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【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #12

TBS  1968年4月2日

 

あらすじ

秋子と神尾の仲を許さない亀次郎。武男はエープリルフールにかこつけて、二人の仲を認めるように言うのだが、亀次郎は聞く耳を持たない。正子は相変わらず秋子にお見合いの話ばかり持ってくる。そんな中、のんびりと構える秋子に、神尾はいささかおかんむり。

2023.7.27 BS松竹東急録画。12話からカラー。

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1968年4月1日始まった朝の連続テレビ小説「あしたこそ」も朝ドラ初のカラー作品。橋田壽賀子脚本、藤田弓子主演。でも朝ドラは全話残ってないんだよね~。現代ものっぽいし、「おやじ太鼓」と比べて見てみたかったな。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

初子:新田勝江…亀次郎と同じ誕生日2/5で30歳。

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。

*

正子:小夜福子…亀次郎の兄嫁。高円寺の伯母さん。

*

神尾光:竹脇無我…秋子の恋人。TBS社員。24歳。

 

今回からオープニングのバックの色が緑→青→赤と変化。フォントも変わった。

 

初子が家の前を掃いていると、おみねという隣の家のお手伝いさんが話しかけてきた。おみねは西岡慶子さん。「純ちゃんの応援歌」でも「芋たこなんきん」でもお手伝いのぬひ(ヌイ)さん。

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久しぶりに会ったというおみねは「このごろは、おうちへ帰りたくならないんですの?」と初子に聞く。おお、関西弁じゃない役を初めて見た。

 

おみね「やっぱり雷が落ちるんですか?」

初子「所嫌わずなんですもの。まるでベトナム戦争ですわ」

おみね「そうそう、昨日の夕方でしたよ。うちも北爆されたんですからね」

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日曜日におみねが門の前を掃除していると、散歩をしていた亀次郎が通りかかり「おい、こら! お前のうちの門灯はいつだって消えてるぞ。電球くらい安いもんだ。とっととかえておきなさい」と怒鳴られた。

 

桜の木についても「枯れ枝ばっかりでろくだま花も咲かんじゃないか。あんなものは庭屋を呼んでとっとと枝をおろしてしまいなさい」。おみねの家の奥様がちょうど庭にいて、怒って「亭主がケチケチしてるから隣のおやじにまであんなこと言われるんだ」と夫にあたった。

 

おみね「とにかくうちの奥様も出が出でございましょう? 夫婦げんかとなると言葉の汚いこと。もう温泉芸者丸出し、ポンポンと威勢のいいこと。ガラスまで割れちゃうんでざますよ」

おみねは奥様をしょうゆ樽の底と例えた。

 

鶴家の電話が鳴る。愛子が出ると、隣の奥さんに一方的に「門灯の電球をかえた、桜の木を切っちゃった」と言われて切られた。わけの分からない愛子はお敏や初子を呼んで事情を聞こうとしたが、お敏しかおらず、お敏も分からない。口うるさい旦那にそう言ってくれと言われて、愛子は少々ご立腹。

 

また電話が鳴り、また隣の奥さんと思い、強い口調でお敏が電話に出ると亀次郎からの電話だった。愛子が隣の奥さんからの伝言を伝えると、亀次郎は怒り、そんな電話をかける暇があったら風呂場の目隠しを直しとけと伝えろと電話を切った。細かいところ見てるね~。

 

亀次郎「生意気にも程がある。なんだ、あのばばあ。いい年をして口紅なんか塗りやがって、頭ときたらまるでお釜をかぶってるみたいだ。あれで奥さんが聞いてあきれら」

 

社長室にいた亀次郎のもとに社員・堀(小池栄)が入ってきて、隣の奥さんの文句を言ってる亀次郎の話に乗って、自分の隣家の奥さんの文句を言う。猫ばっかり何匹も飼ってて、女は化け猫。

 

しかし、話を聞いていた亀次郎は「なんですか、君のとこの奥さんは。この間の結婚式なんか膝小僧を丸出しにしちゃって」と文句を言う。若い奥さんなのかな?

