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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (128)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

純子(山口智子)が浜風荘のおかみになってから3年、秀平(髙嶋政宏)との間の娘の陽子(村上沙織)は2歳になっていた。雄太(唐沢寿明)はこの4月、高校の先生になり、いよいよ初出勤。つや(白川由美)が節子(布勢真穂)と孫の美佳子(米田美帆)を連れて遊びに来る。正太夫笑福亭鶴瓶)は、倒産したわらべ出版の部屋で正太夫クラブという店をやり、秀平はその暗室を間借りしつづけしている。秀平が帰ってくると陽子が…。

昭和33年4月。純子が浜風荘の女将になってから3年がたちました。

 

玄関を掃いていた清原先生が小さな女の子がいるのに気付く。

清原「やあ、おはよう。陽子ちゃん、おはよう。一人でオッキしたのかね。偉いねえ」

 

これが速水陽子、2歳。純子と秀平の間に生まれた一人娘であります。

 

おお! 前回が妊娠発覚でいきなり2歳! 「澪つくし」も妊娠発覚から妊婦姿はなく赤ちゃんが生まれてた感じだったような。ここまで時をすっ飛ばすのも珍しい。

 

清原「陽子ちゃんは、おじいちゃんが好きですか?」

陽子「うん」

清原「ハハハハ、おじいちゃんもね、陽子ちゃんが大好き」

 

陽子の陽は、太陽の陽。さよう。亡くなった父・陽一郎から陽の一字をもらったのであります。

 

純子「あら、おじいちゃん、すんません」

清原「一人で起きてきてね」

純子「陽子、パジャマ姿で風邪ひいたらどないすんの。さ、お洋服着ような。なっ?」

 

板場

あきやももは働いていて、秀平、雄太はご飯を食べている。

 

そして雄太はこの4月、兵庫県の工業高校の機械科の先生になりました。尾頭付きの鯛は雄太の先生としてのスタートを祝うものであります。

 

秀平「雄太、大丈夫か? あがってないか?」

雄太「うん、大丈夫や。入学式の時の方があがってしもたけどな」

唐沢さんというとこういうのもあったな。私はドラマ版の真田広之さん、桜井幸子さんの方しか見てないけど。

 

あき「今日から授業か?」

雄太「あるねん。午前中が1年2組。午後が1組と3組や」

秀平「3時間もやるのか」

雄太「そうや。けど、授業の方は教育実習で何回もやってるさかい大丈夫や。なんとかなるわ」

 

あき「雄太がどないして生徒さんに教えるのか一遍見てみたいな」

雄太「あかんて。何言うてんのや。先生の授業参観なんて聞いたことないわ」

あき「ちょこっと見に行ったらあかんか?」

雄太「ほんまにやめてえな」

あき「ええやんか」

 

もも「雄ちゃん、頑張ってな」

雄太「はい」

 

もも「はい、ヨッちゃん行こ」

ヨシ子「はい」

 

純子「はい、皆さん、おはようございます」ヨウ子を抱っこして板場へ。

一同「おはよう」

あき「陽子、起きてたんか?」

純子「そうなんや。よう寝てる思てたら、いつの間にか起き出して、おじいちゃんと遊んでんねん」

秀平「階段一人で降りてきたのかな」

 

あき「危ないなあ。この間みたいに転がり落ちたらどないすんのや。この間はコブ作ったぐらいで済んだからええようなものの」

秀平「いや、この間、僕のカメラいじくり回しましてね。よだれつけられてしまって」

あき「いや…。目ぇ離されへんようになったなあ。あれ、いつやったかな、包丁持って遊んでた時は肝が冷えたわ」

石田「すんまへん。あれ、僕がひょっと置きっ放しにしたもんやさかい」

 

おおらかだなあ。今の時代、こういうセリフだけでも炎上しそう。

 

雄太「ほな、お母ちゃん、行ってくるわ」

あき「そうか」

純子「雄太。陽子にお土産、買うてきたらあかんで」

雄太「何でや」

純子「細かいものちょこちょこ買うてきたかて何の役にも立たへんやろ。なあ? 陽子かてな飽きっぽい子になってしまうし」

 

