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【ネタバレ】🈟岸壁の母 第一章「風にそよぐ母子草」その一

TBS 1977年11月7日

 

あらすじ

昭和六年、夫と死別した端野いせは七歳の息子・新二を連れ北海道から上京した。しかし不景気で失業者があふれる中、数ヶ月が経ってもいせは仕事に就くことが出来ずにいた。無一文で下宿を追われ死を覚悟したいせだったが、新二の担任教師・三浦に救われ、ある工場の寮の下働きとして働き始める。二年後、必死で働いたいせは小さな家を借り、そこに新二の表札をかかげる。

端野いせは酒乱の夫に先立たれ、義母から再婚を強いられていたが、一人息子の新二を連れて逃げるように故郷の函館を後にして上京する。しかし、働こうにも職はなく、食べる物にも事欠く日が続いた。これ以上、新二に惨めな思いをさせるくらいなら、いっそ二人で…。いせは東京湾の岸壁に立ったこともあった。だが死ぬくらいなら、どんな苦しみにも耐えられる…そう決心したいせは何とか新二を育てていくのだが…

 

夫と死別した端野いせ(市原悦子)は息子・新二(中野健)を連れ上京した。しかし仕事に就くことが出来ず死を覚悟したが、新二の担任教師・三浦(山本耕一)に救われ、ある工場の寮の下働きとして働き始める。

岸壁の母

岸壁の母

2024.6.24 BS松竹東急録画。こんな古い昼ドラを見るのは初めて!

 

青白画像。船が港に帰ってくる。

いせ「石頭(いしとう)教育、13981(いちさんきゅうはちいち)部隊、荒木連隊、第1大隊、第6中隊の端野新二(はしのしんじ)を知りませんか? 端野新二知りませんか?」帰還兵に聞きまくる。

 

対面を果たす者もいたが、いせは聞き続ける。「端野新二を知りませんか? 端野…新二~!」

 

ここで「岸壁の母」のタイトルバックと歌が始まる。毎回、こうかな?

 

第一章

*

原作・端野いせ

   「新人物往来社」刊

*

風にそよぐ

   母子草

    その一

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端野いせ:市原悦子…字幕黄色。

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端野新二:中野健…字幕緑。

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川田:文野朋子

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沢田:東郷晴子

氷倉庫の男:山本幸栄

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川田隆:田中昭雄

沢田英雄:小林秀司

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三浦:山本耕一

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音楽:木下忠司

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脚本:高岡尚平

   秋田佐知子

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監督:高橋繁男

 

脚本家の名前が後ろに来るのは結構珍しい。そして、役名付いててよかったー! 松竹制作のせいか?音楽は木下忠司さん。そして、木下恵介アワーでおなじみの人もいる。

 

今までと違い歌が終わってすぐCM。

 

昭和六年 

  東京

 

日傘をさし、疲れた様子で歩くいせ。西日のまぶしさに目をつぶる。

 

いせのナレーション

<私の名は端野いせ。このとき33歳>

 

チンドン屋とすれ違う。

 

<主人に死なれ、一人息子の新二を抱いて、生まれ故郷の北海道函館から東京へ出てきて間もないころでした>

 

かき氷を見ているいせ。

 

<この夏の暑かったこと、今でも覚えてます>

 

財布を取り出すと、店員に「いらっしゃい」と声をかけられるが、また財布をしまって歩き出す。

 

<私の財布の中には、そのとき確か6銭しかありませんでした。氷水(こおりすい)が5銭、市電が7銭、省線が5銭>

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市電の脇を日傘をさして歩く。このドラマ1977年ということは昭和52年。確かに昭和ではあるけど、よく昭和初期の雰囲気出せたなと思う。

 

<うちにはおなかをすかして待っている新二がいるんです。ちょうど世の中は世界中、不景気で会社や工場(こうば)が次々と潰れ、職を失って、その日の暮らしに困ってる人たちであふれてました>

 

神社の水場?で顔を洗ういせ。

 

<そんな東京で頼る人もない。子供を抱えた女が生きていこうっていうんですから、そりゃあもう…>

 

下駄の鼻緒を手ぬぐいを裂いて修繕する。もう歴史の勉強みたい。

 

頭にトンボが止まり、捕まえようとしたが逃げられた。

 

<トンボにまでバカにされてるような気がいたしました。新二におなかいっぱい白いご飯を食べさせてやりたい。情けないお話ですが、それがあのときの私の願いだったんです>

 

いせの歩く後ろに仁丹と「夜の牡猫」というポスター。

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1929年の松竹の時代劇映画。

 

