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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (105)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭(西川弘志)が恭子へ金を送った、ということがわかり、純子(山口智子)は昭から、恭子の様子を一目見に行きたい、連れ戻すことはしないから、と言って住所を聞き出す。アメリカに渡った北川から、詐欺に遭い裁判になりそうだ、と手紙が来て、つや(白川由美)と一緒に、清原(浜村純)に相談する。東京で大学教授をやっている昔の教え子を紹介するから、アメリカの弁護士について相談するようにとアドバイスされた純子は…。

妙なことになりました。東京へ去った恭子のところへ昭が郵便為替を送ったらしいのです。金額は5千円。ということは昭は恭子の東京の住所を知っているということになります。

 

純子「やっぱり昭は知ってたんや。昭が帰ったら私が聞きだすさかい」

あき「…」

純子「とにかくどこでお金を工面したかも心配やし、私、昭に聞いてみる」

あき「恭子の居所知ってどないするんや」

純子「どないて…。このままほっとくわけにもいかへんのんと違う?」

 

あきはミシン台へ。

純子「お母ちゃん、なんもそないにいこじにならんかて」

あき「いこじやない。お母ちゃんはもう諦めてるんや」

 

小野家にジョージ北川から手紙が届いた。ん? 純子宛なのに?

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前回は純子の結婚式にお祝いの手紙をくれた。しかし最近は声の出演ばかり。あきさんは「珍しいな」と言ってたけど、結構マメな方だと思う。

 

北川からの手紙

「純子さん、お元気ですか。小生、サンフランシスコの暮しも永くなりました。こちらは今、とてもいい季節です。商売の方は極めて順調…と言いたいところですが、実は一寸痛い目に遭いました」

字幕は”逢”だったけどこの場合、こっちじゃない!?

「日本の肉筆浮世絵を可成りまとめて仕入れ、ある男に仲介したのですが、この男が絵を持ち逃げしてしまったのです。そのためにこちらに裁判になりそうで弱っています。おかしいでしょう。サギ師だったぼくがまんまとサギにひっかかったんですから」

 

全然違うことかもしれないけど、マリ子とマチ子がヤミ屋に頼まれてアメリカ人向けに日本画を描いたことを思い出しました。

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純子「いや~、どないしよ。北川さん、詐欺に引っ掛かりはったんやて」

あき「浮世絵?」

純子「そうや。裁判になりそうやて書いてある」

あき「アメリカで裁判になったらえらいことやで」

純子「どないなんのやろな。清原先生に相談してみようか」

あき「もし裁判に負けたらアメリカの刑務所に入らはるんやろか」

純子「そやなあ…」

 

ちょうど純子を訪ねてきた正太夫に北川のことを話した。

 

速水家。手紙を読む清原と心配そうなつや。

清原「なるほど」

つや「先生。訴えられたちゅうことはどういうことですやろ」

 

純子が持ってきた湯飲みを人に見立てて説明を始める。

清原「手紙だから詳しいことは分からんのだがね…。多分…最初のこの男が仲介役の北川君に浮世絵を渡した。北川君は第三者にこの絵を渡して代金を受け取るはずだったのに、この男が絵を持ち逃げした。すると、最初のこの男は損害を被るわけだね」

太夫「そういうことですな」

清原「しかし、この男は恐らく保険をかけていたはずだから、ここと北川君との間に問題はない」

純子「それやったら…」

清原「そうだね…いやいや、しかし、この保険会社がね、北川君に対して損害賠償を訴えるという、あれは十分にあるんだね。私は今度のケースは多分それだと思うんだよ」

うん! 分かりやすい。

 

つや「そうすると…先生、どないなりますやろ」

清原「そうだねえ、詐欺師とグルだったと思われたら、つまり知っていて詐欺の片棒を担いだと判定されると刑務所行きもありうるだろうね」

純子「ほんまに」

つやはショックを受ける。

 

清原「アメリカの裁判は陪審員制度だからね、いわば普通の市民が有罪無罪を決めるわけだから、よほど腕利きの弁護士に頼まないと危ないだろうね」

つや「弁護士?」

清原「そう。まず北川君に詐欺の意思がなかったということを証明する必要があります。しかし、北川君は元は詐欺師で日本で詐欺罪で刑務所に入っていた人だからね。グルだと思われてもしかたがない。かなり不利だね」

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つや「先生、なにもそんなこと言われなくても…」

太夫「いや、まあそうやて。不利は不利やと思う」

つや「いや、どないしよ」

 

清原「北川君がその男を逃がしたということもあるわけだからね」

つや「そんなこと、絶対あるわけないです」

純子「そやから、そやないということを証明したらええわけですよね」

つや「やっぱり弁護士さんやなあ」

清原「そう」

 

