TBS 1972年9月5日
あらすじ
南(沢田雅美)は、それとなく夏目(倍賞千恵子)に別れを告げ道夫(小倉一郎)の待つ熱海へ向かう。一方、南の家出を知った夏目は、一郎(山口崇)に連絡するものの、家出の原因を巡って、互いを責め合い、またも口論に。
2024.6.18 BS松竹東急録画。
松田夏目:倍賞千恵子…昼はOL、夜は占い師の28歳独身。字幕黄色。
*
*
松田南:沢田雅美…夏目の妹。19歳。
新田道夫:小倉一郎…新田家の五男。20歳。
*
新田麗子:木内みどり…精四郎の妻。
新田精四郎:山本コウタロー…新田家の四男。
*
妙子:西条まり…夏目の同僚。
仲居:秩父晴子
谷よしの…占いの客。
*
北見八郎:森次浩司…グラフィックデザイナー。
*
新田サク:小夜福子…新田家の母。
*
監督:中新井和夫
昨日出かけたときと同じ白い襟、紺のミニワンピースの南がアパートの戸締りをして出かけた。
一郎は、道夫の働く「パウロ」に店に出てるか問い合わせの電話をしたが、店には出ていないと言われた。「ご迷惑をおかけしています」と受話器を置いて、ため息をついていると、精四郎が公団から帰ってきた。最初の頃はサイケな格好が多かったけど、今回は白いポロシャツ。道夫は当然公団にも顔を出していない。精四郎は車でも借りてドライブにでも行ったんじゃないの?とお気楽。
サクも道夫がどこにいるか聞く。
一郎「あんちきしょう。一体、いつまでサボってやがるんだ、ホントに」
夏目の働くオフィス
毎日私服は大変だね~。夏目は割と派手な柄のワンピースで妙子から南から電話があったと言われた。夏目が席につくと、着信音が鳴り、南からの電話で横浜駅からかけていると言う。
南「ただ、お姉さん。昨日、貧血だったでしょう? だから、大丈夫かなって心配になって。また倒れてやしないかと思っちゃって」
夏目「やだわ。そんな用なの? 平気よ。ゆうべ、たっぷり寝たもん。南らしくもない。変な心配するもんねえ」
南「なら、いいけど。急にひどく心配になっちゃったの。それになんだかお姉さんの声が聞きたくて」
夏目「からかってんなら切るわよ。バカらしい」
南「違うわよ。ホントにそんな気がしたの。体に気をつけてね。さよなら」受話器を置く。
夏目は「さようなら」と電話を切った南の言葉が気にかかり、課長に呼ばれてもぼんやり。
旅館
椅子に掛けてうたたねしている道夫の部屋に仲居が南を案内した。この仲居さんが秩父晴子さんかな。前回も名前はあったけど、何の役か分からなかった。
道夫を起こさないでいる南。道夫が目覚めて「なんだ、来てたのか」と安心したような表情を見せる。目が赤くて、ホントに寝起きっぽい。お茶入れようかと言う道夫だったが、私が入れると南がお茶を入れた。道夫は夏目が元気になって安心。
一郎から夏目に電話があり、いつも手紙なんか書かないヤツが妙だと聞いていたと南が話すと、道夫は置き手紙ではなく借金返すのに手紙をつけただけだと否定。
南「あんまりおいしいお茶じゃないわね」
道夫「色はいいけどな」
こういうサラッとしたセリフ、割と好き。
海岸まで10分ほど。散歩に行こうと誘う道夫をそんな気になれないと断る南。「ねえ、なんだか変な気しない?」
