徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】張込み

1958年 日本

 

あらすじ

原作は松本清張の同名短編小説。東京で起きた殺人事件の犯人を追う1週間のドラマを描く。佐賀県での20日間にわたるロケにより、セミ・ドキュメンタリータッチで見せる。 警視庁捜査一課の下岡(宮口精二)と柚木(大木実)は、東京・深川で起きた質屋殺しの共犯・石井(田村高廣)を追って佐賀県へ向かう。逮捕された主犯の自供によると、石井は佐賀にいる別れた恋人のさだ子(高峰秀子)に会いたがっていたというのだ。

2024.3.28 BS松竹東急録画。これで3月録画分は最後!

 

横浜駅

急行列車鹿児島行き薩摩号が出発した。走り出した列車に乗り込む男2人。

 

静岡→浜松→名古屋→岐阜→大阪→広島→小郡→厚狭→関門海峡鳥栖→佐賀と走っていく。白黒だから分かりにくいけど、横浜を夜に出て昼になって、関門海峡でまた夜になって…佐賀駅で下車。ギュウギュウで通路に座っていた横浜から徐々に空いてきた。

 

男2人は刑事で佐賀署へ行き、名刺を出して当分2人で捜査すると挨拶した。

 

肥前

4〜5日か1週間くらいの滞在だからと値切る下岡。50円おまけして650円。宿屋の女将は浦辺粂子さん。ここでようやくオープニング。

 

大木実

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田村高広

宮口精二

高千穂ひづる

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高峰秀子

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原作:松本清張

脚本:橋本忍

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音楽:黛敏郎

撮影:井上晴二

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監督:野村芳太郎

 

宿屋の窓から見える主婦らしい女性・さだ子を張り込む柚木と下岡。柚木は「いこい」を買い、買い物に出たさだ子を追う。夫が帰ってきて、さだ子は風呂を沸かす。

 

事件の発端。ある日、45日ぶりに帰宅した下岡。妻は菅井きんさん。明日は鎌倉に行こうと子供に話しかけていた下岡だが、深川署の警官が来て、下岡家に来ていた柚木とともに出かけた。子供は約束がキャンセルになるのがいつもで最初から信用していなかった。

 

事件現場は質屋で銃弾一発で即死だった。

 

石井久一(きゅういち)に拳銃を譲ったという男を取調べた。

 

肥前屋での張込み2日目。下岡は仲居達には農機具を扱っている商売をしていると嘘をついている。張込みは続き、さだ子は届いた手紙を庭で読んでいた。下岡は外に出ようとしたが、さだ子が一旦家に入り、また外に出て洗濯を干し始めたので、外出はとりやめた。

 

宿屋の仲居たちは家でゴロゴロしてる外交員なんておかしいと下岡たちの噂話をしていると、さだ子が女将に300円を借りに来た。下岡はさりげなく階下へ行き、女将にさだ子の話を聞いた。夫の横川はめちゃくちゃケチ。下岡は仲居たちにサンプルが届かないから商売にならないと出かけない言い訳をする。

 

買い物に出たさだ子を追う柚木。さだ子は20以上年上の男の後妻になり、先妻の子供は3人。生気のない女で熱烈な恋愛経験があるとは思えない。

 

石井がいた職場を調べる下岡たち。この辺りは東京の話ね。故郷の九州の女のところにいるのではという話になり、佐賀署に照会してもらっていた。

 

肥前

ラジオの前に集まり、民放祭 十大歌手の歌謡大会を聴く人々。下岡は来たが、柚木は張込み中で降りてこないので、事情を知らない仲居が呼びに行った。柚木は、ここでも聴こえると部屋にとどまった。

君はマドロス海つばめ

君はマドロス海つばめ

早く帰ってコ

早く帰ってコ

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誰かさんのこと思ってるんでしょと仲居に言われた柚木は、恋人に別れを切り出されたことを思い出していた。

 

張込み3日目は何事もなく、4日目、判を押したように同じ生活を送るさだ子に手紙が届いた。

 

仲居たちは下岡たちを事件の容疑者ではないかと怪しみ始めた。

 

さだ子が着物に着替えて出かけたため、下岡たちも後を追う。ハヤセ行きのバスに乗り、さだ子の降りる大町橋で下岡たちも降りた。柚木は、また降りたところで「いこい」を買い、バスの時刻を聞いた。

 

日傘をさして歩くさだ子を追う下岡たち。さだ子は、亭主の代わりに葬式に参列していた。着物では出かけたけど、葬式だから黒みたいな決まりはなかったのかな?

 

東京での捜査会議。昔の女のところへ戻るだろうと発言する下岡と柚木。

 

外は雷雨。さだ子は傘をさしてどこかへ出かけていった。柚木が後を追う。さだ子は傘と長靴を持って歩いていたが、草履の鼻緒が切れてしまい、苦労して鼻緒をすげて銀行へ行ったが、そこで雨が上がって、長靴と傘を持って戻ってきた。

 

女は結婚すると惨めだと柚木が語ると、下岡は女は男より辛抱強くできてる、女房は少々手荒く使っても使い減りのしない頑丈なヤツを最初に…と笑う。すげーこと言うな。どういう基準で男より辛抱強いとか言うんだよ。

 

ここは東京での回想? 銭湯で体重を測っていた柚木。18貫900ということは18貫で67.5キロか。脱衣所にいる若いワンピース姿の女性と話している。銭湯の娘を勧めていた下岡の妻に偶然会い、断るならはっきりしてほしいと言われる。銭湯の娘だから、あんな場所にいるの?

