TBS 1968年3月12日
あらすじ
大学入試が終わり、ホッと一安心の敬四郎。あとは合格発表を待つばかりだ。しかし、亀次郎は仕事の途中で帰ってきてしまうほどに、敬四郎の試験の出来を心配していた。そうとは知らず遊びほうけて家に帰ってこない敬四郎に、亀次郎はいらだちを募らせる。
2023.7.24 BS松竹東急録画。11話までモノクロ。
鶴家
亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。
妻・愛子:風見章子…5月で56歳。
長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社の社長秘書。3月3日で30歳。独身。
次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で脚を悪くした。28歳。
長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。
次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。
四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。
三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。
*
お手伝いさん
初子:新田勝江…亀次郎と同じ誕生日2/5で30歳。
お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。
*
水原トシ:西尾三枝子…幸子の友達。
広い自宅を掃除をする愛子さん。2階の掃除を終えたお敏が「よいしょ、よいしょ」と疲れた様子で階段を下りてきて階段に座り「広いうちは善しあしでございますね」と話しかけた。お手伝いがもう一人いたらいいのにという愛子に1人や2人で足りるもんですかとお敏。亀次郎や正子が気に入るような仕上げにするには馬車馬のようにしたっておいつかないと言う。
間もなく2時という時間にまだお昼も食べないで掃除をしていた。初子は隣の家の掃除。お敏によれば三郎と敬四郎の部屋の散らかりようは馬小屋よりひどいという。
愛子「じゃあ豚小屋じゃないの」
お敏「そうなんですよ。タバコの灰があっちにもこっちにも」←危ない
インターホンが鳴り、お敏が出ると突然、亀次郎の声がした。お敏が銅鑼を鳴らして亀次郎の帰宅を知らせる。と思ったら、声音をまねた敬四郎登場。やっと試験が終わったよと愛子に抱きつく。愛子が「あんたの部屋は豚小屋だって」と教えると、敬四郎はお敏を追いかけた。玄関を出てひろ~いお庭で追いかけっこをする敬四郎とお敏。こんな庭じゃあそりゃまあ掃除も大変だろうな。ほんとに田園調布にあった邸宅なんだよね。
のちに「3人家族」や「兄弟」でも共演している菅井きんさんとあおい輝彦さん。どちらのドラマも他人の役ながら妙に距離が近くて仲良く見えたのは、このころから共演してるからなのねと妙に納得した。
運転手付きの車で帰って来た亀次郎は庭ではしゃぐ敬四郎を見て「うん? あいつ、とうとう頭へきたな」とあきれる。運転手の田村(曾我廼家一二三)は「大学落ちたんですか?」と思わず尋ね、亀次郎に「縁起でもないこと言うな」と怒鳴られた。
茶の間
こたつにあたる亀次郎と愛子と敬四郎。昼間、強盗が入った家があったという話から敬四郎が「ねえ、お母さんならどうする? やっぱりその強盗にかみついていくのかな?」と聞いた。亀次郎はバカ!と一喝するが、愛子は強盗じゃないけどかみついたことはあると言う。
愛子「終戦の翌年でしたよ。三郎がおなかにあったときでしたね」