<そのためには一日も早く仕事を見つけなければ。焦りました>

 

氷を切る男のそばで休むいせ。

男性「何か用かね?」

いせ「いえ。あの…落ちてる欠片、頂けませんか?」

男性「うん。そのクズなら持ってっていいよ」

いせ「ありがとうございます」

peachredrum.hateblo.jp

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「あしたからの恋」では写真館店主、「幸福相談」では夏目の占いの客だった山本幸栄さん。

 

男性が大きな氷を運んだ後、欠片をかき集める。

 

<恥ずかしいとかなんとか、そんなこと思う余裕がなかったんです>

 

氷を手ぬぐいに包み、額に当て、歩き出すいせ。「ああ…いい気持ち」やがて小走りで家まで走る。

 

新二「おかえり」

いせ「ただいま。また、そんな所で…新ちゃん、いい物もらったよ。おいで、早くおいで」木に登っていた新二をおろそうとしてバランスを崩す。「ごめん、ごめん、ごめん。さあ、行こう」

 

家まで走る。

いせ「新ちゃん。新ちゃん、お皿出して」

新二「うん」

 

いせは新二が出した皿の上に氷を入れ、戸棚の中から砂糖壺を取り出し、底の砂糖をかき出す。いせの鼻が黒く汚れているのを新二が拭く。新二の手を拭き、口の中から何か受け取り、氷を食べさせるいせは新二から受け取ったものを口に入れる。

 

<味のなくなった梅干しの種。私にはすぐ分かりました。新二がこれでおなかのすいたのを紛らわしながら、私を待っていたことが>

 

お皿の中の冷たい砂糖水を飲む新二。

 

⚟川田「端野さん、帰ってるの?」

 

いせ「はい」口から梅干しの種を取り出し、新二には「表で遊んどいで」と言って、玄関へ。

 

川田「仕事、見つかったの?」

いせ「いえ、でも…」

川田「あなたの『でも』は毎度のことじゃないの。どうしてくれるの? 家賃のほうは。8月ももう半ば過ぎてんのよ」

いせ「ですから…」

川田「端野さん。あなた北海道へ帰ったほうがいいんじゃないの? あちらにはお母様、いらっしゃるんでしょ? ついこの間もあるデパートで女子店員を何人か募集したら5000人もの人が職業紹介所に殺到したっていうじゃないの。まあ、こう言っちゃなんだけど若い人さえ、そんな状態なんだし、子供を抱えて、この不況の中で生きていくのは大変よ」

いせ「あしたはなんとか見つけますから」

 

川田「まあ、うちは、お家賃さえ払ってもらえば、それでかまわないけど」

いせ「ご迷惑かけませんから」手をついて頭を下げる。

川田「ハァ…もうホントに頼みますよ」

 

いせたちの部屋を出た川田は木の上にいる新二に「おりなさい」と声をかけ、母屋へ入って行く。

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文野朋子さんは「二人の世界」では麗子の優しいお母さんで「本日も晴天なり」では満州から引き揚げてきた六根のお母さん。

 

まだ氷を手に持っていた新二は家に入って、いせの口に氷を入れた。

 

いせ「心配しなくたっていいよ。夏休みの宿題、もう済んだ?」

新二「少し残ってる」

いせ「じゃ、やっちゃいなさい」

新二「うん」

 

<函館に母がいる。そのとおりでしたが、その母っていうのは、私にとって生(な)さぬ仲の人でした。新二を預けて再婚しろ、再婚しろと言われて、そんなこと私には考えることもできません。新二を連れて東京へ逃げてきたんです>

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あらすじでは義母になってるから、シチュエーション的には「おやじ太鼓」の神尾と同じかな。神尾の母はそのまま義母に預けて再婚したけど。でも、神尾みたいに東京生まれで何不自由なく育ったっぽいのを見ると、余裕のある祖母に育てられるのも一つの手だね。

 

勉強している新二。

 

ハト

マメ

マス

 

ミノ

カサ

カラカサ

 

いせが米びつを開けるとネズミ! 「新ちゃん。あれ、やって。また」

新二「うん」

 

いせは米を取り出して洗う。

 

いせが寝ていると、新二の仕掛けた罠にかかったネズミ。本物!