 

肥前

サーカスの人たちがいて、外が騒々しい。しかし、旅館で手足伸ばせて寝られる楽な張込みだと下岡は言う。下岡は来年で勤続20年。

 

張込み6日目。いつもと同じルーティーン。佐賀署の佐々木が女将からの問い合わせに下岡たちの様子を見にきた。多々良純さんね。佐々木はもちろん下岡たちの事情を知っているので、下岡が辻褄を合わせてくれるよう頼んだ。

 

祭りの夜。明日には帰ることに決めた。疑いが晴れて、女将は急に親切になり、大きなスイカを持ってきた。

 

突然出てきた弓子の家族。ああ、柚木に別れ話をしていた恋人ね。弓子の家は立ち退きを迫られていて、弓子も家にお金を入れねばならず、こんな条件で結婚してもらえないと思っていた。

 

銭湯の娘は、男湯の脱衣所に常駐していて、下岡の息子と話していた。若い女性の前で気にせず全裸になっているのって、なんだかすごい光景。

 

肥前

翌日、さだ子の家の前を怪しげな男がウロウロしていたが、立ちションしていた。人の家の生垣に! さだ子が出てくると慌てて去って行った。いつも市場に行くより早い時間に出たので、柚木が後を追う。

 

日傘をさし、足早に移動するさだ子。

 

大通りはお祭りの行列で人が多く、柚木は、さだ子を見失った。

 

バスの待合室。柚木は、さだ子が男と東多久行きのバスに乗ったと聞き、タクシーでバスを追う。しかし、発破作業をしていた現場に立ち会ってしまい、遅れをとった。タクシーはグネグネの山道を進む。終点で止まっていたバスの運転手に話を聞くと、ここから5つ前の草刈というバス停で降りたと言う。山の温泉場。柚木は山道を走る。

 

銃声?が響き、柚木は銃を手にして走る。また銃声。柚木は無理心中かと思うが、猟犬を連れた猟師たちだった。猟犬がしっぽを振って柚木に近づいてかわいい。

 

石井とさだ子は川で穏やかに語らっていた。石井はこれから沖縄に行くと話す。

peachredrum.hateblo.jp

この組み合わせ、「山河あり」の夫婦だね。

 

柚木は子供のようにはしゃいでいるさだ子を意外に思う。

 

また2人を見失った柚木は山道を走る。さだ子の日傘を見つけ、さだ子と石井が抱き合い、キスしてるところを目撃する。さだ子は3年前、東京に出て行った石井を責めたが、石井もさだ子がついてきてくれれば…と言う。さだ子は石井より年上で、ほかに結婚相手があるような気がしたと本音を語る。東京へ行ってよかったと言う石井。さだ子は横川の家に帰らない、石井についていくと迫るが、石井はダメだと断り、訳は旅館で話すとさだ子とともに山を降りて行った。

 

旅館へ入った2人を刑事たちが張り込む。柚木は、さだ子を見ているうちに情がわき、女は事件とは関係ないとかばう。風呂から上がった石井がさだ子を待っていた。石井は草笛で「ふるさと」を奏でたが、咳き込んだ。下岡と柚木が石井に手錠をかけた。拳銃は大阪で売ったと言う。

 

さだ子が風呂から上がり、部屋に戻ると柚木がいて、石井は警察に行ったので、このままバスで家に帰るように言う。さだ子は泣き出し、柚木は佐賀までのバス代を渡した。

 

さだ子は、柚木のお金を受け取らず、部屋にかけていた石井のシャツを触った。

 

駅で急行券を買いながら、電報を出す柚木。「弓子、頑張ろう。君の家庭にどんな事情があったって、そんなもんに負けちゃダメだ。僕は、そのことを見にしみて感じている。帰り次第、結婚しよう」

 

下岡たちは石井を励ましながら、長崎発東京行きの急行列車に乗る。

 

ここでエンドロールが流れる。

 

柚木隆雄刑事:大木実

下岡雄次刑事:宮口精二

横川さだ子:高峰秀子

石井久一:田村高広

下岡の妻・満子:菅井きん

下岡の長男・辰男:竹本善彦

さだ子の夫・仙太郎:清水将夫

仙太郎の長男・隆一:伊藤卓

仙太郎の長女・君子:高木美恵子

仙太郎の次男・貞二:春日井宏行

石井の共犯者・山田庄吉:内田良平

柚木の恋人・高倉弓子:高千穂ひづる

弓子の父:藤原釜足

弓子の母:文野朋子

弓子の妹:町田祥子

弓子の妹:高木秀代

弓子の妹:磯部玉枝

旅館の女主人:浦辺粂子

旅館の女中・秋江:山本和子

旅館の女中・喜和子:小田切みき

銭湯の娘・信子:川口のぶ

信子の母:北林谷栄

銭湯の釜焚き:玉島愛造

深川署署長:南進一郎

深川署刑事課長:近衛敏明

深川署刑事:松下猛夫

深川署刑事:土田桂司

深川署刑事:鬼笑介

捜査第一課長:芦田伸介

佐賀署署長:大友富右衛門

佐賀署刑事:多々良純

洗濯屋の主人:小林十九二

洗濯屋の小僧:清水孝一

飯場の親方:大友純

町工場の主人:山本幸栄

製本屋のおかみ:草香田鶴子

血液銀行の係員:末永功

タクシーの運転手:福岡正剛

巡査:今井健太郎

関西弁の男:竹田法一

ある通行人:小林和雄

郵便屋:稲川善一

 

列車が走り出して終わり。

 

エンドロールを見て、あの人もこの人も出てたのね、と気付いた。やっぱり松本清張は一時好きで小説もよく読んだけど、ナチュラルに女性をバカにしてんだなあと気付いてから避けるようになった。今回は高峰秀子特集の1本として見たけど、生気なく暮らしてる女が情熱的であろうがなかろうがどうでもいいだろうが。

 

佐賀の張込みと東京での捜査会議と交互に出てきて、最初はちょっと混乱した。