雄太「はいはい、分かった分かった。よし」立ち上がって伸びをする。

秀平「何だ、あがってんのか」

雄太「武者震いや。初めて公式戦で投げるような気持ちやな」

あき「しっかりな」

雄太「うん、大丈夫や。あ、秀平さん、かばんおおきに」

秀平「おう」

 

雄太「陽子ちゃん、おっちゃん行くで。バイバ~イ」

純子「行ってらっちゃ~い。バイバ~イ」

雄太「行ってきま~す」

一同「行ってらっしゃい」

 

純子「雄太もとうとう先生やね」

あき「何年も前から高校の先生になって野球部の監督になって、甲子園に出るんや言うてたんやから」

秀平「結局、昭君の夢、継ぐ形になりましたね」

あき「ほんまやな…」

純子「昭も喜んでるやろと思うわ。な? 陽子」

 

電話のある部屋

純子は黒板に予定をかきこみ、陽子はお絵かき中。

秀平「陽子、お父さん出かけるよ。バイバイ」手を振り返す陽子。

純子「お父ちゃん、お出かけやて。行ってらっしゃい」

 

秀平「陽子の目が離せなくなったから保育園、預けた方がいいんじゃないか?」

純子「保育園な…。そやけど、親の目の届かんとこに預けるの心配やわ」

秀平「しかし、陽子に振り回されてたら君も疲れるし」

純子「そやけど…。それにもう4月になってしもたし、どこの保育園も締め切ってしもてんのや」

秀平「もう少し早く考えときゃよかったね。じゃ、行ってきます」

純子「行ってらっしゃい」

秀平「バイバイ」

純子「気ぃ付けて」

 

板場

清原先生、もも、あき、石田が遅め?の朝食

純子「お母ちゃん、お昼からな興園寺の奥さんが節子さん連れてきはるのやて」

 

抱っこした陽子が手を振ってるのは、ももさんにかな?

 

あき「ほんま? 美佳子ちゃんも連れてきはるんやろか」

純子「さあ、言うてはらへんかったけど、多分、連れてきはるのと違う?」

もも「連れてくるに決まったあるて。興園寺の奥さんな、孫がかわいいてかわいいてしかたないんやさかい。なあ」

あき「さあさあ、おばあちゃんと一緒にごはん食べよな」

 

純子「ほな、その間に洗濯物干してくるわ」

あき「そうか」

もも「陽子ちゃん。かわいいな。うちの金太郎も早いとこ孫つくってくれんかな」

あき「何言うてんの。その前にお嫁さん見つけな」

もも「そらそうや。そのとおりや。アハハハ。陽子ちゃん」

あき「ももちゃんて」

 

陽子の隣に同じくらいの年齢の女の子がいる。

つや「この人は口が早うてな。正太夫は2つになるまで、ようしゃべらんかったけれども、この人はもう絵本を見てなヒヨコさんとかオウムちゃんとかカナリアちゃんとか。あと何やったっけ?」

節子「リスさんとかカバさんとか何でも言いますねん」

純子「ほんまですのん? うわ~、すごいな」

あき「ようこそ」

 

つや「ええ季節になりましたなあ」

あき「ほんまに」

純子「これから美山村に行かはるんやて」

あき「あら、ほんまに? よろしいなあ」

 

つや「そう、この人連れてな、お花見に行ってこよと思ってな。あ、それはそうとな、今日、正太夫倶楽部で秀平さんに写真撮ってもろたんよ。節子さんとな、この子と一緒のところをな」

節子「秀平さんが上手にこの子をあやしてくれて」

純子「いや~、そうですか。お母ちゃん。美佳子ちゃんな、もうオウムさんやらカナリアさんやらなんでも言わはるんやて」

あき「あら、偉いなあ」

 

純子「陽子はまだあきませんねん。動物は何見てもワンワンですわ」

つや「だってそれはもう個人差があるもん、しゃあないわ」

節子「ん? 何? あ、シイシやって。おかあさん、ちょっと、おしっこ連れていきます」

あき「あら、おしっこ教えはるの? 偉いなあ」

節子「このごろ、やっと教えるようになりましてん」

 

純子「はい、おかあちゃんとこ、おいで。なあ、陽子、あんた恥ずかしいのんとちゃうか? 半年もお姉ちゃんなんやから、ほら、おしめしてたら笑われるよ」

 

陽子 昭和31年3月生まれ。

美佳子 昭和31年9月生まれかな。

 

