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【ネタバレ】東京物語 デジタル・リマスター版

1953年 日本

 

あらすじ

今年生誕120年、没後60年となる巨匠・小津安二郎監督の代表作。東京で暮らす子どもたちに会いたいと広島・尾道からやってきた老夫婦。しかし、子どもたちは歓迎するものの、日々の生活に追われ、両親をやっかい払いしようとしてしまう。そんななか、戦死した次男の嫁だけは老夫婦を気遣うのだった…。親と子の絆、家族の変わりゆく姿を小津ならではの美学の演出で描き、世界映画史上最高の作品の一つとされる傑作中の傑作。

2023.12.12 NHK BS録画。

peachredrum.hateblo.jp

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原節子さんが“紀子”という役を演じた紀子三部作の3作目。小津作品では一番有名かな? リメイクも何度かされてるけど恥ずかしながら、ちゃんと見るのは初めてかもしれない。今回はNHKのプレミアムシネマなのでCMなし! それだけでも嬉しいよ。

 

昭和二十八年度 藝術祭 参加作品

 

平山周吉:笠智衆…字幕黄色

平山とみ:東山千栄子…字幕緑

 

「麥秋」では親子役で今度は夫婦役! 笠智衆さんは白髪頭にしたのね。尾道で暮らす平山夫妻は上京して息子や娘に会いにいく。夫婦は次女・京子(香川京子)と同居。周吉は隣人(高橋豊子)にしばらく留守にしますと挨拶。

 

周吉たちは長男の幸一(山村聰)の家へ。妻の文子(三宅邦子)、息子の實、勇がいる。うわ〜、紀子だけじゃなく、「麥秋」と同じ名前の人が多いな。長女の金子志げ(杉村春子)も来ている。少し遅れて次男の妻・紀子も来た。

 

平山紀子:原節子…字幕水色

 

NHKとBS松竹東急では、黄色が主人公なのは共通だけど、準主役はNHKでは水色、BS松竹東急では緑。

 

周吉、とみ、幸一、志げで共通の知人の近況を語り合う。志げと紀子が帰って行き、周吉夫妻も寝ることにした。幸一の家は東京の端の方。

 

うらら美容院は志げの家。夫の庫造(中村伸郎)は、挨拶に行かなくていいか気にするが、志げは、そのうち家にも来るだろうと言う。庫造は、”くらぞう”と読むのね。

 

日曜日、幸一がデパートに連れて行こうとしていたが、内科・小児科を営む幸一の元に急患の知らせが入り、出かけられなくなる。文子が連れて行こうかと言うが、家を開けるわけにはいかないと幸一が言う。また留守番問題。女中さんとかいないのね。實や勇は、すっかりむくれてしまう。

 

とみは勇を連れて河川敷へ。とみが話しかけても無言の勇。小津映画の生意気な男子、苦手だ〜。微笑ましく見られない。

 

今度は志げの家へ。志げは仕事が忙しく、周吉たちはどこにも出かけずに2階で過ごしている。庫造は浅草で白あんの入ったお菓子を買ってくるが、志げはこんな高いお菓子じゃなくて、おせんべいでいいのにと白あんのお菓子を口に入れる。

 

庫造は金車亭にでも連れて行こうかと提案。浅草にある寄席なのね。

 

志げは紀子の働く米山商事に電話して、東京案内するように頼む。紀子はすぐに上司に明日休ませて欲しいとお願いし、了承を得た。

 

はとバスツアー?に参加した紀子と周吉夫妻。紀子は自分のアパートに招待する。部屋に飾られた紀子の夫の昌二の写真を見ている周吉たち。紀子は隣の主婦にお酒とおちょこを借りて、周吉をもてなす。

 

昌二のことは、もう8年にもなるからとうに死んでるだろうと言う周吉だが、とみは遠く離れて暮らしていたせいか今もどこかで生きている気がすると話す。紀子は店屋物をとって出す。手作りにこだわらないところがよい!

 

幸一と志げは、周吉たちがいつまで東京にいるんだろうと話していた。志げは幸一に3000円出してもらって、2~3日、熱海に行ってもらってはどうかと提案する。忙しい幸一も庫造も賛成する。

 

安宿のせいか流行歌が流れ、マージャンをやる人がいたり、うるさくて眠れない周吉たち。

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燦めく星座

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生演奏だった。

 

朝、海を見に行った周吉たちは、そろそろ帰ろうかと話し合う。とみは立ち上がるとき、ちょっとフラついていた。

 

うらら美容院

周吉たちが帰ってくると「もう帰ってらしたの」とうんざり顔の志げ。2~3日の予定が1泊でやめたのかな。今晩は講習会で人が大勢集まるため、周吉は旧友の服部の元へ、とみは紀子のアパートに泊めてもらうことにした。

 

代書屋をしている服部家を訪ねた周吉。服部(十朱久雄)夫妻は尾道に住んでいた人なのね。妻のよね(長岡輝子)からうちでは何も用意できないと言われ、楽隠居している沼田(東野英治郎)と飲みにいく。服部夫妻は子供を2人も戦争で亡くしており、そのことをよく話している。

