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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (145)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

美山村の村会議員の選挙の投票日。金太郎(高嶋政伸)が立候補しているので、もも(藤山直美)は落ち着かない。純子(山口智子)と秀平(髙嶋政宏)は仲直りして、以前よりも親密になっている。日付が変わって午前4時、皆起きて開票の結果を待っていると、金太郎から、当選したという電話が入る。そのあと昼間に金太郎があいさつに来て皆で話していると、宿泊の高校球児たちは頼みがあると純子を囲み、部員が純子に頼んだのは…。

清原欽一郎に月のような女性だと言われて純子の迷いはたちまちのうちに晴れてしまったのであります。働き、人の世話をすることは誰のためでもない、結局は自分の性に合っているからしているだけなのだ。…と分かってみれば、もう愚痴をこぼす必要もないのですから。

 

結局、純子に響いたのは清原先生の言葉だったと。しかし、私は純ちゃんが不機嫌になると周りの人がみんな気を遣うので、太陽タイプの女性だと思う。

 

板場で忙しく働いている面々。

純子「ももさん。あれ? ももさん、どないしたんやろ、この忙しい時に」

石田「ああ、ももさんは今日は使い物になりませんで。ほらほら、息子さんの選挙の投票日でっしゃろ」

純子「ああ、そやったなあ」

ヨシ子「今日は朝から目がこんなんなってつり上がってましたで」

 

もも「今、興園寺さんとこ電話したらな、もう選挙の花火、あがったあるらしいわ」

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字幕は”揚がった”だけど、この字でいいの?と思って、上の記事を読むと、”揚がる”と書くけど、”打ち揚がる”とは書かないということらしい。

 

あき「ももさん、心配やなあ」

もも「いや、まあまあええわ。悪うても金太郎本人と嫁の綾ちゃんとお母ちゃんにおばやんに田丸夫婦にほんでばあちゃん。7票あるわ」

純子「おばあちゃんも投票しはるの?」

もも「当たり前やらよ。今日ばっかりはひ孫の選挙の日やもん。田丸のリヤカーに乗ってな、投票所行くて張り切ったあるらしいねん」

 

おばあちゃんがまだ生きていた!?

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大阪で暮らし始めた純子が食材のことで美山村に行くと、ももさんは田丸の嫁とうまくいっていないという話をしてたね。そういえば、ももさんは当時、田丸の嫁は7か月で子供を産んだと言っていたけど、それって、今にして思えば金ちゃんと同じできちゃった結婚のことだったんだろうね。

 

あき「興園寺さんかてな、金太郎君には投票してくれはるやろさかい、7票8票いうことないと思うで」

もも「そやろかなあ。うちも美山村に住民票、残いといたらよかったんやな。立候補すんのもうちょっとはよう分かったあったらな、そがいにしたあったんや。あっ、7時や。投票開始や。こい、どこ?」

純子「ももさん。まだそれ空っぽやで」

もも「何でや?」

 

純子「ももさん。今日はええさかい、帳場で座ってた方がええんと違うか?」

もも「いや、大丈夫大丈夫大丈夫。落選すんのに決まったあるんや。うちは何も心配なんかしてない…。どないしよ」

 

秀平「おはよう」

純子「おはようさん。秀平さん、お弁当出来てるし」

秀平「ありがとう」

純子「ゆうべは堪忍。嫌やわ、そんなに見んといて。恥ずかしいやんか」

秀平「いや、僕が悪かった。ごめん」

 

純子「ううん。陽子は?」

秀平「起きてるよ。女の子だねえ。鏡見て髪とかしてるよ」

純子と秀平の会話をほほえましく見ているヨシ子とあき。

純子「そう」

秀平「それじゃあ」

純子「お弁当、春男君の分も入ってるさかい」

秀平「ありがとう」

純子「行ってらっしゃい」

あき・もも「行ってらっしゃい」

 

田畑「日本海高校です。朝飯取りに来ました」

純子「ご苦労さん。そっちの左側のがそうや」

田畑「はい。あ…」

純子「どないしたんや?」

 

田畑「トゲが刺さって」

純子「堪忍な。これ、ささくれてたんやな。どれ? ほんまや。ちょっと我慢しい」

純子が田畑の手を取り、指をじっと見てるから、指吸うんじゃないかとハラハラしたけど、普通に指で取った(当たり前)。田畑は照れて目線を外す。

純子「よし、抜けた。これで大丈夫や」

田畑「すみません。頂いていきます」

もも「はい、お願いします」

純子「気ぃ付けてな」

 

小百合「おはようさん」

純子「おはようさん」

小百合「野球部の選手さんたち明日からやろ?」

あき「いつもいつもすまんな、小百合ちゃん」

小百合「ううん。私は手伝わせてもらうのが楽しみで来てますねん」

あき「おおきに」

 

