新作は赤い屋根が見つけられない。新作が指さす白いビルはクリーム色だというはつ。白いビルは4階建て。茶色い瓦のほうじゃない、青いペンキだ緑のペンキだと言い合いになる新作とはつ。

 

新作「知らなかったよ、あんたが色盲だったなんて」アパートへ入る。

はつ「私が色盲じゃないんですよ。そっちの目がかすんだんじゃないんですか?」

新作「だけどあれは青ですよ」

はつ「まあなんて強情なんだろう。じゃ、お茶の色も青なんですか?」

新作「お茶は緑に決まってるよ」

はつ「じゃあ、あのペンキの色だって緑じゃありませんか」

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「たんとんとん」でも信号の青と緑という話をしていたな。

 

はつは心配し、一度、目医者で診てもらったほうたいいと言うが、新作のほうも緑内障じゃないのかと言い返す。

 

はつ「あきれますよ、新作さんにも」

新作「ハハハッ。とうとう新作さんが出たか」

はつ「久しぶりよね、胸の中がスッとしたわ」

新作「昔は、よくやり合ったものな」

はつ「ホントにそう」

新作「ちっとも変わらないよ」

はつ「変わりましたよ。あんたはあんな大きなマンションに住んじゃって店も大したもんよ」

新作「信濃路だって結構繫盛してんじゃないの?」

はつ「まあまあ、お互いによかったんですよ」

 

ケン坊がそばを運んできた。

 

この2人が知り合ったのは、新作が一大決心をして東京に出てきたその直後からです。大学時代の友人が大きな食堂をいくつか経営していたので、その渋谷の店で見習いとして働いたのです。48のときでした。そのころ、女の細腕で野菜や乾物を調理場に入れていたのが、この井上はつなのです。ですから、2人の友情は涙のにじむような苦闘の中で結ばれたのです。

 

新作さんが亥年だと最初のころに言ってたので、1971/昭和46年に60歳。48歳のころは1959/昭和34年か。そこから赤坂で鉄板焼屋を開いて繁盛させるなんてすごい。はつもまた、そのころは信濃路やってなかったんだね~。この時代に同士というか男女の友情みたいなのを描いてるって、すごい気がする。

 

新作は、ざるそば。はつは、かけそば。真っ白いそばなんだね~。

新作「うん、おいしいよ。おつゆもおそばも」

はつ「そうでしょ? これでも江戸っ子の端くれですからね。ただ儲けりゃいいって商売はしたくないんですよ。それがですよ、今の若い者(もん)ときたら、がめつくてがめてつくて。ちょっと私が目を離すと、すぐうどん粉は多くしちゃうし、それにそのおつゆだって、みりんを入れないで、お砂糖だけで作っちゃうんですからね。それだって、お客もお客ですよ。ただ甘けりゃいいみたいに」

新作「まあまあ、話は食べてからにしようよ」

 

困った娘だとこぼす新作に、せっかく私が勧めた縁談は振り向きもしない、写真も見てくれない、なかなかのお嬢さんだという。寿美子は男の親父さんとは会って話をしたと新作に聞いたはつは、もうそこまでいってるんですかと驚く。

 

売店

勉「よっちゃん、あした退院だよ」

良子「あら、そう」

勉「あとは通えばいいんだってさ。コーヒーもらおうか、お別れに」

良子「通うんなら、お別れじゃないじゃないの」

 

とにかくコーヒーくれよと言う勉に自分のうちみたいに大威張りだと文句を言う良子。勉は俺のおかげで随分儲かったんだから、威張ったっていいだろとタバコを吸い始める。良子は角砂糖4つも入れなきゃもっと儲かったと言い返した。

 

勉「そりゃやっぱりてれくさいよな。自分の気持ちをはっきり言うのは」

良子「何を寝言、言ってんの? 1人で言いたいこと言ってれば世話ないわね」

勉「まあ、いいけどね。それだけ君は純情だよ」

良子「そうよ、当たり前よ」

 

勉「あ~あ、サバサバした。やっと退院か。やっぱりシャバの風はいいよな」

良子「何がシャバの風よ。あんたなんてね、まともに生きたこともないくせにおっきなこと言わないでちょうだい」コーヒーと角砂糖の箱を勉の前に置く。

勉「まあね、そう思ってんならそれでもいいけど」

良子「他に思いようがないわよ、あんたなんて」

 

今日も勉は角砂糖を4つ入れた。

良子「ええ、どうぞ。そのかわりね、今に目がつぶれたって知らないわよ」←これって糖尿病のことなのかもね。

 