堀「はあ、確かに少々…」

亀次郎「何が『少々』だ」

堀「わたくしはよせよせってうるさく言うんですけど」

亀次郎「うそ言いなさい。君が似合うって言ったんだ」

堀「えっ、わたくしが?」

亀次郎「奥さんが腰をひねって、わしに言ったよ」

堀「とんでもない、社長。そりゃ誤解です」

亀次郎「5階は君の部屋だよ」

 

亀次郎は団地の5階に住む堀の部屋のカーテンが赤であることも知っていた。なぜ知っているのか聞かれると、酔いつぶれて亀次郎の車で帰ったことがあるらしい。堀の要件は亀次郎のハンコ。亀次郎は腹が立って肝心なことを言うのを忘れたと再び受話器をあげる。

 

愛子は電話中。敬四郎不合格のことを話していた。「でも入れた人より落ちた人の方が多かったんですからね。そうクヨクヨすることもないと思ってるんですわ」。敬四郎は出かけている。電話の相手は正子で今、自由が丘にいてこれから遊びに来るという。近くで聞いていた洋二。

 

愛子「あんなおいしいうなぎはとても他にはないんですって」

洋二「いいのかな。あの年でそんなうなぎなんか」

愛子「食べたいものを食べて早く死んじゃったほうが極楽往生だって言ってるわ」

洋二「ハハハハッ」

愛子「どうせ世話してくれる人がいないんだって」

 

また電話が鳴る。お敏が出ると亀次郎だった。「どこと話してたんだ? かけるたんびにお話し中で」

電話料だってただじゃないからちょいちょいかけてくるなと言っておけといい、武男が帰っていないのか聞く。帰ってないというとガチャ切り。電話料はかけた方がはらうんじゃないという愛子。都内は7円だと洋二が言う。

 

愛子は編み物を始める。すごい派手派手。初子はどうしたのか聞き、「あとで隣のうちのご不浄の掃除をするように言っておいてちょうだい」とお敏に言った。

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そうだよねえ、この前、愛子さんが「便所」なんて言うからびっくりしちゃったけど、ご不浄という言い方があるよね~。

 

初子はまだ玄関前にいて、今度は寿司屋の出前持ち(玉川長太)としゃべっている。おやじが生きてる間に親孝行したい、おふくろに逃げられてからひどい苦労をした。父親は60~61歳。初子は旦那様と同じ歳くらいと言い、出前持ちは一遍会ってみりゃいいよと言ってるけど、これって、かおるが前に言ってた縁談の人?

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初子たちの前に武男がタクシーで帰宅。初乗りは100円。武男は寿司屋の出前持ちにうな重1人前を頼んで家に入っていった。「俺、寿司屋なんだけど…」という出前持ちについでに頼んで行ってよと初子。

 

それにしても愛子たちが今回いるスペースは広間? 階段があって、ソファセットがあって揺り椅子があって…広間は扉で閉じられた空間だったような。

 

武男が家に入ってきて、愛子や洋二やお敏にエレベーター前の廊下で叱られたと話す。エレベーターが止まり、みんなびっくりして見ていた。亀次郎は朝から機嫌がよく、武男は気にしていた秋子と神尾のことを話してみることにした。

 

「今日から4月だ、やっと春らんまんだ」とヒゲをなで…お敏が話の続きを促すが、愛子たちの視線を感じ、お茶を入れに台所へ行った。

 

武男「あの人も変ですね」

愛子「陽気の加減よ」

 

「今日は4月バカか。ひとつ重役連中を担いでやるかな」とニコニコ機嫌のいい亀次郎に、と話しかけたところに…お敏がお茶を持ってくると「いいんだよ、もうお敏さんは」と言われ、お敏はしぶしぶ台所へ。

 

昭和43年4月1日は月曜日。

 

武男は「年に一度の4月バカなんだから、お父さんも一度ぐらい親バカになって神尾君に会ってやったらどうですか」と言ってしまい、「親に向かって、社長に向かってバカになれとは何事だ、バカ者! 長男がバカだから長女もバカだ。そんなバカに4月バカも5月バカもあるか! お前らは一年中大バカだ!」と辺り構わず怒鳴られた。

 

4月バカという言い方もあるけど、洋二はエイプリルフールとも言ってた。

 

初子が正面玄関にいたので、正子は正面玄関から入ってきた。正子は一人の朝食が味気なくてこのごろは少ししか食べていない。「愛子さんだって一遍未亡人になってみればいいのよ。涙が出ちゃうわよ」。だから、うなぎを思い出してタクシーに乗って吹っ飛んできた。

 

愛子は台所でお敏にお茶を頼み、うな重も頼むように言う。

 

正子はお昼に家に帰っている武男にお父さんの会社だと家へ帰って休めるからいいわねと言った。武男はお父さんの雷に当てられて帰ってきたのだと愛子は言い、正子はそれでも行くところがなくて、寂しくなったらこのうちへ来るしかないことよりいいと言う。

 

洋二はなぜ亀次郎が反対するのだろうと言うと、愛子は娘をとられちゃう気がするからだと答えた。正子はまだカメオさんのことで揉めてるの?と驚く。正子はまた秋子に縁談を持ってきた。お山の大将でスキーの名人の大矢。

 

