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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (109)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

純子(山口智子)たちは、急いで明石海岸近くの警察署へ向かい、昭(西川弘志)のなきがらと対面。監督(芝本正)から、昭はボート遊びしていて転覆した中学生たちを助けようとして、溺れて亡くなった、と聞く。その夜おそく弔問にやってきた小百合(野崎佳積)に、昭がランニング中に拾った桜貝を送ろうとしていた手紙を渡す。初七日が過ぎても、力を落としたままのあき(伊藤榮子)を支えるため、純子はあきの家に泊まり…。

一通の電報が電撃のように純子の一家を襲いました。取るものも取りあえず純子たちは明石の海岸に近い警察へと駆けつけたのであります。

 

警察署の長い廊下を走った純子、あき、秀平、雄太は遺体安置所へ。

大出「ご家族の方ですか?」

純子「はい…」

大出「監督の大出です。申し訳ありません」

あきは何も言わずに階段を下り、昭に近づく。

 

秀平「言ってください! 何があったんですか?」

大出「午後4時ごろでした。野球部全員で明石の海岸を走っておりました。折から台風の接近で海が荒れておりまして。その時、中学生を乗せたボートが転覆しまして6~7人海に投げ込まれました」

 

昭の顔にかぶせられた白い布を外す。

あき「昭! 昭…」

純子は秀平の胸で泣く。

雄太「どないした。俺や。雄太や~!」

純子「昭!」

 

大出「助けを求める声が我々の耳に届きました。その時、小野は真っ先に海に飛び込みました。ほかにも泳げる者が何人か飛び込みました。小野は3人を助けて、それにもう一人を助けようとボートに向かって、そのまま帰って…きませんでした」

 

あき「昭。お母ちゃんやで。お母ちゃん来てるで。寒かったやろ。寒かったやろ」

 

大出「小野は…勇敢でした」

この監督さん、イケボだな。

 

雄太「昭~!」

 

純子「お母ちゃん…」

今なら?監督を責める家族もいそうなものだけど、純子たちの目はひたすら昭に向けられている。

 

昭が我が家に帰ってきたのは、その日の夜遅くでありました。

 

純子、あき、雄太、秀平、清原先生、村山、久助、ぬひ、ももがいる。正太夫は階段のところで声を上げて泣いている。

純子「正太夫さん、こっち来て」

久助も涙をこらえながらグローブをたたく。

太夫「お母ちゃん、おらんで。北川さんの裁判、アメリカくんだりまで行くことなかったんや。申し訳ない」

純子「そんなこと…」

太夫がそんなに泣いたら純ちゃん、慰める側になって泣けないよ。

 

小百合が来た。そういえば、静尾ちゃん最近見ないな。

純子「小百合ちゃん。来てくれはった」

あき「会うてやってちょうだい」

雄太「これ、合宿所から昭が君に出そうとしてた手紙や。もろうてやってくれ」

小百合は封筒から手紙を取り出そうとしたが、封筒から小さな桜貝が出てきた。

 

昭の手紙

「小百合ちゃん、お元気ですか。海岸を走っていたら桜貝を見つけました。あんまりきれいなので少し送ります」

小百合は泣き出した。雄太の目も真っ赤。あきも泣いているが、純子は泣いてない。それもまたつらい。

 

2階で雄太がハーモニカで「栄冠は君に輝く」を演奏する。

peachredrum.hateblo.jp

悲しい時にハーモニカを吹くのは子供の頃から何度も描写されてきたもんね。涙を流し、思い切り壁にハーモニカを投げつけた。

 

大出「レギュラーのユニフォームです。どうぞ」

あき「おおきに」

純子「おおきに」

純子はユニフォームを昭が寝かされている布団の上に置いた。家を出ていった純子を追いかけようとする秀平を止める清原先生。玄関を出るとまだ風が強い。純子は家に帰って泣いた。

 

小野家

ミシンにはカバーがかかったまま、あきは一人お茶を飲んでいた。

 

昭の初七日が過ぎました。

 

真新しいユニフォームを着た昭の遺影。位牌は「禅 慈昭浄居士」と書かれている。隣には陽一郎の遺影が並ぶ。

 

速水家

純子「秀平さん、遅なるようなこと言うてましたから先にいただきましょか」

清原「そうだね。この10日あっという間だったね」

純子「ほんまに。(物音がして振り向く)雄太か。お入り。どないしたんや?」

雄太「いや、別にどうってことはないのやけど」

 

純子「お母ちゃん、どないしてはる?」

雄太「それなんや。今日もミシンにカバーがかかったまんまやった」

純子「ほんまに…」

雄太「ごはんもろくに食べてないみたいや。晩ごはんもお母ちゃんは食べた言うてたけど台所は乾いてんねや。なんとかせんと体、壊してしまうで」

 

清原「純子さん。あなたから少し言ってあげるといい」

純子「何を言うても何や知らん通りいっぺんの言葉になるような気がして…。慰めてる自分がつろうなるんです」

雄太「僕もそうやな。お母ちゃん、どない思てんのやろなあ。実の息子の昭を亡くして養子の僕だけが家に残ったんや。どういう気持ちになるのやろな、こういう時は」

純子「そんなこと考えたらあかんよ、雄太」

雄太「お母ちゃんをなんとかしたって。それだけ頼むわ」

雄太は速水家を出ていった。

 

小野家ではあきと枕を並べて寝ている純子がいた。

純子「なあ」

あき「うん?」

純子「明日も泊まりに来ていい?」

あき「秀平さんが行け言わはったんか?」

純子「そうや」

 

あき「お母ちゃんなら大丈夫や。最初からこうなるように決められてたと思うことにしたさかい。そやけど神様も皮肉やな。ほんのちょっとだけうれしい思いさせてから連れてってしまわはるんやから。お父ちゃんの時はもうあかんて諦めてた人をちゃんと満州から連れて帰ってくれはった。昭の時は野球部のレギュラーになれるいう喜びを与えてくれはった。それだけでもありがたいと思わなあかんのかもしれん」

純子「ほんまやね」あきに背を向ける。

 

あき「考えてみたら雄太は昭とお父ちゃんの代わりにつかわされてきた子かも分かれへんな。雄太がお父ちゃんを助けてくれて、うちの子になって…。雄太がおれへんかったら、もっともっと悲しかったと思うんや」

純子は涙をこらえる。

 

あきさんのこの話、純子経由でも雄太に伝わるといいんだけどな。はあ~、小さい頃から知ってる子という感じで悲しくて悲しくて。

 

こちらの訃報も驚きました。