徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】父子草

1967年 日本

 

あらすじ

木下恵介渥美清のために脚本を書き下ろした同名TVドラマの映画化。全国の工事現場を転々と渡り歩く初老の男(渥美清)と、おでんの屋台でふと知り合った貧しい予備校生(石立鉄男)との心のふれあいを描いた感動作。渥美清が五十年配の酒飲みで喧嘩っ早い男に扮し、笑わせ泣かせる絶妙の演技を見せる。あの「寅さん」の原点といわれる作品。二人を見守る慈愛にあふれたおでん屋台の女将役に淡路恵子

2022.8.10 日本映画専門チャンネル録画。

 

平井義太郎(渥美清さん)はおでんの屋台で歌っている。

相川音頭

相川音頭

  • provided courtesy of iTunes

おでん屋のおかみは淡路恵子さん演じる竹子。西村という青年は店を訪れ、平井に構わず竹子に話しかけ、竹子もそれに応じる。西村は石立鉄男さん。パーマじゃないし、若いな〜。

 

酔っ払っている平井は佐渡の「相川音頭」だと教え、西村にしつこく絡む。西村と組み合い、投げ飛ばされた平井。西村は職場へ急ぐ。

 

翌日、また屋台で再会した平井と西村。おかみの話では、平井は昨日初めてきた客だという。西村は弁当箱にご飯だけ入れておでんをおかずにしてるのかな? こちらの方が常連っぽい。またしつこく平井に絡まれた西村は受けて立つ。

 

空き地で相撲で勝負する。今度は泥水の中に投げ飛ばされた平井。相撲と言ったのに柔道の技をかけられたのが気に入らない。

 

西村は昼間は予備校に通い、夜は高等学校の夜警をしているのだとと平井に話した竹子。

 

竹子にババアとか暴言吐いといて、平井は自分の生い立ちは語ろうとしない。竹子と言い争っていると美代子という少女が平井に会いに来た。美代子は星由里子さん。かわいい。美代子は風邪をひいて寝ている西村に頼まれておでんを買いに来た。

 

言い争いの末、竹子に早く帰れと言われた平井は釣りはいらねえと1000円札を置いて出て行った。

 

なんだかんだおでん屋に通う平井。美代子は西村と同じアパートに住んでいる。美代子は父一人子一人で父は駅前でお汁粉屋をやっている。

 

平井は飯場の連中におでんを持って行きたいと竹子に鍋を借りた。一升瓶とおでんの入った鍋を持って平井が向かったのは、西村のアパート。眠っている西村をそのままに酒を飲み始める平井。

 

平井を土くさいという西村。飛騨の生まれで田舎が懐かしいのだという。大学受験に弱気になっている西村に3度目の勝負はお前が大学に受かったら勝ちだと言う。西村は18歳。平井は50歳。50歳のくせにババア、ババア言ってたのか。全く。絶対に竹子の方が年下だよね。

 

平井は西村のアパートの管理人に1万円を預けていたので、おでん屋にいた平井にお金を返しに来た。しかし、平井は受け取らなかった。西村は、両親からそれぞれ内緒で仕送りをもらっていたことを話すと平井は西村に親がいたこと、竹子にも夫や子供もいることを知り、ショックを受け、泣き出した。

 

本当は佐渡に妻子がいるという平井。戦争が終わり、シベリアからようやく帰ったのが昭和25年。

 

船が港に着くと迎えに来ていたのは父だけ。父は浜村純さん。その足で家には帰らず、旅館で父から妻が平井の弟と結婚したと聞かされた。テーブルの上に置かれた札束に手をつけずに旅館を飛び出す平井。父とバスに乗り、また旅館に戻る。父にすがって泣いた。佐渡に帰ってからのシーンはセリフなし、音楽だけなのがすごい。でもちゃんと伝わる。

 

西村が夜警(警備員ってことかな?)しているところに美代子は売れ残りの団子を持って遊びに来た。大胆だなあ。平井は遠くから西村の様子を見て微笑む。

 

回想。小さな男の子を抱いて出征する平井。

 

職場で同僚と次の飯場に行くと話していた平井。屋台で竹子を待っていて全財産75,300円を西村に渡してくれと押し付けて行った。夜警の仕事を辞めて勉強に専念してほしいからだった。ナデシコの別名チチコグサの花の種も渡し、合格したら花を咲かせてほしいと竹子に伝えた。

 

新しい飯場で前の飯場でも一緒だった鈴木が仕事中の事故で亡くなった。またひとりぼっちになった平井。

 

勉強していた西村を美代子が訪ねた。美代子の父が借金で首が回らなくなり、夜逃げするという。

 

雪の日。平井がおでんの屋台を訪れた。なんとなく元気のない感じ。威勢のいいおかみさんがなつかしいという平井にババアって言ってくださいよなんて自ら言っちゃう竹子。ダメダメ、そんな自虐。

 

リュックからリンゴ、ミカン、ドロップ、石けんを取り出し、西村に渡すように言い、8万円の入った封筒も押しつけた。今度は千葉に行くと言う平井。

 

飯場で「相川音頭」を歌う平井。箱に入った万年筆を取り出して嬉しそうに見つめる。

 

おでん屋を訪ねた平井。鉢植えにチチコグサの種が植えられていて、竹子から西村の合格を知らされた。竹子は西村のアパートに呼びに行き、再会。踏切があったりして実は会えないフラグかと思ったよ。

 

3度目の勝負だと言ってまた組み合う平井と西村。一度投げ飛ばした西村だったが、平井と抱き合って泣いた。(終)

 

最初は平井がやたら絡むし、口悪いしと思ったけど、背景を知るとなあ〜。ちょっと違うけど(だいぶ違う?)「無法松の一生」的な感じ。

peachredrum.hateblo.jp

生きた英霊は、ああやって生きるしかなかったのかなあ…(涙)。