TBS 1968年3月5日
あらすじ
今日は武男の誕生日。亀次郎は朝からお酒を飲んでご機嫌だったが、ひとたび問題があればすぐおかんむり。あきれた子どもたちはドライブに出かけてしまう。そんな中、幸子の友人である水原が訪ねてくる。家に残っていた洋二と話していた水原は…。
2023.7.21 BS松竹東急録画。11話までモノクロ。
鶴家
亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。
妻・愛子:風見章子…5月で56歳。
長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社の社長秘書。3月3日で30歳。独身。
次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。27~28歳。
長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。
次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月に成人式に出席。
四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。
三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。
*
お手伝いさん
初子:新田勝江…亀次郎と同じ誕生日2/5で30歳。
お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。
*
正子:小夜福子…亀次郎の兄嫁。高円寺の伯母さん。
オープニングでバックに流れる「OYAZI DAIKO」の文字が動き出したけど、どうやら7話かららしい。
お雛様が映し出される。
お金持ちの鶴家ならどんなに立派な〇段飾りのひな人形かと思えば、↑みたいな木目込み人形でお内裏様とお雛様だけのシンプルスタイル。ドラマのはもっと頭が大きくてお内裏様は髪が長くてお稚児様?スタイル。稚児立雛というものかな?
昭和43(1968)年3月3日 日曜日
いつものように早く起きている亀次郎は茶の間を掃いていて、愛子を呼んで武男を起こすように言う。愛子は、まだ8時前だというが、自分の誕生日ぐらい早く起きたらどうだ、親が掃除してるのに、と今度ははたきをかける。亀次郎は家でどっかり座ってるタイプではないんだよね。そこがすごい。愛子だってお金持ちの奥様だけど自分で掃除するし。
愛子は武男を起こしに部屋へ。部屋の窓を開け、日曜日の3月3日でいい誕生日だと言う。武男の何かごちそうしてくれるんですか?の問いにはいつものお赤飯だと返す。
武男はベッドから体を起こすと「僕は今のままでいいと思う?」と聞く。僕はお父さんのおかげで生きてるようなもの、寝るにも着るにも困らない。「だけどそれでいいんでしょうか。今日から31になる男が」
31? 亀次郎によれば結婚したのは昭和12(1937)年8月で、翌年、武男が生まれたと言ってるし、前は3月3日で30になると言ってたのになあ。数え年的なやつ? ともあれ昭和13(1938)年生まれなら30歳になったんだと思います。
「息子がお父さんの手助けするのは当たり前なんですよ」という愛子に今の仕事は僕の性に合わない、食うか食われるかそれしかない。どんな仕事がいいかその気になって考えたことはないが、もうちょっと駆け引きの少ない自分と同じレベルの人間と話し合える仕事がいいという。入札だの請負だの毎日が金の事ばかり。
愛子「そりゃそうでしょう。世の中のことはお金だもの。お父さんだってそのお金で苦労したのよ。小学校も満足に出ていないのにね」
お父さんの生き方は偉いし、認めるが、僕には僕の生き方があったっていい。愛子は反対しないというが、その代わり貧乏したって知らない、住むところだって着るものだって自分でしなくちゃならないと言われると、それが悩みの種だと言う武男。愛子は長男がお父さんの仕事を助けるのも立派だとフォロー。
それにしても起き抜けにタバコを吸うもんなんだな~。武男がみんなを起こすと愛子に言う。
愛子が台所の前に来るとお敏がコップ酒を運ぼうとしていた。亀次郎が飲むと知り、愛子が運ぶ。
窓を開け、庭の見える椅子に座り、タバコを吸いながら外を眺めている亀次郎。愛子は寒くないんですか?と聞く。
亀次郎「寒いもんか。桃の節句じゃないか」
愛子「私は寒いから閉めますよ」とさっさと窓を閉めるところがいいわ~。
亀次郎もなんで窓を閉めるんだ!的にキレたりしないで「お前もとうとう年か」みたいな感じ。
武男が起きたのか聞き、赤飯ができたら仏様に上げなさいと亀次郎が言うと、愛子が赤飯を仏様に上げるのを忘れていて肩をすくめる。「やっぱり年だよ」とツッコむ亀次郎。
「私の誕生日でもないのにどうしてこんなに早く起きなきゃいけないの?」というかおるはパジャマ姿。まだネグリジェは買ってもらえてないのね。早起きは三文の徳だと言う愛子に「へえ、三文ってなんなの? 私、見たことも聞いたこともないわ」と憎まれ口をたたく。愛子の話によるとかおるは高校に合格した。