つや「まあ、節子さんがええ嫁でな。正太夫もほんまに幸せもんやわ」

あき「ほんならよろしいですなあ」

つや「もう、うちなんかもう何にもすることのうて困ってるんや。あの子がな、中学へ入るまでそばにいてやらなあかんよて言うたら勤めもやめてしもてな」

純子「私もずっと陽子のそばについててやりたいんですけど、なかなかあきませんねん」

つや「そやかてな、旅館は大変やもんなあ」

純子「そうですねん。なあ…」

 

そして、父親になった正太夫はといえば…。

 

わらべ出版のドアが「正太夫倶楽部」に書き換えられている。

 

ご覧のとおり、かってのわらべ出版は倒産して正太夫倶楽部に姿を変えたのであります。正太夫倶楽部。正太夫がやっと見つけた自分に一番似合う仕事。無名だが、情熱だけはある若い芸術家のたまり場。正太夫はこの俱楽部のオーナーであり、マスターなのであります。

 

壁にはたくさんの絵が飾られていて、「作品ご希望の方は店主にお申出下さい」の貼り紙。喫茶店みたいな感じだけど、客が自由にレコードをかけたりするような。

原作の「砂の器」に出てきた芸術家集団みたいな感じかなあ。

 

「ここはトイレではありません。暗室です」という大きな貼り紙。そこから出てきた秀平。

 

太夫「秀平君、額、買うてきたで」

秀平「ああ、今、引き伸ばし終わった」

節子と美佳子の写真。

太夫「へえ~。はあ~、よう撮れてるなあ。さすがやなあ」

秀平「もうちょっとハーフトーンにしてもよかったんだけどね」

太夫「そんなことないて。これで十分や。よう撮れてるがな。うわ~、美佳子…」

 

壁に額に入った純子と陽子の写真、その隣に新たに額に入った節子とヨウ子の写真が加えられた。

太夫「こいええわ。こいはまさに母子像やな」

秀平「母親と子供というのは僕の大切なテーマの一つだからね」

 

太夫「令子ちゃん、どっちがええ?」

令子「そんなんどっちもいいて言わなしかたありませんやん」

太夫「ハハハハ、そらそうやな。ハハハハハ」

 

カウンターで落ち込んでいる青年。

太夫「おい、元気出せや、お前。2回や3回落ちたぐらいで、お前、そんなもんしょげててどないすんねん。芸大ぐらいまた通るて、お前。大丈夫やて。俺なんかな、30過ぎてまで糸の切れたタコみたいにフラフラフラフラしとったんや」

木村「分かってるねんけどな」

太夫「今日は俺のおごりや。これ飲め。これ、パンやけどな、あの油で揚げて砂糖まぶして食べたらうまいねん」

 

木村「おおきに。けど不思議やなあ」

太夫「何や」

木村「正太夫さんの顔見てたら僕かてまだやれるなて気になるわ」

太夫「どういう意味や。アハハハハ」

 

一息ついた秀平は、また暗室へ。

 

そして、その日の夕方。浜風荘では思わぬ異変が起こっていました。

 

旅館内を捜し回る純子が外に出る。

清原「いないね」

純子「いてませんか?」

清原「うちの中は?」

純子「どこにもいてへんのです」

清原「じゃ、もう一度捜してくる」

純子「すんません」

 

あき「陽子! 陽子ちゃん!」

秀平「どうしたんです?」

あき「陽子がおらへんのや」

秀平「えっ!?」

 

純子「表にもおらへんのや」

あき「どないしょ」

純子「おらへん?」

もも「純ちゃん、おらんで」

 

純子「お母ちゃん、目ぇ離すからや」

あき「そこにおったんやで」

もも「板場通ってな、奥へ入るんをうち、見たんやけどな」

純子「ほな、お玄関から出てったんやろか」

 

もも「清原先生、見いなかったんですか?」

純子「知らんて言うてはるのや」

秀平「誰も見てないのか?」

純子「そやかて…」

秀平「いつから?」

純子「20分くらい前までは、おったんやけど」

 

秀平「誘拐じゃないか?」

純子「まさか」

あき「えっ?」

秀平「まさかじゃないだろう! きっと誘拐か事故か何かあったんだよ」

純子「どないしょ…」

 

秀平、でかい声出すなよー。