勉「ヘッ…足の次は目か。君も随分古風なこと言うよな。だから、こんな病院の中にいちゃいけないんだよ。世間へ出てみな、シャバへ」

良子「世間だのシャバだのって自分のほうがよっぽど古風じゃない」

 

良子は勉にこの病院からいなくなってくれたらサッパリする。昨日の女の人への態度であんたがどういう人かはっきり分かったと言う。切ないんじゃないの?と言い出す勉にあんたのことなんて、なんとも思ってないとはっきり言う良子。「勘違いにも程度があるわよ」

 

ここへ来てしゃべっていると、どうしてこんなに楽しいのだろうと勉は思ったのです。そして、あした退院するという今、ふと寂しいのは自分のほうだし、切ないのも自分のほうだと気がついたのです。愛は既に芽生えていました。

 

接客をしている良子の横顔をじっと見つめる勉。「ねえ、よっちゃん」

良子「何よ? あんまり心安くよっちゃん、よっちゃんって呼ばないでちょうだい」

 

勉の後ろの壁に

お汁粉 ¥80 の貼り紙が増えてる。

 

勉は昨日の女が兄貴を振ったのだと良子に話す。

勉「だから俺がねじ込んだんだよ。兄貴と俺とはなんの関係もないって。俺みたいな弟があるから振ったらしいんだな。それじゃ俺だってたまらないよ」

 

橋田ドラマを見ていても度々出てくる「ねじ込む」というフレーズ。今とは違う意味で使われてるような気がする。

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↑でいうと、3番目の”相手の失敗や失言などをなじり責める。また、押しかけて抗議をする。”の意味だけど、今は、1や2の使い方が多いから違和感あるのかな。

 

しかし、良子は寿美子が正司にケーキやチョコレートをあげたことに気付き、変だと思う。そして、寿美子が正司を勉の兄だと知らないことにも気付く。

勉「じゃ、あれかな。もう一度考え直してんのかな。それでなきゃおかしいよね?」

良子「でもね、それだったら、私、とんでもないこと言っちゃったわ」

 

良子は、小川のことを正司のお父さんだと言ってしまったと勉に事情を話そうとしたが、客が来てしまって中断。

 

面会謝絶の札が掛かった病室に水仙の花を持った小川が入って行った。堀はベッドに寝ていたが、目を開けた。

小川「おや、よく眠っていたようだけど起こしちまったかな」

堀「ああ、小川さんですか」

小川「昨日から一度、見舞いに来たくってね、看護婦さんがやっといいって言ってくれたもんだから。この花もね、看護婦さんに頼んで買ってきてもらったんですよ」

堀「すいませんね。いろいろお世話になっちゃって」

小川「いいえ。何を言うんですか。お世話になったのは私のほうですよ。あなたがいなくなってからね、寂しくって寂しくって」

堀「おいしかったですよ、ジュースが」

小川「そうですか。そりゃよかった。あんな物(もん)でよかったらね、いつだって売店から買ってきてあげますからね」

うなずく堀。

 

小川「あっ、あの…少しお休みなさいよ。静かに寝てるのが一番いいんだから」

堀「足がね…」

小川「うん」

堀「だるくってね」

小川「ああ、そうそう。足がだるいのはつらいもんですよ。あっ、私がね、さすってあげましょう。ええ」

堀「すいませんね」

小川「なんですよ。こんなことぐらい、ええ。さあ、ねえ、気持ちが良くなったらね、眠ってくださいよ」

 

冬のたそがれにひととき空が明るくなることがあります。この2人の心の交流はそのひとときに似ていました。入り日は既に沈んで、空の明るさは残光だからです。そして、この小川さんの生きてきた人生も実はそれに似ていたのです。25年前、小川さんは生きていた英霊でした。最愛の妻は再婚していて、今更、この小川さんが帰っていく家も村もなかったのです。それなのになぜでしょうか。小川さんの顔には深く刻まれた心の痛手が見えないのです。愛です。冷酷な孤独の中で貫いた愛があったからです。

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生きている英霊の話は「南の島に雪が降る」にも出てきたし、渥美清さんの「父子草」はまさにそんな男の話でした。

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「父子草」は監督は違うけど、脚本が木下恵介さん。佐渡生まれの男が出征して、シベリアから昭和25年に帰ってくると、妻は弟と再婚しており、実家に帰ることもできず、近くの旅館で父と対面し、お金の入った封筒だけもらって引き返した。この時の渥美清さんの父親役が新作なんだよね~。