新二「捕ったよ!」

いせ「新ちゃん! 新ちゃん…」

新二「お母ちゃん、捕ったよ! ほら!」

いせ「大きいね」

 

<東京はネズミが多くて大変でしたよ。新二はネズミ捕りの名人でした。貧乏でもこの子と暮らせる。あしたはどうか職がありますように>

 

蚊帳の中で新二と並んで横になったいせは「びっくりした」とつぶやく。

 

いせが食器を洗いながら新二に声をかける。「新ちゃん、夏休みの宿題、全部入れたの? お母ちゃん、今日も出かけるからね」

新二「うん」

いせ「いってらっしゃい」

新二「お母ちゃん」

いせ「なあに?」

新二「仕事が見つかるといいね」

いせ「うん。早く行きな。遅れるよ」

新二「いってまいります」

 

いせは母屋へ行き、川田に2円40銭渡した。

川田「確かに7月分のお家賃、頂きました。ハァ…でも、もうじき8月も末ですからね」

 

新二が学校へ行ったから9月に入ったのかと思ったけど、まだ8月なんだね。

 

<お金に換えられる物は、みんなお金に換えました>

 

醤油醸造所から出てきたいせ。

 

<これで仕事が見つからなければ親子2人、飢えるだけです。仕事は見つかりません。不景気はひどくなるばっかりです。そのはけ口として満州事変が起こり、やがて、あの太平洋戦争の泥沼へ引きずり込まれていく運命にあること誰が気づいていたでしょう>

 

川で作業している女性に話しかけたいせ。「すいません。責任者の方、どこにいますか?」

女性「あっちよ」

 

西田材木商店

 大森貯木作業現場

 

責任者の男性に声をかけるが、断られる。

 

小学校

校庭の隅に座っていた新二に声をかけた三浦。「端野」

新二「先生」

三浦「どうした? お母さん、まだ仕事見つからんのか?」

うなずく新二。

三浦「お前、昨日も今日も弁当持ってきてなかったじゃないか」

新二「いいんです。おなかすいてないから」

三浦「ウソをつけ。ちょっと来い」新二と手をつなぎ、水飲み場の隅へ移動し、「ここで食べるんだぞ」と紙袋を渡して去っていった。

 

紙袋の中は堅いパン。

 

家に帰った新二は男の子たちに声をかけられた。

隆「おい、新二。欲しいか?」半分食べたおにぎりを顔の前に押しつける。「手をついて欲しいって言えば、やってもいいんだぜ」

新二「欲しくないよ」

隆「欲しいくせして。お前のところ、おからばっかりだってな。おお、臭(くせ)え臭え」と鼻をつまむ。鼻先まで自分のおにぎり押しつけといてよく言うよ。

英雄「臭え臭え」

 

無視して行こうとする新二を呼び止める隆。

英雄「この田舎っぺ、風呂にも入ってないのかよ」

隆「おふくろと2人で行水してやんの。早く行けよ」と突き飛ばす。

 

倒れた新二は、ポケットの中に入れていたパンを取り出す。

隆「なんだそりゃ」とパンに足を伸ばし、そのまま母屋の縁側へ英雄と歩いていく。

 

パンのほこりを払った新二は隆と英雄の首根っこをつかんで倒した。「ちっきしょう」

隆「何すんだよ、この野郎」

ケンカになる3人。新二役の子、隆や英雄に比べるとやせてるな~。

 

夕方、髪が乱れたまま歩いているいせ。

 

隆の傷の手当てをしていた川田は帰ってきたいせに「端野さん、ちょっと」と声をかけた。

 

いせ「何か?」

川田「ホントにもう新ちゃんには困るわ。うちの隆だって見てちょうだい。隆は、まあ、これくらいで済んだからいいけど、沢田さんとこの英雄ちゃん、唇を切って顔が腫れたんですって」

いせ「隆ちゃんや沢田さんの息子さんにケガをさせたことは申し訳ありませんけど、新二がわけもないのにそんなことやったとは…」

 

川田「じゃあ、何? 隆たちが新ちゃんをいじめたとでも?」

いせ「上級生の隆ちゃんたちに新二がそんなことをやったのは、よほどのことがあったんじゃないかと」

川田「ちょっといせさん、それじゃあ、まるで…」

 

いせ「ですから、新二にもよくきいてみないことには…」

川田「そう。まあ、いいでしょう。まあ、うちのほうはしかたがないけど、沢田さんのお宅には、ちゃんと謝りに行ってよ。沢田さん、この辺の有力者だし、このままじゃ、あなただって…隆、もういいから、自分の部屋、行ってらっしゃい」

隆、立ち上がって部屋から出ていく。

いせ「ごめんなさいね、隆ちゃん」

川田「うちの人の会社と沢田さんの会社とは取り引きがあるの。このままじゃ具合が悪いのよ。分かってくれるでしょ? いいわね? とにかく謝ってきて」

 

家に帰ると、新二が縁側でうなだれていた。

 

