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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (127)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

秀平(髙嶋政宏)が岩国での取材から帰ってくる。秀平は出版元に追加の取材費を断られ、肉体労働をして稼いで、自費ででもアメリカへ行く、と憤慨している。純子(山口智子)は夏バテか調子が悪く、秀平は医者に診てもらえ、と言う。浜風荘では、正太夫笑福亭鶴瓶)がつや(白川由美)に節子(布勢真穂)を紹介し、つやは心から喜ぶ。その晩には、盆の迎え火をたいて、家族一同で亡き人をしのんでいると、純子が病院から戻り…。

浜風荘

純子「ありがとうございました。おおきに」

あき「またどうぞ」

もも「またどうぞ」

男性「11月にもう一遍来っから、そん時また頼みます」

 

純子「はい、お待ち申し上げております。またどうぞ」

あき「おおきに」

もも「またどうぞ」

純子「お気を付けて」

 

もも「どうも。とうとうチップ出さなんだな、あの人ら」

あき「そやった?」

もも「帰る時に出すつもりでいんのかな思て期待しやってんけどな、3人とも知らん顔や」

純子「みんな誰かが払うたて思てはったんと違う?」

あき「きっとそうや」

 

もも「チップ係は決めといてもらわんと困るわ」

純子「そやけど、ももさん、チップのあるなしでサービスに差つけんといてね」

もも「フフフ、分かったあるて。ハハハハハ」

 

純子たちが玄関に入って行く。

清原「あの、今のお客さんにこんなものを頂いてしまった」

紙に包まれたお札。

もも「チップや」

清原「年を取ってるのに大変だね、長生きしなさいよと言ってね。びっくりしてしまった。何しろこんなもの生まれて初めて頂くんだから」

 

もも「先生、どんな気持ちな」

清原「そらやっぱりうれしいね。いいもんだ。じゃ、これ預けとくから後で皆さんで」

純子「はい、確かに」

 

電話のある部屋かな?

純子「お帰りなさい」

秀平「ただいま」

純子「岩国まで撮影に行ってはったんやて?」

秀平「そうなんだ。いや~、疲れた。ゆうべは孤児たちの施設に泊めてもらってね。帰りの汽車は立ちっぱなしさ。現像で暗室にも寄ったしね」

 

もも「あ~、秀平さん、えらい汗や。一風呂浴びたらええわらよ。な?」

秀平「ありがとう」

あき「こないだは純子がすまんことでしたな」

秀平「はい?」

 

純子「秀平さんが節子さんを口説いてたというあれや」

秀平「アハハ、あれか。全くどうしてそういう誤解が出てくるんだよ」

純子「そやかて、金太郎君がこの耳で聞いた言うて」

字幕は”金太郎”になってたけど、セリフでは君付けしてたように聞こえた。

秀平「こら」

純子「すんません」

 

秀平「しかし、よかったね。正太夫さんと節ちゃんうまくいったんだって?」

純子「うん」

あき「ほんまになあ」

純子「さ、はよ着替えんと」

あき「そうや」

 

純子たちの部屋

純子「ざっと水浴びた方が気分がええのんと違う? 汗くそうてかなんわ」

秀平「じゃあ、行水して、それから着替えようか」

秀平の着替えを手伝っていた純子が座る。

 

秀平「どうしたんだ?」

純子「何や知らん体がだるうて。夏負けしたんやろか」

秀平「この暑さだからなあ。高校野球の連中が来て疲れたんじゃないか?」

純子「そやろか」

秀平「一遍医者へ行った方がいいね。もし君が倒れたりしたら浜風荘は一巻の終わりだからね」

 

純子「そやね。正太夫さんと節子さんが来はったら、そのあとで病院行ってみる」

秀平「正太夫さんたち来るの?」

純子「うん、そうや。うちとこでな、興園寺の奥さんと落ち合うことになってるんや。もうそろそろお見えになる頃やと思うのやけど。あ、秀平さん。私が電話した時、えらい怒ってはったけど、あれ、どないしたん? 電話なんかあとにしろ言うて」