料理を作りながら話を聞いていたお敏は、かおるは早熟で困ると話していたと言う。かおるは私の友達の方がませていて、定期入れの中に男の子の写真を入れてる、もう手紙を出してる子だっていると話す。まあ、そんなですかと驚くお敏。
かおるはこの間の縁談の話にまだ返事をしていなかったとお敏に返事を迫るが、お敏は断った。そりゃ、変に結婚するよりお金持ちのお屋敷にいた方がいいでしょ~。しかもこんないいお屋敷。
かおるは掃除を終えて台所に入ってきた初子にもピカソは孫のそのまた娘ぐらいの女性と結婚したと熱心に勧めるが、初子はうんざり顔。
茶の間
こたつで新聞を読む愛子。子供の結婚は親の意思を押し付ける時代じゃないと話すが、亀次郎は、わしの目の方が狂いがないと言い、窓際の近くの席まで来るように言う。愛子は亀次郎の向かいの椅子に座り、亀次郎の飲んでいたコップ酒を「桃の節句だよ」と勧められて飲んだ。
起きてきた武男は和服姿。桃の節句だからと亀次郎の前に行き、「おはようございます」と頭を下げる。「誕生日おめでとうございます」と武男自身が言う。おかげさまでありがとうございますという意味らしい。
亀次郎「大体、お前は男のくせに女の節句に生まれちゃって」
武男「は?」
愛子「そんなこと武男の責任じゃありませんよ」
亀次郎「じゃあ、お前の責任じゃないか」
愛子「いいえ、お父さんの責任ですよ」
亀次郎「そんなことがあるか。いや、大体お前がだよ、もう1日でも2日でも我慢すりゃいいのに」
愛子「そんなこと我慢できますか」
なんともシュールな…というかとんでもなく下ネタ会話!? 武男も聞いてるのに。亀次郎は武男にも酒を勧める。
和室に家族が揃って朝食。ダイニングテーブルで食事するときもあるし、この部屋はこたつのある茶の間ともまた違う部屋だよね。愛子、武男の隣が幸子。向かいに敬四郎とかおる。
洋二はまだ寝ている(←誰も起こさないからね)。三郎はゆうべ帰らなかった。かおるもどこかへ行きたそうにしていると、敬四郎はおばちゃんのとこに行って、ついでに子供になっちゃえばいいと言う。おばちゃんが欲しいのは敬四郎と言うと、敬四郎が小突く。ケンカっぽくなったところ、愛子や武男がかおるを注意する。
愛子「だけど、お父さんの便所、長いわね」←お上品な愛子さんが便所って言うんだ。
かおるをからかう敬四郎を注意する幸子。秋子は仕事の出張で京都に行っている。敬四郎は神尾と行ったのでは?と疑っていた。かおるは亀次郎の様子を見に便所を見に行くように愛子に命じられ出ていく。
三郎の大学での様子を幸子に聞く愛子と武男。三郎はお芝居のお稽古を始めたらしい。
かおるが戻ってきた。亀次郎は紙がなくて出てこられなくて大声で叫んでいたという。愛子たちは顔を見合わせて笑う。
台所
正子から武男の誕生日だから家に行きたいと電話があった。亀次郎が来て「こら、バカ者! 紙があるかないか便所掃除したとき分からんか!」とお敏と初子を怒鳴る。
広間
正子と愛子がひなあられ?を食べながら話している。
愛子「それからすっかりいけなくなっちゃったんですよ。みんな一人一人ボロクソに言われちゃって。初子さんなんかまだ泣いてるんじゃないんですか。部屋へ入り込んじゃって」←愛子さんもボロクソとか言うんだな~。
子供たちは隣の家へ。中華料理をおごってもらうはずだったのにおじゃんだと愛子が言うと、正子も私も食べたかったわとポツリ。お赤飯だけでも召し上がってくださいと勧める。しかし、正子は亀次郎がひと眠りしたら気が変わるかもしれないから今はいいと断った。
洋二が起きてきた。洋二は明るくなるまで仕事をしてたという。前にニートとか言ってごめんなさい! 絵本を描いている。おばちゃんにも見せると足を引きずりながら小走りで2階に上がる洋二を見て、いくつだったかしら?と聞く正子。28だと聞くと「無邪気ね、その割には」。
愛子「ええ、そうですよ。7人も子供があると1人ぐらいいつまでも子供でいてほしいですよ」
正子「だって28だったらぼつぼつお嫁さんの心配だって…」
愛子「心配なんかしないんですよ。うちの子供たちはみんなすくすく育っちゃってますからね。決まるものなら自然に決まっちゃいますよ。7人も子供があるとほんとに楽しみよね」
正子「『7人、7人』って私には1人もありませんからね。そういう楽しみは縁がありませんよ」
愛子「うちの子供たちを子供だと思ったらいいんですよ。みんな『おばちゃんおばちゃん』って、とても好きですよね」
正子「そりゃまあ、みんな一人ずつおんぶしてあげたんだから」
セリフの調子からしても愛子さんは全く嫌味くさくもないし、無論マウントとってる感じもない。正子も卑屈な感じもないしね。今じゃ絶対できないだろうな。愛子さんは我が子を否定するようなこと絶対言わないんだよね。
八百屋に行くと声をかけたお敏にほうきの先っちょが落ちてると注意する正子。絵を持って戻ってきた洋二が正子に絵を見せた。
愛子「随分しゃれた色ね」
カラー化まであと4話。この絵本の完成はカラーで見られるか?