つまらんことを思い出すなと言ってるのが亀次郎だから、かみついた相手とは!? 亀次郎は「さてと」と話題を打ち切り、もう一度会社へ戻るとこたつから出た。
しかし、終戦の翌年、三郎を妊娠中なら生まれたのが昭和21年か22年。初回に成人式に出席していた幸子は多分、昭和22年か昭和23年の早生まれということになると、微妙に計算違うような? 三郎は二浪してたから幸子とは二学年差のはず。
あまり細かいことを考えない方がいいか。
遅いお昼を食べていたお敏や初子も食べるのをやめて亀次郎の見送り。強盗に入られた課長の家は真昼間堂々と入られたと亀次郎が言うと、愛子は好きなものを持って行ってもらう、欲しいものをくれてやればいいと余裕を見せる。僕が守りますよと敬四郎。亀次郎は試験の出来を気にするが敬四郎は自信満々。
試験の発表は1週間後。来週の火曜日、12日。このドラマが放送された昭和43(1968)年3月12日(火)。
亀次郎が出かけると、敬四郎は愛子に話を聞いてよと座らせる。まだお昼ご飯を食べてなくておなかがすいてると言っても話を進める。「聞くけど、お金の話は嫌よ」という愛子の言う事が当たっていて、敬四郎は1週間スキー旅行へ行くつもりでいた。
大抵の親は子供より先に参ってしまい、金さえあれば出してしまうと裏口入学の話へ。愛子も実は亀次郎にねだったと言う。「お金では入れるんだったら、そうしたほうが安心じゃないですか」と言ったものの、亀次郎に「男の道は自分の力で生きろ」と怒鳴られた。意外と亀次郎の方が常識人?なんだよね。
三郎も二浪したけど、お金では入れるなら入れてましたよと平然と言う愛子。「5000万円も儲けている教授があるのに真面目に受験した子は一生肩身が狭いじゃないの」
1968年1月に教授が裏口入学で3000万円得ていたことが新聞報道されていて、このことを言ってるんだろうね。
敬四郎「そんな裏口入学と競争するんだからかなわないよ」
愛子「入ってしまえば誰が表か裏か分かんないんだしね」
敬四郎は勉強しすぎて血の巡りが悪くなったとスキー旅行をねだる。裏口入学させたと思ってさ、と愛子の肩をもむ。
スキー場に行っている敬四郎。この時代、若者と言えばスキーって感じだね。
若大将もスキーやってる。当時本当に二十歳だったあおい輝彦さんに比べると、当時の加山雄三さんの大学生役は結構無理があるな。
オープニングで”協力 石打TBSスキー場”と出てました。
昭和39(1964)年 開設。何度か名前が変わりながら最終的に”ファースト石打スキー場”となり、平成17(2005)年閉鎖。新潟県南魚沼市にあったそうです。
敬四郎の友人・杉本役の池田二三夫さんは確か「兄弟」でもあおい輝彦さんの友人役だったと思うし、「二人の世界」で終盤、二郎がライバル店の店主に殴られたときに店にいた大学生だった。
夜、茶の間のこたつで新聞を読んでいる亀次郎。愛子は隣の家に電話をかけていた。試験発表まであと4日。かおるは別宅ではない隣の家に遊びに行っていて、ほかの子供たちもおらず、家の中は静か。帰って来たかおるは他の兄弟がいなくて「あら、つまんないの。私一人でお父さんの顔見てごはん食べるの?」と愛子に聞く。
愛子「なにも見なくたっていいですよ。さあ、手洗ってらっしゃい」
亀次郎「見なくたっていいってことはないだろう」
愛子「いいえ、わざわざ見なくたっていいっていうんですよ」
中華料理屋で接待している武男。店の名前もおやじがつけたと言ってるから初回で家族で集まってた店かな。接待相手のサラリーマンは名川貞郎さん、依田英助さん、柄沢英二さん。名川さんは「三人家族」の24話にも出演してるらしいけど、何の役だったかな? 見覚えのある顔なんだけどな~。話の内容からすると耕作の会社の同僚かな?
