徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】わが子は他人 #20「喜び」

TBS 1974年8月14日

 

あらすじ

晃(吉田友紀)が突然和泉家へ帰ってしまい、大吉(松山省二)夫婦の心はまた揺れ動く。さらに一郎(春田和秀)が帰りたくないと言い出す。ふたりは不安な思いで和泉家を訪問するが、楽しげな一郎を見て…。

2024.5.21 BS松竹東急録画。

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福山大吉:松山省二…太陽カッター社長。字幕黄色。

福山紀子:音無美紀子…大吉の妻。字幕緑。

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和泉和子:林美智子…元の妻。

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滝沢春生(はるみ):高沢順子…和子の姪。

福山隆:喜久川清…大吉の弟。浪人生。

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原京子:安東結子…元の教え子。

バーテンダー:近藤典弘

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福山一郎:春田和秀…大吉、紀子の息子。小学1年生。

和泉晃:吉田友紀…元、和子の息子。小学1年生。

ナレーター:矢島正明

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福山ゆき:小夜福子…大吉の母。

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和泉元(げん):杉浦直樹…中学校教師。

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監督:中村登

 

子供の本能的な鋭さが真実の親子を見いだしたのかもしれないと思ったりしたのですが、それが錯覚であったことを今、大吉は思い知らされたのです。晃は来たときと同じように突然、帰ってしまいました。全ては子供の気まぐれだったのです。

 

福山家2階

一郎の勉強部屋=親子の寝室に寝っ転がっていた大吉が隣の隆の部屋へ。珍しく勉強している隆。

 

大吉「暑いなあ、この部屋も」

 

帰ってしまった晃、帰ってこない一郎の話。

 

隆「ハァ…しかし、蒸し暑いね」

大吉「じゃ、来年あたりクーラーでも入れるか」

隆「そんなこといいよ。この部屋にクーラーまで入れてもらっちゃ申し訳ないもん」

大吉「いや、店のほうにさ」

隆「なんだよ、話がうますぎると思ったよ」

 

茶の間

一郎の荷物を詰めているゆきと紀子。

ゆき「1週間もいなかったね」

紀子「ええ」

ゆき「変な話だよ。ホントの親がかわいがってるというのに、他人のとこへ帰ってくんだから」

 

大吉がタバコの買い置きがなかったか聞く。紀子はタバコを取って、テーブルに置き、灰皿を用意する。自分でやりなさい!

 

夜8時になるのに和子は晃の荷物を取りに来ない。

 

ゆき「あしたのつもりかしら」

大吉「俺に聞いたって分かんねえよ」

ゆき「だって、一郎を連れてくるのにさ、あんまり遅くなると眠くなるだろ」

 

紀子もゆきも電話してみようと言うが、大吉は催促がましいと嫌がる。紀子は荷物を届けに行くついでに迎えに行くというが、大吉は余計なことしなくていい、やめろっつってんだよとイライラ。迎えに行くのがみっともないと言う。

 

紀子「一郎を迎えに行くのがなぜみっともないの?」

大吉「分かんないヤツだな。お願いします、返してくださいって顔になるだろ。わざわざ行きゃ」

紀子「そんな顔しないわよ。自分の子供なのに」

大吉「お前の子供じゃないんだぞ、一郎は」

ゆき「んん…バカなこと言うもんじゃないよ」

 

大吉「俺たちと血がつながってんのは晃なんだぞ。その晃が俺たちよりも向こうの親のほうがよかったんだよ。自分から帰るっつったんだからな。一郎が帰ってこないのは自分から帰るって言わないからなんだ」

ゆき「大ちゃん、考えすぎだよ、そんなの」

大吉「じゃ、なぜ帰ってこないんだい? もうあれから8時間もたってるんだよ」

紀子「帰ってきますよ」

大吉「のんきなこと言ってやがらあ。どうなってるか分かりもしねえくせに」

紀子「帰ってくるわよ、必ず」

 

イライラしてうちわを高速でパタパタ仰ぐ大吉。紀子はそんなに心配なら電話してみたらいいと言うが、向こうにいるのがホントの親なんだから帰ってこないかもしれないと返した。

 

和泉家

左まぶたの脇に絆創膏を貼られ、痛々しくもあるがニコニコの元。ビールを飲みながら子供たちがプラモデルを組み立てているのを見ている。春生も飲んでいるため、ビールがなくなった。

