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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (106)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭(西川弘志)が野球部を休部して、アルバイトをして雄太(唐沢寿明)から借りた金を返すと言いだし、雄太はそんなことするなと反対し、けんかになる。秀平(髙嶋政宏)が止めに入るが、かえって手が付けられなくなったのを、清原先生(浜村純)が一喝し止める。純子(山口智子)が東京から戻ってきて、昭が恭子へ送った金を返し、恭子はあき(伊藤榮子)との約束を守って、3か月は一緒に住まない、と言っていたと話すと…。

速水家・男2人だけの朝食

秀平「いただきます」

清原「純子さんはいつ帰るのかね」

秀平「さぁ、2~3日だって言ってましたから、今日あたり帰ってくるんだと思うんですけどね」

清原「ふむ」

秀平「すいません、不便をおかけして」

 

清原「いや、不便ということはないんだ。そういうことはいいんだが…。この男所帯というものはまことに不粋なもんだねえ。僕と君と朝飯を食べてる図なんてのはぞっとしないね」

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問1 「ぞっとしない」とは,本来どのような意味なのでしょうか。

答 面白くない,という意味です。

 

清原「そう思わんかね」

秀平「はあ、思います」

清原「早く帰って明るい声が聞きたいもんだね。ハハハハハ」

秀平「すいません」

 

小野家・こちらも朝食中

雄太「せっかくの日曜やから昼まで寝てよう思たけど寝られんもんやな」

あき「もう一杯どうや」

雄太「もう、ごちそうさんや」

あき「そうか。ほんならお茶にするか?」

雄太「うん」

 

あきがお茶を入れているところを様子をうかがうように見ている。

雄太「恭子姉ちゃん、どないしたやろな」

あき「そやなあ」

雄太「お母ちゃん。許すて言うてやるわけにはいかんのか。ここまで来てしもたんやから、このまま黙って見守ってるというのやったら許すと言うても同じや思うで」

あき「それはそうなんやけどな。学校きついことないか?」

雄太「いや、そらきつない言うたらうそになるけど二部に来てるのはほとんどが昼間働いてる連中やさかいな条件は同じなんや。僕だけ音を上げるわけにはいかんわ」

あき「そやな」

お茶を飲むあきを見ている雄太。

 

部屋で何か書いている昭。1階から戻ってきた雄太が声をかけ、机を覗き込む。

雄太「休部願? 何やそれ」

昭「見てのとおりや」

雄太「何で? 大した理由もなしに休部願出すとやめなあかんようになってしまうぞ」

昭「一応、家庭の事情でと書いといた」

雄太「どないしたんや」

 

昭「ええんや。どうせ新人戦にも出してもらわれへんかったし。ということはこれから先、レギュラーになれる見込みもないということや。そんなに未練はないんよ」

雄太「アホなこと言うな。せっかく入った野球部を半年もたたんとやめてどないすんのや」

昭「そういうわけにはいかんのや」

雄太「何で?」

昭「お前に金借りてるやろ。5月の給料、今度のボーナス、恭子姉ちゃんに送ったやないか。8月中にアルバイトして返さなあかんわ」

雄太「かめへんて」

 

昭「かめへんことない。そしたら、お前、大学の後期の月謝どないすんねや」

雄太「そやけど、お前に野球部やめてまでアルバイトしてもらおうとは思わんわ」

昭「それは僕の勝手や。僕、働かな気ぃ済まんねんから。お前に迷惑かけたないんや」

雄太「誰が迷惑て言うた?」

昭「そんなん言わんでも分かってるわ。黙っとけ」

 

雄太「黙ってられんな。そんなことで野球部やめられたら、その方がよっぽど迷惑や」

昭「人に指図すんなよ!」

雄太「ほんまに休部すんのか?」

昭「ほんまや」

 

雄太は休部願をビリビリに破いた。

昭「何すんねや!」

雄太「アホなことすなよ!」

昭「黙っとけ!」また休部願を書こうとする

雄太「やめんか、こら!」

昭「ほっとけよ!」腕を振り払う

 

雄太「分からんやっちゃな~!」昭をビンタ

昭「痛~っ。やったな」雄太につかみかかる

雄太「何や!」

昭「ほっといてくれよ!」

 

速水家

鼻歌交じりに食器を洗う秀平。秀平さんも清原先生も家事を率先してやるタイプだからいいわ。

清原「それが終わったら久しぶりに『万葉集』の勉強をしようか」

清原に背を向けた状態なので嫌そうな顔をする秀平が面白い。

 

あき「秀平さん! よかった、いてはった。ちょっと来てください」

 

昭と雄太は1階に移動してまだ取っ組み合いのけんか。

昭「くそ~!」

雄太「負けへんで!」

 

秀平「おい、やめろ!」

雄太「ほっといてくれ!」

秀平「いい年して何だ!」

雄太「邪魔すな! 言うても分からんからやってんのや!」

 

秀平「やめないか!」

雄太「何や!」秀平殴られる

あき「何すんのや、秀平さんに!」

 

秀平「やめろっつってんのが分かんないのか!」

昭「邪魔すんな!」昭にも殴られる秀平

あき「何すんのや!」

秀平「この野郎!」

昭、雄太の上に乗る秀平

あき「あっ! もうやめなさい!」

 

純子が家の前の路地を歩いていると、小野家から昭が転がり出てきた。

純子「昭!」

続けて雄太、秀平も出てきた。

純子「ちょっと、どないしたんや!」

秀平「さあ、かかってこい! 思いっきりやろうじゃないか。ヘイ、カモン! カモン!」

純子「秀平さん!」

 