 

秀平「ああ、あの時は山岸とけんかしてた」

純子「何で?」

秀平「今の仕事ね、ものになるかどうか分からなくなった。出版してくれると言ってたとことけんかしてしまってね、向こうが手引くって言いだしたんだ。僕が要求するだけの費用をかけられないって言うんだ。最後にこう言われた。『どうしてもやるんやったら自分の金でやりなはれ。人のふんどしで相撲を取ったらあきまへん』」

純子「そんな…」

 

秀平「悔しかった。こうなったら肉体労働をしてでも金作って自費でアメリカ取材行くよ」

純子「そやったん。知らんかったわ」

秀平「人に金出してもらうっていうのは結局こういうことなんだよ」

純子「今、お金があったらなんとかすんのやけど…」

 

秀平「ありがとう。しかし、今、ここに金があっても僕は断るよ」

純子「何で?」

秀平「自分で稼ぐって言ったろ。それでなきゃ駄目なんだよ」

純子はうなずき、着替えを手渡す。汗臭いんだから早く早く~。

 

わらべ出版

久助「ただいま」

節子「お帰りなさい」

久助「はぁ~。ん? 正太夫はまだか?」

節子「はい」

 

久助「電話もないのか?」

節子「はい」

久助「あら、何をしとんねん、あの男は。ハハハハハ。え~…はい」

節子「何ですか?」

久助「開けてみなさい。私のプレゼント。ハハハハハ。よいしょ」

 

節子「いやあ、口紅」

久助「今日、正太夫のお母ちゃんに会いに行くのやろ。まあ紅ぐらいはさしていきなさい」

節子「おおきに。すんません」

久助「いやいや。いや~、しかし、そういうもんは買いにくいもんやな。ハハハ。口紅ください言うたら、店員の子がな、僕の顔、ジロジロジロジロ見んのや。顔、真っ赤になってもうた。アハハハ」

節子「すんません」

 

久助「いやいや。そうそう、こんな歌があったな。『土佐の高知のはりやま橋で坊さんかんざし買うを見た』…なんて。ハハハハ、きっちり僕のこっちゃ。アハハハハ」

www.worldfolksong.com

太夫「いや~」

久助「遅いやないか」

節子「どないしはったんです? ここ」正太夫のあごにばんそうこう

太夫「あ、これか? いや、ひげそってたら切り過ぎてな。男前が台なしや」

久助「何が男前や。ハハハハ」

 

太夫「節ちゃん、行こか」

節子「はい。ちょっと待ってください」

太夫「何な?」

久助「うん?」口紅を塗る仕草。

そのしぐさを見た正太夫は同じような仕草をし、口紅んぱっんぱっの仕草をする。どちらもニコニコしてて微笑ましい光景。

 

浜風荘

純子「いや~、ほな北川さん、まだ神戸にいてはるんですか」

つや「そうなんや。17日にな、神戸を出る客船があるさか、それに乗って横浜まで一緒に行こかなんて話してたんよ」

あき「船で?」

つや「17日に神戸を出て、で途中名古屋に寄って、22日ぐらいに横浜へ着くのんかな。船ものんびりしてええでて北川さんが言うもんやさかな」

純子「よろしいですね」

 

つや「それよりな、純ちゃん、ほんまにいろいろありがとうございました」

純子「はい?」

つや「正太夫のことや。秀平さんと2人でいろいろと口を利いてくれたそうでな。正太夫から電話でいろいろ聞きました。ほんまにおおきに。ありがとうございます」

純子「いいえ。何や知らん余計なことをしてしもたのかもしれませんけど」

つや「何を言うてんねん。ほんまに感謝してます。おおきにありがとう」

あき「ほんまにおめでとうさんでございます」

つや「おおきに」

 

太夫「お母ちゃん」

つや「何や来とったんか。さ、お座り」

節子「失礼します」

 