いせ「新ちゃん、すぐ、ご飯にしなくちゃね」ちゃぶ台の上のパンを見つける。「新ちゃん、あんた、このパン、どうしたの? まさか、人様のを…」

新二「…」

いせ「はっきり話しなさい、新二。こんな物(もん)、どうしたのよ?」

新二「三浦先生にもらったんだ。半分取っといたんだ。お母ちゃん、仕事して歩いて、おなかすくと思って」

 

いせ「そう。ケガしてるじゃない。おいで」

新二「平気だよ。これっぽっち」

いせ「ダメ。消毒しとかなきゃ。おいで」

 

ちゃぶ台

お皿にのせられたパン。茶碗に山盛りのおから。

 

いせ「半分ずつしよう」パンを半分にして新二に渡す。

新二「僕、食べたからいい」

いせ「そう、おいしいね」

 

茶碗に盛られたおからをじっと見つめる新二。先ほどの会話を思い出す。

 

隆<<お前のところ、おからばっかりだってな。ああ、臭え臭え>>

英雄<<臭え臭え>>

 

いせ「どうしたの? 食べないの? 新ちゃん」

新二「隆君たちがうちは、おからばっかりだって。お風呂も行かないって、臭いって言ったんだ。おむすび見せびらかして、それで僕…」いせに抱きついて泣き出す。

いせ「泣くのやめなさい。泣かないで」

 

沢田家

沢田「あたくしが英雄の母ですけど」

いせ「端野と申します」

沢田「じゃあ…」

いせ「うちの新二がお宅の坊ちゃんに…」

沢田「まあ、それはわざわざ」

 

いせ「勘違いなさ…勘違いなさらないでください。子供のケンカにと思われるでしょうけど、お宅のお子さんは、ひどすぎます。私たち親子は貧しい暮らしをしています。でも、それだからって、なぜ新二がいじめられなければならないんでしょうか? おからを食べようが、お風呂に行けなくて行水を使おうが、そんなことで人様に迷惑をかけてるとは思えません。私も新二も貧乏でも一生懸命生きてるんですから」

 

いせの家

川田「ちょっと、いせさん。あんたって人は…もう一度、謝りに行ってちょうだい。沢田さんじゃ、大変なご立腹よ。このままじゃ、うちだって迷惑します」

 

沢田さん、目を潤ませて感じ入ってると思ったのになあ。

 

いせ「奥さん」

川田「行けないっていうの? それじゃ、ここを明け渡してもらいましょう。あちらさんへの申し訳が立たないから。どうなの?」

いせ「私、間違ったことしたんでしょうか?」

川田「あんた、偉そうなこと言わないでよ。沢田さんでも立派な口を利いたそうだけど、なあに? 人のお情けを受けてるくせに」

いせが川田の顔を見る。

 

川田「そうじゃないの。今どきこんな安い家賃で住めるとこがあると思うの? 子供を抱えてかわいそうだと思うから貸してあげてるのよ。なにもこんなこと言いたくないのよ。だから、あんたがもう一度、沢田さん所、行って謝ってくれれば、それで済むんだから。ねえ、そうしてちょうだい。そうしてくれるわね?」

いせ「奥さん、お世話になりました」

川田「あんた…」

いせ「出ていかせていただきます。新ちゃん」

 

川田「あっ、そう。そうですか。じゃ、8月分の家賃、日割りできちんとしてってよ」

いせ「今はそのお金ありません。僅かですけど、家財道具は全部、置いていきます。それを整理すれば、そのくらいになりますから。新ちゃん、学校の道具そろえて。全部、かばんの中、入れて」

 

風呂敷に荷物をまとめるいせを見ている川田。

 

<すぐに後悔しました。ああ、とんでもないことになってしまったと>

 

新二「ねえ、どこ行くの?」

 

<なんて答えたらいいのか。行く当てなどどこにもありません>

 

雨の降る中、狭い路地を歩いていく。(つづく)

 

で、エンディングで歌詞付きの歌をもう一度。

岸壁の母

岸壁の母

  • provided courtesy of iTunes

主題歌「岸壁の母

作詞:藤田まさと

作曲:平川浪竜

編曲:白石十四男

歌: 二葉百合子

   キングレコード

 

このパターンで、週末は予告がついてたりするのかな?

 

う~ん、これまでの木下恵介アワーの気楽さと比べたら重い! 「わが子は他人」なんて最初は重いかと思ったけど、だんだんそれぞれのキャラが分かって楽しく見ていたからね。昭和6年から始まり、これから戦争へ一直線!

 

見続けたいと思いますが、正直、花王愛の劇場はもうおなかいっぱい。続きませんように。