TBS 1970年4月28日
あらすじ
職人気質な父・福松(進藤英太郎)に反発してラーメン屋を経営する修一(林隆三)は、母・常子(山岡久乃)や妹の桃子(岡崎友紀)の手伝いで、なんとか店を切り盛りしている。一方、「菊久月」の職人・正三(小坂一也)は……。
2023.11.17 BS松竹東急録画。
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谷口和枝:尾崎奈々…福松の長女。21歳。(字幕黄色)
野口勉:あおい輝彦…直也の弟。
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野口直也:大出俊…和枝にお見合いを断られた鈴木桂一の友人。内科医。(字幕緑)
井沢正三:小坂一也…「菊久月」の職人。30歳。
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谷口修一:林隆三…福松の長男。26歳。(字幕水色)
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中川トシ子:磯村みどり…修一の幼なじみ。26歳。
石井キク:市川寿美礼…野口家に25年、住み込みの家政婦。
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野口正弘:野々村潔…直也と勉の父。
鈴木桂一:甲田健右…直也の竹馬の友。
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青木美子:佐藤耀子…青木スタジオの店員。
トメ子:丘ゆり子…修一の店のアルバイト店員。
写真屋:山本幸栄
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女性1:本橋和子
女性2:谷よしの
男性客2:戸張正男
瀬戸物屋:山村圭二
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谷口常子:山岡久乃…福松の妻。
菊久月
3時から始まるPTAの集まりのため、2時半に用務員室に柏餅、草だんご、おまんじゅうを1個ずつ計3個を1人前にして150人分を届けるよう注文を受けた和枝。
セリフはあるけど後姿しか映らない女性2人は今日の出演者から推測するに本橋和子さん、谷よしのさんかな。どちらも「兄弟」13話で厚子からミシンを勧められる女性として登場している。
そこへ瀬戸物屋がどんぶりを持ってきた。和枝は不思議に思いながら裏口へ案内する。
向かいの店はとんかつ屋、その隣は理容オギノか。瀬戸物屋の自転車は「まるみ瀬戸物店」。
作業場では正三が昼から羊羹を作りましょうかと福松に話しかけていた。瀬戸物屋が中華のどんぶり20個を運んでくると、正三は伝票を見て、この間、常子がどんぶりを割ったことをすぐ思いつき、この先のどさん子というラーメン屋に届けるように言う。初めからそう言ってくれりゃいいのにと逆ギレの瀬戸物屋。
瀬戸物屋は山村圭二さん。「兄弟」16話では修太郎の部下、「2人の世界」だと二郎と麗子が食事したレストランの店員。
福松「なんだ、あの態度は。頭にくんな、まったく」
正三「みんなあんなもんですよ。うるさいこと言ったらいるヤツはないからね」
福松「生意気ですよ。今の若いヤツは」
どさん子
店は客でいっぱい。修一の傍らには常子がいて手伝っていた。カウンターに座っていた男性客1が修一にニンニクを勧められるものの客商売だからと断った。隣に座っていた男性客2が「おばさん、パートで来てんの?」と常子に話しかけると、修一がおふくろだと答えた。
男性2「この間までいた子、辞めちゃったのか?」
常子「ええ、なんだか変になっちゃって」
男性1「ちょっと…だったからな」←このドラマ初の無音。ルッキズム的発言?