雄太「行ってきま~す」

小百合「あ、雄太さん、おはよう。練習行くの?」

雄太「何や織姫さん来てたんか」

小百合「織姫って何やの?」

雄太「七夕の織姫や。年に2回、センバツと夏の大会の時だけ来るやろ」

 

純子「雄太、お弁当」

雄太「ありがとう。もっともほんまの織姫さんは年に1回やけどな。行ってきます」

一同「行ってらっしゃい」

小百合ちゃんは何を思う。

 

昭和37年の夏の甲子園は8月10日から19日まで。先発隊は数日前から来てるんだろうから、8月に入ってすぐくらいなんだろうなあ。てことは、純子と秀平のけんかの発端は陽子が夏休みに入った7月の終わりからで、北海道に1週間行ってたけど、それほど長い期間じゃないってこと!? 

 

太夫倶楽部

久助「ここは冷房きいてて涼しいんです。どうぞ。どうぞどうぞ」

あき「校長先生、昨日はありがとうございました」

久助「え~、何のことですやろ?」

あき「純子をかぼうてくれはって。そやのに私、ついつい逆ろうてしもて」

久助「いや、それを言われるとこっちの方が顔が赤くなります。はい、いや…。純子ちゃん、何か自分の娘のように思うもんですからな」

 

あきと久助を見ながら正太夫ニヤニヤ。

あき「いいえ。かぼうてくれはる人がいてはって純子は幸せもんです。父親がおらんもんですさかいに甘える人がのうて、ついつい校長先生に甘えるんやと思います」

久助「いえ。私の方こそ、こんな男ですのに相談相手に選んでもらって大変、光栄に思っております」

 

太夫「あの、あきさん、コーヒーでよろしいか?」

あき「はい」

久助「はい。コーヒーお願いします」

あき「ええとこですなあ」

久助「いや、大したことないですけど」

 

あき「あの、秀平さんは今日はお仕事ですか?」

太夫「あの、春男君に機材持たして伊勢の方へ行ったんと違いますかね」

久助「伊勢へ行ったの?」

あき「あの、これ、お気に召すかどうか分かりませんねんけど見つけましたんや。きっとお似合いになると思います」紙の包みを渡す。

久助「はい? 何ですやろ?」

あき「ほんのおわびのしるしです」

久助「え…そうですか」

 

太夫「おいやん、開けたらどうや?」

久助「いや…ううん。お…おい! しょ…正太夫!」

太夫は店に来ていたグラサン髭男に声をかけた。

久助「しょ…正太夫…。私…あきさんから何か頂こうとは夢にも…」

 

グラサン髭男がピアノで演奏したのは映画「カサブランカ」の主題歌「時の過ぎゆくままに」。

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久助「でも、せっかくですから」

袋から白いハンチング帽を取り出す。

久助「あ、いや~。何よりのものです」と早速かぶる。

あき「すんません。ほかに思いつかなんだもんですから」

 

久助「いえ、おおきに。ありがとうございます。おい、正太夫! いや~…」

あき「よう似合うてはります」

久助「そうですか? でもかぶると汚れますから、私、これ大事に大事にしまっておきます」

久助は照れ照れ、「カサブランカ」は2人の男性の間で揺れ動く女性の話…ってあきさんは全くその気はないだろうけどねー。

 

帳場

電話の前にいるもも。「やっぱりあかんな…あかんやろな。分かってはいてんねんけど。問題は何票取ったかやわな。なっ?」

後ろでうなずく雄太。

 

ももを真ん中にして純子たちが不安な顔で待っているのは美山村の村会議員選挙の即日開票の結果なのであります。そろそろ午前4時、もう分かってもいい頃なのですが…。

 

外で鶏が鳴いている。

 

純子「ま、結果はどうあれ、電話をくれはることになってんのやから」

電話が鳴る。

もも「純ちゃん、純ちゃん」

純子「ももさん」

秀平「ももさん、出た方がいい」

あき「はよ、はよ、はよ」

 

もも「はい、もしもし、浜風荘…あ、金太郎? うんうん、お前、どやった? うん、下川久兵ェさんがトップ当選で423票…。お前、そんなことどうでもええねん。お前は? えっ…。お前98票…。15番目で当選…お前、ほんまに当選したんか?」

歓声が上がる。

もも「き…金太郎が村会議員になった」

歓声

純子「もしもし、金ちゃん? 純子です。当選したんやて? うん。何言うてんのや。ビリから2番目やろと何やろと当選は当選やないの。ほんま、おめでとう。ちょっと待って。今、雄太がかわる言うてるさかい」