 

和子「いいの? そんなに飲んで」サラダを運んできた。

春生「おいしい、ビール。わあ、サラダ!」

和子「学生のくせにダメよ。お酒なんか覚えちゃ」

春生「叔母さん、今の女子大生はね、もう誰だってビールぐらい飲むのよ。ねっ? 叔父さん」

元「ああ、そうだね」

和子「女子大生なんて知らないくせに」

 

春生「だって卒業生にたくさんいるでしょ?」

元「うん、まあね、ハハハッ」

和子「叔父さんには関係ないわよ」

春生「分かんないわよ、叔父さんだって。ねっ?」

和子「もう、そんな年じゃないわよ」

 

春生「いいの? あんなこと言われて」

元「うん? 諦めてるんだよ」

顔を見合わせて笑う。

 

「たんとんとん」で若い妻と結婚していた新さんなので、どうも怪しく見えちゃうなあ。なぜか杉浦直樹さんは若い女性好きに見えちゃう。

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思えば「今朝の秋」の妻役の倍賞美津子さんもまあまあ年の差だよな。

 

和子「一郎ちゃん、ホントに帰らないの?」

一郎「うん、帰らないよ」

和子「どうして?」

元「そんなこと聞くなよ」

和子「だって、電話するのに理由を言わなきゃいけないでしょ」

元「いや、帰りたくないって言えばいいよ」

和子「誤解されないかしら」

元「ホントに帰りたくないんだからしょうがないよ」

 

笑顔が隠し切れない和泉夫婦。

 

和子「じゃあ、一郎ちゃん、ホントに電話していいのね?」

一郎「うん、いいよ!」

 

布団を敷いてから電話をかけようとした和子に先に電話をかけるように言い、子供たちの様子を近付いてみる元。プラモデルを3人で眺める。軍艦かな?

 

和子はニッコニッコで電話。あのあと、一郎ちゃんを連れて荷物を取りに行こうと思ったんですけど…と前置きして、一郎ちゃんが晃と遊び始めたので帰らないと言っていると紀子に話した。

 

紀子「えっ? 帰らない?」

和子「どうしましょうか? うちのほうはいつまでいてもかまいませんけど」

紀子「いえ、私のほうも荷物をお届けするついでに伺おうかなと思ってたんですけど、奥さんと行き違いになるといけないと思って。いえ、心配はしてませんけど。大変でしょう? 一郎はイタズラだから」

 

紀子は一郎を出してほしいと頼んだ。和子は一郎に電話のことを言うが「僕はいい」と最初は出たがらなかったが、渋々電話に出た。「なあに?」

 

紀子は晃が帰ったから一郎も帰ってくると思って待っていた。あしたにする?と聞く。

一郎「僕、帰らないよ。勉強する約束だもん。やだよ」

紀子「じゃあ、いつまでいるつもりなの? あんまり長く人のうちにいるとイヤがられるかもしれないわよ。じゃ、あしたあたり迎えに行きましょうか」

一郎「いいよ、いらないよ」

紀子「どうして言うことが聞けないの!」とちょっと声を荒げた。

 

じりじり紀子に近付いて電話を聞いていた大吉が受話器を取り上げた。「もしもし、あっ、一郎か? ああ、お父さんだよ、うん。どうだ? そっちは面白いか? ハハハハ、そうか、ああ。それじゃあね、皆さんの言うことをよく聞くんだよ。うん、うん、はい、それじゃ、おやすみ。うん」優しいパパを演じ切って受話器を置くと、紀子には「子供相手につまんないこと言うんじゃないよ。必ず帰ってくるっつったのはなんだ」とキレて、2階へ。

 

再び隆の部屋に入る大吉は大きなため息をつく。横顔の隆の前髪、すごい。

 

翌日、和泉家を訪れた大吉。「ハハハッ。どうも暑いですなあ」

和子「ええ、ホントに。あっ、昨日は失礼いたしました。一郎ちゃんをお連れしようと思っていたんですけどね」

 

大吉は持参したアイスクリームを和子に渡した。やっぱり不二家かな。

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和子は遠慮なく受け取ると、家に上がるように言うが、大吉は仕事の途中だと言いつつ、玄関先に座り、「皆さん、お出かけですか?」と様子をうかがう。

 

子供たちはプールに出かけたと聞き、思わず舌打ちする大吉。そこに紀子が荷物を届けに来て、大吉は慌てて帰り、紀子も続く。

 