南はゆうべ考えて「私たちとってもバカなことしてんじゃないかしら」と気付く。「こういうことをね、新聞やなんかで『無軌道な若者たち』っていうのよ」
道夫「冗談じゃないよ。僕たちは考えて考えて、そのあげくなんだよ」
南「そりゃそうだけど、それが危ないのよ」
道夫「僕は君が好きだし、君だって僕のこと好きなんだろ?」
南「そりゃ好きだけど」
道夫「だったらいいじゃないか。もう今頃になって、あんまり変なこと言うなよ。お茶でも飲めよ」
南「味気ないお茶ね」
道夫「君が味気ないこと言うからさ」
南「でもね…」
道夫「もういいんだったら。『でも』もヘチマもないよ」
南「だって、あれでしょう? 私たち愛し合ってんでしょ?」
道夫「そうさ。すごく愛し合ってるよ」
南「だったらあれよ。もっとちゃんとした結婚したいわ」
道夫「そうさ。僕だってしたいよ」
占い師の夏目。「あなたのご主人は、この卦によると乾(いぬい)…つまり北西の方角をお捜しになればいいと出てますが」
女性「北西? それでどのぐらい離れてるんでしょうか?」
夏目「あっ…占いでは、そこまでは分からないんですよ。方角は分かりますけど」
女性「じゃ、北西っていいますと、どの辺りになるでしょうか?」
夏目「そうですねえ。長野とか群馬。新潟、山梨も入りますね。でも、横浜の中にいるということもあるんですよ」
女性「新潟…もしかしたら…いつか新潟に知り合いがあるって言ってたんです。きっとそうです」
夏目「あの…でも、そうと決まったわけじゃないんです。さっき申しましたように、ごく近くにいるということもあります」
女性「いいえ。きっとそうです。ありがとうございました」
夏目「どうも」
寅さん映画でおなじみの谷よしのさんだ! この間見た「柴又慕情」は旅先の女将だったけど、柴又の近所の人の役もしてるので倍賞千恵子さんとも共演歴ありかな?
木下恵介アワーだと、「兄弟」では13話で厚子にミシンを勧められる女性、「あしたからの恋」では菊久月に来た客。「たんとんとん」では看護婦、「思い橋」では二上に来た客、「太陽の涙」では良子の売店に来た客…ちょこちょこ出てて、一番ちゃんと顔も映ってセリフがあるのは「思い橋」かな~?
夏目「ハァ…蒸発か。蒸発? 『体に気をつけて』『さようなら』。南のヤツ」
大急ぎでアパートに帰った夏目は机の引き出しや押し入れ、鏡台などを探る。カツラを外して髪をとかし、くずかごから丸められた紙を見つけた。
「あたしのことは心配しないで」
一郎に電話した夏目は南が置き手紙を残していたことを報告。
一郎「ホントですか? はい。あ…あの、すぐに行きますから。えっ? いや、もちろん、あなたの所ですよ。ええ、いやいや、もう、とにかくすぐに行きますからね」
アパート
⚟ノック
⚟一郎「新田一郎です」
フルネームを名乗るパターン!
夏目「はい、ただいま」ドアを開ける。
一郎が会釈。
夏目「あっ…あの、かまいません、どうぞ」
一郎「そうですか。それじゃ。あの…それで、その手紙というのは?」
夏目がテーブルの上を指すので、家に上がった一郎は夏目に道夫の手紙も見せた。
夏目「やっぱり2人そろってどこかへ行ったと思いますか?」
一郎「そうとしか思えんでしょう」←声がでかい!