常子「まあ」
男性客1は後ろ姿だったけど恐らく山本幸栄さん、男性客2は戸張正男さん。戸張さんは「兄弟」18話、「二人の世界」3話にも出演。
瀬戸物屋が中華どんぶりを運んできた。常子は奥へ運ぶように言い、修一は何も言わずに見送る。
谷口家茶の間
昼休み、福松はそば、正三はごはんを食べ終わって、お茶碗にお茶を注いでいる。福松は常子がトメ子が辞めてしまってからラーメン屋に行ったきりだとあきれ、正三は修一だけでは店が回らないとかばう。
福松「おかげでこっちはいつもほっぽらかしだ」
正三「親方も気難しいね」
福松「当たり前じゃないか。一体誰のおかげで生活ができてんだか、一度じっくり考えてみりゃいいんだ」←おやじがこんなこと言うなんて(-_-;)
正三「持ちつ持たれつじゃないですか」
正三は食事を終え、自分の食器を運ぶ。福松はそばをつまらせせき込むと「そばがつっかかるようじゃおしまいですね」と正三が福松の分の食器も片付け運んで行った。
裏口に出てタバコを手にした正三は何となく隣の文房具屋を覗き、店へ。昼休みになったと文房具屋に行った。もう1時半だとトシ子が驚くが、菓子屋は12時から1時までって決まっちゃいないからと答えた。
トシ子「正三さん、隣、長いんでしょ?」
正三「もう13年だよ。考えるとやんなっちゃう」
トシ子「偉いわ。腕もいいんですってね」
ま、一とおりのことはできるってとこかなと照れる正三は鉛筆を半ダース求めた。1本100円だと言われると、1本にした。
正三「しかし、鉛筆も高くなったね」
トシ子「15円のもあるのよ」
こんな変わった鉛筆でも1ダース999円なのに1本100円は確かに高い。
正三「アパート代もどんどん上がるし、俺なんか一生、独り者のまんま終わりそうで心細くなっちゃう」
トシ子「そうね、まあね」とそっけない。しまいには「早く結婚すればいいのよ」と言われた。
正三「トシ子さんは、あの…」
トシ子「私は売れ残りのほうね。この間も修ちゃんと笑っちゃったの。お互いにもういい年ねって、フフッ」
正三「そんな…若いよ。やだなあ、そんな」
いいところがあったらお世話してくださいと言われ、何も言えない正三。そこに客が来てエアメールの封筒が欲しいと言った。この人、セリフがあるのにキャストクレジットがないのね。
トシ子は客と奥へ行き、正三「そうか、売れ残りか」となぜかニヤリとしている。
どさん子
このドラマの札幌ラーメン・どさん子は実際にあるチェーン店とは関係あるのかな? 聞き覚えあるなと思ったら地元にも同じ名前の店があった。
お昼の客も一段落し、常子はカウンターを拭いていた。この店の営業時間は11時から夜中の12時まで。「二人の世界」のスナックトムも同じくらいだったかな。家族経営なのによく働くね。常子は営業時間が長すぎだと言い、トメ子の心配をする。
新しく買ったどんぶり代を払うと言う修一にお母さんのおごりだと笑顔になる常子だったが、この間の騒動で踏みつけてしまったお見合い写真を気にする。断ればいいと言う修一だったが、断るのなら写真は返さなければならない。
奥に行った常子はタンスからお見合い写真を取り出して、部屋の電気をつけて写真を見る。「ほんとに暗い部屋だこと。これで坪30万もするんだから」
そこにトメ子来店。「お久しぶり」と言うものの、3日ぶり。トメ子はこの先のやぶ清という日本そば屋に仕事が決まった。
トメ子「ねえ、いらっしゃいぐらい言ったらどう? 今日はお客様なんですから」
修一「働き口があって結構だ」
トメ子「うん、そりゃ金の卵だもの」と常子に水を求めた。
常子は水を持ってきて、トメ子に話を切り出そうとするが、あの店に決まっちゃったんだからと断る。
トメ子「私、絶対阻止してやる。あんたの結婚」
修一「バカ!」
トメ子「悪女の深情けよ」と、水だけ飲んで店を去っていった。
常子「どういうこと? ええ?」
修一「あいつ、自分で悪女だと思ってんだ」
常子「でも、深情けってところがおかしいわね」
修一「うん、うん」
トメ子は修一に高圧的態度をとるけど修一が好き!? トメ子役の丘ゆり子さんは「二人の世界」でスナックトムで待ち合わせてケンカしていたカップルの女性らしい。
そうなると、さっきのエアメールの封筒を買いに来た青年がカップルの男のほうに見えてくるんだよな。
作業場
正三「この前、隣に来たおばちゃんの住所、聞いとけばよかったな」
福松「どら焼きの出来損ないを持ってっちまったおばちゃんか?」
正三「世話好きそうだったもんね」
隣で聞いてきたらいいと言う福松だったが、分かっちゃいねえな、と正三。
正三がおばちゃんというとお敏さんを思い出すし、福松がおばちゃんというと高円寺のおばちゃんが思い出されるな。
福松「いや、お前、このごろどうかしてるよ」
正三「今年は満で30になるんですよ。考えますよ、いろいろと」
福松は給料が不足だと思い、10万は出してやりたいと思ってると言うが、正三は食うに困らないだけの腕はつけてもらったとそんなんじゃないと否定する。福松は店を出させてやりたいがどんな小店でも1000万はかかると言う。この時代でも?