中華料理店の店主はそばの屋台を引き、亀次郎もリヤカーを引っ張っていて知り合った。
秋子と洋二もまた中華料理店にいた。同じ店の別の部屋? 秋子の会社の部長(竹内亨)に洋二の絵本を見てもらったお礼?におごっていた。どうせ支払いは父と秋子が話してるので、同じ店なんだろうな。みんな亀次郎というか大亀建設のツケにしてるんだろうね。
洋二「素人が急に思いついて始めたような仕事ですから」
部長「うん、まあ、その素人っぽい純粋なところがいいといえばいいんだけども、とにかくもうひとつ何かが足りない感じだねえ。まあ、言葉ではどう言っていいのか分からないけど」
秋子は部長さんに見てもらっただけでもいいと言うが、部長は出版は難しい、子供の絵本っていうのはこれがまた難しいと話す。洋二は部長に勧められた老酒を飲む。
部長「まあ、何事も無駄を重ねなきゃ本物にならないからね。千里の道も一歩から始まるのさ」
うちではいつも父がそんなことを言っていると秋子と洋二が亀次郎の言葉を話す。
「楽は苦の種、苦は楽の種」
「父母の恩は山よりも高く海よりも深し」
「いつもニコニコ福の神」
三郎もまた別のテーブルで友人たちにビールを注いで回る。支払いはおやじの会社。会社経費でいくらでも落とせる。
佐藤「つまり我々は社用族ってわけか」
三郎「どうせ税金で持っていかれちゃうんだ」
山下(柿沼信二)「その税金をまた汚職で使われちゃうんだもんな」
河合(勝又道子)「太るのは政治家ばっかりよね。国民は痩せっぱなしだわ」
山下「そうだ」
三郎「我々、未来の芸術家こそ太らなきゃうそだよ」
佐藤「さあ、乾杯乾杯」
三郎「我々の演劇活動のために」
山下「そして今度こそ黒字になりますように」
武男「いやあ、知らぬはおやじばっかりですよ。とにかく強引なところがあるでしょう? 僕なんかとは全く性格が違うんですよ。そばについててハラハラしますからね。まあ、気に障ることがありましたらこのせがれに免じて許してやってください」
洋二「僕はおやじと打ち解けて話をしたことなんかないんですよ。なんとなく別の世界に住んでいる人のような気がするんですね」
秋子「私たちのことを思ってるのは分かるんですけどその愛情の表現が下手なんです」
洋二「下手というより強引なんだよ」
秋子「つまり自己中心的なのよね。昔の親はみんなそうなんだと思うけど」
三郎「とにかくね、うちのおやじときたらへんてこりんなヒゲ生やしてるだろ。それがかなわないんだよ、それが。あのヒゲ見るとね、ヒットラーを思い出すよ。こんなごちそうになっててそういうふうに言っちゃ悪いけど」
それぞれのおやじ評。
幸子はラーメン屋でトシたちと語っていた。
トシ「私、あなたが悩むのよく分かるの。あんな立派なあんな大きなうちに住んでて私たちと一緒に闘えっていったって無理よね。自分の楽な場所にいようと思えばいくらだっていられるんですもの」
浜田「そういうやつのほうが多いんだしね」
幸子「わたくしは自分だけが楽にいたいって思わないわ。ただ正直に言って日本がどうなっていけばいいのかよく分からないのよ」
難しい話してるんだよね~。
幸子はヘルメットを持ち出してベトナム戦争反対に参加した。しかし、羽田事件は暴徒と言われてしまった。浜田は佐世保の時は違うよと否定。
我々学生しか真剣に悩んでるやつも苦しんでるやつもいないんだよという浜田。自分たちだけが苦労してるみたいに言う人、好きじゃないんだよね。
スキー場のホール?で踊りまくる敬四郎。みんな金持ちの学生たちなんだろうね。
茶の間
こたつにいる亀次郎と愛子。新聞を読んでいた愛子はまた戦争をしてるんですよと話しかける。
亀次郎「いつまでたっても人間の苦労ってなくならないもんだな」
愛子「一体何が欲しくてこうケンカばっかりしてるんでしょう」
亀次郎「育てるときはさんざん苦労して、また大きくなりゃなったであとからあとから苦の種だ」