夏目「でも、南は、ゆうべ、うちに…でもそうかもしれませんね。この手紙だと」
夏目「どこにいるんでしょうかねえ」
一郎「そんなこと…あんた、易者でしょ? 分からないんですか?」
夏目「分かりませんわ」
一郎「そんなもんですか。随分いいかげんなもんですね」
夏目「あの、占い信じてるんですか?」
一郎「いや、全然」
夏目「それならいいじゃないですか」
一郎「いや、僕はただ…まあ、いいでしょう。今はそんなときじゃない」丸めたタオルで顔を拭く。
夏目「もし、2人が一緒だとするときっと…」
夏目は転職するのに反対したり、アパートに入れないようにしたりする一郎が厳しすぎることが原因だと言う。2人とも逃げ場がなくなって飛び出した。一郎は夏目の姉さんとしての監督不行き届きが原因だと指摘。グイッとテーブルに乗り出してるので距離が近い。
いつかのあらすじに南19歳と出てたけど、夏目の話によると成人式は済んでいる。
お互いに言い合う一郎と夏目。もう、一郎さんのきれいな顔を拝むことにしよ。昨日の「おやじ太鼓」の再放送(51話)でも、愛子さんが幸子に「熱に浮かされちゃってるだけよ。西川先生ってきれいだから」って言ってたもん。
夏目「じゃ、あなたの弟さんがうちを出ていったのは、あなたの監督が行き届いていたせいでしょうか?」
一郎「いや、それは…男と女じゃ違いますよ」
夏目「そんなこと…男の人はいつでも勝手だっていうことにしかなりません」
プイッとお互いそっぽを向く。一郎さん、ちょっと髪が長いな~。
夏目「ハァ…どこにいるんでしょう。こういう場合、あの…届けるもんですか? 警察へ」
一郎「ああ、いや、それは、しかし、まだ…」
突然現れる北見。「こんばんは」←ドア開けてた?
夏目はしゃっくりして立ち上がる。
北見「あんたですか」
一郎「やあ」
北見「夏目さん、一体、これは…」昨日、会社に電話して急病で帰ったと聞いて、心配だから来たとカーネーションの花束を持参していた。
夏目はただの貧血で、今日は出社したと言うと、北見は「とにかくこれを」と花束を渡した。
一郎「花なんて相変わらずずうずうしいな」
北見「へえ、そうですかね? 僕はこれでもエチケットを心得てるつもりですよ。夜中に女性一人の部屋に上がるようなことはしませんからね」
一郎「君ね、僕は、ちゃんとね…」
北見「まあ、いいですよ。僕もヤボはよしますよ。お二人がこういう仲だとは実は全然気がつかなくてね。いつもケンカしてるばかりだと…いや、こいつは驚きですね。こうなるとさすがの僕も夏目さんを諦めざるをえないかな」
夏目「そんな誤解です。あの私たちは今…」
北見「いや、いいんですよ。恋人同士なら、いつどこで何をしようとかまいませんよ」
一郎「おいおい、変な勘ぐりは、やめてくれよ。僕はだね、弟とこの人の妹さんが駆け落ちのマネをしたんじゃないかと、それで今、相談をしていたところなんだ」
北見「へえ、駆け落ち? それはまた大時代的なことをするもんですね。なんでまたそんなことになったんですか?」
一郎「それはだな、つまり2人があまりに若すぎて結婚するにはふさわしくないもんだから、それでこの人と僕が猛烈に反対したもんでね。それでさ」
北見「はあ~、なるほどね。しかし、2人ともその顔じゃ、責任を感じて反省会をしてたみたいですね」
夏目も一郎も否定。
北見「じゃ、反省は抜きですか? いや、そうですね。そんなに若者を甘やかしちゃいけないんだな。僕なんかほら、なんていうか都会人でしょ? だから、なんだかんだ言っても現代の色に知らず知らず染まっちゃってるんですね。つまり明治人の持っていた頑固なまでの信念っていうのを失ってるんですよ。まあ、そこへいくと、お二人にはそれがあるんだなあ。弟や妹にどんなに頑固で封建的と思われても信念をもって反対を貫き通すっていうのは、今どきなかなかできないことですよ。いや、感心しちゃったなあ。ハハハハハッ」