 

酔い潰れた服部はカウンターに突っ伏し、周吉と沼田は子供たちのことを話す。12時過ぎても店に居座り、店主の女性に早く帰ってよとうんざりされる。

 

紀子のアパート

とみの肩揉みをする紀子。とみは昌二の布団に寝かしてもらって、とありがたがる。そして、昌二が亡くなって8年も経つんだし、若いんだからと再婚を勧めるが、紀子はこのままでいいと言う。明かりを消すと、とみのすすり泣きが聞こえる。

 

夜中、金子家がノックされた。警官が酔っ払った周吉を連れて来た。一緒に沼田も店に入って来て、志げは困惑。周吉と沼田は、美容院の椅子に座り込んでしまった。志げは仕方なく、庫造を2階に行かせ、自分たちの寝床を提供することにした。

 

翌朝、帰り支度をするとみにお小遣いを渡す紀子。ダメよ、と受け取ろうとしなかったが、ありがたく受け取る。

 

東京駅

幸一、志げ、紀子が周吉夫妻を見送る。21時出発で名古屋あたりで夜が明けて、午後1時過ぎに広島に着く予定。

 

しかし、とみの調子が悪くなり、三男の敬三(大坂志郎)がいる大阪に思いもかけず滞在することになった。とみは67、8歳。当時の東山千栄子さんは63歳。周吉ととみは子供と孫ではどちらがかわいいかという話になり、子供のほうがかわいいと言う。しかし、子供たちはもっと優しかったと話し合う。

 

周吉からのお礼の手紙を読んでいた幸一の元に志げから電話。とみが危篤だという電報が届いた。そのうち、幸一の家にも電報が届き、文子が紀子の会社に電話をして知らせた。

 

幸一の家に行く志げ。すぐにでも行ったほうがいいだろうと話し合うが、志げは忙しいんだけどなあとも言う。念の為に喪服を持って行こうと約束して東京駅へそれぞれ向かう。使わなかったら、こんな結構なことはないしというスタンス。

 

京子が幸一たちを迎えに行き、周吉がとみの面倒を見ている。自宅で!? 治るよとうちわでとみを仰ぐ周吉。

 

夜、枕元には幸一、志げ、京子、紀子、医師がいる。敬三はまだ来ない。医師は帰り、幸一は周吉と志げを別室に集め、明日の朝までもてばいいほうだと言う。志げは泣き出し、周吉は、おしまいかのうとぼんやり。

 

朝、とみの顔には白い布がかけられていた。涙を流す京子。東京に来たのは虫の知らせだったのかもねと言う志げ。敬三は松阪に出張で間に合わなかった。京子も紀子も喪服がなく、京子が借りに行った。

 

お葬式。読経中、部屋を出て行った敬三。親孝行できなかった後悔を様子を見にきた紀子に語る。

 

家族で食事しながら思い出を語り合う。周吉が席を外したとき、志げは、お父さんが先の方がよかったと本音を漏らし、京子が今後、嫁に行ったら、一人残されることになる周吉の心配し、京子にとみの帯や着物を形見分けして欲しいと頼む。幸一、志げ、敬三は今夜の急行で帰ることにした。紀子さんは少し残れるでしょ?と言う志げ。父親ベッタリの娘よりはいいけど、志げはドライだね。

 

京子は残ってくれた紀子に感謝し、志げの態度に怒るが、紀子は自分の生活が一番大事になるのよ、と志げのフォローをした。

 

小学校の教員をしている京子は出かけて行き、紀子が残った。紀子はお昼の汽車で帰ると周吉に報告。周吉は、とみが東京で一番楽しかったのは紀子のアパートに泊まった夜だと言っていたと話す。紀子に再婚を勧める周吉。紀子はこのままでいいと話すが、昌二のことを時には忘れていることもある、これからのことを思うと不安になると本音を言う。周吉は、とみの時計を紀子に渡し、感謝を伝えた。泣き出す紀子。

 

汽車に乗った紀子は、とみの懐中時計を手に取った。

 

一人でいる周吉に隣人が話しかけてきた。一人でいると日が長い、とみにもっと優しくしてやればよかったと言う周吉。

 

尾道の風景が映し出される。(終)

 

だんだんよくなる小津映画。好みの問題かもしれないけど、「晩春」は父娘の距離感が苦手だったし、「宗方姉妹」も暗い気持ちにしかならなかった。でも、「麥秋」も「東京物語」もよかったよ。杉村春子先生、さすがだわ。

 

2002年フジテレビで松たか子さんが紀子役でリメイクしたのは、なんとなく覚えているけど、見てはいないかな。周吉が宇津井健さん、とみが八千草薫さん…うんうん、いい雰囲気じゃないの。室井滋さんが志げ。夫の庫造が阿部サダヲさん。幸一が白井晃さん、妻の文子が深浦加奈子さん、敬三が金子賢さん…ふ~ん。今更ちょっと見たくなった。現代版アレンジらしいけど。

 


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