愛子「ハァ…嫌だ嫌だ。原爆だの飛行機だのもう真っ平ですわ。大体、アメリカとソ連とどっちが悪いんでしょうね。ほんとのところは」
亀次郎と愛子の会話はかみ合ってない。亀次郎が子供のこと、愛子がニュースを気にしてるっていうのが面白い。普通は逆なのに、というのが性差別かな。もっと子供のことを気にしなさいと言う亀次郎に「だって戦争が始まったら子供たちだって巻き添え食うんですよ」と愛子。
幸子が亀次郎を「マイホームのエゴイスト」だと言っていたと愛子が言うと「生意気言うな、エゴもアゴもあるか」。愛子は8時過ぎたんだから寝たらどうですか?と言う。亀次郎は試験の結果が心配だけど、相変わらず敬四郎はスキーで遊びまくっている。
日曜日。みんな出払って亀次郎と愛子の2人きり。昔の苦労が夢みたいだと笑う。
愛子「ひどかったですものね。思い出してもゾッとしますよ」
亀次郎「終戦後もひどかったけど戦争中は全く大変だった。武男と洋二と秋子とよく頑張ったよ。空襲にも遭うし」
愛子「今のベトナムはあれですからね、気の毒ですよね」
亀次郎は愛子の発言に幸子にかぶれたと言いだし、それより武男や洋二のお嫁さんの話や秋子のろくでもない恋人の話がしたいらしい。愛子は気にしてない。
愛子の編み物を否定し、亀次郎は揺り椅子を勢いよく動かす。愛子は亀次郎のチョッキを作っていたが、武夫のにすると言う。めんどくさくなった愛子は寝たらどうなんですか?という。亀次郎は朝ご飯を食べて寝て、さっき起きて昼ご飯を食べたばかり。
またまた和室で食事をする鶴家。こたつをいくつも繋げてるんだろうか? 敬四郎は試験の結果発表の日に帰ってこない。愛子は誰が見に行ったっていいと気にしてない。
亀次郎「自分のしたことは自分で責任を取りなさい」と武男や秋子に確認する。三郎には芝居のこと、幸子には愛子が幸子の影響で変になってきたこと、かおるは早熟でませていて、あんな透き通った寝巻きのどこがいいんだと一人一人に話しかけてるのに、やっぱり洋二には声をかけない。寂しいねえ。
敬四郎はスキー場のコテージ?で歌う。
♪君だけに 教えよう
僕の秘密を 教えよう
誰にも ないしょで
ひとりだと淋しくて
君の笑顔を 思い出す
毎晩 眠れない
I love you I love you
I love you I love you
I wan'na tell you my Hidden Secret
君をやさしく 抱きしめる
何の歌だろう?と思ったら、あおい輝彦さんが作詞作曲した挿入歌「僕の秘密」という曲みたいです。
熱唱している敬四郎でつづく。
亀次郎が政治嫌いということからか割と政治批判みたいなものが出てくるね。今はこういうこというとすぐ炎上しちゃうんだろうなと思うのが嫌。だからあまり今のドラマを好んで見なくなったのかもしれない。
初子役の新田勝江さんって「二人の世界」に出てたけど誰?ってろくに調べもせず思ってたけど、二郎の兄嫁だったと知り、スッキリ。数回しか出てないけど、二郎の田舎も長野だったね。初子が田舎に帰って農家の嫁になったという裏設定…ないか~。まず役名が違う。顔より声で覚えてる。
オープニングは役名がなく、キャスト名だけなので、松井良さんと須永靖男さんは何役か不明。多分、三郎と一緒に飲んでた佐藤か幸子とラーメン屋にいた浜田のどちらかだと思います。ほかの人は名前で検索かけながら顔を確認しました。武男と一緒に飲んでる人も武男のほかに4人いて顔が映らない人もいた。
昭和40年代というひとくくりというより1960年代から70年になるとき、結構混沌としてたんだな~。「3人家族」や「二人の世界」は学生運動で授業がないとか入学式が延期になってるとかちょこちょこ挟んでたけど、幸子みたいな学生運動する側の人は出てないからもっと平和に感じたのかも。