茶店

大吉「なぜ帰ってこないか分かったよ。ああやって、毎日プールだのなんだのってチヤホヤすればさ、相手は子供だからな。そのうちおかしくなっちゃうよ。このまま放っておいたら、ホントに帰ってこなくなっちゃうかもしれないぞ。それとも、お前、このまま放っておいても帰ってくると思ってんのか?」

紀子「じゃあ、どうするの?」

大吉「こうなったら、今夜にでも直接、亭主に会って話をつけるよ」

紀子「一郎を返せって言うの?」

大吉「そういうことになるかもしれないな」

紀子「ケンカにならない?」

大吉「しょうがないよ。向こうがいいかんげんなこと言うんじゃ」

 

最初の約束が夏休み中ということだったから、向こうのうちが約束を破ったわけでもないと紀子のほうがいくらか冷静。

 

大吉「晃が帰れば全て終わりだよ」

紀子「だって、それはこっちの都合でしょ?」

大吉「お前、一体、どっちの味方なんだよ」

紀子「だって、ケンカになったら困るじゃない」

大吉「何言ってんだ。一郎を返さないの向こうじゃねえか」声が大きい。

紀子「人が見てるわ」

 

大吉「いいよ、人なんて。向こうの腹は分かってるんだよ。こっちが黙ってれば2人とも自分の手元に置いておきたいんだよ。最初のころ、あの奥さんはっきりそう言ったろ? 覚えてるだろ? あれから何一つ変わっちゃいないんだよ。でも俺は、そんなに甘くないからな。あいつらにごまかされたりはしないよ。必ず子供を取り戻してみせるからな」

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病院での話し合いが終わったあとの和泉夫婦と大吉が行った喫茶店での会話。ただ、この場に紀子はいなかったけどね。

 

元は右手で一郎、左手で晃の手をつないで走る。

 

和子のピアノで一郎と晃が歌う。

 

公園で遊ぶ2人を見る元、家で勉強を教える元。

 

プールで水泳を教える元。

 

素麺を食べる元、和子、一郎、晃。笑顔で電話を受ける元。

 

結構日にち経ってる!?

 

バー

元「たまにはいいですね、外で飲むのも」

大吉「大体はおうちですか?」

元「ええ、ほとんど、まあ飲む相手もいませんからね」

大吉「同僚の先生がいるでしょ?」

元「ダメですね、同僚と飲むのは。結局、学校の話になるでしょ。面倒くさいですよ」

大吉「そんなもんですかね。僕なんか従業員とよく飲みにいきますけど、結構楽しいですよ」

元「ああ、それはいいですね」

大吉「まあ、連中、若いから、よく飲むし、よく食うし、金もかかりますけどね」

元「まあ、楽しさってのは、そういうことかもしれませんね」

 

大吉「まあ、もっとも子供にしても大学行くようになったら大変ですからね」

元「ええ、僕の場合、四十過ぎてからの子でしょ。まあ、大学行くころには定年間近ってやつです。ハハハハッ」

大吉「いや、そのころになったら僕もいい年だなあ」

元「いや、そんなことない。あなたは若い」

大吉「いや、もう30ですからね。おじさんですよ」

元「いや、そんなことありませんよ。全てこれからじゃないですか。仕事にしたって、家庭にしたって」

 

30歳で小学1年生の息子がいるのは若いよ~。紀子はもっと若いだろうし。子供が大学卒業してもまだ40代半ばだもんねえ。

 

大吉「ねえ、和泉さん。家庭といえば一郎のことなんですけど…」と切り出す。元気にしてるか、何も言ってないか聞く。

 

元「相変わらず夏休みいっぱい勉強するらしいですよ、私のうちで」

大吉「帰るように言ってくれませんか? すいませんけど」

元「何か都合の悪いことでもありましたか?」

 

大吉は晃ちゃんも帰ったことだし、あれは子供の気まぐれだったから、一度ご破算にして、改めてということで…と言うものの、元はあまりいい顔をしない。親戚づきあいはこのまま続けるつもりだと言う大吉だったが、元は一郎をもうしばらくの間、私のうちに預けてほしい、あの子がいたいだけ強制せずにいさせてやりたいと言い、それが親戚づきあいの目的で、いつか晃に真実を打ち明けることになる、遅いか早いかの違いだと言う。

 