太夫「あの…お母ちゃん、純子ちゃんとおばちゃんの前でなんやねんけど、今度結婚することになった吉井節子さんいうて」

節子「吉井節子です。至らんもんですけど、正太夫さんのお言葉を喜んで受けさしていただくことにしました」

つや「あんたもよう知っとるやろうけれど正太夫はこういう子でな。どうぞよろしゅうにお願いいたします」深く頭を下げた。

節子「そんな困ります。こちらこそほんまによろしゅうお願いいたします」

 

純子「ほんまにおめでとう」

あき「お幸せにな」

 

つや「いや~、何やもうこれでもう、ふっと肩の荷が下りたわ、もう…」

純子「奥さん、ほんまにおめでとうございます」

つや「おおきに」

太夫「いや~、これもみんな純ちゃんのおかげや」

純子「そんな…」

 

太夫「あの、お母ちゃん、僕、この人と一生懸命ええ家庭つくるさか、あの…。何や紋切り型やな。こんなん弱いねん」

ごちゃごちゃと正太夫がしゃべってるところにナレーションがかぶる。杉浦直樹さん、お久しぶりじゃない?

 

ともあれこれでやっと正太夫も身を固めることになったのであります。おめでとう、正太夫君。そして節子さん。

 

浜風荘前の路地

雄太「迎え火か」

恭子「今年はお父ちゃんと一緒に昭も帰ってくるのや」

雄太「そやな」

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陽一郎が亡くなったのは昭和23年2月。日本に帰ってきたのは昭和22年6月。

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昭が亡くなったのは昭和29年夏。

 

恭子「お姉ちゃん、どないしたんやろ」

秀平「ちょっと病院行ってるんだ」

恭子「具合悪いの? 何も言うてなかったけど」

秀平「大したことないと思うんだけど、何だか体がだるいって言うもんだから」

雄太「お姉ちゃんがだるいなんて言うの珍しいわ」

 

あき「ほんなら純子が帰ってくるまでもうちょっと待とうかな」

清原「いくらか涼しくなったね」

あき「そうですな」

 

恭子「あ、お帰り」

純子「ただいま」

秀平「どうだった?」

純子「何でもないて」

あき「よかったな。さ、ほんなら火ぃつけるで」

 

もも「ええもんやなあ…」

純子「お父ちゃんと昭が帰ってくる」

もも「うちの人は時間かかるやろな。フィリピンの海の底から帰ってくるんやさか」

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昭和18年に会ったのが最期。

 

秀平「そうか。それじゃ、僕の方はもっと大変だ。パパもママもアメリカから帰ってくるんだから」

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昭和20年4月 マンザナールの収容所で父死亡。母はもっと幼い頃だったかな。

 

清原先生が何も言わずに手を合わせたけど、当然思い出すのは澄さんのことだろうな。

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昭和28年7月の水害で体調を崩してそのまま…。

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清原先生には海軍中佐の息子もいたんだった。

 

恭子、雄太、あき、清原先生、もも、秀平、純子…みなそれぞれの人を思い手を合わせる。

 

純子「聞いてほしいことがあるねん」

秀平「何?」

純子「病院に行ったらな、おめでたですて言われてん」

秀平「おめでた!? ほんとか?」

 

純子「3か月やて。私もひょっとしたらて思てたんや」

秀平「間違いないね?」

純子「予定日は3月の初めやろて」

秀平「おい、やったな!」

 

あき「ほんま?」

恭子「おめでとう」

雄太「お母ちゃん、おばあちゃんやな」

あき「どないしよ」

 

清原「おばあちゃんですか」

もも「楽しみやな。ええ子を産んでな」

清原「人は死に人は生まれ…だな。おめでとう」

純子「おおきに」

 

亡くなった人たちが年に一度生きている者の所に帰るという日に新しい命の芽生えを知った純子でありました。

 

純ちゃん、おめでとう! 迎え火に手を合わせるシーン。今なら、それぞれ回想があったりしそうだけど、それがないのもまたいいなと思う。