徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】猫と庄造と二人のをんな

1956年 日本

 

あらすじ

文豪・谷崎潤一郎の同名小説で、谷崎自身が経験したといわれる三角関係をモチーフにした人間喜劇。猫のリリーに異常な程の愛情を注ぐ庄造(森繁久彌)は、妻・品子(山田五十鈴)と別れ、母・おりん(浪花千栄子)と暮らしている。おりんは富豪の娘だが、資産家の中島(林田十郎)の娘・福子(香川京子)の持参金を目当てに庄造と再婚させる。だが、それを知った品子は彼の愛を取り戻そうと、猫を強引に連れ帰る…。他の作品をすべて断って出演したという森繁久彌が複雑な役を見事に演じきっている。

2026.7.8 日本映画専門チャンネル録画

 

蔵出し名画座

評論家川本三郎こう観た

 

「頼りにしてまっせ、おばはん」。織田作之助原作、豊田四郎監督の「夫婦善哉」で、女性に頼るしかない甲斐性のない情ない、しかし愛すべき男を演じて新境地を開いた森繫久彌が再び豊田四郎監督のもとで愛すべきダメ男を演じる。

夫婦善哉

夫婦善哉

  • 森繁久彌
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原作は、昭和初期の芦屋を舞台にした谷崎潤一郎の同名の小説。庄造は芦屋で小さな金物店を開いているが、商売には身が入らない。何より好きな猫ばかり可愛がっている。庄造は女性たちに頭が上がらない。勝気な母親(浪花千栄子)、その母親に子どもが出来ないと追い出された前妻(山田五十鈴)、そして新しく結婚したはねっかえり娘の現在の妻(香川京子)。

三人とも気が強い。その前に出ると庄造は情なくも弱気になってしまう。かくれ場を求めるように猫を異様に可愛がる。猫が重要な役割を果たすが、撮影中、この猫が森繁にも山田五十鈴にもなつかず(またたびを身体にこすりつけても)猫との演技に苦労したらしい。

三女優がむき出しで強い女を演じる。とくにふだんは優しい女性を演じることの多い香川京子が山田五十鈴と渡り合うのに驚く。撮影は「煙突の見える場所」「雁」などの名手、三浦光雄。これが遺作となった。

昭和三十一年度芸術祭参加

 

東宝株式会社.配給

 

東京映画作品

 

製作:滝村和男

   佐藤一郎

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原作:谷崎潤一郎

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脚本:八住利雄

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音樂:芥川也寸志

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庄造:森繁久彌…字幕黄色

福子:香川京子…字幕緑

品子:山田五十鈴…字幕水色

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おりん:浪花千栄子

煙草屋の女将:萬代峰子

城川夫人:三好栄子

初子:南悠子

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木下:芦乃家雁玉

林田十郎

萩村:田中春男

添山:山茶花究

国粋堂:横山エンタツ

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多美子:環三千代

春江ふかみ

都家かつ江

桂美保

魚屋鯵のとれとれ:谷晃

内海突破

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宮田芳子

黑田隆子

森川佳子

任田順子

平尾隆弘

三浦徳五郎

方言指導:吉川佳代子

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監督:豊田四郎 

 

キャストクレジットが書きなぐった子供の字のようでちょっと読みづらかった。それにしても猫がなつかなかったと聞いて、ちょっと嫌な予感…

 

バイクに荷台を乗っけたような自動三輪車が、尾山商店の前に止まる。木下が店を訪ねると、品子が涙を浮かべていた。お二階さん=姑と折り合いが悪く、何かというと子どもが出来ないことを責められ、とうとう出ていくことに決めた。木下は運送業者?

 

結婚生活は4年。木下の前でもケンカを始める品子と姑のおりん。

 

品子の夫の庄造は浜辺で猫のリリーと戯れていた。ベタベタはしてるけど、確かになついてないな~。

 

品子を乗せた自動三輪車はパンクしてしまい、しばし休憩。

 

庄造は品子が出ていった頃を見計らって自宅に戻り、おりんは帯など持っていかれてないかタンスを点検していた。

 

庄造が離婚したことは近所のみどりやはま子にもバレていて、からかわれた。

 

品子は妹の初子の家に居候させてもらおうと突然押しかけ、部屋代を払うと言って、荷物を2階へ運ばせた。木下は以前、品子が女中していた家に声をかけようかと聞くが、また女中をやることに不満げ。

 

妹なのに”初子”なんだ…

 

庄造は、14~15歳のころ、銀行の給仕をしながら夜学へ通い、青木のゴルフでキャディー、その後、コックもやった苦労人。しかし、中島からは苦労が身についてない、ちゃんとした仕事を見つけろと叱られる。

 

2階で大きな声で歌っている福子のところへ行った庄造。

 

夫の添山に品子のことを報告する初子。添山は役所の友川が2階を借りたいと言っていたというが、もう実存的にいると哲学的に語る。

 

福子の海水浴についていった庄造。砂に埋まっている女性たちにちょっかいかけたり…キモッ! 香川京子さんの水着姿。庄造は、なでさせてえなと福子の足をマッサージ。おえ~っ!