大吉は自分の手元に子供がいるからそんなことが言えるんだとイライラ。どうするつもりですか?と元に聞かれても飲むしかない。

 

ベロベロな大吉と元。

大吉「おい! 酒持ってこいよ、酒」

元「大体…大体ね、あんたには我慢っていうものがないんだ」

大吉「何を?」

元「急に晃が欲しくなったり、そうかと思うと一郎を手放さないなんて言ってみたり。もっとね、子供の将来ってもの、真剣に考えてもらいたいんだよ」

大吉「そんなことあんたに言われなくたって分かってるよ」

 

元は原京子の話を始める。その一家にとっては血がつながってないってことが大問題で、将来、自分たちの家庭だってひと事じゃないと大吉に言う。

 

元「今やね、親のわがままなんて通る余地はないんですよ」

大吉「じゃ、子供を交換しようって、はっきり言ったらいいじゃねえか」

元「そのために自分の気持ちを捨てて、こうして親戚づきあいしてるんじゃありませんか」

大吉「まるでイヤなもんとつきあってるみてえだな」

 

元「お前には分かってない!」

大吉「何を!?」

元「なんにも分かってないよ。いいかね? その家出した女子学生は横浜の喫茶店に勤めてるんだ。その子の気持ちを考えてみなさい。警察に届けるのはかわいそうだし、説得はできないし。親が子供にそんな苦しみを与えていいっていう権利はどこにもないんだよ」

大吉「よし、行こう」

 

君には関係ないと元にツッコまれつつ、大吉は横浜へ行くと言い出す。「殴られたから怖くなったのかい? ハッ…まさか怖くて教え子を見捨てるつもりじゃねえだろうな」

元「バカなこと言うな」

大吉「それじゃ行こうじゃねえかよ。男ならよ。行こうじゃねえか!」

元「よし、行こう」

 

スナックマジョリカ

ベロンベロンで席につく元と大吉。

原「先生、大丈夫ですか?」

元「平気、平気」

原「ごめんなさい」

元「いいんだよ」

原「ねえ、先生。私のこと安心ですから。お母さんとも話したんです」

 

原はお父さんも来て帰ってこいと言っていたと話す。しかし、当分の間ここにいる。帰らないと、先生毎日来るよと笑う元。原は結婚してもいいから、お父さんとは別々に住みたいと母に伝えてくれと言う。

 

バーテンダーが「また来てんの?」と顔を出した。「あんた、ダメだよ。京子ちゃん、あんまりいじめちゃ。えっ? えっ? 先生」ポンと元の肩に手をやる。

大吉「なんだ、お前は!」←いきなり大声で叫ぶ。

 

どいつもこいつも気に入らねえなとつかみかかる大吉。

 

次の瞬間、左まぶたに青あざを作った大吉がタクシーの後部座席に乗っていた。大吉もやられたか。

 

元「だから行かないほうがよかったんですよ」

大吉「あいつは気が早(はえ)えや」

元「あんな大きな声出しゃ向こうだって夢中になりますよ」

大吉「でも行ったから話が進んだんでしょ?」

元「そりゃまあそうですがね」

大吉「ああいう話は身にしみるなあ」

元「そうですね」

 

和泉家の前でタクシーが停まり、元が降りた。大吉に寄るように言い、タクシーの運転手におつりはいいよとお金を渡したのは大吉。「どうも、どうも」って元! 降りるように言ったのは元なのに!

 

和泉家

和子が出迎え、大吉の顔の傷に気付く。そして、一郎がだいぶ前に帰ったと言うので、目を見開いて驚いた表情の大吉は、僕も急いで帰りますと玄関でよろけながら走って家路についた。

 

紀子が出迎え、一郎が帰ってくることを伝えた。「うれしくないの?」

大吉「今夜あたり帰ってくると思ってた」( ー`дー´)キリッ

 

紀子は大吉の傷に驚くがあくまでもクールにふるまう大吉。

 

いそいそと2階に上がり、一郎の寝顔を見つめ、「一郎」と呼びかけ、涙を流した。(つづく)

 

親戚づきあいというか年も全然違うし、不思議な関係だなー。

 

「おやじ太鼓」35話。やっぱり山口崇さんかっこいいわ。「幸福相談」楽しみ。

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次回は敬老の日のエピソード。

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一郎ちゃんの50年後。やっぱり眼力が強く、面影があるなと思う。