1987年11月28日 NHK
【NHK名作座】第44回はドラマスペシャル『今朝の秋』(1987)。病で死にゆく一人息子(杉浦直樹)のために奔走する年老いた父(笠智衆)と、別れた母(杉村春子)の姿を通して、家族の絆を描く感動作。脚本は #山田太一 https://t.co/IzRcEVL0Vj #今朝の秋
— NHKアーカイブス (@nhk_archives) 2018年2月3日
「ながらえば」が82年、「冬構え」が85年と三部作を短い期間で見てきたせいか、このドラマの冒頭が夏でシャツに下ズボン姿の笠智衆さんがやせたように見えました。
その息子の元には鉱造の別れた妻・タキ(杉村春子さん)が顔を見せに来ていた。息子の隆一は杉浦直樹さん。向田邦子脚本の「父の詫び状」でも母親とちょっと複雑な関係の親子だったな。タキの付き添いには樹木希林さん。一気に明るくコミカルな雰囲気になりました。
タキはずいぶん前に男を作って出て行った。それ以来会っていなかったが、鉱造が隆一のマンションにいるとタキが会いに来た。タキが今でも許せずキツい口調で返してしまう。キツい口調と言っても笠智衆さんだからなんだかかわいい。
87年だからバブルで、隆一はプロジェクトをいくつも抱えた企業戦士。妻はブティックを経営していてお互い忙しく、別れ話が出ていると隆一に聞かされた鉱造は悦子にこのままでいて欲しいと頭を下げる。
鉱造は昔の同僚(加藤嘉さん)を訪ねて息子の話をするが、同僚は妻の介護をしており、家の近所は古い家屋がどんどん壊されていた。時代だねぇ。
タキはシャキシャキしたお師さんみたいな人で駆け落ちした男が死んで飲み屋をやっているが、そこに鉱造が訪ねていくがやっぱり言い合いになるが、隆一の看病を許す。元夫婦である鉱造とタキの掛け合いが面白い。翌日からタキが隆一の面倒を見、隆一は悦子にもう顔を見にこなくて言うが、悦子は別れ話はなしにしようと言い出す。
隆一は周りの態度から自分は長くないと悟る。今は本人にも告知するのが当たり前だけど、この頃は本人だけには知らせるなって感じだったよな。隆一はタキを問い詰めると、タキは泣いてしまい、隆一も自分が長くないことがハッキリ分かってしまう。この辺の杉村春子さんはホントに素晴らしい。
隆一の病室に付き添っていた鉱造が、隆一の「蓼科に行きたい」という言葉を聞いて、タクシーで病院を抜け出して鉱造が住んでいる蓼科へ向かう。嬉しそうな表情の隆一と涙が滲んだような笑顔を見せる鉱造。
翌日、連れ戻しに来たタキに隆一は一緒にいようと言い、悦子や娘の紀代子も蓼科で過ごすことになった。夏みかんに砂糖ドバドバかけて食べるとか懐かしいなぁ。昔の柑橘類は本当に酸っぱくて好きじゃなかった。
家族団欒のとき、隆一がふいに「恋の季節」を歌う。タキが出て行って鉱造が酔っ払って歌っていた歌だった。鉱造のソロ歌唱が面白かった
夏が終わり、隆一は還らぬ人となり、引き止めるもタキも出て行った。一人になった鉱造はタキを見送る。(終)
三部作の中で一番じわじわ泣けたかも。山田太一さんの作品もっとやってくれないかなぁ。「シャツの店」は最終回しか見てないから全話見たい。
山田太一さんというと私の中では「ふぞろいの林檎たち」なんだけど、世代的に見たことないし、独特なセリフ回しとかどっちかというと苦手な人だと思ってたけど、今この歳で見るからいいのか、八千草薫さんや笠智衆さんなど年齢を重ねたベテランの主演だからいいのかとにかくここ数か月で見た作品はどれも面白かったです。こういうドラマもっと見たいなぁ。
NHKだと突然のハードなラブシーンに遭遇しなくても済むというのもあるので、NHKのドラマがやっぱりいいなぁ。70年代や80年代の2時間ドラマは急に脱ぎのシーンすらあるから家族で見づらい(^-^; 人間の業という意味でドラマ自体は面白かったりするけどね。