 

売店

良子「昨日あんたが突き飛ばされた人よ。お兄さんに話しちゃうの?」

勉「何がなんだかよく分からないよ。いいだろ、知らないような顔してりゃ。もともと関係ないんだ、俺には」

良子「ウソ言いなさい。関係ないのにどうして電話かけたり、ねじ込んだりすんのよ?」

勉「そりゃあれだろ? やっぱりさ、俺だって腹が立つしさ、兄貴だってやっぱり迷惑だからな。こんな俺と一緒くたに考えられちゃあな」

良子「そうでしょ? やっぱり」

勉「何がさ?」

 

良子はあした退院だからなんでもおごると言い出す。勉は、おしるこにした。

良子「あんたはやっぱり甘いほうがいいわね」

勉「いやに風向きが変わったもんだな」

良子「時々はね。私だってやっぱり女よ。あんただって割かしいいところあるじゃない。ちょっぴりは見直してあげるわ」

勉「そりゃまあ、ありがたいけどさ。でも、いやに高飛車じゃないか」

良子「そりゃあそうよ。同じ二十歳なら女のほうがお姉さんにきまってんですもん」

勉「へえ~だ。とんでもない姉さんだよな」

良子「当たり前よ。自分こそとんでもない弟のくせに」

良子のほうを向いていた勉が急に横を向く。

 

正司「よっちゃん、こんにちは」

良子「あら、何しに来たの?」

正司「何しにって、これから電話があったんだよ。あした退院するんだって?」勉の座っている席の斜め前に座る。

勉「うん、午前中だよ」

正司「午前中ダメなんだよ。だから来たんだ」

勉「いいんだよ、来てくれなくたって。俺一人で勝手に退院しちゃうから」

正司「そうはいかないだろ。支払いなんかちゃんと済まさなきゃいけないし。よっちゃん、昨日はごめんよね」

良子「いいえ。どういたしまして」

 

正司「さてと。何かもらおうかな」

良子「ないわよ、いなり寿司は」

 

正司「お前は何頼んだんだ?」

勉「おしるこだよ」

良子がおしるこを運んできた。「はい。お待ちどおさま」

 

正司「おしるこじゃつきあえないな」

良子「つきあってもらわなくたって結構よ。今日のおしるこタダですもん」

正司「しまった。タダならおしるこでもよかった」

良子「おあいにくさま。もう品切れ」

正司「残念。じゃ、先に支払いを済ませてくるよ」

勉「うん」

正司「よっちゃん、すぐ戻ってくるからね」立ち上がる。

 

良子「正司兄さん、ちょっと」

勉「えっ? 正司兄さん?」

良子「えっ、だってそうでしょ? あんたがとんでもない弟なら、この人、お兄さんよ」

正司「よっちゃん、まだ昨日のことにこだわってるの?」

良子「いえ。こだわってはいないけど、でも冷たい人だなとは思ってるわ」

正司「そうかな」

 

良子「もういいの。早く行ってらっしゃいよ」

正司「大体、君の言うことのほうが無理なんだよ。しょうがないだろ?」

良子「そうかしら。無理かしら」

勉「なんのこと? 一体」

正司「お前の知らないことだよ」

 

良子「だけど、私思うの。人間なんて一生のうちにそんな大したことできやしないわ。でも、昨日、あなたにお願いしたことは、その大したことよ。それも他の人にはできない。たったひと言で済むことですもの」

正司「そのたったひと言が僕にはとても困っちゃうんだな」

良子「だからもういいって言ってるでしょ。早く行ってらっしゃいよ」

正司「じゃあね。機嫌直しとかなきゃイヤだよ」売店から出ていく。

 

良子「機嫌なんて良くならないわ」

勉「一体何があったの? 兄貴と君の間にさ」

良子「間になんて、なんにもないわよ。いやらしい言い方しないでちょうだい」

勉「なにも俺にプリプリすることはないだろう?」

良子「俺、俺、言わないでちょうだい。学生じゃあるまいし。ちゃんと僕って言ったらどうなの?」

勉「言うけどさ…いやに高飛車だな」

良子「当たり前よ。おしるこうまいの? まずいの?」

勉「うまいけどさ、お茶くれよ」

良子「そんならそうと早く言うんですよ」

 

勉「まるで姉さんぶってんだから」

良子「これからは厳しんだから。お父さんやお兄さんを泣かしたら承知しませんからね」

勉「とても長居はできねえな、これじゃ」

良子「そう思ったらね、コーヒーなんか飲んでないで貯金すんのよ」冷たいお茶を出す。

 