福松「いや、俺のときは親父から1000円もらって、まあ、それで土地も家も出来た。昭和10年だからな。かみさんも年は違いすぎるが、まあ、いいのに当たりついたし」
正三「本当にね。当たるに事欠いて美人のバチなら当たってみてえや」
「おやじ太鼓」の亀次郎と愛子は役年齢は5歳差、実年齢は22歳差だったけど、今度のドラマはさすがに若い嫁さんをもらったという設定なのか。昭和10年に店を持った…1935年に店を持つって何歳くらいの設定なんだろ?
和服姿のキクが青木スタジオという写真館の店頭をウロウロ。勉と偶然出会う。
勉「どうしたの、その格好は」
キク「ヘヘッ、ちょっと見直したでしょ?」
勉「大丈夫? ここは」と頭をさす。
キク「大丈夫よ。あんたじゃあるまいし」
青木スタジオの店頭に飾られた女性の写真が勉の高校時代の同級生・昌子だと気付いたキク。「女は魔物だっていうけどねえ」
勉「ああ、とてもあのデブには見えないよ」←コラッ!
勉はこの写真のおかげかこの間ハワイに新婚旅行に行ったとキクに話すと、ぜひあやからなくちゃと青木スタジオに駆け込む。何企んでんだよと腕を引っ張る勉に「いやあよ、貸衣装なんだから」。
せっかく来たんだからと、待合室で写真のサイズを決める。
勉「おばさん、近頃確かに変だよ」
キク「昔から変だったの。それがまあ表面に出てきたってわけね」
勉「とうとう出てきたのか」
これくらい大きくないと、と店員の美子に台紙もつけて6枚ほどお願いするわと言った。ニコニコ笑顔の美子さん、かわいい。
病院の休憩室?
白衣姿の直也は鈴木に諦めろと言っていたが、鈴木は諦める気はないらしい。「一にも二にもアタックだ。なあ、頼むよ、竹馬の友じゃないか」
直也「彼女にもそう言ったんだ。そしたら、あなたもお古いことなんて軽く言われてさ、ハハハ…」
鈴木「真面目にやれ、真面目に」
鈴木はなぜ和枝が会ってくれないのか不思議がる。「家柄だって学歴だって勤め先だって大蔵省だ。それを…残念だよ、僕は」
直也「彼女のうち、変わってんだよ。パアのうちかもしれんぞ」
鈴木「すっかり調べてある。お父さんは大学も出ていないが、職人としては立派らしいから、まあ、しかたがない」
失礼な2人だね~。直也は他にいい人がいるから別のを探した方が確実だと言うが、俺の気持ちが分かってないのかと怒る。
院内放送「内科の野口直也先生、お電話がかかっております。近くの受話器をお取りください」
電話をかけてきたのは勉。おキクさんがちょっと変だと言い、裾模様を着て写真屋にいると報告。今の感覚で言うとそんな用事で職場に電話かけるな!なんだけど、当時のドラマを見ていても度々こういう描写は出てくる。
写真撮影中のキク。「なるべく痩せて見えるように撮ってくださいね」
写真屋「はあ」
写真屋の人は顔も映ってるし、ばっちりセリフがあるなあ。山本幸栄さんはラーメン屋の客じゃなくて写真屋さんか? 今後も出てくれば分かってくるはず。
キク「あの…ちょっと笑ったほうがいいかしら」
写真屋「いえ、若い方と違いますから、あんまり笑い顔は…」←なぜ?