秋子は夕方帰宅。秋子の働く出版社で洋二の絵本を出すのかな。そのうち僕が世界中旅行に連れてってあげるからと愛子に話す洋二。おばちゃんもつれてってあげると正子にも言う。
インターホンが鳴る。水原トシという幸子の友達が訪れた。洋二が隣の家に案内するために正面玄関へ。水原トシ役の西尾三枝子さんは今の時代に存在しても美人女優といわれるような美形。でもwiki見たらセクシー路線だと書いてあり、びっくり。この役はそういう感じは全く見えない。ショートカットのきりっとした美人。
正子は帰ろうか迷っていると愛子は亀次郎を起こしに行った。初子はまだ泣いていて、正子が励ます。二言目には田舎に帰りますというのが初子さんなのね。
隣の家には誰もいなかった。洋二に声もかけずに武男、幸子、敬四郎、かおるでドライブに行っていた。洋二が寝てるのに起こすのがかわいそうだと思ったのかもしれないけど、ちょっとかわいそうだなあ。
洋二はトシを連れて広間へ案内した。お敏さんにトシ。これから紛らわしい。洋二は自分の描いた絵を見せた。トシはこんな素敵な本を見たことがないとほめる。この絵本を描きながら頭の中で音楽が流れていたと洋二が言い、「僕にはそんなことしかできないんですよ。脚が悪いでしょう?」。
トシに洋二が書いた童話も見せながらピアノ演奏もする。この俳優さん、本当にピアノが弾ける人なんだよね。「おやじ太鼓」くらいしか情報が出てこない。おじいさん、おばあさん、子供、鬼…この前の鬼とウサギとではタッチが全然違うように思う。トシはほのぼのしたタッチのイラストに笑みを浮かべる。
亀次郎は起きてストレッチ。正子は部屋に入り、「お目覚めですか? おはようございます」と挨拶をする。歩いてきて流れるように膝を折り、手をついて頭を下げるしぐさが美しい。
洋二しかいないというと、どこ行ったんだ?とちょっといら立つ亀次郎。「その『つい』がいけないんだよ、その『つい』が。おばちゃんもよく使うけど気をつけにゃいけませんよ」
正子「はあ、つい、うっかり…」
亀次郎はよく怒鳴るけど、基本的に敬語だよね。
洋二が演奏していたのは、「おやじ太鼓」のしっとりバージョン。幸子は口を手で覆い泣き出す。「私、疲れてるんです。とっても気持ちが疲れてしまって」
洋二がお茶を持ってくると立ち上がると、トシはお茶はいいからピアノを弾いてくださいませんか?とお願いする。
洋二「どうして?」
トシ「私、疲れてしまって、うんときれいなものが欲しいんです。この絵本の絵とこのかわいい童話を読んでいたら。私、たまらなくなったんです。今の日本に美しいものってあるでしょうか?」
洋二「そりゃありますよ」
トシ「そうでしょうか。こんな立派なお宅に住んでいらっしゃれば、あるいは美しいことばっかりかもしれませんわね」
洋二「君はあれですか? 全学連の運動に入ってるんですか」
↑なんとなくそういう運動をやってそうな人って分かるのかもね。幸子の友達だから聞いたのかもしれないけど。
トシは特にやってないとは言うものの、1月のエンタープライズの時に初めて佐世保で参加したという。何の事やら。
ほうほう…こんなことがあったのね。かなり激しい運動に見える。幸子は実家が福岡なので参加せずにいられなかった。「私たちは何を目的に生きていけばいいのか。私たちはなんのために生きているのか」。
幸子の話を聞いた洋二は今度は少し激しめの曲を演奏し始めた。(つづく)
「おやじ太鼓」のもとが阪東妻三郎主演の「破れ太鼓」と知り、せっかくならAmazonプライムでと探してみたのに、300円のレンタル品だった。観たい作品がことごとくそんな感じ。「破れ太鼓」は1949年の作品だし、子供も6人であらすじ読んでもちょっと違った感じみたいだけど、オープニングは動画で見たら同じ曲だった。