勉「冷たくすんなよ、俺だってさ…」

良子「俺じゃない、僕でしょ。僕、僕って言ってごらんなさい」

勉「僕、僕。なんだか漫画の犬みたいだな」

良子「情けないわね。僕が犬ならね、俺はなんだと思ってるの? へなちょこのチンピラの不良少年のくせして」

勉「分かったよ、分かったよ」

良子「分かってるもんですか。頭悪いくせに」

勉「まるでペシャンコじゃないか、これじゃ」

良子「ペシャンコのことをね、形なしっていうの。よーく覚えときなさい」

勉は大きなため息をつく。

 

そこへ小川がやって来て、良子に堀の話をする。今までそばにいて足をさすってあげていて、そばにいて安心したのか割合言いたいことを言い、ジュースをまた飲みたがっている。良子はそんなに飲んでいいのかと心配するが、ほんのちょっぴりだからという小川の言葉にすぐ瓶ジュースを渡した。

 

小川「すいませんね、あの…昨日の分と今日の分と、また今度、お小遣いが出たときに」

良子「いいの、そんなこと」

小川「ありがとう」

 

しかし、看護師が駆けつけ、小川に早くしないと間に合わないと言うので、小川は瓶ジュースを床に落としてしまった。「急に…あれ…あれですか?」と病室へ。

 

良子「とうとうダメなのかしら」

勉「あの慌て方じゃダメだね、きっと」

良子「間に合うかしら」

勉「もういい年なんだろ? しょうがないよ、死ぬ人は」

良子「死ぬ人より小川さんが気の毒なの。あの人、話し相手一人もいなくなっちゃうんですもの」

勉「冷たいジュースか…」

良子「あんなにうれしそうに買いに来たのにね」

 

正司「ただいま。あれ? どうしたの? 一体」

勉「誰だか知らないけど年寄りが1人、死にそうなんだってさ」

正司「じゃ、あの人か? よっちゃんの話の」

良子「あんたには赤の他人よ。冷たい人にあのおじいさんのつらさが分かるもんですか」両手で顔を覆って泣きだす。

じっと見つめる正司。ハア~、きれいな顔。

 

病室

患者たちの笑い声

矢場「おい、まずいね」

 

小川が病室に戻って来て、自分のベッドに座って泣きだす。

 

矢場「小川さんよ、どうしたの? たまに遊びに来たら、あんたが泣いてるんじゃしょうがないじゃないか。そのベッドにいた堀さんもとうとういけないらしいね」

小川「黙っててくださいよ、うるさいから」

矢場「そうか。とうとうダメか。それじゃあ、あんたも泣きたくなるよね。あの人だけは、あんたのウソを真に受けたような顔をしていてくれたものね」

 

矢場も個室に移ったんだから絡むな!

 

ドアが開き、正司が入ってきた。ほかの患者たちに会釈をして、小川に近づき「お父さん、どうしたの?」と肩に手を置く。「しっかりしなきゃダメですよ。ヤだな、お父さんったら。ベニスから帰ってきたんですよ、息子が」

小川は泣きながら正司に抱きついた。驚くほかの患者たち。

 

ドアを開け、良子も様子を見に来た。小川の背中をさする正司を見て、涙を浮かべた。(つづく)

 

生きている英霊とは悲しい。秀行という息子も会えないけど、本当にいるのかもね。木下恵介アワーで劇中で亡くなる人が出てくるのは珍しいように思う。

 

月~金曜日7:30~「おやじ太鼓」再放送

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4月6日(土)7:00~「3人家族」最終回

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4月7日(日)10:30~「二人の世界」最終回

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で、次から土日の10:30~「兄弟」再放送。週に1話よりはいいかな。

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久しぶりに見た「おやじ太鼓」1話、面白かったな~。秋野太作さんとあおい輝彦さんは「兄弟」の静男と順二より三郎と敬四郎のほうがのびのびしてていい。沢田雅美さんもね。そしてやっぱり洋二兄さんの朗らかな歌声が好き。

 

びっくりしたのが京香大飯店のマネージャーが矢場こと日野道夫さんだったこと。白髪でヒゲでちょっと感じは違った。店の看板は「京香大飯店」。でも亀次郎のセリフは”大京香飯店”だった。それと店員役に水野皓作さん。

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水野さんは第2部では魚屋として出ていた。「おやじ太鼓」は2周目だけど十分楽しめそう。