勝手に来て、勝手に納得している北見。今回で最後か!? 一郎だって横浜の人なんだから都会人だよ。
店のシャッターを開ける一郎。
サク「今朝はバカに食欲がないんだね」
一郎は、ゆうべどこに行ってたのか聞かれて散歩だと答えた。道夫が南と駆け落ちしたかもしれないと言うが、サクはバカバカしいと否定した。
茶の間
食事の片づけをしている麗子。「皆さん、あがりませんねえ。あんなことでいいのかしら」
精四郎「おみおつけが薄いんじゃないの? このごろ、うちのは」
麗子「そんなことないでしょう。ねえ? お義母(かあ)様」
サク「今日のはちょっとね」
麗子「あら、そうですか?」
精四郎「ほらね、大体、君のお勝手はね、気まぐれなんだよ、味つけが」
麗子「気まぐれじゃないわよ」
サク「ねえ、麗子さん。苦いお茶一口ちょうだい」
麗子「はい」
精四郎もついでにもらおうとしたが、麗子は気まぐれなんていう人にはあげないと言う。いや~、これだけの大家族の食事を作って残されたら落ち込むだろうなあ。まずい物を作るのが悪い!ってのは正論だけどさ。
一郎「困ったヤツだよ、道夫は」茶の間にどっかと座る。
サクは精四郎や麗子に道夫は駆け落ちしたと話す。一郎が言ってたから”駆け落ち”とは言うけど、サクは道夫はそんなバカなことはしないと駆け落ちと思ってない。「一緒になりたければ一緒になればいいんだもの」
一郎「なればいいって、なられちゃ困るんじゃないの?」
サク「そう。お前は困るって言ってたものね」
一郎「言ってやらなきゃ分からないんだから、あのバカ。早すぎるってことが分からないのかな、自分で」←酷い言いぐさなのに言い方がかわいい(末期)。
サク「でもね、一郎。それでも一緒になりたいっていうのは、よくよくその子が好きなんだよ、道夫は」
精四郎も麗子も道夫の気持ちが分かると言う。
一郎「そう、みんなで分かられちゃ困るんだよ。なんだい、二十歳になったばかりのくせして。それにその南って女の子も同い年だろ? それに東京へ出てきて、まだ半年になったばかりなのに」
精四郎「そうか、半年か。それじゃあ、まだちょっと早すぎるかな」
サク「早すぎたのは、あんたたちの結婚じゃないの?」
研二が27歳、英三が25歳、道夫が20歳なので、精四郎は24~21歳で結婚してどのくらいなんだろう? 麗子がまだ学生なら今は22、23歳かなあ?
サクは道夫のこともなるようになればいいと賛成していた。それほど好きならしかたない。道夫が駆け落ちしたということは、母さんが一番よく分かってんだからと否定する。道夫は末っ子で特別だと一郎が言う。
サク「お前、そう言うけどね、お母さんがいちばん心配してるのは、お前のお嫁さんのことなんだよ」
一郎「いいですよ、そんな心配は」
サク「もらっちゃいなさいよ、あの子。あの南っていう子のお姉さん」
一郎はタバコをくわえ、精四郎と麗子は顔を見合わせてにっこり。
サク「いい娘さんだよ、とっても」
一郎の意思だけでどうにかなるものでもないだろうねえ。
アパート
出勤前に身だしなみを整える夏目。今日は白い襟のついたベージュよりもっと白っぽいワンピース着用。思い立って占いをしようとするが、「南ったら、どこ行ったのかしら」とため息をつく。(つづく)
あら、どこかでこの曲が流れたんだけどな。どこだっけ?
天地真理「ひとりじゃないの」1972年5月21日発売
最近、出番のない研二、英三。兄弟が多いと、現実でも真ん中の影が薄くなるもの(私も中間子)だけど、だからこそ7人のキャラが立ってる「おやじ太鼓」はすごいってことだね。「おやじ太鼓」だと武男とかおるがいれば十分、とはならないもん。目立つポジションに三郎や敬四郎がいるもんね。
「おやじ太鼓」51話。七夕に三郎が帰ってきた。
52話はこれから見ます。
金曜日放送の54話は西川先生もカメオも出るよー! 黒田ってまだ先(57話)なんだよね。ホントに終盤の数話しか出てないのにインパクトあったな~。