雄太「もしもし、金ちゃん。いや~、よくやったなあ。よかったなあ、おめでとう。うんうん。何や、お前、泣いとんのか? いや~、98票か。ようやったな。僕ら20票いくやろかて心配してたんやで。お前、チョビひげでも生やして貫禄つけた方がええんとちゃうか?」

 

玄関で一人泣いているもも。

純子「ももさん、おめでとう」

もも「ありがとう。ありがとう…ありがとう、純ちゃ~ん」

 

帳場では秀平が電話で金太郎と話してる。

 

そして、興園寺つやと一緒に村会議員・牛山金太郎がやって来たのは、その日の午後であります。

 

つや、金太郎、綾、桃太郎、もも、あき、純子、雄太。秀平いないんだよね~。みんな拍手をする。

つや「まあほんま当選するとは、もう夢にも思わなんだわ」

金太郎「そらね、わいかて同じですわ。今年はね、小手調べで名前と顔売って、その次からが本番とこう思ってたわけですよ」

つや「なあ、桃太郎君もちゃんとお手伝いしたんやもんな」

桃太郎「うん」

綾「あ、ほいたら、この子の名前をな、桃太郎て書いたんが2票もあったんや。なあ、これが有効やったら100票やったのにな」

 

金太郎「それから、あの三角ベースの時の仲間がさ、弁当持ちで手伝うてくれたんやら。そらうれしかったで」

純子「そうか、よかったな」

つや「そやけどほんまもうほっとしましたわ」

あき「つやさんもご苦労やったでしょう」

つや「いやいやいや、もう興園寺家は何もお手伝いはせんかった」

 

もも「いやいやいや、あの金太郎一人やったらあかなんだと思いますわ。はい、こっちおいで。こっちおいで(桃太郎が膝に乗る)。興園寺さんからね、綾ちゃんがお嫁さんに来てくださったから、金太郎も一目置かれたんやと思います。はいはい」

 

雄太「おい、どや? 議員になった気分は」

金太郎「う~ん、実感ら、まだないな。おう、どうな、どうな? 分かるか?」

雄太「何や?」

金太郎「ひげやらよ。お前、ひげ生やせ言うたやろ。ゆうべからここだけそらんようにしたんねら」

雄太「アホ、一日で分かるか」

笑顔で顔を見合わせる純子と雄太にキュン。

 

小百合「純子さん、野球部の生徒さんたちがちょっと来てほしい言うてはりますけど」

純子「私に?」

小百合「はい」

純子「何やろな。ちょっと失礼します」

そういや、小百合ちゃんだって金太郎や雄太の同級生だし、ここにいていいのにね。

 

部員たちの大部屋

田畑「やめろ、こら、よせ!」

生徒「暴れるな、ズボン、脱がすぞ」

田畑「こら、離してくれ!」

生徒「来た来た! 女将さんだ、女将さん」

生徒「田畑、観念しろ!」

みんなに押さえつけられて一見イジメっぽく見える。

 

純子「どないしはったんですか?」

キャプテン「女将さんにお願いがあります」

田畑「バカ、よせ」

キャプテン「こいつ、田畑っていうんですけど、小学校5年の時にお母ちゃんを亡くしてるんです。その時のお母ちゃんがちょうど女将さんぐらいの年でよく似てたって言うんですよ」

田畑「バカ。少し似てるって言っただけだろ」

キャプテン「それで一遍、お母ちゃんって呼んでみたいって…」

 

純子照れる。

 

キャプテン「さあみんな、外、出とこうか」

 

純子と田畑だけが部屋に残る。

田畑「すみません」

純子「いいえ。そない言うてもろたらほんまにうれしいです。田畑さんがここにいてはる間、田畑さんのお母さんのつもりで私、応援してますさかい頑張ってな」

田畑「はい」

純子「どうぞ、お母ちゃんて言うて」

田畑「いいえ、いいです」

純子「遠慮せんと」

 

田畑「はい…それでは言います。お母ちゃん!」

純子「はい」

田畑「よろしくお願いします!」

覗いていた他の部員たちがなだれ込む。

 

そして翌日。

北見「じゃあ練習に行ってきます」

純子「気ぃ付けて。頑張ってきてください」

キャプテン「いいか? せ~の」

一同「お母ちゃん、行ってきます!」

 

秀平がのれんをくぐって出てきた。「お母ちゃん…か」

純子「何でやろ。涙が出そうやわ」

 

やっぱり「純ちゃんの応援歌」はこうでなくちゃ! 秀平の出番が少ないとかなり見やすいのかもしれない。

 

昨日の回で陽子に洗面所はどこかと尋ねた野球部の生徒達は、キャプテンと田畑かな。

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