 

中島は、おりんの兄。品子をうまく追い出せたな~とおりんと言い合う。子種がないとかいうけどさ、品子のせいとは限らないのにね!?

 

福子は庄造に毎晩猫と寝てるの?と聞く。夫婦の秘密を見られそうでいやだといい、猫は犬より薄情だという。それにしても庄造のセクハラぶりが気持ち悪い…品子と別れてすぐ福子?

 

品子は2階のベランダで小さなコンロ?で煮炊きしていた。木下から庄造のところに福子が嫁に来たと知らされ、おりんが裏で糸を引いていて、品子と結婚しているころからあいびきしていたらしいと聞き、品子も初子も怒る。

 

おりんの兄の娘なら、いとこ同士ってこと!? えぇ…

 

布団に入ってきたリリーにあっち行きなさいと投げ飛ばす福子。もー!

 

店の配達に出た庄造は、はま子とみどりに声をかけられ、ジュースを飲みに行った。リリーの子どもが1匹欲しいというみどりにおばあさんになるから子供は産まさないようにしていると語る庄造。手術した? 女性たちが嫌がってもリリーの話を続ける。

 

庄造がみどりたちの店から出ると品子が待ち伏せていた。

 

リリーが粗相をするとおりんに文句を言う福子。姪っ子と叔母の関係だから、気安い感じなんだね。おりんは実家に一度帰ったらどうかと勧める。

 

品子に岸壁に呼び出された庄造。あのうちのものが懐かしいと泣き、リリーが欲しいと言い出す。庄造は首でも絞めて腹いせするつもりやろと難色を示した。

 

福子のところに友人の多美子が来ており、リリーを邪魔にする福子。お義母さん、また吐いたわとリリーの吐瀉物を片づけさせた。う~ん…

 

帰ってきた庄造の顔を見て鳴くリリー。優しく抱き上げるが…やっぱりなついてないな~。

 

品子は以前、女中として勤めていた屋敷へ行った。奥様は、よく働く女中だったからまた戻って来てもいいというが、品子は、またあの家に戻りたいと3遍も手紙を書いたが返事が来ないと話し、奥様を驚かせた。

 

庄造はボートにリリーを乗せ釣り。怖いなあ。

 

庄造の家に行き、リリーを探しに行った品子。福子が帰ってきて、手紙の話をすると、福子が全部破いたという。ニコニコしたままの品子は1つだけほしいものがある、庄造に会い、リリーが欲しいと言ったというと、福子は庄造に会っていたことに驚く。

 

品子は庄造がリリーを手放すのを嫌がるなら、福子より猫が大事なんだと嫌みっぽく言い、尾山商店から10円の紙を買って帰った。2階では、おりんが布団をかぶって苦しんでいたが、品子がリリーを欲しがっているという話を聞き、急に元気になった。女中上がりの女子(おなご)と品子をバカにしているおりん。

 

それにしても、子供のころから知ってるせいか、おりんは、ぞんざいな扱いをする福子のほうがいいのかねえ? 

 

意地でリリーをかわいがることにした福子。なんだかなあ…

 

初子は品子に再婚話を持ってきた。2号さんか…

 

添山が友川を連れて2階へやってきて、部屋を見る。友川は税務署務めで品子の3倍家賃を出すと言い、子供が出来て物入りの初子は品子に堪忍やと謝る。

 

おりんが福子がメロンを買ってくれたと嬉しそうに庄造のところへやって来た。リリーも年取ったなあとしみじみ言う庄造。リリーは10歳を超え、人間でいったら60歳だとおりんが言う。台所の魚を盗んだため、いっぺんは、よその家に里子に出したが、1週間で戻ってきたと庄造が懐かしそうに語る。

 

木下の妻のまつは庄造のことが憎くないのか?と三味線を弾きながら話しかけた。木下は運送屋じゃなく畳屋だったのか。

 

庄造は福子が買ったアジをリリーに分けて一緒に食べていたので、福子はやきもちをやき、品子さんにリリーを譲ってあげなさいという。雑にぶん投げるなよ、もう、こんなんばっかり。

 

福子が投げたのにいつの間にかちゃぶ台の下に戻ってきているリリー。健気。

 

うち、畜生と一緒にされるの嫌やもん!と泣く福子。それでも、リリーと話しかけている庄造を見て、ますます泣き叫ぶ。

 

蚊帳の中で眠る庄造に文句を言う福子。夫婦ケンカを覗きに来るな!とまたリリーを投げる。

 

庄造もさあ、もうちょっと毅然としろよな。

 

熱心に神様に祈っているおりん。あしきをはろうてたすけたまえ…天理教らしい? 手振り付き。

 

庄造は、おりんに猫と福子のことを相談するが、この家は西宮の抵当に入っていると話す。西宮=福子の実家。なるほど、そういうのもあるのね。女手一つで庄造を育てるおりんを援助してくれたのが兄である中島だったのか。