神尾と秋子はTBSの屋上デート。あのロゴ、懐かしい。1961年~1991年までというからかなり長く使われてたんだね。それ以降4回くらい代わってる。神尾は明日にでも結婚したいと息巻いてる感じだけど、秋子はわざわざ電話をくれたのは何かご馳走してくれるのかと思っていた。

 

神尾「いつか君の部屋でケンカ別れしたまんまじゃないか」

秋子「あら、あんなこと気にしてないわ」

神尾「全くなっちゃいないよ。僕は気にするようにいいセリフを言って出てきたんだけど」

秋子「あら、そうだった? なんて言ったの?」

神尾「『僕くらい君を好きな男は二度と会えない』って言ったんだよ」

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恥ずかしげもなく良く言うなあ。まるで駄々っ子ねと子供を見るような秋子。ケンカ別れから1カ月以上経ってるのか。

 

神尾「だけどね、この屋上の下ではね、毎日毎日いろんな恋愛が製造されてるんですからね。だけど、君みたいに間の抜けた恋人は1人だって登場しやしないよ」

秋子「まあ…」

神尾がちょっと子供っぽい。どうしても雄一や二郎の余裕っぷりと比べちゃう。

 

茶の間

愛子、かおる、洋二はこたつ布団を外したテーブルで昼食。正子のうな重はまだ届かず、先に食べ始める。うなぎが遅いとタバコを吸ってる正子。さすがに灰皿はテーブルの下に置いてるけど、ヤダねえ、食べてるすぐわきでタバコの煙。武男はとっくに食べて会社へ行った。あんまり遅いので、かおるは台所へ催促しに行く。

 

愛子「やっぱりおいしいほうがいいですよ」

正子「ただでごちそうになるんならってことでしょう?」

愛子「あら、ひがんじゃったんですか?」

洋二「おばちゃんらしくないね」

正子「ひがみますよ、目の前でそんなおいしそうな干物食べてんですもの」

愛子「焼きましょうか、まだありますよ」

正子「いえ、結構。もうこうなったら頑張っちゃうわ」

 

台所から帰ってきたかおるはお敏たちが長崎ちゃんぽんを作っているのを目撃した。

かおる「ジャンジャン、フライパンで炒めてんのよ。とってもいいにおいよ。コショウを振りかけたり…」

正子「もういいわよ、そんな細かい描写まで言わなくたって。おなかがグーグー鳴りますよ」

 

しかし、ちょうど2人前しかなく分けてもらえそうにない。お敏が茶の間に来て報告したことによると、武男のうな重を催促したものと思い込んだうなぎ屋が追加分を作ってなかったことが判明。干物もお敏たちが朝ご飯で食べてしまってない。

 

正子はこの茶たくホコリがたまってるわよ、横着したってすぐ分かるんだからとチェックも欠かさない。お敏は受け取ると前掛けで拭き取り、部屋から出ようとしたが、お手洗いのスリッパ、たまには干しといた方がいいとたたみかける。ふくれっ面で出ていくお敏。愛子は「なかなか広いうちは目が届かないんですよ」とフォロー。

 

かおるは、つまりおばちゃんは寂しい、だからこのうちへ来るといろんなことに気が付くのだと指摘。「おばちゃん58でしょ? その人60なのよ」と縁談の話をする。お敏さんのおこぼれなんて真っ平だと言う正子。愛子はかおるに生意気だと言う。

 

インターホンと銅鑼が鳴る。亀次郎帰宅。武男とは入れ違いになった。玄関にいた初子のもとにうなぎ屋の出前持ち(樫明男)がうな重を運んできた。

 

亀次郎は広縁へ。亀次郎も何か食べていくと言いだしたところへうな重が届く。おばちゃんがさっきから待っていたと愛子が言うが、正子は遠慮する。

亀次郎「おばちゃんなんかいつだって食べられるよ。このうちへ来りゃ」

 

正子はお茶漬けにすると言い、かおるはなおも縁談を勧める。正子は秋子の縁談の話をすると、手を洗って戻ってきた亀次郎も会話に加わる。

愛子「この間のフランスのオリンピックにも行ったんですって」

亀次郎「オリンピック?」

正子「とてもスマートな青年ですよ」

亀次郎「何を寝ぼけたことを言ってる。ゾロゾロ連れ立って行きやがって。あんな負け方がなんでスマートだ」

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この時代はまだメダルは難しかったみたい。

 

ガツガツうな重を食べる亀次郎にお茶を持ってこようとした正子はお敏とぶつかってお茶をこぼしてしまう。茶碗だって皿だってタダじゃないんだぞと文句を言いながらうな重をかきこむ亀次郎だった。(つづく)

 

今日は、幸子、三郎、敬四郎は出番なし。昨日まで白黒だったのが不思議な感じ。それにしても食べ物がいっぱい出てくるドラマだね。