手の置き場に困り、ハンカチを添えて撮影するが、大きなくしゃみをする(定番だね)。
菊久月
店のカーテンを閉める正三。おやすみなさいと主人夫婦にあいさつした正三だったが、修一の店をのぞいて桃子に帰るように言ってくれと福松に頼まれた。まだ8時だと言う和枝。
福松「よくありませんよ。浪人のくせにラーメン屋のどんぶり洗いなんかして、そんな暇に勉強させなさい」
常子は同じ空間で電話中。橋田ドラマだと大体玄関にある電話だけど、この家は茶の間にあるんだね。電話の内容にぶつくさ文句を言う福松。常子から少し黙っててくださいと注意される。
和枝「あのご隠居さん、仲人がしたいのか、うちのお菓子が食べたいのか分かりゃしないわ」
福松「あの人は昔から食い道楽だ。うちの仲人しときゃ、まあ、一生、菓子の食いっぱぐれはないし」
常子「失礼なこと言うんじゃありませんよ。そんなにゴシゴシ拭いたら、みんな紙がよれちゃいますよ」
さっきから福松がゴシゴシこすっていたのはお見合い写真だったのね。
台紙の間に挟んでいた紙もどこかへ行ってしまい、どこのお嬢さんかも分からない。和枝は写真を撮った写真屋さんへ持ってって焼き増しを頼めばいいと思いつく。明日休みなので青木写真館に和枝が行ってくることになった。
♪わるい女だと 人は云うけれど
いいじゃないの 幸せならば
1969年7月15日に発売された佐良直美の8枚目のシングル。
キクがご機嫌で歌っているのを「変な歌、歌うなよ」と顔をしかめる勉。「なんだ、いい年して。そういうの狂い咲きっていうんだよ」
野口家茶の間
父も兄も新聞を読んだり、本を読んだり、あまり気にしてない感じ。勉はおキクさんが焦って、変なのにつかまって身ぐるみ剥がれたって知らないぞと心配する。
直也「ハハッ、どう撮ってみたって、あの顔じゃ…」←こいつ(怒)
勉はお世話になりましたと家を出ていかれるのが困る。おキクさんはすごくため込んでるんだから相手を見つけてくるんじゃないかと推測。「金の世の中だもの」
直也「そのときはそのときだ。今からハラハラしちゃいられないよ」
正弘「おキクさんだって女だ。良縁がありゃ、おめでたいよ」
勉「良縁? あのおキクさんに」
キクが食後の果物を運んできた。夕方になると値下がりしたイチゴを買ってきたと話す。
キク「とにかく私のおごりですから」
正弘「悪いよ、あんたにお金を使わしちゃ」
キク「そう言ってくださんのは旦那様だけ」
直也が「ありがたいと思ってる」って言ってる。橋田壽賀子さんが発明した言葉じゃなくて、この時代くらいに普通に使われていた言葉を昭和の終わりになっても、平成になっても使い続けてるから壽賀語なんて言われちゃうんだろうね。
キク「でもね、私、25年もこのうちにいるでしょ。すっかり世間知らずになってしまって、亡くなった奥様はほんとに優しい方でしたから」
正弘「あんたをここへ縛りつけてしまった。悪いことをしたとも思ってるんだよ。あんたがこの2人を育ててくれたようなもんだよ。感謝してるよ」
キク「まあ、旦那様」
正弘「おいしいね、このイチゴ」
勉「うん」
キク「私、もう胸がいっぱいです」と部屋から出ていった。
勉「ねえねえ、おキクさんって、お父さんに惚れてたんじゃないの」
正弘「バカ」
勉「だって涙ぐんでたよ。ねえ?」
直也「バカ!」
キクは直也や勉の母が生きてる頃から25年…下手したら直也の生まれる前からこの家で家政婦してた? 住み込みだし、不思議な関係だね。
どさん子
正三はカウンターでビールを飲み、修一にも「一杯やりませんか」と誘う。まだ早いよと遠慮する修一だったが、桃子はお客さんはもう来そうもないと言う。正三は桃子に早く帰るように言うが、桃子は短大ぐらいスルッと入れると平然としている。
修一「お前は昔の花嫁学校みたいなの探して入れ。少しはしとやかになんぞ」
桃子「兄さんも古いわね。今どきそんな女の子、もらい手ないわよ。隣のトシちゃん見たって分かるじゃないの」
正三「トシちゃん?」
桃子の後ろ、しょうゆ味ラーメン 150 だって。
桃子「そうよ。優しくって美人だけど、もう26でしょ」
正三「そうそう。いい年頃ですよね」
桃子「よかないわよ。たそがれよ」
修一「バカ。トシちゃんはもらい手がなくて店手伝ってるんじゃないんだぞ」
正三「そうですよ」
桃子「あら、そう。そんなら兄さんも正三さんも独り者だから名乗って出たらいいのよ。私、嫌いだな。あんなおとなしい人」←おとなしい?