 

福子はリリーを木下の家に連れていったという。リリーは僕のもんやと怒る庄造。まつは小さな篭にリリーを詰めて、これで責任が抜けるとホッとする。自転車の荷台に乗せて運ぼうとした木下に追いついた庄造は猫も乗り物酔いすると注意し、先方に着いたあげてほしいとリリーの好物を渡して、別れを惜しんだ。リリーを篭から出して抱きしめ、木下を送り出した。

 

まだ庄造のもとへ戻ろうとしている品子。木下がリリーを連れてくると大喜びする。篭から出したリリーの前足2本を持って歩かせる。それは、やめて~。

 

福子がこの家はうちで持ってるようなものというので庄造は怒り、福子の顔に唾を吐いた。福子は家に帰ると出ていき、庄造は頭を抱える。おりんは庄造に追いかけるように言うが、庄造は押し入れにしまわれた汚れ物を見せた。福子は洗濯をせず、汚れた服を詰め込んでいた。

 

おりんは福子の汚れ物を洗い始めた。どうして僕は女子(おなご)運が悪いんやろと嘆く庄造。母親にべったりでこれもまた気持ち悪い。

 

食事を拒否するリリーをたたく品子。リリーの首にひもをくくって電球につないでいたが、逃げられ、パニックになる。

 

庄造は品子の家のそばに行き、リリーを探す。

 

おりんが中島の家を訪ねると、福子は帰っていなかった。またダンス教師のところやないか?という中島。

 

福子は多美子の働く美容室へ行き、泊まらせてもらうことにした。

 

品子は帰ってきたリリーを見つけて大喜び。

 

多美子は福子にあれくらいで手を打っておかないとと庄造のもとへ帰ることを勧める。あれくらいのレベルが低すぎない? 

 

こっそり家に戻った福子は蚊帳の中で寝ている庄造に声をかけたが、庄造は寝ていた。

 

西宮で泊まり込みだったおりんが戻ると、福子が庄造の汚れ物を洗っていた。おりんは、そんなことしなくていいと止め、お小遣いをもらったから遊びに行くように勧めた。

 

それにしても香川京子さん、スタイルいいわ。部屋着なのか、家でビキニと短パンをはいてる。長い脚。

 

品子はベタベタとリリーを抱っこしてるけど、なついてないな~。

 

福子は庄造がかしわ(鶏肉)を買って出かけていたことを知り、おりんに怒りをぶつける。今度は、おりんに今すぐ出ていけと言い出し、おりんは福子に土下座したが、怒りの止まらない福子。家に帰ってきた庄造は修羅場を見ていられず、家の前を自転車でグルグル。

 

初子を訪ねた庄造。初子は、あんたもひどい人ですなあといいつつ家に上げた。リリーを探して四つん這いで歩く庄造。文机の下に入り込んだリリーを見た初子は、もう忘れたんかいな。やっぱり畜生やな、って酷い。

 

よだれかけと鈴をつけてもらい、かわいがられている様子のリリーを見て安心する庄造。部屋のきれいさにも感心する。

 

品子は尾山商店の自転車が止まっているのを見て、慌てて初子の家に戻った。すぐに会いに行かず、化粧直しをし、ウキウキ。

 

リリーは庄造を忘れた様子でうなり通し。捨てたんだからね。

 

品子は庄造に会えてデレデレ。庄造はリリーと恋愛中だという。人間もお前も嫌いというので、品子は屋根からリリーを投げた。おい! それがお前の本心やなと怒る庄造。リリーは屋根の上を歩いてたけどさぁ、ひどすぎるね。

 

初子の家に来た福子と品子はにらみ合い、つかみ合いのケンカをする。福子のぴったりしたパンツ姿、似合うな。キャットファイトってやつですかぁ!? ハァ…

 

雨の中、リリーを探す庄造。浜辺の土管の中で濡れてるリリーを発見した。自分の着ていた着物を脱ぎ、リリーを包み、抱っこして歩いた。雨の中、顔を出し、目をつぶったままのリリー。顔、隠してあげてよ。

 

これからどこで寝ようかと言いながら、浜辺を歩く。(終)

 

う、う~ん…

www.aozora.gr.jp

青空文庫で原作を読むと結末が違った。庄造が品子の部屋を訪ね、リリーとしばしの再会をした後、初子から姉さんが帰ってきたと言われ、慌てて家を出たところで終わり。

 

最後の品子と福子のキャットファイトは映画オリジナルか。つまんねえ!

 

原作にしたって、品子もリリーもかわいそうだけど、いちばんかわいそうなのは自分ではないかと思うあたり、庄造もクズ過ぎて…昭和×動物は、やっぱりだめ。肝心の猫好きの庄造が全く猫好きに見えなかったのが全て。ただの女好きのスケベジジイ。

ぬいぐるみでドラマ化した「おじさまと猫」を再評価する。