つや「先生、アメリカで一番、一番ええ弁護士さん頼むには、どうしたらよろしいんですか?」

太夫「そやけど、アメリカで一番ええ弁護士は高いんちゃうやろか」

つや「何を言うてんの。今、そんなこと言うてる場合やないやろ」

 

清原「そうですね、東京で僕の教え子で大学の教授をしている井上という男がおります。アメリカでも知られた男でね。彼にご相談なすったらいいでしょう。彼は詳しく調べた上でお力になると思います。僕が紹介状を書きますから」

 

夜、鼻歌を歌いながら帰ってきた昭に声をかけた純子。

純子「昭、あんた、恭子の居所知らんて言うたね」

昭「知らんよ。何回言うたら気が済むねや」

純子「ほな、これどないしたん?」

郵便為替の紙を出して昭を問い詰める。

昭「あかん、うっかりしとった」

 

5千円はどうしたのかとさらに追及すると、雄太に借りたという。昭は雄太のボーナスだというが、純子は入社1年目の夏はボーナスはないという情報を入手していた。しかし、昭によれば社長に目をかけられ、ポケットマネーから出してくれたという。

 

恭子の居所を聞く純子。この目で様子を見てきたい、お母ちゃんを安心させたい、連れ戻したりしないと必死に訴えかけ、ついに昭から恭子の住所が書かれたメモをもらった。

 

玄関の明かりでメモを見る純子。「東京都千代田区神田三崎町1-12」

マー姉ちゃん」でマリ子がリヤカーひいて歩いた取次店があるのは神田神保町で、恭子が住んでいるのは、水道橋駅付近。

 

小野家の2階

雄太「バレた?」

昭「うん。お前にボーナス借りて恭子姉ちゃんに送ったんがバレたんや」

雄太「何でや?」

昭「為替の控えをな、シャツのポケットに入れたまんまにしといたんや」

雄太「アホ。それでお母ちゃん怒ってんのやな」

昭「いや、でも、バレてホッとしたというのが本音やけどな」

雄太「ボーナスのこと、謝っといた方がええかもしれんな」

昭「そやな」

 

あきが2階に夜食を持ってきた。

雄太「あの、お母ちゃん、ボーナスのことな…」

あき「何にも言わんでええ」

雄太「そやけど…」

あき「おおきに。すまんな。あんたらにも心配かけてしもて」

洗濯物をタンスにしまって下へ降りていくあき。

 

雄太「おおきにやなんて言われると勝手が違うな。怒られた方がすっきりするわ」

昭「親て、あんなもんかもしれんで」

 

速水家の2階

秀平「じゃあ、西川さんがビルの管理人して恭子ちゃんはそこにいるのかな」

純子「そうやないやろか」

秀平「おかあさん、何て言ってんの?」

純子「何にも。私が東京へ行ってみる言うても『そうか』ってそれだけやった」

秀平「僕もしばらくそっとしておくのが一番だと思うけどね」

 

純子「私はこうなった以上は、しっかりしてや頑張りやて言うてやりたいんや。東京へ行ってもええやろ」

秀平「…」立ち上がって封筒を差し出した。「これ、少ないけど3千円入ってる。恭子ちゃんに渡してくれる?」

純子「おおきに」

 

純子が東京の恭子のもとに向かったのは翌日であります。旅の道連れは北川のことが心配で心は既にアメリカに飛んでいる興園寺つやであります。

 

夜の蒸気機関車。このドラマはこのパターンが多い気がする。景色が見えないのがいいんだろうな。そういえば、1997年制作の「あぐり」は汽車に乗るシーンはあっても汽車が走る映像はあったっけ? 「マー姉ちゃん」が異様にバリエーションが豊かな気がする。

 

つや「純ちゃん、恭子ちゃんのことどないするつもりやの?」

純子「見てくるだけになるやろと思いますけど。私にはよう分かりません。私の時には何も言わんかったお母ちゃんが何で恭子の時だけあないに反対するのか」

つや「ほんまやねえ」

純子「私、恭子がかわいそうでしょうがないんです」

つや「それでも恭子ちゃんも随分思い切ったなあ。あれが若さちゅうもんかも分からんな。人を好きになったら世間の目も何も忘れて真一文字や。うちも…。アメリカへ行ってしまおかな。日本にいてな、一人で思い悩むより、その方がええかも分からんな」

純子「さぁ…」

 

何だか今日の回は妙に「マー姉ちゃん」とリンクしているような気がした。昭和9年からスタートした「マー姉ちゃん」も今、昭和23年の春。「純ちゃんの応援歌」は昨日の為替の日付を見ると、昭和29年の6月。近づいてるねえ~。