雄太「訳も分からんくせに何や!」

秀平「よし! よ~し!」

純子「ちょっとやめなさい!」けんかに割って入る

雄太「お姉ちゃん、やめえ!」

 

清原「やめんか!」

ほうきを持った清原先生が一喝! さすが。

 

家の中を片づけるあき。秀平、純子、昭、雄太はテーブルを囲む。

純子「それで?」

雄太「昭がアルバイトしてその金を返すと言うんや。野球部休んで働くと言うんや」

昭「こっちの勝手やろ」

秀平「とにかくね、けんかはよくないよ」

2人から殴られるとは災難。でもノーダメージ。

 

純子「それやったら野球部休むことないよ」

昭「何でや」

純子「これ、昭のや。恭子がな、お金は何とかなるさかい、昭に返して言うて、お姉ちゃん言づけたんや。取っとき。雄太のお金やろ。昭から雄太に返しなさい」

昭「…」

雄太「恭子姉ちゃん、ほんまに大丈夫なんか?」

純子「大丈夫。新橋のジャズ喫茶で週に3回歌わしてもらうようになって、月々暮らせるくらいのお金にはなるんやて言うてた」

 

昭「返すわ」ぶっきらぼうに封筒を置く。

純子「そういう返し方はないやろ」

昭「おおきに」

 

秀平「恭子ちゃん、どうしてた?」

純子「それがな、私は西川さんと一緒に住んでるもんと思てたんや。そしたら違てた」

あき「!」

純子「恭子な、西川さんが住み込んではるビルから15分ぐらいの水道橋いうとこにちっちゃいアパート借りて住んでたんや」

秀平「アパート?」

 

純子「西川さんは何べんも大阪へ帰るように言わはったんやて。そやけど恭子がな、3か月、東京で働いて自分の気持ちに間違いがないか確かめたい言うて」

あき「3か月…」

純子「家を出る前に3か月待ってみてもええやろて言うてたやろ。恭子はそれを言うてんのや。私は正直言うてホッとしたわ」

 

昭「西川さんはどうなんや? 何と言うてんねや?」

純子「西川さんはパントマイムを続けてはる。浅草の演芸場にも出してもらうように人に頼んでる言うてはった」

昭「いや、僕が知りたいのは西川さんが恭子姉ちゃんのことをどう思てるかや」

純子「分からへんけど、多分3か月たったら一緒になるんと違うやろか。私はそない思うわ。(あきに向かって)お母ちゃん。私からもお願いや。2人は思てたよりもずっとずっと真面目にやってた。苦労はするやろと思うけど大丈夫やと思うわ。3か月の間、待ってあげて」

あき「…」

 

速水家の2階

純子「何や知らん、疲れてしもたわ」

秀平「ご苦労さん。20年たったら多分、こんな騒ぎ、笑い話になるんだろうね」

純子「そやね。ほんま、そうであってほしいわ。みんな、一生懸命生きてんのやもん」

秀平「おかあさん、ホッとしてたみたいだったね、恭子ちゃんのこと」

 

純子「口では許してない言うてるし、怒ってるような顔もしてるけど、ほんまは悲しいてたまらんのやろと思うわ」

秀平「しかし、僕は意外だった。おかあさんがあんな反対するとは思ってもみなかった」

純子「そやろか。普通やったら賛成でけへんのんと違う? 結婚するということは食べていかなあかんということやし、西川さんは自分一人で食べていくのもやっとという人やし、恭子かて歌だけでやっていく見通しはないねんもん。それに恭子はまだ21や」

 

秀平「しかし、本人がそれを望んでいるんだ」

純子「それはそやけど…」

秀平「食べられるかどうか分からないっていうんだったら僕だって同じだよ。フリーのカメラマンなんて不安定なもんさ。しかし、おかあさんは何も言わないでおめでとうって言ってくれたじゃないか」

 

純子「それは…。(立ち上がり)私の思い上がりかも分からへんけど私と恭子は違うのやろと思うわ」

秀平「違うって?」

純子「私は疎開してた時から今までずっと働いてきた。お母ちゃんはそれを見てるさかい私には安心してんのや。そやけど恭子は2番目で私やお母ちゃんに甘えて育ってきた世間知らずや。お母ちゃんはそれが心配なんやと思うわ。私はお母ちゃんの気持ちはよう分かる。そやけど恭子は私が思てたよりもずっと大人やった。いっときの感情で飛び出したんでもなかった。恭子が3か月待って言うてんのやから私は待ってあげよう思てる」

 

秀平「3か月なんて、あっという間だよ」

純子「恭子な、昭がお金を送ってくれたやろ。駅まで送ってくれて雄太の月給そっくり渡してくれて。それで自分がちゃんとせなあかん、昭や雄太を裏切れんて思たんやて。ほんまに幸せにならなあかんて」

窓辺で見つめ合う2人は抱き合う。お向かいから丸見えだよー!

 

純子から見て恭子は世間知らずに見えるかもしれないけど、女学校を卒業後、家の仕事、興園寺林業の事務、純ちゃん食堂と常に知ってる人の中に居続けた純子と中学卒業を、宝塚、退団後はキャバレーでジャズを歌う恭子では、客観的に見ると純子の方が世間知らずに見える部分もあるけどね。何かあればきちんと話し合いをして折り合いをつける小野家、いいねえ。