修一に帰れと言われた桃子は200円を要求し、正三にも「早く帰んのよ」と背中をたたいて帰っていった。正三は13年も谷口家にいるせいか美人の和枝やかわいい桃子に目をつけてなくてよかった~。ロリコンは嫌だよ。
正三「いいな、桃ちゃんは。サバサバしてて」
修一「バサバサしてんだよ、子供のくせに」
客もおらず、修一は正三に付き合って飲み始める。
正三「修一さん、いつまでもこの店やってくんですか?」
修一「うん。まあ、当分夢中で働くよ」
正三「旦那だって、もう年ですよ。帰ってあげりゃいいのに」
修一「考えてることもあんだ。どう思う? 正さん、親父の店」
正三「どうって…古いですよね」
修一「あのままでやってけんだろうか。やってけるにしても親父はいつかにっちもさっちもいかなくなるような気がしてしかたがないんだ」
正三「だけど、旦那もしぶといからね」
修一「うん。俺もいろいろ考えてみるんだが、なにも今、俺の手で突き倒すようなこともしたくないと思ってさ」
正三「優しいんだな、やっぱり親子だ」
修一「フッ、さあな。情けがあだってこともあるしな」
正三「でもまあ旦那はあの流儀は変えませんよ。昔風に和菓子一本、手間暇かけて」
修一「もうそんなもんサッと流しちまう時代なんだ。この街には上等すぎんだなあ、親父の菓子の味は」
モデルはこのお店? 和菓子屋は今も立派に残ってる店が多いけど、当時はいずれなくなるんじゃないかと思われていたのかな。
本日休業の札がかかる「菊久月」の作業場であんこを作っている福松。常子は「お休みぐらい仕事場でゴソゴソしなくたっていいでしょ」とお茶を持ってきた。
福松「作ってみたい菓子があんだ」
常子「食べませんよ、私」
福松「食べてくださいよ。いや、お前さんの舌は確かなんだから」
常子「知らない。今に胃がんかなんかで死んじゃうから」
福松「一緒に死んであげますよ、そのときは」
常子「たまにはケーキかなんか食べさせてくださいな。一緒に死んでもいいから」
福松「冗談じゃありませんよ。ケーキなんかと心中はまっぴらだ」
和枝は休日も和服なんだ!? お友達と映画見てから帰りに写真屋に寄る。
福松「早く帰んなさいよ」
常子「映画のプログラム買ってきて」
和枝「はい、いってまいります」
常子「いってらっしゃい」
これは橋田ドラマじゃないけど、橋田ドラマをずっと見ていると、「いってまいります」「ただいま帰りました」と言いたくなる。橋田ドラマの言葉遣いは昭和40年代で止まってんだね。こしらえる、こさえたは橋田ドラマでしか聞いたことないけどさ。
福松は友達が男かと心配するが、常子は成人式が済んだのだからどっちでもいいと言う。
福松「母親のくせにちっとも心配しないんだから」
常子「うちの子はほっといたって大丈夫よ。立派に自分の道を行くんだから」
福松「フン、立派に自分の道を行って長男はラーメン屋か」
常子「ええ、ええ、立派よ」
文房具屋と「菊久月」の間の路地をトシ子が掃いていると修一が来た。トシ子と修一は幼稚園からの付き合い。トシ子は修一が早生まれだったからいけないと言う。私のほうが一つ年上なのにずっと一緒なんだから。…学年は一緒なんだよね??
修一「そうだな、竹馬の友ってやつだな」
トシ子「女が竹馬なんかに乗りますか」
笑い合う2人の声を聞こえた福松と常子は顔を見合わせた。「心」の平と佐和みたいな感じでタイミング逃したらダメだぞ!
夕方、青木スタジオに寄った和枝。偶然店に直也がいた。「冗談じゃない。こんなとこまで追っかけてきて」といきなりの言いがかり。
和枝「まあ、追っかけてきただなんて失礼ね」と直也の手をたたいて店を出た。
「おい、君」と店の外まで出てきた直也。(つづく)
「3人家族」の雄一の家と野口家は同じ男だけの3人家族だけど、野口家は母親もいる頃から家政婦のいる家で、キクは直也や勉の母親にしたら若いくらいの年齢だろうか? 多分、和枝と直也がつき合うことになるんだろうけど、ちょっと口悪いよね。